「地震、雷、火事、おやじ」 は、昔から怖いものの代表とし てあげられてますが、最後の「 おやじ」は、本来は「大山風( おおやまじ)」と言っていたも ので、台風のときの強い風を意 味していたそうです。自然には 、人間の力では太刀打ちできな い脅威が秘められています。こ こでは、その中の雷に焦点を当 ててみましょ う。 雷は、まず、雲ができるとこ ろから始まります。地面や海面 近くの湿った空気は、水分をた くさんふくみ、あたたまると上 にのぼっていきます。その空気 が上昇すると、温度が下がり、 水分が積乱雲となります。積乱 雲の上の方では更に温度が下が り、水分が氷になります。その 氷が雲の中を落ちていくときに 、上に向かう空気と激しくぶつ かり合ってプラスとマイナスの 静電気が発生します。プラスの 静電気を帯びた比較的軽い氷の 結晶は雲の上のほうに舞い上げ られ、マイナスの静電気を帯び た重い氷の粒は雲の下のほうに たまります。 雲が大きくなればなるほど電 |
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気も強くなり、雲の下の方にた まったマイナスの電気は、地上 のプラスの電気を目指して一目 散に飛んでいきます。このとき 、とても大きな電流が一度に流 れるので、激しい光と大きな音 を出します。こういう形の落雷 は雷の九十パーセントを占めて います。残りの十パーセントの 落雷は、雲の上のほうにあるプ ラスの電気が、地上のマイナス の電気目指して飛んでいく形の 雷です。雷にはこのほかに、雲 から雲へ飛んでいくものもあり ます。 雷のエネルギーは、雲の大き さなどによってもちがいがあり ますが、およそ五万アンペアに もなります。これは、六〇ワッ トの電球を八万個以上灯せるエ ネルギーに相当します。わっと おどろくほどのエネルギーを一 瞬のうちに放出しているのです 。∵ 昔の人は、雷を、雲の中にい る魔物があばれているのだと思 っていたそうです。雷が鳴り始 めたら、外には出ずに家の中で 魔物の機嫌がおさまるのを静か に待ちましょう。 言葉の森長文(ちょうぶん) 作成委員会( Λ) |