長文集  2月2週  ○バッタの害で有名なのは(感)  te-02-2
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/02/05 16:04:30
 【1】バッタの害で有名なのは、日本より
外国です。イナゴより一まわり大きいトビバ
ッタの仲間、日本ではダイミョウバッタとよ
んでいる大型のバッタが、時々大発生をしま
す。
 アフリカ、インド、アメリカ、中国など、
大陸で起きます。【2】『聖書』の中にも、
東風がバッタの大群を運んできて、豊かな土
地の植物を食べあらしていくことが書かれて
います。この大群は、日本では想像のできな
いような大きなものです。
 【3】たとえば、東アフリカで発生した群
(むれ)は、先頭の群(むれ)のはばが一・
六キロ、厚さが三〇メートルになり、時速一
〇キロのスピードで、群(むれ)が通り過ぎ
るのに九時間かかっ た、というような記録
があります。【4】また、南アルジェリアで
発生した群(むれ)が、三〇〇〇キロ以上、
風に乗って移動し、イギリスまで到着したと
いう記録もあります。
 たいへんな数字で、もしこんなことが日本
で起きたら、日本の農作物は、数日のうちに
全滅してしまうでしょう。
 【5】どうしてこんなことが起きるのか、
だんだんわかってきました。このような大発
生と大移動をするバッタは、ダイミョウバッ
タの仲間の、サバクバッタや、ロッキートビ
バッタなど、七種ほどのバッタですが、いず
れも、一つの種(しゅ)が、移動したり、し
なかったりをくり返しているのです。
 【6】移動しない時のバッタを単独相のバ
ッタとよび、性質はおとなしく、体は緑色が
多くて、一匹(ぴき)一匹(ぴき)草を食べ
て生活しています。ところが移動するバッタ
は、群集相のバッタとよばれ、性質があらく
、なんにでもかみつくようになり、群がって
生活し、体は黒っぽい色になって翅(はね)
が長くなります。
 【7】どうして一つの種(しゅ)で、こん
なちがいがでてくるかというと、まず第一は
、ある地域で、よい条件の下で生活している
バッタから出発すると考えられています。∵
 条件がよいというのは、気候がよく、食べ
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物が豊富にあることを意味します。【8】こ
んな土地では、生まれた個体がよく育ち、成
長のとちゅうで死ぬ数が少ないので、だんだ
んと数がふえることになります。
 数がふえれば、その地域にいるバッタが、
仲間と出会う率が高くなり、とうぜん、オス
とメスの出会う率も高く、たくさん、卵を産
むことになります。【9】そのうえ、おたが
いが接触することが刺激になって、体の中で
のホルモンの働きが活発になり、卵の発育が
早く、単独相のバッタより短い期間で、産卵
をはじめるようになります。
 気候がよいから、つぎつぎに若いバッタが
生まれ、数はどんどんふえることになります
。【0】数がふえればだんだん食べ物が少な
くなります。すると、我先にと草を食べるよ
うになり、競争が激しくなります。性質があ
らくなるのは、競争に負けないようにするた
めでしょう。

 (「いい虫わるい虫」奥井一満() 日本
少年文庫より)