長文 12.2週
1. 「
地震、
雷、
火事、おやじ」は、
昔から
怖いものの
代表としてあげられてますが、
最後の「おやじ」は、
本来は「
大山風」と
言っていたもので、
台風のときの
強い風を
意味していたそうです。
自然には、
人間の
力では
太刀打ちできない
脅威が
秘められています。ここでは、その
中の
雷に
焦点を
当ててみましょう。
2.
雷は、まず、
雲ができるところから
始まります。
地面や
海面近くの
湿った
空気は、
水分をたくさんふくみ、あたたまると
上にのぼっていきます。その
空気が
上昇すると、
温度が
下がり、
水分が
積乱雲となります。
積乱雲の
上の
方では
更に温度が
下がり、
水分が
氷になります。その
氷が
雲の
中を
落ちていくときに、
上に
向かう空気と
激しくぶつかり
合ってプラスとマイナスの
静電気が
発生します。プラスの
静電気を
帯びた
比較的軽い氷の
結晶は
雲の上のほうに
舞い上げられ、マイナスの
静電気を
帯びた
重い氷の
粒は
雲の
下のほうにたまります。
3.
雲が
大きくなればなるほど
電気も
強くなり、
雲の
下の
方にたまったマイナスの
電気は、
地上のプラスの
電気を
目指して
一目散に
飛んでいきます。このとき、とても
大きな電流が
一度に流れるので、
激しい光と
大きな音を
出します。こういう
形の
落雷は
雷の九十パーセントを
占めています。
残りの十パーセントの
落雷は、
雲の上のほうにあるプラスの
電気が、
地上のマイナスの
電気目指して
飛んでいく
形の
雷です。
雷にはこのほかに、
雲から
雲へ
飛んでいくものもあります。
4.
雷のエネルギーは、
雲の
大きさなどによってもちがいがありますが、およそ五
万アンペアにもなります。これは、六〇ワットの
電球を八
万個以上灯せるエネルギーに
相当します。わっとおどろくほどのエネルギーを
一瞬のうちに
放出しているのです。∵
5.
昔の
人は、
雷を、
雲の
中にいる
魔物があばれているのだと
思っていたそうです。
雷が
鳴り始めたら、
外には
出ずに
家の
中で
魔物の
機嫌がおさまるのを
静かに
待ちましょう。
6.
言葉の
森長文作成委員会(Λ)