長文集  10月2週  ○急いで食べると  u-10-2
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/09/04 14:42:50
 急いで食べると、食べ物がの
どにつまり、せきこんでしまう
ことがあります。私たちののど
のおくは、二つの道にわかれて
います。ひとつは、鼻や口から
入った空気の通る道、もうひと
つは、食べ物の通る道です。空
気の通る道は気管とよばれ、の
どの前の方にあり、空気はそこ
から肺へ送られます。食べ物の
通る道は、食道と呼ばれ、後ろ
のほうにあり、食べたものはそ
こから胃に送られます。
 食べ物が、のどのかべにあた
ると、空気の通る道は反射的に
ふさがれて、食べ物の通る道だ
けがあきます。まるで、手旗信
号で「赤上げ て。」「白上げ
て。」とやるように、「食べ物
だ。」「次は空気だぞ。」と、
弁を開きます。だから、急いで
食べると、「赤上げて、白上げ
て、赤上げないで、白下げない
。」などという命令になって、
弁がまちがえてしまうことがあ
るのです。
 きちんとかんで、唾液が十分
まざっている食べ物は、食道の
動きによって胃に送られます。
しかし、大きいままのものや、
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よくかんでいない食べ物は、二
つの道のわかれるところにつま
ってしまうことがあります。歯
の生えていない赤ちゃんやかむ
力の弱いお年寄りが、流動食と
いって、水分が多く柔らかいも
のを食べるのはこのためです。
 食べ物がのどにつまった時は
、背中をたたいてもらったり、
それでも取れない場合は指をつ
っこんで取ってもらったりしま
す。空気の通る道をあけてやる
ためです。いずれにしてもすば
やい対処が必要となります。最
近では、とっさに掃除機を使っ
て、おばあさんがのどにつまら
せたおもちを吸い込んで取った
例もあるそうです。
 空気と食べ物の区別のように
、体が自然に動作する似たよう
な例として、イルカやクジラの
鼻があります。イルカやクジラ
は水中に入る と、自然に鼻の
穴が閉じるので、水が入りませ
ん。

 言葉の森長文(ちょうぶん)
作成委員会( φ)