1996年1ー3月 第10週号 通算第472号              言葉の森

言葉の森新聞

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小論文のポイントは思考力

 国公立大学の二次試験でも小論文を出す大学が増えています。(1996/2/26付けの朝日新聞の記事参照)

 小論文のポイントは、この記事にもあるように、思考力です。知識がいくら豊富でも、それだけでは、自分の意見を書くことはできません。逆に言えば、実例となる事実をよく知らなくても、思考力があれば、小論文は書くことができるのです。

 たとえば、この記事の最後にある埼玉大・教育学部の小論文で、映画「男はつらいよ」を見たことのある生徒の方が、見たことのない生徒よりも有利だとは決して言えません。寅さんは、単なる実例にすぎないからです。問われている主題は、「寅さん」ではなく「管理と教育」です。すると、高校生時代に、「管理と教育」という抽象的なテーマを考えたことのある生徒は、この小論文を、自分なりに消化したかたちで書くことができるのです。

 では、高校生時代に、こういうテーマを考えることのできる生徒とは、どういう生徒なのでしょう。それは、読書によって、問題意識を育てている生徒です。普段の学校生活は部活やテストであわただしくすぎていきます。このあわただしさに巻き込まれずに、本を読んだり、考えたりする時間を作っていきましょう。

新しい評価用紙の説明

 現在、教室の一部の生徒を対象に、グラフなどで評価をわかりやすくした評価用紙(山のたより)を渡しています。この新しいスタイルの評価用紙は、4月からは全生徒を対象に毎週渡していく予定です。

 この新しい評価用紙のグラフなどの見方について、以下、説明します。

項目の評価は1つ10点満点

 「字数」「題材」などの項目の評価は、10点満点にしています。手書きの評価の◎が10点、○が5点、△が0点という具合に考えていてください。

 総合点というのは、横にならんだそれぞれの項目の点数の平均点です。したがって、総合点も10点満点になります。

1週から現在の週までの平均点が評価の基準に

 1週から現在の週までの平均点を、グラフなどを作成する際の基準の点数にしています。したがって、この「今週までの平均点」も10点満点です。

 休んだ場合は0点になるので、平均点は下がってしまいます。しかし、休んだ分をあとで提出すれば、さかのぼって、その週の点数にくわえられます。

あなたが植えた木の高さとは

 作文の中の構成や題材などの項目をそれぞれ1本の木にたとえてグラフにしています。「広場の木は低いからもっとがんばろう。表現の木は高いからここをこれからも生かそう」というふうに、自分の得意不得意を判断する基準にしてください。

 このグラフは、同学年の生徒の「今週までの平均点」をもとにして計算しています。例えば、同学年の生徒が45人いた場合、その45人の生徒の「今週までの平均点」のばらつきぐあいをもとに、あなたの「今週までの平均点」が確率的に上位何パーセントに入るかを計算したものです。上位の人ほどグラフの高さが高くなるようにしています。

 このグラフは、自分だけの出来具合ではなく、みんなの出来具合との比較の中での自分の出来具合を表していますから、得意な部分と苦手な部分がより正確にわかると思います。

広場の中の木の高さとは

 広場の中の木の高さとは、毎週配られている「広場」のメンバー(12名程度)と自分の出来具合を比較するためのグラフです。このグラフの中で「あなたの木」と書いてあるところの数字と同じ数字になっているグラフが、あなたのグラフです。このグラフは、「あなたが植えた木の高さ」の総合点と同じです。

 このグラフのもとになっているメンバーは、「広場」のメンバーと全く同じですが、生徒コードと「あなたの木」の数字とは、ランダムにつなっがていますので、自分のグラフがどれかということしかわかりません。

100人中の総合順位とは

 100人中の総合順位とは、同学年の生徒の総合点のばらつき具合をもとに、あなたの総合点が確率的に上位何パーセントに入るかを表したものです。

 確率的な順位ですから、1位になったり百位になったりすることは、めったにありません。自分が100点でも、みんなも同じように100点をとっていれば、確率上の順位は、51位から50位の間になります。逆に、自分が0点でも、みんなが同じように0点だとすれば、確率上の順位は、49点から50点の間になります。

 したがって、50位以内であればまあよいほう、50位以降であればよくないほう、と考えておいてください。