1. 【1】
十一月最後の
日曜日、
万博公園でちびっこマラソン
大会がありました。
私は、二
年生女子の
部に
参加しました。一
年生と二
年生は、一・五キロメートルを
走ります。
2.
万博公園に
着いたら、すぐランニングを
始めました。【2】さくらちゃんが、
3.「ああ、もうしんどい。いずみちゃん、まってえ。」
4.と、
私を
呼びました。
私も、
転げるように
走って、
大きな長い橋を
渡りました。さくらちゃんの
顔は、とても
辛そうでした。その
場で
足踏みをして
待っていると、ようやく、さくらちゃんが
追いついてきました。【3】やっとゴールに
着いたときには、まるでお
風呂上がりのように、
体がぽかぽか
温かくなっていました。
5. ランニングが
終わると、コーチが、
6.「おい、一
年、二
年こっちきて。」
7.といったので、
小太郎くんと、
私と、さくらちゃんは、コーチのところに
駆け寄りました。
8.【4】「ちょっとここを
走ってみて。」
9.と
言われたので、そのコースを三
本走ったあと、ちびっこマラソンのコースを
教えてもらいました。
思っていたより
短いような
気がしました。
10. 一
年生が、
最初に
走っていきました。【5】
次は、
自分たちが
走る番です。
11.「ようい。」
12.という
声が
聞こえたとき、
急に
胸がドキドキしてきました。
喉もからからに
渇いてきました。
13.「どんっ!」
14.という
合図で、みんな
一斉にバタバタと
走り出しました。∵
15. 【6】ところが、
後ろのだれかが、いきなり
私の
背中をドーンと
押してきました。その
拍子で、
私は、ばったりと
転んでしまいました。
私の
前にいた
子も、
転びました。
転んでしまった
私たちだけ
取り残され、みんなどんどん
走っていきます。
16.【7】「くやしーい。」
17.と、
心の
中で
叫びながら
立ちあがり、
前の
子に、
18.「ごめんね。だいじょうぶ?」
19.と
声をかけました。
相手は、
頷きました。
最初に
押した
人が、
謝らないといけないのに、
私が
謝ってしまいました。
20. 【8】
押した
子は
知らんぷりなので
腹が
立ちました。
頭がカッカしたせいか、ものすごい
勢いで
走って、十
人か十二
人くらい
抜かしました。いつもよりずっと
速いスピードだったはずです。まるで
風のようだと
思いながら
走りました。
21. 【9】
あっという間にゴールに
着きました。
私のタイムは、七
分三十
秒、
順位は、四十四
位でした。
悔しかったけれど、
押された
分を、
少し取り返しました。もしも
転ばなかったら、
今までの
中で
一番のタイムだったかもしれないなと
思いました。だから、四十四
位でも
満足でした。【0】
22.(
原作 ポメラニアン
編集 言葉の
森長文作成委員会)