1998年 2月 4週号 通算第559号

言葉の森新聞

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  これまでの賞状をクラウンと交換します

   現在のクラウンは「山のたより」に表示

これまで、作品賞、自習賞などの賞状にクラウン数を印刷していました。このクラウンをためると、賞品を交換できる仕組みです。

しかし、たまった賞状そのものを郵便で送ってもらうというやり方がいかにも時代おくれなので、今学期から、賞状にはクラウン数を印刷せず、「山のたより」に表示することにしました。

2月4週の「山のたより」に表示されているのは、10〜12月の賞状のクラウン数です。(金賞10クラウン、銀賞5クラウン、銅賞1クラウン)

今お手もとにお持ちのクラウン数の表示されている賞状は、「山のたより」の表示に加算しますので、教室までお送りください。締め切りは3月末までです。これらの賞状は「山のたより」の表示に加算したあとお返しします。送り方は、普段作文を送るときに使っている自習用紙に作文と一緒に入れてくれれば結構です。

  2月4週は清書です

2月4週は清書です。これまでに書いた作文のうち、1月中旬から2月上旬にかけて書いた作文が返却されていると思います。先生のアドバイスを参考に、その中からいちばんよく書けた作文を清書していきましょう。まだ、勉強を始めたばかりで作品があまりない人は、清書用紙に直接自由な題名で作文を書いて送ってください。この清書は、言葉の森のホームページと4月発行の「広場」に載せます。原稿用紙の空いているところには、絵をかいておきましょう。

書き方は、「学習の手引」をよく見てください。

清書用紙(水色の罫線の原稿用紙)の左上に生徒コードを書くことと、1枚目の裏側に学校・学年・名前・住所・電話・投稿の希望などを書くことを忘れないようにしましょう。

感想文をもとにして清書にする場合、清書する文章はできるだけ感想文のかたちではなく作文のかたちに直しておいてください。つまり、要約や三文抜き書きなどの部分は省き、似た例と感想を中心に書き、題名もそれに応じて変えておくということです。感想文というかたちのままだと新聞などに応募しにくいのでお願いします。

  3月1週は作文の期末テストです

2月1週に作文の中間テストを行ないましたが、3月1週は作文の期末テストです。書くことをよく準備してきましょう。

題名は、1・2年生は自由、3・4・5・6年生は「風邪をひいたこと」または「私の好きな場所」、中学生・高校生・大学生・社会人は「工業社会と情報社会」または「時間」または「愛国心」です。

項目は、5・6年生には「聞いた話・調べた話」があります。お母さんやお父さんに「子供のとき、どんな場所が好きだった?」と聞いて取材してくると、実例に広がりのある話が書けると思います。たぶん、みなさんの今好きな場所とだいぶ違うと思います。中学生以上の人は、実例に広がりを持たせるために「伝記人物実例」の項目があります。いつもエジソンだけでは、エジソンも苦笑してしまいます。ほかの人のあまり知らない人物実例を探してこられるといいと思います。

  光る表現コーナー

■志乃さん(はる/小6)の作文より(恭子先生120)

学校につくと、やはり、みんな雪合戦などしてさわいでいました。それに、おかげで、まっ白だった校庭もだんだん茶色にかわっていくのでした。評:雪合戦の白熱したようすが、色の変化で上手に表現できていましたね。

■犬さん(かや/小6)の作文より(ゆらぎ先生123)

 ぼくも時として運の良いひとになる。たとえば、テストで勉強していった問題が出たのは、たまたま運が良かったからだったにしても、ぼくは勉強をし、努力したので、そういう結果になっただけである。...ぼくは何に対しても、物事を行うことが大切だと思う。待っているのではなく、自分から行動を起こしていくべきだと思う。「蒔かぬ種は生えぬ」ということわざがあるが、そう、その通りなのである。ぼくは、今、どちらかといえば消極的だが、積極的に何事もアタックしていきたい。

■愛さん(ねく/小6)の作文より(恭子先生202)

 木だって生きているのに人間のかってで、木をきって、私達がくらすのにべんりなようにかえてしまえば、どんどん自然がなくなってしまう。だからといってコンクリ−トにすればいいということではない。その町にとって、観光客がふえるのは、いいが、この町にある山はどうなるのだろう。(「世界一の木造歩道橋」より)評:公平な立場にたって、冷静に意見を述べているところが、すばらしいですね。

■ホタルさん(まつ/小6)の作文より(めもま先生124)

 毎年秋の暮れになると、待ちに待ったように、祖父母の家から干しガキが送られてきます。箱を開けるとふわぁっと干しガキの香りにまじって、ほんのりとふるさとのようなにおいがします。私はその、開けるしゅん間が、何よりも好きです。父は、『おふくろの味がする』とうれしそうにほおばりながら、口ぐせのように言います。評:なんて素晴らしい秋のひとときなんでしょう! 穂野香ちゃんがおばあちゃんになっても忘れることのない思い出を、実に美しく表現できていると思います。

■○○○○さん(うい/中1)の作文より(ミルクティ先生122)

 なぜなら、いくら金ばかりあっても何もできないならむだなものになってしまうからだ。例えば、大げさだが、三日しか生きれないと言われ三日目の夜十一時五十九分五十九秒で宝くじが当たっても何もできずに死んでしまうというようなことがあるからだ。評:時間のほうがお金より大切という例。極端な例だから、かえってインパクトがあるよ。

■ドラゴンさん(ちわ/小2)の作文より(恭子先生201)

しょきゅうで、ぼくとおかあさんが、すべっていると、おとうさんが、「中級でやってみたら……」といいました。そこは、きゅうしゃめんで、ふじさんのようにかんじました。評:ゲレンデが、かなり急斜面になっているようすを、じょうずにたとえられました。

■友二さん(ふき/小2)の作文より(ひかり先生113)

「校庭にこおりがいっぱい!」評:題名と、書き出しは、ひかっています。ベリ−グッド!

■つるちゃんさん(のひ/小3)の作文より(もとばと先生207)

おにのかおはどのくらいこわいのだろう。こんどしりたいとおもいます。昔の人はしっているのだろうか。……(中略)……だいたいなん人ぐらいの人がおにをみたことがあるのだろうかもきいてみたいです。評:おににたいするいろいろな疑問がとても素直にかけていますね。誰に聞いてみますか?

  おすすめ図書コーナー

■「センス、オブ、ワンダ−」(レイチェル カ−ソン著。上遠恵子訳。新潮社)子どもたちにどのように自然を感じさせるか、赤ちゃんからおとなまで生涯大切なことを知る本です。(通子先生より)

  アメリカシロヒトリに見る助け合い

小3・4年生の「アメリカシロヒトリ」の感想文で、多くの子供たちが弱肉強食の自然界というところで感想を書いていました。雌の蛾が産んだ卵千個のうち、成虫まで生き残るのは四、五匹で、残りは全部鳥やクモに食べられてしまうのでは、そう考えても不思議はありません。

しかし、仏教の考えでは、これとまた違う見方をしているようです。それは、アメリカシロヒトリが「生き残るのは四、五匹でいいから残りは鳥さんやクモさんに食べてもらおう」と思ってたくさんの卵を産んでいるのだというのです。

もしアメリカシロヒトリが、丈夫なだれにも食べられないような四、五匹の子供を大事に育てるというやり方をしたら、それまでアメリカシロヒトリをごちそうにしていた鳥やクモのほとんどは生き残ることができません。すると、それまでたくさんいた鳥やクモも、少数の子供だけを大事に育てるというやり方で生き延びようとするかもしれません。そのような世界は、いろいろな生き物がお互いに何の干渉もせず、ひっそりと数匹ずつ孤立して生きている荒涼とした世界でしょう。

お互いが自分の利益のために行動することが、神の見えざる手によって社会全体の利益につながるというのは、資本主義が立脚している根本的な思想です。しかし、このエゴイズムを前提にした世界観がいま大きく修正を迫られています。

確かに、お互いが自分の利益のために行動することで、経済は循環しています。しかし、お互いが相手の利益のために行動するというまったく逆の発想を、もし全員が一緒にするならば、それはそれで経済は循環するはずです。今は、その過渡期にあるという気がします。

こう考えると、人間にとっては害虫に見えるアメリカシロヒトリも、自然界全体にとっては実は益虫なのかもしれません。

  読書・作文・ディスカッション

作文は、作文だけで完結した勉強ではありません。一方で読書によって日々新しい材料を吸収していなければ、文章で表現する内容はだんだん枯渇してきます。

そして、他方でディスカッションによって、作文のあとの話し合いをするのでなければ、意見はひとりよがりのものに終わってしまいます。

このディスカッションの役割は、今後インターネットが果たしていくものです。現在、言葉の森では、全員の清書を毎月ホームページに掲載しています。そのホームページには、生徒ごとの掲示板を設けていますから、生徒どうしがお互いの清書を見て掲示板に感想を書き、その感想についてまたほかの人が感想を書き、という具合にディスカッションを進めていきたいと思っています。

また、ホームページには、この2月に全学年の課題集と項目表と課題ごとの掲示板を作りました。先生の説明だけではよくわからないというときは、この掲示板を見て質問を書いたり、ほかの人の提供する情報を見たりすることができるようにしています。

しかし、今のところは、先生どうしの掲示板以外はほとんど書き込みがありません(^_^;)。インターネットに接続する家庭は増えていますが、まだ小学生の生徒が自分でキーボードを打つというところまではいかないためでしょう。

何年先になるかわかりませんが、生徒と父母と先生とOBがあちこちの掲示板でさまざまなテーマでディスカッションできる日を楽しみにしています。