1998年1月 3週号 通算第554号

言葉の森新聞

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  1月3週の作文のヒント

   小3・4年生 「いまから三十七年あまり前(感)」

今学期はじめての感想文の練習です。3年生は、次のように書いてみましょう。「この話を読んでいちばんおもしろかったところは……です。(ふしぎだったのは、感心したのは、おどろいたのはなどでもいいですよ)」「私も毛虫を見たことがあります。それは、……(お父さんやお母さんに聞いた話なども入れて書いてみましょう)」「私はこの話を読んで……と思いました。」

4年生は、長文の「はじめ・中・おわり」から三つぐらい文を抜き書きして、それから「いちばん……。似た話。思ったこと」と続けていきましょう。三文抜き書きは要約の練習の前段階の練習になりますが、「大事なところを抜き書きする」というと4年生の人はかえってわかりにくくなると思いますから、はじめは大事なところということを考えずに、ただ三文の抜き書きをすればよいというふうに考えてやっていきましょう。

例えば、こんな感じです。「アメリカから、小さな白いガが日本に侵入してきました。このガは都会の中にはよく見られても、森林の害虫になって、山の樹々を食べつくしたことは一度もありません。このことから考えさせられることは、トリやクモの住めないような世界こそ恐ろしいということです。」

途中の接続語などは、意味が通じるように直しておければなおよいと思いますが、はじめはあまり難しく考えずただ三文抜き書きということでやっていきましょう。

   小5・6年生 「笑う門(かど)には(感)」

内容:運は日常の生き方の結果である。社会性を欠いた人は、「私は運が悪い」という。何が原因で自分に世の中がつらく当たるのか理解できない。しかし社会性を欠いた毎日の積み重ねでそうなっていくのだ。こうして幸運や不運の環境はできてくる。著者は運命を信じる人は怠け者でおろかものであるという。努力と忍耐なくして幸運はありえない。困難のない人生などない。これが人生の運を考えるときの大前提である。    (あ)

似た話:勉強でもスポーツでも、練習で努力をした人にはそれなりの成果があるものですが、練習も努力もしないで、「どうしてうまくいかないのかなあ」とためいきをついている人は、みんなのまわりにいないかな。逆に、みんなから好かれる人やものごとがうまくいく人は、ただ運がいいのではなく、それなりのことをふだんからしているということにも気がつきますね。身近な話で似た例をさがしてみましょう。「聞いた話・調べた話」では、お父さんやお母さんに、運のいい人や悪い人の話を聞いてみるといいでしょう。

感想とことわざ:「126、まかぬ種は……」「120、百里(千里)の道も……」などが使えそうですね。

   中学生 「時間(感)」

内容:人びとが時間に追われるようになったのは、時計が発明されてからだ。さらにテレビ画面に時計が表示されるようになって分刻みの行動が多くなった。しかし、人びとの時間への関心は、時間にとらわれないことにでなく、時間の能率的な使い方に向けられているようだ。

意見:時間を能率よく使うということも大切だが、時間にとらわれずに過ごすことも必要だ、という意見で。これまでの長文にも似た話はいくつか出てきましたね。「モモ」(ミヒャエル・エンデ)を読んだ人なら、灰色の男たちの例を考えつくかもしれません。

名言:結果ではなく途中の過程が大切だという意味で「61、人が旅行するのは……」。または、「26、時間を作る第一の方法は……」などが使えそう。自分でさがしてみましょう。

   高校生・受験生 「分析(感)」

内容:分析とは、ものごとをある一つの面からとらえる方法である。また、分析とは、要素への還元でもある。しかし、ユニークなものや刻々と変化するものは分析できない。

意見:今日の社会問題に結びつけて意見を考えましょう。分析的方法は、科学を発展させるのに大きな効果がありました。しかし、今、その分析的な方法の弊害が指摘されるようになってきています。特に、人間にかかわる分野では、トータルに見る見方の必要性が叫ばれるようになりました。医学部などでは、最近こういうテーマがよく出るようです。

   大学生・社会人 「産業構造(感)」

内容:日本の産業構造は、農業から製造業に移った。その製造業の中でも、基幹産業から家電産業に移り、家電産業の中でも、テレビのように成熟した技術は、国内から国外に生産拠点が移りつつある。日本国内では、次の世代の製品を作るための研究開発投資が進んでいる。

意見:産業の空洞化のもうひとつの面ですね。次世代の研究開発のための投資を続けることが日本の製造業の生きる道だというのは、何か人生にもあてはまりそうです。

 

  1月4週は清書です

1月4週は清書になります。これまで書いた作文の中からよく書けた作品を選んで清書します。通学の生徒は、できるだけ濃い芯の鉛筆かボールペンを持ってきてください。

1月4週の国語テストは、短文と長文からも出しますから、短文と長文の自習をしっかりやっておきましょう。

  1月は31日まで授業があります

言葉の森では週4回のペースで勉強を進めていくので、第5週が休みになることがときどきありますが、1月は5日からスタートしたので、29・30・31日は平常どおり授業があります。まちがえて休まないでね。

  小学生からの英語学習は焦らずに

小学生からの英語学習は、日本ではまだ試行錯誤の段階です。これから、国際化に対応するために、いろいろといい指導法が開発されていくと思いますが、現状では英語は中学生からで充分に間に合うと言えるようです。

私立小学校の中には、小学校の一年生から英語の授業があるとこともありますが、小学生の間に六年間英語の勉強をしてきた生徒と、中学一年生から入学して初めてABCを勉強する生徒が、一年後には同じ水準になってしまうということです。これは、どこの英語教室についても言えるようです。小学校時代の英語教育は、英語に慣れ親しむことが中心で、決して本格的なものではありません。逆に、もし小学校時代に本格的に英語漬けにして勉強してしまうと、今度は肝心の日本語のほうがおろそかになってしまいます。

小学校のころは、日本語を確実に身につけていくことを中心にして、英語は雰囲気を味わう程度の軽いものと位置づけておくのがいいようです。

また、得意な英語を生かして通訳や翻訳のような仕事をしたいと考えている人が中学生や高校生に多くいると思いますが、これからはそういう仕事は、だんだんなくなっていきます。機械翻訳は、すでに実用の段階にまで達しています。

しかし、逆に、機械で翻訳できる時代が来るから英語なんてやらなくていいというのも間違っています。現状では、英語の点数が大学入試を左右しますし、インターネットの世界では英語が世界の標準語になっています。

  短文の筆写は暗唱(暗誦)してから

短文筆写の自習を毎日しっかりやっている生徒の中に、短文をあまり覚えていない生徒もいます。短文は、繰り返し暗唱できるようにしておくことが大事です。暗唱するためには、何度も繰り返し音読しなければなりません。書き写すだけの作業では、勉強の効果としてはいまひとつです。

覚えてから書き写すというかたちで練習をしていきましょう。

  小学生までの学力は家庭学習に比例

小学生までの学力は、毎日の家庭学習に比例しています。家庭学習で大事なことは、毎日同じように定期的にやっていくということです。1週間に1回1時間勉強するよりも、毎日10分6日間勉強をするというやり方のほうが実力はつきます。

こういう毎日決まったことを決まったとおりにやるという勉強は、子供が自分の力でできるものではありません。逆に、子供はこういう同じような勉強にはだんだん飽きてくるものです。子供が飽きてさぼるようになってきたつど、忍耐強くもとに戻していくというのは、やはり両親や先生という大人の役割になると思います。

  公立高校の受験は教科書を中心に

公立高校は、学校の教科書で習った範囲でしか問題を出しません。それなのに、どうして差がつくかというと、教科書自体が十分マスターできないうちに、ほかの参考書や問題集や塾の勉強に追われてしまい、肝心の基礎の習得がおろそかになってしまう人がたくさんいるからです。

勉強のコツは、基本を徹底して習得することです。まず、教科書や教科書ガイドを4、5回読んで隅から隅まで覚えるようにして、それができたあと初めて別の参考書や問題集をやっていくというようにしましょう。

現在は昔に比べて、教材も塾も驚くほど豊かになっています。そのためにかえっていろいろなことをし過ぎて、肝心の基本ができなくなってしまうという人が増えているようです。

   ミスプリント

中学生の課題フォルダの中の長文の最初の4ページが順序が違っていました。右上の週を見て、その週の課題をやっていってください。