1998年1月 第4週号 通算第555号

言葉の森新聞

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  1月4週は清書です

1月4週は清書です。これまでに書いた作文のうち、12月中旬から1月上旬にかけて書いた作文が返却されていると思います。先生のアドバイスを参考に、その中からいちばんよく書けた作文を清書していきましょう。まだ、勉強を始めたばかりで作品があまりない人は、清書用紙に直接、自由な題名で作文を書いて送ってください。この清書は、3月発行の「広場」に載せます。原稿用紙の空いているところには、絵をかいておきましょう。

書き方は、「学習の手引」をよく見てください。

清書用紙(水色の罫線の原稿用紙)の左上に生徒コードを書くことと、1枚目の裏側に学校・学年・名前・住所・電話・投稿の希望などを書くことを忘れないようにしましょう。

感想文をもとにして清書にする場合、清書する文章はできるだけ感想文のかたちではなく作文のかたちに直しておいてください。つまり、要約や三文抜き書きなどの部分は省き、似た例と感想を中心に書き、題名もそれに応じて変えておくということです。感想文というかたちのままだと新聞などに応募しにくいのでお願いします。

  国語の力をつけるには(これはインターネットの質問コーナーに掲載したものです)

国語の力をつけるには、二つのことが必要です。ひとつは、速読力をつけることです。国語が苦手な子の多くは、問題文自体をすばやく読めないという共通点を持っています。

音読のときにときどきつっかえるような読み方をしている生徒は、設問を読んでも、問題文を読みかえす気力がわかないようです。そこで、あてずっぽうな答え方をして、「当たった」「はずれた」というような結果だけを気にする勉強の仕方をしてしまうことも多いようです。

速読力をつけるには、小学校中学年のころまでに多読をしておくことが必要です。ところが今は、勉強に追われてたっぷりと読書をする習慣をつけられない子も多いようです。また、テレビや漫画などの影響で、読書のおもしろさを味わう前に、読書は面倒で退屈なものだと思ってしまう子も増えています。

読書のおもしろさを感じるようにさせるには、まず何しろ本を読むというところから始めることが必要です。最近、高校で朝の10分間読書というのを取り入れるところが増えているようですが、何を読むかとか、どう読むかという以前に何しろ何でもいいから読む時間を作る、ということが大事です。

速読力と並んでもうひとつの重要なことは、難読力をつけるということです。受験に出てくる問題はどれも、その年代の子が日常生活で自然に接することのできるものより一段階か二段階難しいものです。こういう文章になれていないと、学年が上がるにつれて国語が苦手になってきます。中学生までの国語の勉強は、それほど難読力は必要としないものですが、高校生からの国語力の中心は難読力が中心になってきます。

難読力をつけるためには、国語の問題集に出てくる程度の文章を何度も繰り返し読む練習が効果的です。これは、中学受験を控えた5、6年生の勉強としても効果があります。

国語の勉強の仕方がよくわからないという人は、まず、国語の長文の問題集を一冊用意して、その中の問題は解かずに問題文だけを読書がわりに毎日5〜10ページ読み、その問題集を全体で4、5回繰り返し読むようにしてみましょう。問題を解かないのは、問題を解くという作業は時間がかかりすぎるからです。問題を解きながら長い時間をかけて勉強するよりも、問題文を読むだけの簡単な勉強で同じ文章を何度も繰り返し読んだほうがずっと密度の濃い勉強ができます。

  図書の紹介

言葉の森の先生からみなさんにすすめる本を紹介します。(言葉の森の推薦図書一覧表は後日紹介します)

生徒や父母のみなさんも、いい本がありましたら、自習用紙の「生徒から先生へ」の欄に書いてご紹介ください。

対象学年

書名

著者

出版社

説明

先生

小学校低学年

本をよんだいたずらネコ

清水友子

金の星社

ネコをめぐって、ありそうな物語です。

スズラン

 

ごんぎつね(絵本)

新美南吉

偕成社(日本の童話名作選)

心に残る本です。

どんぐりと山ねこ(絵本)

宮沢賢治

偕成社(日本の童話名作選)

読みながら、大人も童心に帰る絵本です。

おしゃべりなたまごやき

寺村輝夫

フォア文庫

わがままさんもいい子になりそうな本です。

車の色は空の色

あまんきみこ

ポプラ社文庫

子供の感性にぴったりのおもしろい本です。

小学校中学年

 

フランダ−スの犬

ウィ−ダ

岩波少年文庫

一度は読んでおきたい本です。

生きものばんざい

吉原順平

フォア文庫

生きもののすばらしさを再発見できます。

よだかの星

宮沢賢治

フォア文庫

命を考える機会になりそうな本です。

のら犬物語

戸川幸夫

フォア文庫

人間の身勝手さで起きた物語です。

ホ−ムズは名探偵(シリ−ズものとして)

コナン・ドイル

 

探偵好きな人は読み続けたくなる本。

小学校高学年

 

しろばんば

井上靖

講談社(ポケット日本文学館)

一度は読んでおきたい名作です。

星の王子さま

サン=テグジュペリ

岩波少年文庫

大人になっても楽しめる本です。

やさしい天体観察

藤井旭

金の星社

宇宙の神秘が楽しくわかる本です。

ガラスのうさぎ

高木敏子

フォア文庫

戦争の悲惨さを考える本です。

中学生

 

くもの糸・トロッコ他

芥川龍之介

ポプラ社文庫

必ず読んでおきたい本ですね。

坊っちゃん

夏目漱石

ポプラ社文庫

漱石の本の第一歩として読むといいですね。

走れメロス

太宰治

ポプラ社文庫

中学生の感性で読んでほしい本です。

高校生以上

 

生きること学ぶこと

広中平祐

集英社文庫

とてもいい本です。

こころの旅

神谷美恵子

みすず書房

心が落ち着く本です。

旅立ちの朝に

曾野綾子&アルフォンス・デ−ケン

新潮文庫

愛と死を語る往復書簡です。

沈黙

遠藤周作

新潮文庫

高校時代に読んでおきたい本ですね。

小学生高学年

中学生

人生ってなんだろ(続編もあり)

松田道雄

ちくま書房

自我にめざめるころの、少年少女たちに、身近な問題提起をして、単元別に、2ペ−ジ前後でよみこなせるようにしているといころがよい。わかりやすい言葉で、解明していき、彼らの、相談事や悩みの解消の糸口をみいだせる。なにかと、迷いがちな世代に生き方への指針をあたえてくれる本。(三岡)

小6年

猫たちを救う犬

フィリップ・ゴンザレス

リアノー・フライシャー

訳内田昌之

草思社

堀君(小6)からの紹介です

  光る表現コーナー

生徒のみなさんの作文の中から、光る表現や光る実例を選んで紹介していきます。これは、担当の先生が選んだものです。できるだけ多くの生徒の作品から紹介していきたいと思います。言葉の森新聞に載りきらない分は、それぞれの「広場」に掲載していきます。

 奈緒子さん(小1)の作文から(もとの文章は会話を改行しています)

「『転校生のいいだくん』 私のきょう室には、今、生徒が、33人います。いいだくんは12月24日にみんなとおわかれします。いいだくんのいちばんとくいなあそびは、ドッチボール。私は、そんなにとくいなのかなあ。とおもいました。いいだくんに、私が、「がんばって。」というと、「オッケー!奈緒子もがんばれよ。」とよびつけします。いいだくんのいちばん大好きなべんきょうは、こくごです。いいだくんは、まい朝私に、「しんかんせんこだまごうおはよう。」といいます。私は、おこって、「もういっかいいってみなさいよ。」というと「すまんかんべんして。」といいます。そして、かえりに、いいだくんと、あうと、わたしのともだちと、いいだくんのともだちと、けんかをしながらかえります。またこんどいちばんたのしみにしているのは、おわかれかいとさようならかいです。」

まるでものがたりの一場面のような作文ですね。いいだくんとなおこさんはなかが良いのですね。いいだくんがだいすきとか、なかよし、ということばがなくても、ふたりのようすがいきいきと書けています。朝の会話も、二人の個性がよくでています。明るくて、元気で、楽しいふたりの様子がよくわかりました。(ゆらぎ)

聡志さん(小4)の作文から

 「実力を出しきらずに走るよりびりになるほうがきもちがいい。」

 マラソン大会で全力を出しきって、目標の順位に入った後の感想です。(田畑)

  先生のペンネーム

言葉の森新聞の記事の中の先生のペンネームは、次のとおりです。荒川先生(ゆらぎ)、小田先生(スズラン)、中根先生(森川林)、松山先生(めもま)、田中先生(もとばと)、三井先生(ミルクティ)、宮武先生(ひかり)。他の先生は本名です。