1.
生きているものには、すべて
寿命があります。しかし、
生物の
体を
作っている
細胞のレベルで
考えると、
実は寿命がないのです。
2.
例えば、アメーバは、
自分の
体を
分裂させながら
増えていきます。
栄養がいいと、
自分の
体の
一部を
分裂させて、
自分を
増やしていきます。
3. このアメーバのような
増え方をしている
生物は、たまたま一つの
個体が
死んでも
自分の
分身は
生きていますから、
死んだことにはなりません。
4.
実は人間にも、
同じようなことが
言えます。
人間はアメーバのように
分裂して
増えるわけではありませんが、
自分の
細胞の
一部を
子供に
伝えて
生きています。だから、
子供は、
お父さんや
お母さんに
似ているのです。
5. このように
細胞は
無限に
生き続けていきますが、
人間の
個体には
寿命があります。どうして、このような
寿命があるのかはわかりませんが、この
理由は
次のように
考えることができるかもしれません。
6.
例えば、もし
何百年間も
壊れない
自動車があったらどうでしょう。
古くなって、いろいろ
改良したいところが
出てきても、いつまでもその
古い車に
乗り続けなければなりません。
物は
壊れるから、また
新しいものを
作ることができるのです。
7. プラスチックは、
人間が
人工的に
作ったものです。そのプラスチックの
特徴は、
腐りにくいことでしたが、その
腐りにくさのためにいつまでも
自然の
中に
残り環境を
汚染するようになりました。
壊れないものばかりで
世の中ができていると、
新しいものが
登場できなくなるのです。
8.
生物も
似ています。
寿命があるから、
新しい生物が
生まれ、その
新しい生物が
古い生物のできなかったことをできるようにしていくのです。∵
9. アメーバと
同じような
生き物にゾウリムシがいます。このゾウリムシは、
栄養状態のよいときに
自分を
分裂させて
増えていきます。しかし、七
百回ぐらい
分裂を
繰り返すと、それ
以上の
分裂はできなくなり、
突然すべてのゾウリムシが
死んでしまいます。そうならないように、ゾウリムシはときどき
別のゾウリムシと
結婚して、
今までの
自分とは
違う新しい子孫を
作ります。と
言ってももちろん、ゾウリムシがゲタムシやサンダルムシになるのではありません。ゾウリムシのまま
新しい性質を
手に
入れるのです。
10.
寿命があるということは、
新しいものを
生み出す条件だと
言えるのかもしれません。
11.
言葉の
森長文作成委員会(Σ)