1997年7-9月 第9週号 通算第536号

言葉の森新聞

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  読書を勉強として位置づけよう

「勉強が忙しくて本を読んでいる暇がない」という生徒が、小学生にも中学生にも高校生にもいます。受験の時期に読書の量が落ちるということは確かにありますが、通常の勉強をしている生徒が本を読む暇がないほど勉強しているとしたら、大きな問題です。

特に、小学生時代は、読書の習慣をつける最も大切な時期ですから、勉強と同じくらいの重要さで読書に取り組んでいくことが必要です。小学生時代に、漢字の間違いがあったり計算のミスがあったりしても、それはいつでも取り返せるものですが、この時期に読書から遠ざかると、かなり長期間にわたって国語力が停滞します。極端に言えば、小学生のころは家庭で理科や社会の勉強をする時間があったら、その分、読書に時間をとった方がずっといいのです。

ただし、その場合、活字であればなんでもいいというのではありません。その学年にふさわしい本でなければかえって読む力は低下します。例えば、小学生でマンガばかり読む生徒は国語力が低下します。同じく、高校生では小説ばかり読む生徒も国語力は低下します。その学年ではちょっと難しいかなと思うぐらいの本が、ちょうどいい本です。

   読書の習慣をつけるのは親の力

この読書の習慣をつけるのは、周りにいる大人の姿勢です。難しい本を読みなれていない子に難しい本を与えると、最初は必ず拒否反応を示します。「こんな小さい字の本は読めない」とか「こんな難しい漢字のある本は読めない」などと子供が言うと、多くの親はとまどってしまいます。しかし、そのときに、「それではもっと易しい本を」と対応していては進歩がありません。この場合は、その難しい本を親が読んで聞かせてあげるというかたちで読み進めてあげればよいのです。目で読むばかりが読書なのではありません。耳から聞く読書も立派に読む力を育てます。

親が楽しい雰囲気で読み聞かせをしていれば、ある時期から、子供はみずから進んでその本の続きを読もうとするようになります。そのようにして、一歩ずつ易しい本から難しい本へと移っていくことができます。

   読書を勉強の一部と考える

よく、「私が子供のころはだれに言われなくても本を読んだのに」と言う人がいます。昔は、テレビもマンガもゲームも今ほど豊かではありませんでしたから、自然に読書が娯楽になりました。今は、子供たちを取りまく状況がまったく違います。意識的に読書を進めなければ、子供たちはどんどん読書から遠ざかります。

読書を生活の中に位置づけるいちばんよい方法は、勉強として読書の時間をとることです。毎朝または毎晩の勉強の時間の最後に、「読書50ページ以上」と決めておくとよいと思います。(低学年の場合や苦手な場合は、10ページ以上でもよいと思います)。

学校が休みの日は、友達とテレビゲームをだらだらやってしまう家庭も多いと思います。この場合、テレビゲームだけを禁止したり制限したりするのはあまりよい方法ではありません。「よく学びよく遊べ」という言葉のとおり、「本を50ページ読んだら、ゲームをひとり15分してもよい」というふうに決めておくとよいでしょう。また、くたびれていて勉強があまりできないときも、「それじゃあ、今日は、勉強のかわりに読書50ページ以上ということにしましょう」と、おりにふれて読書をする機会をとっていくとよいと思います。

   テレビや漫画の制限も並行して

読書を進めることと並行して、テレビとマンガとゲームの時間を制限しておくことも大切です。どんなに読書の環境を整えても、テレビとマンガとゲームが野放しでは、本を読む時間は増えません。テレビは1日1時間以内、マンガは読んでもよいが読みおえたら目につくところに置かないで倉庫にしまうか捨てるようにする、ゲームは平日は朝と晩に15分ずつ。土曜と日曜は昼にも15分などと決めておくとよいでしょう。

人生や勉強について本当の自覚ができるのは中学三年生ごろからです。それまでは、親の姿勢で子供の読書力ひいては勉強力が決まります。

   書店や図書館で手に入りやすい良書は

小学生は、フォア文庫、講談社青い鳥文庫、偕成社文庫、岩波少年文庫などに、中学生は、岩波ジュニア新書、ちくま少年図書館などに、高校生は、岩波新書、中公新書、岩波文庫などに、読みやすい良書がたくさんあります。いずれも奥付の印刷回数などを参考に選んでいくとよいでしょう。

  勉強は親のいる近くで

子供部屋を持っている人は多いと思いますが、小学生や中学1,2年生のうちはできるだけ親の近くで勉強をさせたほうがよいように思います。

小学生のころは、勉強の目的を自覚して取り組んでいるわけではないので、勉強がどうしても単なる作業になりがちです。簡単な問題を何問も解いたり、大事な問題を適当に省略したりというように、勉強を進める上での無駄がかなりあります。親が近くにいればすぐに気がついて軌道修正できることでも、子供部屋に閉じこもって勉強をさせてしまうと、その軌道修正がなかなかできません。子供が勉強をしている間、親はその日の新聞を読んだり読書をしたりと、近くにいられる状態にしておくのがいちばんよいと思います。

   高校生の勉強方法もときどきチェックを

勉強の無駄は、実は高校生でもかなり頻繁にあります。よくある例は、過去問を受験のスタートにやるのではなく受験の仕上げにやるというケース、1冊の参考書や問題集を何度も繰り返すのではなく何冊もの参考書や問題集に取り組むというケース、できる問題をわざわざ時間をかけて解くというケースなどです。高校生では親がついて見てあげることはできませんが、それでもときどきどういう勉強をしているのか確かめてあげるとよいと思います。高校生自身も実は勉強の仕方をよく知らないでやっているということが予想以上に多いのです。

   小学生のときに勉強のスタイルが決まる

勉強に取り組む姿勢は、小学生のときに決まります。小学生のときに、毎日決まった時間机に向かう習慣ができれば、中学生以降の勉強はかなり楽になります。また、小学生のころに、長文音読や読書を勉強として毎日する習慣をつけておけば、中学生以降の国語力は自然についてきます。

勉強で大事なことは、外見ではなく中身です。問題集を何ページやったかというような外見の部分は親が近くにいなくてもわかりますが、それをどういう中身でやったのかという中身の部分は、大人が近くで見ていなければなかなかわかりません。小学生の勉強は、できるだけ大人の目の届く範囲でやっていくとよいと思います。

  優秀作品・入選作品の掲載始まる

「広場」には、それぞれの学年の生徒全員の作品を載せるようにしています。9月中の広場に掲載されるのは、7月に清書した作品です。清書を提出した人は、全員毎月1回掲載されるようになっています。

今週は、この「広場」のほかに、優秀作品を4編掲載した印刷物をお送りしました。これからも、作文の書き方の参考になるような優秀作品を随時掲載していきたいと思います。また、新聞などに入選した作品も、これから随時発表していく予定です。

  教室からの郵便到着、早まる

これまで、言葉の森から生徒の自宅への郵便物は、授業のある日の2日前に発送するようにしていました。したがって、生徒の自宅に郵便物が届くのは、授業のある日の当日か1日前になっていました。しかし、まれに、生徒の自宅への郵便の到着が1日遅れ、授業に間に合わないということもあったようです。9月の郵送から、郵便物は授業のある日の3日前に発送するようにしましたので、生徒の自宅には、授業のある日の1日前か2日前に届くようになります。

  ホームページの更新遅れのおわび

夏休み中は、夏期講習をはじめとしていろいろな企画が続きましたので、ホームページの更新が大幅に遅れてしまいました。また、ちょうどCGIが故障し、しばらく生徒のみなさんのページが見られない状態が続きました。インターネットに接続しているみなさんは、いつまでも同じページなので退屈されていたことと思います。インターネット上で発行している週刊オンラインマガジンも、現在、配信が大幅に遅れています。9月からは、また以前のように頻繁に更新できるようになりますので、いましばらくお待ちください。

言葉の森では、生徒どうしが自主的にコミュニケーションをとる中で楽しく勉強できるシステムを作りたいと考えています。そのためには、インターネットが最も手軽で最も魅力的な手段になると思いますので、今後もインターネットを利用した運営に力を入れていきたいと思っています。インターネットに接続した方は、言葉の森のホームページをごらんになって感想や要望をお寄せください。

  大学推薦入試の小論文短期講座を受付中

この秋に大学の推薦入試を受ける方の小論文短期講座を受け付けています。志望校の過去問をもとに予想問題で小論文を書く練習をしていきます。くわしくは教室にお問い合わせください。