国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。



高校受験作文の解説集(科学)




 第一段落は説明。「科学のブラックボックス化はさまざまな分野で進んでいる。例えば、自動車も昔は内燃機関の理屈を知っていれば、個人が故障の箇所を見つけたり修理することもできたと言われている。しかし、今は故障があっても、ICチップを丸ごと取り替えるだけの修理になっている。同様に、パソコンも、昔は個人がいろいろな工夫をしてチューンアップをしていたが、今はできるだけ個人が設定を変えられないようになっているらしい。つまり、私たちは、高度な科学技術製品を与えられたサルのような立場になっているのである。……」など。
 第二段落は、その原因。「科学技術のブラックボックス化は避けることができない。例えば、私たちは自分が発見したわけでもない三平方の定理を使って、数学の問題を解いている。また、日常生活でちょっとした計算をするときも、筆算をするようなことはなく、手近な電卓を使う場合がほとんどだ。また、政治の世界でも、有権者が見ることのできるものは、公約という表面だけで、それがどう実現されるかという肝心の中身はブラックボックスである。高度に複雑化した社会では、そこまでの判断をする余裕のない人の方がはるかに多い。ブラックボックス化は、社会の進歩に伴う不可避の現象なのだ。」
 第三段落は、対策。「だから、対策は、教育にかかっている。ひとつは、学校教育の中で、理科や社会の分野についての基礎をひととおり学んでおくことだ。そして、もうひとつは、社会人になっても幅広く教養を育てる努力を惜しまないことである。私の父は、よく「ニュートン」という雑誌を買ってくる。それは仕事に役立つものではないと思うが、自分の知的好奇心から読んでいるらしい。国民ひとりひとりが幅広い教養を持つことで……」など。
 第4段落は、まとめ。「確かに、昔ながらの誰もが実感的に把握できる素朴な世界というものは魅力的だ。しかし、人類の進歩はそういう牧歌的な世界に留まることはできない。私たちは、科学技術のブラックボックス化と並行して、そのブラックボックスに疎外されないたくましい知識を持っていくべきだ。私は、これから……。」など。



 第一段落は、説明。「アインシュタインが直面した、科学の成果とリスクの問題は、現在更に範囲を広げて私たちの生活にも影響を及ぼすようになっている。例えば、バイオテクノロジーのような分野である。遺伝子操作によって確かに、病虫害に強い品種や収穫量の多い品種はできたかもしれない。しかし、それらの食物が実際に食卓にのぼるようになっても、その遺伝子操作が長期的にどういう影響をもたらすかという研究は進んでいない。」など。
 第二段落は、対策1。「大事なことは第一に、科学研究を閉ざされた環境で行うのではなく、常に情報をオープンに公開する中で行うことである。そのためには、科学者が自分たちの研究の内容を国民に分かりやすく伝えることが必要になる。それは、科学者の立場からすれば、遠回りの時間と見えるかもしれない。しかし、そういうオープンな環境を通じてこそ、科学は人間の幸福に結びつく形で発展できるのではないだろうか。……」など。
 第三段落は、対策2。「第二は、私たち国民ひとりひとりも、もっと科学に対する関心を持つことだ。科学者が説明することを理解でき判断できる国民でなければ、科学の暴走が生まれそうになったときに、それを正しく軌道修正することはできない。今の高校生の勉強は、大学入試に合わせて、自分の受験する科目だけに絞る傾向にあるようだが、社会に対する責任を考えるともっと幅広く学ぶ必要がある。……」など。
 第四段落は、まとめ。「確かに、科学の発達がもたらした弊害の大きさを考えると、科学の進歩を否定したくなる人たちの気持ちも理解できる。しかし、人間の向上心や知識欲は止めることができない。だとすれば、私たちは科学をできるだけ上手にコントロールしていく必要があるのではないか。私はこれから……。」など。



 数値を入れることと、自分の知っている外来生物の例を挙げることを忘れずに。

 第一段落は説明。「資料1によると、セイヨウオオマルハナバチの生息数は、1996年のころにはほとんど見られなかったが、2004年あたりから増加しはじめ、2007年には100近くの市町村で生息が確認されるようになった。また、資料2によると、2003年から2005年にかけてセイヨウオオマルハナバチの割合は、53.0パーセントから74.5パーセントへと増加しているが、その一方で、日本にもともと生息していたエゾオオマルハナバチは23.4パーセントから8.2パーセントへと激減している。」など。
 第二段落は、実例1。「外来生物が、日本の在来種を圧迫している例として、セイタカアワダチソウが挙げられる。最近では、在来種のススキが盛り返しているようだが、まだセイタカアワダチソウが生い茂っている空き地も多い。・・・・・・」など。
 第三段落は、実例2。「もう一つの例として、ペットが野生化したアライグマ、ブラックバス、カミツキガメなどの例がある。これらの外来生物によって日本にもともとある生態系が破壊されている。・・・・・・」など。
 第四段落はまとめ。「確かに、国際交流が盛んになるにつれて、外来種が日本に入ってくることはやむをえない面がある。しかし、生態系のバランスが崩れると、日本に昔からいる種が絶滅してしまうこともあり得る。外来生物の利用は、厳重なコントロール下で行う必要がある。・・・・・・」など。



 第一段落は、状況実例。「遺伝子組み換え作物は、年々増加し、アメリカにおけるダイズ、トウモロコシ、わたなどは、2010年には90%前後の作付面積を占めるまでになっている。例えば、・・・・・・」など。
 第二段落は、意見1。「遺伝子組み換え作物が栽培、流通するメリットは、第一に、農業の効率化だ。例えば病害虫に強い遺伝形質などと・・・・・・。第二のメリットは、遺伝子組み換えというバイオテクノロジーの技術が進歩することだ。遺伝子組み換えにはまだ未知の要素も多い。それを広く実験することができる。・・・・・・」など。
 第三段落は、意見2。「遺伝子組み換え作物が普及することのデメリットもある。第一は、在来種が消滅してしまう危険性だ。自然の作物には多様な性質がある。遺伝子組み換えの単一の品種が広がることで多様な遺伝情報が失われてしまう可能性が高い。第二は、遺伝子組み換えが商業的に利用される危険性だ。例えば、特定の農薬や化学肥料と結びつかないと効果を発揮しない作物なども今後考えられる。第三に、最も大きい問題は遺伝子組み換え作物を摂取することによる長期的な副作用の危険性だ。・・・・・・」など。
 第四段落は、まとめ。「このように考えると、遺伝子組み換え作物の是非を論じるよりも更に重要なことがある。それは、遺伝子組み換えに限らず、科学技術を、国民に公開された形で発展させる必要があるということだ。・・・・・・」など。


受験作文関連記事 Online作文教室 言葉の森