長文集  11月4週  ○学問の神様(感)  su2-11-4
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2010/08/06 19:33:34
 【1】学問の神様として知られている天神
様は、平安時代に生きた文人、菅原道真のこ
とです。
 道真は、すぐれた学者、文学者、そして政
治家でもありました。【2】幼いころから優
秀で、五歳で和歌を詠んだとされています。
難しい試験にも若くして合格し、当時の天皇
にたいそう気に入られて、家柄からすると異
例の出世をしました。ところが、この出世が
周囲のねたみを買い、告げ口によって北九州
に追いやられてしまいました。
 【3】道真が都(みやこ)を去るときに詠
んだ歌は、よく知られています。
 東風(こち)吹かば にほひおこせよ梅の
花 あるじなしとて 春な忘れそ
【4】「なじみの梅の花よ、春を告げる風が
吹いたなら、いつものように咲いてそのかぐ
わしい香りを遠くに流された私にまで送って
おくれ。私がいないからといって春を忘れて
はいけないよ」という意味です。
 【5】道真は失意の中、二年後に亡くなり
ました。その死後、都(みやこ)ではさまざ
まな異変が起こりました。道真を陥れた政治
家たちが次々と亡くなり、疫病(えきびょう
)がはやり、雷が宮中に落ちました。【6】
人々は道真の怨霊のしわざだと恐れるように
なりました。そして、その怒りを鎮めるため
に北野天満宮が作られたのです。こうして道
真は神様として祀られるようになりました。
 【7】その後、道真は、学問の神様、天神
様として信仰を集めるようになっていきます
。庶民の間で学問の神様としての信仰が広ま
ったのは、江戸時代の寺子屋がさかんになっ
たころでした。【8】寺子屋には必ず天神様
の像が掲げられていました。毎月の天神様の
縁日には、寺子屋の生徒たちが近所の神社に
お参りすることになっており、正月の初天神
の時の行事は、父兄参観の文化祭といったよ
うな∵大きなイベントでした。【9】このこ
ろから、今の合格祈願の神様としての性格が
定まってきたようです。
 早い春のころ、北野天満宮にはたくさんの
梅の花が香り高く咲きます。【0】ちょうど
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その時期は受験シーズンで、多くの人々が訪
れます。「学問に王道なし、日頃からまじめ
に勉強に取り組むほ か、道ざ、ねぇ」と、
天神様は私たちを見守ってくれているかもし
れません。

 言葉の森長文作成委員会 α