長文集  2月1週  お母さんのいない節分  te-02-1
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/12/14 12:09:38
 【1】ぼくは、学校では体も大きいほうだ
し、声も大きいからちょっといばっています
。ドラえもんに出てくるジャイアンみたいだ
と悪口を言う子もいるくらいです。今はもう
、四年生だから、最近はあまりしないけれど
、低学年のころはしょっちゅうケンカをし 
て、友達を泣かせていました。【2】それに
大きい兄さんがニ人もいるので、みんなより
いろいろな遊びや情報も知っていて、そうい
う点でもクラスの中ではちょっとリーダー的
な存在かもしれませ ん。 
 しかし、うちでは「末っ子の甘えん坊」と
言われています。【3】兄さんニ人は年が近
いのですが、ぼくは下の兄さんより八歳も下
なのです。だから、もう十歳を過ぎたのにと
きどき赤ちゃん扱いされます。特に、お母さ
んは、 
「ひろちゃんはまだ小さいから。」 
と、口ぐせのように言います。【4】もうと
っくに背はお母さんを追い越しているのにで
す。 
 先月の終わりごろ、真ん中の兄さんが、 
「ひろさあ、母さん病院だし、今年は節分や
らなくてもいいよ  な。」 
と、ぼそっと言いました。【5】お母さんは
、年末に具合が悪くなって、緊急手術をし、
今も入院しています。お医者さんから、病気
の名前やどんな病気かを聞いたけれど、むず
かしくてよくわかりませんでした。それより
、病気になった理由が「働きすぎ」だったの
ではないかと気になっています。【6】もと
もとあまり体がじょうぶではなかったのに、
三人も男の子を生んで育てているので、とて
も大変だったのだと思います。いつも、お母
さん、もっと休めばいいのになあと思ってい
たのに、あまり休めないから、無理がいった
のだと思います。 
 【7】ぼくは心の中で、節分をやらないと
幸せな一年が過ごせないかもしれないと思い
、少し心配になりましたが、 
「うん、そうだね。おれは学校でも豆まきあ
るからいいし。」 
と、強がって言いました。すると兄さんは、
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
うなずいてバイクででかけてしまいました。
∵ 
 【8】それなのに三日の夜になって、突然
バタバタと兄さんたちが帰ってきて、ぼくに
マスに入った豆をもたせると、 
「さあ、ひろ、かかってこい。」 
と言うのです。マジックで雑に描いた鬼のお
めんをつけています。【9】ぼくは、大きな
声で、 
「鬼は、外、福は、うち。」 
と、兄さん鬼に豆をぶつけました。鬼は外、
お母さん帰ってきて。心の中でそう叫ぶと、
涙がぽろりとこぼれそうになり、ぼくはあわ
てて目をこすりました。【0】

(言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 
φ)