長文 10.1週
1. 【1】
十二月三日、
大事件が
起きました。ぼくの
下の
前歯が
抜けたのです。
友達はみんな
抜けていたのに、ぼくだけ、まだ一
本も
抜けていませんでした。
2. その
歯は、
前から
少しぐらぐらしていました。【2】
歯が
抜ける前の
日から、
走った
震動でぐらぐらしてしまうぐらい
揺れていました。だから、ぼくだけ、
朝ごはんをおかゆにしてもらいました。おかゆはあまり
食べた
気がしません。ぼくは
何杯も
食べました。
3. 【3】
朝ごはんはなんとか
食べられたけれど、
心配なのは
給食です。その
日の
献立はきびなごフライでした。まるで
歯医者さんに
行ったときみたいに
大きな口を
開け、
慎重に
口に
入れました。そんなに
気をつけて
食べたのに、ぐらぐらの
歯にがつんと
当たってしまいました。【4】とても
痛かったです。ぼくは、おなかがぺこぺこでしたが、それからは、もう
歯が
気になってあまり
食べられませんでした。
4. ぼくは、一
回も
給食を
残したことがありません。それなのに、
今日は
残したので、
友達が
心配してくれました。【5】
大ちゃんは、
5.「
自然に
抜けるまで
待った
方がいいよ。」
6.と
言いました。てっちゃんは、
7.「ぼくは、お
兄ちゃんとケンカしてたら
腕がぶつかって
抜けたよ。」
8.と
言いました。その
話を
聞いていた
女の子たちも、
自分が
抜けたときのことを
教えてくれました。【6】
歯医者さんで
抜いてもらった
子もいました。ぼくがいちばんうらやましいなと
思ったのは、
朝起きたら
抜けていたという
話です。どうしてかというと、
寝ている
間だったら
痛くてもきっと
気がつかないなと
思うからです。∵
9. 【7】
給食のあとの
掃除の
時間も、
帰りの
会のときも、ぼくはいつもの
元気が
出ませんでした。きっと
給食を
食べられなかったからだなあと
思いました。
帰りに
大ちゃんが
10.「
今日、
遊べる?」
11.と
声をかけてきたけど、
断ってとぼとぼと
家に
帰りました。
12. 【8】
家に
着くと
お母さんが、
13.「うわー、これぬいてあげようか。」
14.と、ぼくの
歯を
指でぐらぐら
揺らしました。ぼくは、
思わず逃げたくなりました。
15.
晩ご飯も、
歯が
痛くて
食べられませんでした。【9】
思い切って
抜いてしまおうとも
思ったけれど、
結局そのままにしてお
布団に
入りました。
明日の
朝、
起きたら
抜けていたらいいなあと
考えながら
寝ました。
16.
次の
朝、
目が
覚めると、なんと、
枕のとなりに
歯が
落ちていました。
17.【0】「やったあ、
抜けたよう!」
18.ぼくは
お母さんのところへ
走りました。
思ったとおり、
寝ているときに
抜けたので
嬉しくてたまりません。
痛くなかったので
本当によかったです。
19.(
言葉の
森長文作成委員会 ω)
長文 10.2週
1.
急いで
食べると、
食べ物がのどにつまり、せきこんでしまうことがあります。
私たちののどのおくは、二つの
道にわかれています。ひとつは、
鼻や
口から
入った
空気の
通る道、もうひとつは、
食べ物の
通る道です。
空気の
通る道は
気管とよばれ、のどの
前の
方にあり、
空気はそこから
肺へ
送られます。
食べ物の
通る道は、
食道と
呼ばれ、
後ろのほうにあり、
食べたものはそこから
胃に
送られます。
2.
食べ物が、のどのかべにあたると、
空気の
通る道は
反射的にふさがれて、
食べ物の
通る道だけがあきます。まるで、
手旗信号で「
赤上げて。」「
白上げて。」とやるように、「
食べ物だ。」「
次は
空気だぞ。」と、
弁を
開きます。だから、
急いで
食べると、「
赤上げて、
白上げて、
赤上げないで、
白下げない。」などという
命令になって、
弁がまちがえてしまうことがあるのです。
3. きちんとかんで、
唾液が十
分まざっている
食べ物は、
食道の
動きによって
胃に
送られます。しかし、
大きいままのものや、よくかんでいない
食べ物は、二つの
道のわかれるところにつまってしまうことがあります。
歯の
生えていない
赤ちゃんやかむ
力の
弱いお
年寄りが、
流動食といって、
水分が
多く柔らかいものを
食べるのはこのためです。
4.
食べ物がのどにつまった
時は、
背中をたたいてもらったり、それでも
取れない
場合は
指をつっこんで
取ってもらったりします。
空気の
通る道をあけてやるためです。いずれにしてもすばやい
対処が
必要となります。
最近では、とっさに
掃除機を
使って、おばあさんがのどにつまらせたおもちを
吸い込んで
取った
例もあるそうです。
5.
空気と
食べ物の
区別のように、
体が
自然に
動作する
似たような
例として、イルカやクジラの
鼻があります。イルカやクジラは
水中に
入ると、
自然に
鼻の
穴が
閉じるので、
水が
入りません。
6.
言葉の
森長文作成委員会(φ)
長文 10.3週
1. 【1】ミナちゃんは、まるくて
小さなうえきばちにあさがおのたねをまきました。
2. 【2】うえきばちの
土に、ゆびさきで五つの
小さなあなをつくると、そのなかに一つぶずつたねをいれてそっと
土をかけました。
3. 【3】おとうさんがいいました。
4.【4】「すこしだけ
水をかけておきなさい。」
5. 【5】ミナちゃんが、じょうろですこしずつ
水をかけると、たねまきはすっかりおわりました。
6. 【6】おとうさんが、
手についた
土をポンポンと、おとをたてておとしながらいいました。
7.【7】「これでよし。」
8. 【8】ミナちゃんもまねをしてポンポンと、
手についた
土をおとしながらいいました。
9.【9】「これでよし。」
10. すると、ねこののぼるくんまでが、
11.「ニヤーッ。」
12.となきました。【0】
13.「
大きいたねと
小さなたね」
東君平
長文 10.4週
1.
大きな赤いハサミを
持ったアメリカザリガニは、
子供たちに
人気があります。このアメリカザリガニは、
名前のとおり
元々はアメリカで
暮らす生き物でした。
昭和の
初めごろ、
食用ガエルだったウシガエルの
餌にするために、わざわざ
海の
向こうのアメリカから
買われてきたのです。
2.「ウシガエルに
食べられるなんてまっぴらだ。」
3.きっとそんな
考えをもったアメリカザリガニたちがいたのでしょう。カエルに
食べられるぐらいならもう
帰るとばかりに、
近くの
川や
池に
逃げ出し、そこで
子供を
生み、
あっという間に日本中に
広がりました。それだけ
生きる力が
強い生き物だったのです。それもそのはず、アメリカザリガニはなんでもムシャムシャと
食べてしまうし、
少しくらい
汚れた
水の
中でもへっちゃらなのです。もし、アメリカザリガニがグルメできれい
好きだったら、
今ごろ日本には
生息していなかったかもしれません。
4. さて、
立派なハサミを
持つアメリカザリガニは、
他の
生き物はもちろん、
仲間同士でもよくケンカをします。そんな
時に
足やハサミが
取れてしまうことがあります。さあ、
大変です。でも、
心配はいりません。
何度か
脱皮をしていくうちに
足やハサミは
元のように
戻ってしまいます。まるでしっぽを
切られたトカゲのようです。
5. エビやカニの
仲間には、このように
優れた
再生能力を
持つものがあります。もちろん
人間にも、ちょっとした
怪我なら
元のように
直してしまう
力が
備わっています。
6. アメリカザリガニは、
仲間同士でもケンカをしてしまいますから、たくさんつかまえたときは、
全部うちに
持って
帰らずに、
川へ
返してあげましょう。
7.
言葉の
森長文作成委員会(ω)
長文 11.1週
1. 【1】
十一月最後の
日曜日、
万博公園でちびっこマラソン
大会がありました。
私は、二
年生女子の
部に
参加しました。一
年生と二
年生は、一・五キロメートルを
走ります。
2.
万博公園に
着いたら、すぐランニングを
始めました。【2】さくらちゃんが、
3.「ああ、もうしんどい。いずみちゃん、まってえ。」
4.と、
私を
呼びました。
私も、
転げるように
走って、
大きな長い橋を
渡りました。さくらちゃんの
顔は、とても
辛そうでした。その
場で
足踏みをして
待っていると、ようやく、さくらちゃんが
追いついてきました。【3】やっとゴールに
着いたときには、まるでお
風呂上がりのように、
体がぽかぽか
温かくなっていました。
5. ランニングが
終わると、コーチが、
6.「おい、一
年、二
年こっちきて。」
7.といったので、
小太郎くんと、
私と、さくらちゃんは、コーチのところに
駆け寄りました。
8.【4】「ちょっとここを
走ってみて。」
9.と
言われたので、そのコースを三
本走ったあと、ちびっこマラソンのコースを
教えてもらいました。
思っていたより
短いような
気がしました。
10. 一
年生が、
最初に
走っていきました。【5】
次は、
自分たちが
走る番です。
11.「ようい。」
12.という
声が
聞こえたとき、
急に
胸がドキドキしてきました。
喉もからからに
渇いてきました。
13.「どんっ!」
14.という
合図で、みんな
一斉にバタバタと
走り出しました。∵
15. 【6】ところが、
後ろのだれかが、いきなり
私の
背中をドーンと
押してきました。その
拍子で、
私は、ばったりと
転んでしまいました。
私の
前にいた
子も、
転びました。
転んでしまった
私たちだけ
取り残され、みんなどんどん
走っていきます。
16.【7】「くやしーい。」
17.と、
心の
中で
叫びながら
立ちあがり、
前の
子に、
18.「ごめんね。だいじょうぶ?」
19.と
声をかけました。
相手は、
頷きました。
最初に
押した
人が、
謝らないといけないのに、
私が
謝ってしまいました。
20. 【8】
押した
子は
知らんぷりなので
腹が
立ちました。
頭がカッカしたせいか、ものすごい
勢いで
走って、十
人か十二
人くらい
抜かしました。いつもよりずっと
速いスピードだったはずです。まるで
風のようだと
思いながら
走りました。
21. 【9】
あっという間にゴールに
着きました。
私のタイムは、七
分三十
秒、
順位は、四十四
位でした。
悔しかったけれど、
押された
分を、
少し取り返しました。もしも
転ばなかったら、
今までの
中で
一番のタイムだったかもしれないなと
思いました。だから、四十四
位でも
満足でした。【0】
22.(
原作 ポメラニアン
編集 言葉の
森長文作成委員会)
長文 11.2週
1.
画用紙と
色鉛筆を
手渡され
山の
絵をかくようにいわれたらほとんどの
人が
緑色の
山の
絵をかくでしょう。一
面を
緑色の
木でおおわれているのですから、たしかに
山は
緑色です。しかし、
秋になるとまるですてきな
衣装をまとったかのように、
山は
赤や
黄色に
色づいてきます。これを
紅葉と
言います。
紅葉が
美しいことで
有名な
山は、たくさんの
人でにぎわいます。
紅葉狩りという
言葉を
耳にしたことがありませんか?
美しく色づいた
木や
山を
楽しむということです。
山に
出かけなくても
公園や
街路樹の
木も
美しく色づきます。
真っ赤なもみじや
黄色のいちょうなど、みなさんも
見たことがあるはずです。
2. では、どうして
秋になると
木の葉の
色が
変わるのでしょう? これは
冬になって
葉を
落とすための
用意をしているからなのです。
3.
木には、
冬に
葉の
落ちる落葉樹と
冬に
葉の
落ちない
常緑樹とがあります。
冬に
葉の
落ちる木は、
夏の
日差しの
強いときは
光のエネルギーでたくさんの
栄養を
作ります。しかし、
冬になって
日差しが
弱くなると、
栄養を
作るよりも、
乾燥や
寒さから
身を
守るために
葉を
落とすのです。
落葉樹は、「
冬になったら、
葉を
落としたほうが
楽よう。」と
思っているのでしょう。
4.
葉の
緑色の
部分は、
光を
栄養に
変えるところです。
落葉樹は、
葉を
落とす前に、だんだんと
緑色の
部分を
少なくしていきます。そのため、
黄色や
赤といった
緑色以外の
成分が
顔を
出してくるのです。
5.
木の葉が
美しく変身するには、
昼間の
気温と
夜の
気温の
差が
大きいほうがよいそうです。また、
空気が
澄んでいて
葉に
十分な
日光が
当たることも
大切な
条件になります。
6.
言葉の
森長文作成委員会(ω)
長文 11.3週
1. 【1】はじめての
花がさいてから、にがうりの
花はつぎからつぎへとさきました。
2. 【2】ベランダには、
花のみつをすいに、アシナガバチやハナアブがあつまってきました。
3.【3】「
花がさいたことどうしてわかったのかな。」
4. 【4】おとうさんもミナちゃんも、うれしそうにみていました。
5. 【5】ミナちゃんのあさがおは、ゆっくりのびました。
6.【6】「でも、ほらもうこんなに
大きくなったの。」
7. 【7】ミナちゃんが、あさがおのよこにたつと、おへそのあたりまでせがのびていました。
8.【8】「もうじき、つぼみもつくだろう。よくお
水もあげているようだから。」
9. 【9】おとうさんは、わすれずにお
水をあげているミナちゃんをほめてくれました。【0】
10. 「
大きいたねと
小さなたね」
東君平
長文 11.4週
1. どこの
水族館でも
人気のショーといえば、イルカのショーでしょう。
水の
中を
気持ちよさそうに
泳いでいるイルカは、
実は魚の
仲間ではありません。
私たち
人間と
同じほ乳類と
呼ばれる
生き物なのです。
私たちは
水の
中で
呼吸をすることはできません。それと
同じように、あれほど
自由自在に
泳ぎ回れるイルカも、
水の
中では
呼吸ができません。イルカの
頭の
上には
噴気孔と
呼ばれる
小さい穴が
開いています。イルカは、
私たちの
鼻の
穴のように、この
穴をつかって
呼吸をしているのです。
2. イルカは、
昼間起きているときには、
一分間におよそ六
回、
水から
頭を
出して
呼吸をします。そして、
眠りにつく
夜は、
昼間のほぼ
半分の二
回から三
回呼吸をします。ですから、
水面に
近い浅いところをゆっくりと
泳ぎながら
寝ているのです。
3. けれども、
餌をとるために
深くもぐる
必要があるときなどは、十五
分くらいの
間は
息を
止めていることもできます。
4.
生物は
昔、
海から
誕生しました。
魚のひれが
足になり、
地上を
歩き回る生物になりました。イルカの
先祖も、
大昔は、
地上を
歩いていたのでしょう。それがなぜか「やっぱり
海にいるか。」と、
再び海に
戻り、
自分の
手足を
泳ぐのに
適したひれのような
形に
変えていきました。
海に
戻ったイルカが
今どんな
気持ちでいるか、
聞いてみたい
気がします。
5.
言葉の
森長文作成委員会(ω)
長文 12.1週
1. 【1】
夏休みに、
野毛山動物園に
行きました。
桜木町の
駅前から、バスに
乗りました。ずっと
前から
動物園に
行ってみたかったので、
嬉しくてたまりません。どんな
動物がいるのかなあ? ゴリラはいるかなあ?
本物のゴリラやサルを
見てみたいなあ。【2】ぼくは、わくわくしながらバスに
乗りました。
2.
動物園に
着くと、
入り
口でパンフレットをもらいました。パンフレットを
見てみると、ゴリラはいませんでした。ぼくは、ちょっとがっかりしました。でも、チンパンジーやマントヒヒがいます。
3. 【3】ぼくは、サルの
仲間が
大好きです。
動きが
人間のようでおもしろいからです。
早くチンパンジーのところに
行きたかったけれど、
最初から
順番に
見ていくことにしました。どうしてかというと
全部の
動物を
見たかったからです。
4. 【4】レッサーパンダは、クーラーのついた
部屋で
寝ていました。ぼくの
家にはクーラーがないので、ぜいたくだなと
思いました。ライオンも、トラも、
寝ていました。みんな
暑くて
元気がないのかなと
思いました。
5. 【5】ぼくがいちばんおもしろいと
思ったのは、ヨザルです。ヨザルは、
赤いライトのついた
暗い部屋にいました。
同じところを
何回も
何回もぐるぐる
回っています。
時々木の
枝に
立ちどまって
休憩し、ぼくたちの
方をじろじろと
見ます。【6】それからまた、
同じところを
何度も
回ります。ぼくはそれに
気がついて、
お母さんに
教えました。
お母さんも、ヨザルを
見て、
6.「ほんとだ。ずっと
同じことをしてるね!」
7.と
笑いころげていました。ぼくは、ヨザルが
大好きになりました。【7】
お母さんも、ヨザルが
気に入ったみたいです。∵
8. そのあと、なかよし
広場に
行きました。モルモットやハツカネズミを
手の
上に
乗せて
遊べます。ぼくは、
茶色のハツカネズミが
気に入りました。
何匹も
手に
乗せました。かわいいなあと
思いました。【8】
頭の
上に
乗せている
人もいて、びっくりしました。
9.
お母さんが
10.「あそこ
見て、ラットがいるよ。」
11.と
上を
向いたので、ぼくも
見てみると、ラットが
綱渡りをしていました。
何匹も
連なってちょこちょこ
走っているので、まるでラットの
運動会みたいでした。
12. 【9】ぼくがどうしても
本物を
見てみたい
動物は、ピグミーマーモセットです。
算数の
教科書に
写真が
載っていました。バナナよりも
小さいサルで、とてもかわいいです。
お母さんが
調べてみたら、
静岡県にある
動物園にいることがわかりました。ぼくは、
早くその
動物園に
行ってみたいです。【0】
13.(
言葉の
森長文作成委員会 ω)
長文 12.2週
1. 「
地震、
雷、
火事、おやじ」は、
昔から
怖いものの
代表としてあげられてますが、
最後の「おやじ」は、
本来は「
大山風」と
言っていたもので、
台風のときの
強い風を
意味していたそうです。
自然には、
人間の
力では
太刀打ちできない
脅威が
秘められています。ここでは、その
中の
雷に
焦点を
当ててみましょう。
2.
雷は、まず、
雲ができるところから
始まります。
地面や
海面近くの
湿った
空気は、
水分をたくさんふくみ、あたたまると
上にのぼっていきます。その
空気が
上昇すると、
温度が
下がり、
水分が
積乱雲となります。
積乱雲の
上の
方では
更に温度が
下がり、
水分が
氷になります。その
氷が
雲の
中を
落ちていくときに、
上に
向かう空気と
激しくぶつかり
合ってプラスとマイナスの
静電気が
発生します。プラスの
静電気を
帯びた
比較的軽い氷の
結晶は
雲の上のほうに
舞い上げられ、マイナスの
静電気を
帯びた
重い氷の
粒は
雲の
下のほうにたまります。
3.
雲が
大きくなればなるほど
電気も
強くなり、
雲の
下の
方にたまったマイナスの
電気は、
地上のプラスの
電気を
目指して
一目散に
飛んでいきます。このとき、とても
大きな電流が
一度に流れるので、
激しい光と
大きな音を
出します。こういう
形の
落雷は
雷の九十パーセントを
占めています。
残りの十パーセントの
落雷は、
雲の上のほうにあるプラスの
電気が、
地上のマイナスの
電気目指して
飛んでいく
形の
雷です。
雷にはこのほかに、
雲から
雲へ
飛んでいくものもあります。
4.
雷のエネルギーは、
雲の
大きさなどによってもちがいがありますが、およそ五
万アンペアにもなります。これは、六〇ワットの
電球を八
万個以上灯せるエネルギーに
相当します。わっとおどろくほどのエネルギーを
一瞬のうちに
放出しているのです。∵
5.
昔の
人は、
雷を、
雲の
中にいる
魔物があばれているのだと
思っていたそうです。
雷が
鳴り始めたら、
外には
出ずに
家の
中で
魔物の
機嫌がおさまるのを
静かに
待ちましょう。
6.
言葉の
森長文作成委員会(Λ)
長文 12.3週
1. 【1】おとうさんがいいました。
2.「きょうの
朝ごはんはベランダでたべよう。」
3. ミナちゃんもおかあさんも、だいさんせいしました。
4. 【2】おとうさんはだいどころで、にがうりりょうりをつくりました。にがうりをちいさくきざんで、ぶたにくととうふといっしょにいためました。
5. 【3】おかあさんは、あさがおの
花をそっとさわってみました。
6. ミナちゃんは、
花がさいているうちに、えにっきにかきました。
7.【4】「うん、うまいうまい。」
8. たねをまくときから、おとうさんはあさがおの
花をみながら、じぶんでつくったにがうりのりょうりをたべたかったのです。
9. 【5】ミナちゃんがいいました。
10.「おとうさん、うれしいでしょう。」
11. おとうさんは、へんじのかわりに、もういちど、
12.「うまいうまい。」
13.といいました。
14.【6】「それにしてもはやいものだ。」
15. あさごはんがおわってから、おとうさんがいいました。
16.【7】「たねをまいてめがでて、はがでて
花がさいてみがなった。そのあいだにミナちゃんもすこし
大きくなったね。」
17.「おとうさんもね。」
18. ミナちゃんがいいました。
19. 【8】するとおとうさんは、
20.「いやちがう。おとうさんはそのあいだに、すこしとしよりになったのさ。」
21.といって、たのしそうに、
22.「ワッハッハハ。」
23.とわらいました。
24. 【9】ベランダにすずしいかぜが、さっとふきました。
25.「もう、なつもおしまいだね。」
26. おとうさんがいいました。【0】
27.
28.「
大きいたねと
小さなたね」
東君平
長文 12.4週
1.
生きているものには、すべて
寿命があります。しかし、
生物の
体を
作っている
細胞のレベルで
考えると、
実は寿命がないのです。
2.
例えば、アメーバは、
自分の
体を
分裂させながら
増えていきます。
栄養がいいと、
自分の
体の
一部を
分裂させて、
自分を
増やしていきます。
3. このアメーバのような
増え方をしている
生物は、たまたま一つの
個体が
死んでも
自分の
分身は
生きていますから、
死んだことにはなりません。
4.
実は人間にも、
同じようなことが
言えます。
人間はアメーバのように
分裂して
増えるわけではありませんが、
自分の
細胞の
一部を
子供に
伝えて
生きています。だから、
子供は、
お父さんや
お母さんに
似ているのです。
5. このように
細胞は
無限に
生き続けていきますが、
人間の
個体には
寿命があります。どうして、このような
寿命があるのかはわかりませんが、この
理由は
次のように
考えることができるかもしれません。
6.
例えば、もし
何百年間も
壊れない
自動車があったらどうでしょう。
古くなって、いろいろ
改良したいところが
出てきても、いつまでもその
古い車に
乗り続けなければなりません。
物は
壊れるから、また
新しいものを
作ることができるのです。
7. プラスチックは、
人間が
人工的に
作ったものです。そのプラスチックの
特徴は、
腐りにくいことでしたが、その
腐りにくさのためにいつまでも
自然の
中に
残り環境を
汚染するようになりました。
壊れないものばかりで
世の中ができていると、
新しいものが
登場できなくなるのです。
8.
生物も
似ています。
寿命があるから、
新しい生物が
生まれ、その
新しい生物が
古い生物のできなかったことをできるようにしていくのです。∵
9. アメーバと
同じような
生き物にゾウリムシがいます。このゾウリムシは、
栄養状態のよいときに
自分を
分裂させて
増えていきます。しかし、七
百回ぐらい
分裂を
繰り返すと、それ
以上の
分裂はできなくなり、
突然すべてのゾウリムシが
死んでしまいます。そうならないように、ゾウリムシはときどき
別のゾウリムシと
結婚して、
今までの
自分とは
違う新しい子孫を
作ります。と
言ってももちろん、ゾウリムシがゲタムシやサンダルムシになるのではありません。ゾウリムシのまま
新しい性質を
手に
入れるのです。
10.
寿命があるということは、
新しいものを
生み出す条件だと
言えるのかもしれません。
11.
言葉の
森長文作成委員会(Σ)