1996年10〜12月  第5週号 通算第499号          言葉の森 定価130円

言葉の森新聞

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第五週は中間テストを行ないます

 第五週の作文は、今勉強している表現や表記の意味がちゃんと理解できていて、必要に応じて書く力があるかどうかのテストを行ないます。評価する項目は、「かだいフォルダ」の表紙で●のついている項目です。このテストの結果、理解が不十分なところは再度先生に説明をくわしく聞いて、今学期中に全部の項目ができるようにしておいてください。

 同じかたちのテストは、第十週にも行なう予定です。

近いうちにみなさんのプロフィールを募集します

 以前、送っていただいたプロフィールのうち、写真のはってあるものは、今週生徒のみなさんに返却しました。(ずいぶん昔のものもあったと思います)

 当時は、今のようなインターネットのホームページもなく、広場も細かく分かれていませんでしたので、みなさんのプロフィールを掲載する機会があまりありませんでしたが、これから、集めるプロフィールは順番に広場に掲載して、生徒どうしの交流の機会を増やしていく予定です。

 プロフィール用紙は後日お送りします。その際、できれば一緒に写真を送っていただきたいと思いますのでご用意ください。なお、写真は、すぐに返却しますので、写真の裏に「曜日・先生の名前・自分の名前・生徒コード」を書いておいてください。また、適当な写真がない場合は、似顔絵をかいて送ってくださっても結構です。

勉強と自習のポイント

 生徒のみなさんの自習の仕方を見ていて、気がついたことを三つ書きます。

 第一に、毎日、家庭で勉強をする習慣のついていない子がまだ多いということです。家庭学習の習慣は、小学校低学年からつけておく必要がありますが、いまだに「宿題のある日は宿題をやるが何もない日は何もしない」という生徒が少なからずいます。学力をつけるいちばん大きい要素は、家庭での学習をきちんとしていくことです。特に、国語と算数・数学と英語は、学校の宿題のあるなしにかかわらず毎日やっていくことが必要です。

 家庭学習の習慣をつけるためには、お母さんのひとことが大切です。毎日、決まった時間になったら「今日の勉強の時間ですよ」とひとこと声をかけてあげるということです。子ども自身は、飽きっぽく忘れやすいものです。一度言ってあとは子どもの自主性に任せるというかたちでは三日坊主になるだけです。また、せっかく自習の習慣がついても、風邪を引いて休んだり旅行に行って自習をしなかったりという日が一日でもあると、子どもはすぐに自習の習慣をなくしてしまいます。これは、しつけすべてに共通することですが、よい習慣は毎日言い続けなければ定着せず、悪い習慣は一日でついてしまうということです。

 しかし、実際には、お母さんも忙しいので、決まった時間に勉強をさせるということをつい忘れてしまいがちです。これを忘れないようにするには、目覚し時計などを利用して、「夕方の六時に目覚し時計がなったら勉強の時間にする」と決めておくとよいと思います。

 第二に、家庭での学習の仕方が、ただ問題を解くだけというやり方がまだ多いということです。国語でも算数でも、問題を解いている間の時間は、本当の意味では何の勉強でもありません。なぜならば、自分ができる問題を解いているときは、何も新しいことが身についているわけではないからですし、また、できなかった問題は、正しい答えを理解して、その問題ができるようになるまで反復しなければ、同じく何も身についたわけではないからです。

 多くの子どもは、ただ問題を解いて、答えあわせをして○と×をつけておしまい、という勉強をしているようです。こういう勉強は、本人が勉強をしていう気がしているだけで、実際には何も勉強をしていないことと同じです。

 小学校低学年の場合は、勉強の意味を本人がまだ十分に理解していませんから、まちがえたところは、お母さんのほうで印をつけておいて、別の日にもう一度やるという仕組にしておくことが必要になります。これは、学校から返されたテストでも同様です。

 しかも、その間違えたところは、一度の説明でわかるようになるとは考えないことが大切です。大人はつい理屈で一度説明をして、本人がその場で理解すればそれでできるようになったと思いがちですが、子どもは、理屈で一度理解しただけではすぐに忘れてしまうものです。できなかった問題は、一度ではなく、日をおいて三度も四度もくりかえしやっておくことが必要です。

 第三は、自習の内容が知識的なものに偏っているということです。国語の自習では、いちばん大切なのは短文を暗唱したり長文をくりかえし音読したり毎日十ページ以上読書をしたり、ということによって、読む力を育てていくことです。しかし、多くの家庭では、漢字の勉強のように知識として覚えればすぐに結果が出る学習の方を優先しているようです。これは、中学生・高校生でも同じで、国語の勉強というと、すぐに漢字の書き取りをしようとする人が大勢います。漢字の勉強はそれなりに重要なことですが、国語の勉強の中心はあくまでも読解力です。そして、読解力は、難しい文章を繰り返し読む中でついていくものです。言葉の森の自習では、長文の音読や読書を最優先してやっていきましょう。

作文は、インターネットのホームページからも送れます

 自宅のパソコンやワープロで作文を書いた人は、これまで、ニフティサーブの電子メールで作文を送ってもらっていましたが、この10月から、言葉の森のホームページからも送れるようになりました。ホームページの中の「郵便ポスト」というページに原稿を送る場所がありますから、そこから送信してください。

 また、ホームページには、広場へのひとことや質問コーナーなどのページもありますから、インターネットに接続できる人は、気軽に原稿を送ってください。いまのところ、ホームページを見た人の数は、のべ464人です。(9月4日〜10月27日)

第五週の作文のヒント

戸田光君の「ぼくのケーキ作り」を参考に。まだ、自分で料理を作ったことのない人は、お母さんと相談して日曜日の朝ごはんを作ってみましょう。小学校低学年の人でも作れるような「日曜日の朝ごはん」という本が主婦の友社から出ています。

磯野久美子さんの「ダンス大好き楽しいクラブ」を参考に。説明だけで終わらないように、おもしろいエピソードをひとつ入れましょう。入れ方は、「この前こんなことがあった。…」という感じで。

第五週の感想文のヒント

 第五週の感想文のヒントは、第六週の言葉の森新聞に掲載する予定でしたが、第五週の4日(月)が休みになってしまうので、今週号に掲載します。しかし、できるだけヒントを先に見ないようにして、自分の力で要約をしていくようにしましょう。

 短い文章なので、要約は比較的簡単でしょう。

 似た例は、ぴったりの話はあまりないと思うので、「例えば、こういう場合にこう言うとこうなる」というように想像した例で書いていってもいいでしょう。先生の個人的な例ですが、幼稚園のとき友達に「おまえ、絵がうまいな」とほめられて、照れ隠しに「いやあ、大根はまずいよ」と気のきいたダジャレを言ったつもりだったが誰も笑わなかったという悲しい思い出があります。

 感想は、「言葉というものは…」と大きく考えましょう。

 名言やことわざは、想像力をたくましくして「腐っても鯛(たい)というが、そのものが本来持っている性格は時間が経っても変わらないものだ」のように。または、「もともと地上に道はない。ある人が多くなればそれが道になる」を引用して、「言葉は時代とともに変化するものだ」とまとめてもいいでしょう。

 自然をテーマにした文章が続きますが、それだけこれが今日的なテーマなのだということです。

 似た例は、自然の時間スケールの大きさを感じた例で。近くの山や川や木を思い出せば、人間の「あしたからテストだから、今日は徹夜で勉強しなきゃ(なんて生徒はいないだろうな)」という時間スケールがいかに小さいか実感するでしょう。

 反対理解は、「人間の時間スケールももちろん大切だが」。

 ことわざは、「雨だれ岩を穿つ(うがつ)」。名言は反対の意味で「今日という日は明日という日の二日分ある」。国によっては「明日できることは今日やるな」ということわざもあるらしいけど。

 回虫がいなくなったために、花粉症が増えたというのは、意外な話ですね。生態系のバランスというところから考えると、これまでのテーマと共通する面があります。名言・ことわざのヒントはなし。自力で考えてみましょう。

個人主義というと一昔前までは、日本人に欠けているものという考えが強かったようです。確かに、日本人は、個人としてなかなか自立できず、世間の体裁を気にして生きているという批判はあたっています。しかし、これからの時代に求められているものは、さらにその先の「個人と社会と自然の融合」という状態になりそうです。個人を確立しつつ調和を求めるという難しい課題をどう実現していくかというのが今回のテーマです。