1998年 3月 3週号 通算第562号

言葉の森新聞

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  3月21日(土)は休み・宿題です

3月21日(土)(3月3週)は春分の日で、教室はお休みです。先生からの電話はありません。言葉の森新聞などは郵送しますので、自宅で作文を書いて送ってください。ひとりで書くのがむずかしい場合は、別の日に教室に電話をして先生の説明を聞いてから書いても結構です。(電話は0120-22-3987 平日4時〜8時 土曜2時〜4時半)

  3月2週の要約例

 5.6年生 3.2週 「けんかの仕方(感)」

人は生まれながらに持っている資質がある。若い君たちは大いにいろいろのことをやってそれをさがしたらいい。手応えがあったらじっくりやってみたらいい。何かが好きということはそこに資質の鉱脈があるということだ。自分のかかげた標的にむかって一流のツッパリ方をしてみよう。人生とは、自分の資質に合ったことをして、自分自身の生き方だと自信を持って言える生活である。君の資質にあった職業を選ぼう。

 中学生 3.2週 「国際感覚(感)」

 国際感覚を身につけている人とは、「自分なりの意見をきちんと持っている人」「それを正確に人に伝えられる人」「常にステロタイプの発想をさけようと努めている人」「海外のことだけでなく、日本についてもよく知ろうとしている人」「異文化と正面から向き合おうと心がけている人」などである。時代は国際化時代から地球時代へと移り変わりつつある。これに対応して国際感覚だけでなく地球市民としての意識が要請されるようになってきた。地球市民は、地球で暮らすすべての人びとが人間らしく生きることをたがいに保障しあうという理念によって結びつくものである。地球市民であるということは、私たち一人一人を包み込むもっとも普遍的な定義である。

  3月3週の課題のヒント

 小3・4年生 3.3週 「ヒトとイエバエ(感)」

 季節はずれのテーマが続きますが、ハエの運動能力のすごさなどを感じてくれるといいと思います。またハエはすぐに子供を産んでどんどん増えるということなども驚くところでしょう。似た例が長く書きにくい場合は、「おどろいたこと」「ふしぎにおもったこと」「わかったこと」などの感想を長く書いていくとよいと思います。

 小5・6年生 3.3週 「がんばること(感)」

要約のヒント

  前(1〜6段落)、中(7〜8段落)、後(9〜10段落)。

  要約では、後の部分から重要な文章を選べるでしょう。

  ポイントは「勉強は目的ではなく、手段である」ということです。

  • 似た例のヒント

 強制された勉強でいやいややったという話と、自分の好きな勉強で思わず熱中したという話とを対比させていくとよいと思います。また、高学年だと、学校の勉強以外の社会勉強も大事だということがわかる時期なので、学校以外で学んだことなども書いていくとよいでしょう。

 いやいややった勉強では、身についていないという例として次のようなものがありそうです。「何度も練習した漢字なのに、作文に書けない」「外人に声をかけられても、簡単なあいさつすら言えない(小学生にはちょっとピンと来ないかな?)」「大学に受かったとたん勉強しなくなったお兄さんやお姉さんの例(^_^;)」

 お父さんやお母さんの話も聞いてみましょう。(小さい時の夢の話、今勉強についてどう思うかなど)

ことわざのヒント:「144、論語読みの論語知らず」「59、鹿をおうものは山を見ず」「61、知って行わざるは、知らざるに同じ」「143、ローマは一日にしてならず」など。

 中学生 3.3週 「専門化(感)」

要約のヒント

  前置き(1〜2段落)、実例(3〜7段落)、結論(8〜9段落)

  キーワードは「専門的技術」と「常識」と「教養」

実例のヒント

 偏差値をもとに、医者になることを決めた学生が、その発想のまま将来医者になったとしたら、人の痛みを分かる気持ちは持てないかもしれません。また、町医者は風邪でもけがでもなんでも診療してくれるが、専門科医は、専門以外のことは診療できない(してくれない)というような例も考えられるでしょう。最近のニュースを見ていると、政治家・官僚・金融界の一連の不祥事は、接待やカラ出張、ヤミ献金をおかしいと感じない常識の欠如にあるようです。

  • 意見のヒント

 狭い専門よりも広い教養をという意見で。科学者の社会責任として、核兵器を作れる科学者は同時にそれがどういう場面で使われるかにも関心を持たなければならない、というような例が考えられるでしょう。ノーベルは、科学者であるとともに、社会的視野も持っていたので、ダイナマイトが戦争で使われることに心をいためました。これからはそういう視野の広さ=教養が必要ということで書いていくと書きやすいでしょう。反対意見は、専門家として一つのことに専念し、深く追求していくことも必要だがというところ。

■名言のヒント:「7、家の批評ができるのは……」「28、辞書のような人間になることではなく、辞書をうまく使えるような人間になることが勉強の目的である」「71、名医という言葉があるかぎり、医学は科学ではない」「88、私たちの人生は、私たちが費やしただけの価値がある」など。

 高校生 3.3週 「ダーウィニズム(感)」

  • 解説

ダーウィンの進化論が社会思想に果たした役割はかなり大きなものでした。適者生存という考えは、わかりやすかったので、それをそのまま人間社会にもあてはめようとする傾向がさまざまな分野で見られました。しかし、適者生存という考えを推し進めると、牛や馬の品種改良のように、人間も品種改良していくということになりかねません。

ダーウィンの進化論に対する批判としては、今西錦司の「すみわけ理論」が有名です。もし、最適者だけが生き残るのだとしたら、地球上にはいちばん優れた一種類の動物と植物だけが残ることになってしまいます。優れたものも劣ったものもさまざまな種類の生き物がお互いに助け合いながら(または食べ合いながら)生きているのが自然界の実態ででしょう。今西錦司はまた、進化は、優れたものが劣ったものを淘汰することによって起こるのではなく、種の存続の危機に遭遇した種全体が「いっせえーのせ!」で進化するという仮説も立てています。

ダーウィニズムを社会に適用することの是非について考えてみましょう。

 大学生・社会人 3.3週 「分析医学(感)」

  • 解説

 O−157という大腸菌の話は、多くのことを示唆しています。同じように大腸菌が体内に入っているのに、ある人は発病し、ある人は発病しない、この発病しない方に着目すれば新しい視点が開ける、という話です。分析を細かくしていけばいくほど、むずかしくなるというのは、医学にかぎらずいろいろな分野でありそうです。専門家ほど、問題の原因を細かく挙げることができますが、ものごとの本質をつかむためには、全体的に見る見方が必要だと言えそうです。自分のたずさわっている仕事や勉強に結び付けて、考えてみましょう。

  おすすめ図書

■アッポさん(うえ/中1)のお母さんより高校生のみなさんへ図書の紹介がありました。

英語ともっと仲良しになれる本をご紹介します。楽しく読めて、知りたかったところがすっきりわかる本です。春休みにでも読んでみてください。社会人の方にもおすすめです。

「英語で書いてみよう」(岩波ジュニア新書294 岩波書店 大津 幸一著)

  長文を読むときは心をこめて

長文を何度も音読していると、その文章のリズムが自分のものになり、作文を書くときも、早く楽に滑(なめ)らかに書けるようになります。

その長文音読の練習をするときに大事なことは、機械的に読むのではなく、心を込めて読むということです。心を込めて読むというのは、自分がその文章を書いているつもりで読むということです。心の持ち方は、勉強の能率を大きく左右します。「自分にもこういう文章が書けたらいいなあ」と思って読んでいると、その文章がどんどん頭の中に入ってきます。

これは理科や社会の勉強でも同じです。「どうしてこんなこと覚えなくちゃいけないの」と思いながら覚えるのと、「これまで知らなかったことが頭にたくさん入ってうれしいなあ」と思いながら覚えるのとでは、吸収力も疲労度も大きくちがってきます。

  漢字書取はひとつの漢字を4回以上くりかえして

自習用紙の漢字書取を見ていると、ひとつの漢字を1回だけ書いている人がかなりいます。

いちばんいい勉強の仕方は、書ける漢字は1回だけ、書けない漢字は4回以上というふうにウェイトをつけて勉強することです。しかし、小学生のうちは、まだ勉強の目的に対する自覚が少ないので、こういうウェイトづけはむずかしい場合もあります。そういうときは、ひとつの漢字を4回以上というふうに決めて勉強していくとよいと思います。

  自分の子が一番

同じ学年の子供の作文を見ていると、自分のうちの子供の作文が見劣りするように感じられて、子供に「あんたも、こういう作文書いてごらんなさいよ」と励ましているのだかけなしているのだかわからない励まし方をするお母さんがときどきいます。こういう励まされ方は、実は子供にとって一番いやーあなものなのです。文章力が上達するのには時間がかかります。長文を読んだり読書をしたりという長い積み重ねの中で次第にいい文章が書けるようになってきます。今日がんばって今日成果が出るというものではありません。

作文にはそれぞれその子の個性が出ています。表現の上手下手はあっても、自分の子の個性が一番と思ってあたたかく見守ってあげてください。そして、実力をつけるのはふだんの自習です。短文筆写や長文音読や読書をできるだけ毎日続けていけるように勉強の計画を立ててあげてください。

  ミス訂正

3月2週の言葉の森新聞で、小5・6年生の名言のヒントを「ミルクティ先生より」と書いていましたが、「ゆらぎ先生より」の誤りでした。訂正します。