1997年10−12月 第7週号 通算第546号

 言葉の森新聞

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  作文に時間がかかる子

   時間を書ける子ほど実力がつく

お母様からの質問の中に、「うちの子は、たったこれだけの作文を書くのにすごく時間がかかるので……」というものがよくあります。

しかし、これまでの経験から言うと、時間のかかる生徒の方が実力がついてくるようです。特に、小学5年生からの感想文は、かなり難しい内容ですから、早く書き上げられるような生徒は大体において深く読んだり考えたりしていないことが多いものです。教室でも、いい作文を書く生徒は、大体1時間半はかけて書いています。中学生や高校生の場合は、2時間や3時間ということもよくあります。5時15分から始まるクラスで、8時過ぎまで書いているということです。

時間がかかるのは、それだけ熱心に取り組んでいるのだということでむしろほめてあげてくださるとよいと思います。

   しかし、高校生はスピードアップを

ただし、高校3年生で小論文の受験をする人は、こういうのんびりしたことは言っていられません。スピードと字数は、人によってかなり固定化していますから、自分のペースを意識的に変えていかないと、速く長く書けるようにはなりません。

速く書くコツは、全体の4分の3ぐらいまでは猛スピードで書くということです。構成メモで書く方向を決めたら、あとは途中で考えたり読み返したり消しゴムを使ったりしないで、一挙に4分の3まで書いていきましょう。考えたり読み返したりするのは、最後の4分の1に来てからです。文章の結びは全体に影響しますから、全体との関連をよく考えて最後のまとめを書いていきましょう。

高校生でこれから小論文の試験に臨む人は、普段の練習から、意識的にスピードを上げていってください。

  第7週の課題のヒント

   小学1・2年生 「自由な題名」

 1・2年生の人は、自由な題名で書いていきましょう。よく「明日楽しいことがあるからそれを書こう」という人がいます。その気持ちはわかりますが、「これからのこと」は、なかなか長く書けません。というのは、書くための出来事がまだ何も起こっていないからです。作文に書く題材は、すでに起こったことにしていくのがコツです。

   小学3・4年生 「第四に、お米は(感)」

 要約:日本のお米は、ヨーロッパの小麦と違って、何年も同じ土地で作りつづけることができる。その秘密は水田にひかれる水にある。また、お米はおかずがなくても食べられるほどおいしい。稲は、縄文時代の終わりごろ、中国から伝わってきたと考えられている。

 似た話:水のはられている水田を見た話や、ごはんがおいしいという話などを書くとよいでしょう。今学期のこの長文で、ごはんが好きになった人も多いと思います。パンなどはジャムをつけたりハムや野菜をはさんでサンドイッチにしたりしないとおいしく食べられませんが、ごはんはそのまま食べてもおいしいものです。運動会や遠足のお弁当というと、やはり中心になるのはパンではなくお米だと思います。

 前回、第3週の感想文を読むと、3・4年生の人たちはだいぶ苦労して書いていたようです。特に、3年生の子の中には、泣き泣き(;_;)書いていた人もいたそうです。この長文の感想文は事前に何度か読んでいなければ、決して書けるものではありません。自習で、長文を読んでいる生徒は、先生のヒントを聞くとだいたいのことがわかると思いますが、自習であらかじめこの長文を読んでいない生徒は、先生がいくらヒントを説明しても書けないと思います。自習は、できるだけ毎日やっておきましょう。

   小学5・6年生 「ユーモアについて(感)」

 要約:イギリスではユーモアの感覚が高く評価されている。日本では真面目さが上等と考えられている。ユーモアを受け取るためには知識や理屈よりもユーモアのセンスが必要だ。

 似た例:学校でよくギャグを飛ばす先生の例、または、冗談を言うと怒る真面目な先生の例など、身近なところで実例をさがしていきましょう。日本人はユーモアが苦手だと言われていますが、もちろん日本人の中にもいろいろな人がいます。身近なお父さんやお母さんの話でも似た例が見つかるかもしれません。お父さんが真面目だとお母さんがくだけていて、お母さんが真面目だとお父さんがずっこけているというバランスのとれた(?)家庭は多そうです。

 感想:5年生はこの長文を読んで自分なりに「わかったこと」を、6年生は「ユーモアは(人間にとって)……」と考えてみましょう。

ことわざ: 「笑う門(かど)には福来たる」「129、水清ければ……」「134、柳に雪折れなし」などが使えそうですね。また、失敗も明るく受け止めて「125、災い転じて……」。苦しくてもがんばろうということで「136、艱難、汝を……」なども使えるでしょう。

   中学生 「このところ、ドストエフスキー(感)」

 要約:ドストエフスキーやファーブルなど20年以上も前に読んだ本をもう一度読んでいる。古典とは、人間の本質を、その時代の素材を用いて表現しているものだ。現代の素材でないことがかえって、抽象の骨組みをはっきりさせている。

 意見:流行のものよりも古典のほうがよいという意見。流行のものは本にしろゲームにしろ一時期大いにもてはやされても、寿命の短いものが多いようです。自分の読んだ本で、「ずいぶん昔の本だが、心に響いてくる」という例などを考えると実感がわくと思います。

 名言: くりかえし読むことが大切だという意味で、「39、精読とは……」。いい本を読むためには漫画を片づけておこうという意味で「2、悪書を読まないことが……」。名言以外にもことわざで、「温故知新」「亀の甲より年の功」「腐っても鯛」なども使えそうです。

   高校生 「科学が人間に(感)」

内容:科学の進歩は、生命倫理の問題など新しい複雑な問題を生み出している。これらの問題に市民が判断を下し、議論に参加するために、最先端の科学をわかりやすく説明するインタープリターが必要だ。

「科学の進歩が新しい問題を生み出している」が主題となる社会問題。しかし、これを高校生で実感している人はあまりいないと思います。「科学の進歩によって生と死のグレーゾーンが拡大した」などというところを取り上げられるとかなり鋭い。

   大学生・社会人 「ドーナツ事業の(感)」

 「私らは消し炭のような質の悪い炭だけど、赤々と真っ赤に燃えている」。「くさっている(やる気のなくなっている)エリートの彼とは心構えが違う」。学歴でも経験でも資金力でも圧倒的に劣っていた側のダスキンの社員が確信を持ってライバル社に「勝った」と思った瞬間です。この話を自分の身近な問題と結びつけて主題化していきましょう。

  インターネットに俳句コーナー

第5週でお知らせした「もみじ」の俳句はできましたか。「もみじ」は、ひきつづき今月のテーマにしていきます。

インターネットのホームページでも、みなさんが自由に俳句を作って投票もできるような仕組みを作りました。まだ見にきている人が少ないので、俳句の数もあまり多くありませんが、インターネットに接続できる人はぜひごらんになって、俳句を書いてきてください。(以下、ホームページの内容を紹介します)

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俳句コーナー

 今月のテーマはもみじです。「五・七・五」のかしらもじに「も・み・じ」がつく俳句を作ってください。(季語はなくてもかまいません)

 また、気に入った俳句があったら投票してください。

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|俳句コーナー| コメント付きランキング|

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ランキング(コメント付き)

総投票数...24票

(カッコ内は順に、得票率、サーバー数、コメント数)

第1位 ... 5 票 (20.8% - 2 - 3) ... 桃太郎 みんなといっしょに ジャジャジャジャーン(作:森川林)

..........うまいじゃん。

..........季語は、桃かなあ……。

..........鬼の前に登場したんだね。

第2位 ... 4 票 (16.6% - 2 - 2) ... モグラくん みんなで遊ぶと 地震かな

..........おもしろいから、私も1票入れました(森川林)

..........作者名入れ忘れました。作:ミルクティです。ついでに間違えて2票投票してしまいました。ごめんなさい。

第2位 ... 4 票 (16.6% - 3 - 1) ... 森の中 みんなとあそぶ ジュウシマツ(作:森川林)

..........ジュウシマツって、森の中にいるの?

第4位 ... 2 票 (8.3% - 1 - 1) ... ももこちゃん みかんをふむの じょうずだね(作:ぺの人)

..........ももこちゃんって、だあれ?

第4位 ... 2 票 (8.3% - 2 - 1) ... もう秋か 味覚が喜ぶ 地酒かな(作:ミルクティ)

..........地酒とミルクティだと悪酔いしそうな気が……(あ、すいません。森川林です^^;)

第4位 ... 2 票 (8.3% - 1 - 1) ... もう一度 見にきてごらん 十五夜を(作:森川林)

..........うーん、自分で言うのもなんだが、なかなかうまい。(^^ゞ

第7位 ... 1 票 (4.1% - 1 - 0) ... もぞもぞと、ミミズが歩く、じっと見る(へんでしょ)

第7位 ... 1 票 (4.1% - 1 - 0) ... もう一杯、ミックスジュースは、ジュースだね(おいおい)

第7位 ... 1 票 (4.1% - 1 - 0) ... もんじゃいや、ミンチの魚、信号無視。(作:山田大)

第7位 ... 1 票 (4.1% - 1 - 0) ... 漏れそうだ! みりんの汁が Gパンに(作:ぺの人)

第7位 ... 1 票 (4.1% - 1 - 0) ... 桃太郎、みかんを食べて、しんでいた。(作:宇佐美賢人)