長文 10.2週
1.
急いで
食べると、
食べ物がのどにつまり、せきこんでしまうことがあります。
私たちののどのおくは、二つの
道にわかれています。ひとつは、
鼻や
口から
入った
空気の
通る道、もうひとつは、
食べ物の
通る道です。
空気の
通る道は
気管とよばれ、のどの
前の
方にあり、
空気はそこから
肺へ
送られます。
食べ物の
通る道は、
食道と
呼ばれ、
後ろのほうにあり、
食べたものはそこから
胃に
送られます。
2.
食べ物が、のどのかべにあたると、
空気の
通る道は
反射的にふさがれて、
食べ物の
通る道だけがあきます。まるで、
手旗信号で「
赤上げて。」「
白上げて。」とやるように、「
食べ物だ。」「
次は
空気だぞ。」と、
弁を
開きます。だから、
急いで
食べると、「
赤上げて、
白上げて、
赤上げないで、
白下げない。」などという
命令になって、
弁がまちがえてしまうことがあるのです。
3. きちんとかんで、
唾液が十
分まざっている
食べ物は、
食道の
動きによって
胃に
送られます。しかし、
大きいままのものや、よくかんでいない
食べ物は、二つの
道のわかれるところにつまってしまうことがあります。
歯の
生えていない
赤ちゃんやかむ
力の
弱いお
年寄りが、
流動食といって、
水分が
多く柔らかいものを
食べるのはこのためです。
4.
食べ物がのどにつまった
時は、
背中をたたいてもらったり、それでも
取れない
場合は
指をつっこんで
取ってもらったりします。
空気の
通る道をあけてやるためです。いずれにしてもすばやい
対処が
必要となります。
最近では、とっさに
掃除機を
使って、おばあさんがのどにつまらせたおもちを
吸い込んで
取った
例もあるそうです。
5.
空気と
食べ物の
区別のように、
体が
自然に
動作する
似たような
例として、イルカやクジラの
鼻があります。イルカやクジラは
水中に
入ると、
自然に
鼻の
穴が
閉じるので、
水が
入りません。
6.
言葉の
森長文作成委員会(φ)