長文集  11月2週  ○エジソンの工場は(感)  su2-11-2
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2010/08/06 18:59:41
 【1】エジソンの工場は、まるで、電気機
械の発明工場でした。よいことをかんがえつ
くと、エジソンを中心に、工場の全員がそれ
に力をいれます。
「エジソンの工場のとけいには、針がなかっ
た。」ということばがあります。【2】つま
り、その工場では、みんな、時間をわすれて
はたらいたのです。
 エジソン自身が、時間などからはなれてし
ごとにうちこむ人でした。六十時間ぶっつづ
けでしごとにとりくんだことさえあります。
【3】みんな、エジソンをそんけいしていま
したから、だれ一人もんくをいうものはなか
ったのです。
 エジソン工場の一室に、そこをかりて実験
室にしている発明家がいました。【4】かれ
は助手を一人つかっていましたが、この助手
のはたらきぶりは、じつにたいへんなもので
した。
 エジソンは、ある日、この助手を、そっと
よびました。
「きみ、いまいくらではたらいていますか。

「週二十一ドル五十セントです。」
【5】「どうだろう。六十ドルだすが、わた
しのところの工場かんとくにきてもらえない
だろうか。」
 男はためらいました。
「さあ、……わたしにつとまるかどうか……
。」
 しかし、エジソンは、むりやりにしょうち
させて、二つの工場をかんとくさせました。
【6】「わたしは、これほどの実行力のある
人を見たことがな  い。」
と、エジソンはかたっていますが、かれは三
か月のうちに、工場の生産を二ばいにあげて
しまいました。べつに、あたらしい機械や人
手をふやしたわけではありません。【7】た
だ、機械をはやくつかうことを実行したので
す。
 まだ二十五さいのエジソンでしたが、もう
、これだけ、人を見ぬく力をもっていたので
す。そうして、かれとその工員たちは、つぎ
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つぎに発明し、それを、つぎつぎに製品にし
て、町におくりだしたのです。
 【8】アメリカの特許局では、エジソンの
ことを、「特許局への道があつくなるほどや
ってくる青年」とよびました。はじめて特許
を∵申請した一八六八年から、一九一〇年の
夏までに、エジソンの名でだされた特許ねが
いが千三百二十八。【9】へいきんすると一
年間に三十二、つまり、十一日ごとに一つの
発明が生まれていたことになります。
 いちばんはげしかったのは、一八八二年で
した。その一年間に、特許ねがいが百四十一
、許可されたのが七十五。計算すると、三日
に一つの新発明が生まれたことになります。
【0】

(「エジソン」 崎川(さきかわ)範行著 
講談社 火の鳥伝記文庫より)