1998年4月3週号 通算第566号

言葉の森新聞

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  「ひとこと」と「清書」は旧学年でのることもあります

 「広場のひとこと」には、みなさんの書いたひとりごとや友達へのメッセージや絵などが載っていますが、3月中に書いたひとことは、旧学年で載っています。また、みなさんの清書も、しばらく旧学年で載る場合があります。

  今週 4.3週のヒント

 小学3・4年生 4.3週「『ミイラ取りがミイラになる』を読んで(感)」

 ミイラが薬になるというのは、すごいですね。本当かなあ? 昔は、今のようにいろいろな薬がなかったから、不思議なものや珍しいものを薬にしたのかもしれません。その中には、現代にも生きているものもあります。みなさんも、おじいちゃんやおばあちゃんから、「これは薬だから」とへんなもの(?)を飲まされたことがありませんか。

 「ミイラ取りがミイラになる」ということわざは、この長文に書いてあるとおり、帰ってこない人をつれもどしに行った人が、自分もそこにとどまってしまうという意味で使われています。公園で遊んでいる弟を迎えにいったお兄ちゃんが、自分もそこで遊び出して、仕方なくお母さんが二人を迎えに行った、などというときに使います。

感想文の書き方は、つぎのようにしていきましょう。3年生の人は、「この話を読んでいちばんおもしろかったのは……です。ぼくも(わたしも)似た話でこんなことがありました。(この似た話を長く書く)。ぼくは、この話を読んで……と思いました。」という流れで書いてみましょう。4年生の人は、最初に長文の「はじめ・なか・おわり」からそれぞれ一つずつ、合計三つの文を抜き書きして、それから書いていきましょう。この三文抜き書きは、5年生で勉強する要約の練習の準備です。

 小学5・6年生 4.3週「『あなたがたは』を読んで(感)」

 機械でなんでも作れる世の中になってきましたが、それだけに手仕事で作られたもののよさが見直されているようです。みなさんの中にも、教室に持ってくるバッグをお母さんが作ってくれたという人がいるでしょう。もし、芸術家がバッグを作るとしたら、そこに自分の名前を入れて、「これはピカソが作ったバッグだ」などと主張するかもしれません。しかし、お母さんはそんなことをしません。名前を残そうとするよりも、子供が喜ぶようなバッグを作ろうとするところに心が向いているからです。

 手仕事のよさということで、似た話を二つ以上考えてみましょう。手編みのセーター、手書きの年賀状、手作りのお弁当など、いろいろありそうですね。

ことわざのヒントは、逆の意味で「132、餅(もち)は餅屋」。芸術作品や値段の高いものだけが尊いのではないという意味で「136、山高きが故に貴からず」。だれかにほめてもらうことよりも、いい品物を作ることに心をこめるという意味で「116、人を相手にせず、天を相手にせよ」などが使えそうです。

 中学生 4.3週「『私に漫画』を読んで(感)」

 「ドラえもん」のひとつのテーマは、科学文明の便利さを過信する現代の日常生活への風刺にあった、というのがこの長文の主張です。確かに、ドラえもんの便利な四次元ポケットから、いつも思いがけない問題や事件が始まります。

 「科学文明の便利さを過信しないこと」が、意見の中心になります。みなさんの中にも、せっかくパソコンに保存していたデータが突然消えてしまったというほろ苦い思い出を持つ人もいるかもしれませんね。(T_T)

 名言は、便利な科学が同時にトラブルの原因にもなるという意味で「84、理想に到達するための手段はまた、理想への到達を阻む障害でもある」。機械よりもそれを使う人間の心や姿勢が大事だという意味で「12、カメラマンは、レンズのほこりを払うまえに目のほこりを払わねばならない」などが使えそうです。

 高校生・大学生・社会人 4.3週「『大人になって』を読んで(感)」

 人間の内的世界にかかわる神話=物語的説明と、人間の内的世界を排除した科学的説明との対比です。世界を理解する方法には、大きく分けて、この物語的説明と科学的説明とがあるようです。「夕焼けはどうして赤いの?」「お空が恥ずかしがっているのでしょ」「ふーん」というような会話を、子供のころお母さんやお父さんと交わしたことがだれにもあるでしょう。(ないか^^;)

 科学的説明の強力さは、現代のテクノロジーの発展が如実に示しています。物語的説明だけでは、理科や数学の世界はなかなか理解できません。「マイナスとマイナスをかけるとプラスになる」などという説明を物語的にすることは不可能ではありませんが、その説明は、その後に続く数学の世界になんのつながりも持たない説明です。物語による実感を排除して操作的に理解することが数学や科学を発展させました。

 しかし、この科学的説明だけで押し通していくと、世界は次第に味気ないものになってきます。よく会計の専門家などは、桁の大きいところにある9や8の数字は笑っているように見え、1や2の数字は悲しそうに見えるそうです(ホント?)。数字のような味気なさの代表のようなものでも、人間は自分の内面世界とかかわらせて理解したがるのです。それは、内的世界との関連で世界とかかわることが人間の生きている実感と結びついているからです。ニュートン力学で記述される世界では、世界が任意の世界であるように、それを理解する個人も、AさんでもBさんでもだれでもいい任意の個人になってしまいます。任意の個人の方が気楽でいいや、なんていう人はいませんね。生きている実感は特定の個人として生きる中にあるからです。このへんを社会問題や生き方の主題に関連させて考えてみましょう。

  来週 4.4週は……

来週、4.4週は清書です。みなさんが2月から3月にかけて書いた作文の中からじょうずに書けたものを選んで清書します。清書のときの国語テストは、第4週の長文からも出しますから、第4週(4.4週)の長文を読んでおきましょう

  4月29日(水)〜5月5日(火)は休みです。

 5月4日(月)・5日(火)の5.1週の課題は宿題です

 予定表にあるとおり、4月29日(水)〜5月5日(火)は休みになります。5月4日(月)・5日(火)は5.1週の課題を勉強する日にあたりますが、自宅での宿題となります。先生の説明を聞いてから書きたいという人は、教室の休みでない日の平日4時〜8時、土曜2時〜4時半にお電話ください。(0120-22-3987)

  光る表現

■鐵平さん(にす/中1)の作文より(洋子313)

 ぼくは、暮れから正月までインフルエンザにかかった。幼少のころ以来の40.7度という高熱だった。体中が熱く、燃えるようで、力が抜けていくような感じだった。医者は、休みなのでじっと寝ているのみだった。年末なので家のみんなは、せかせかしていて、ぼくは、とりのこされたようだった。その上、受験前だったので、きもちが焦って、青菜に塩のようだった。評:この冬猛威をふるったあのインフルエンザに中学受験を目前に控えて不幸にもやられてしまった時のつらさ、あせりの気持ちが素直に書けていて、痛いほど伝わってくる文です。でも彼は、この風邪にもめげずみごとに中学受験をクリヤーしました。途中であきらめず、最後まで頑張ったかいがありました。私たちも見習いところですね。

■まささん(あうこ/小3)の作文より(ゆらぎ)

 「犬のあいちゃん」 あいちゃんはぼくんちの犬です。ラブラドールレトリバーの黒い犬です。お父さんが「おすわり、お手」というと、ちゃんと言うことを聞くことができます。ぼくと目があうと、すぐとびついてきます。ぼくのことをきょうだいと思っているのかなと思いました。でも、今は、あんまりかしこいのでお父さんが、「犬の学校につれていってやろう。」と言ったので、犬の学校にいます。また、あいにいってやろうと思いました。評:思ったことがくわしく長く書けました。矢野君は、「あいちゃんが大好きです」とは書いていませんね。でも、あいちゃんがだいすきで、仲良しで、かしこいあいちゃんを誇りに思っている気持ちがよくわかりますよ。こういう気持ちの書き方ができるのはとてもすばらしいことです。今はあいちゃんがおうちにいなくて、さびしいですね。学校から帰ってきたら、もっとかしこいあいちゃんになっていて、矢野君ともっと遊べるようになっているかもしれないね。

■こあらこっこさん(あうみ/小3)の作文より(ミルクティ)

 『おたんじょう日にいったこと』…そのつぎに、ののかちゃんにあげて、ののかちゃんがとても、もてもてだったので、げいのうじんみたいでした。評:おたんじょう日に、みんなからプレゼントをもらったお友だちのことを、たとえをつかってうまく書けたね。(^^)

■ゆりさん(あおへ/小3)の作文より(ミルクティ312)

 『二じゅうとびができたこと』(略)おかあさんが、「もうちょっと手を早くまわして、もうちょっと高くとんでみたら。」と言いました。わたしは、もうちょっと手を早くまわして、もうちょっと高くとんでやってみました。それでもできません。おかあさんが、「もっともっと手を早くまわして。」と言いました。そのとおりにやってみたらだんだんよくなってきて、かたほうの足ができました。足をそろえたら、できました。おかあさんが、「やったじゃん。よかったね。」と言いました。わたしは、できてよかったなと思いました。こんどは、十回ぐらいとべるようになりたいです。評:お母さんといっしょに二じゅうとびのれんしゅうをした時のはなし。よんでいて、先生も心の中で「がんばれ!」とおうえんしちゃったよ。「もっともっと」、「だんだん」のつかいかたも、じょうずだね。

■サンダースさん(あさか/小3)の作文より(みち)

 (赤ちゃんがうまれたときのこと)赤ちゃんをそ〜とさわったら、ほっぺたがプニプニして、からだぜんたいがぐにゃぐにゃなのでタコじょうたいでした。すこしなれてきて、だっこしたときは、かわいいと思いました。5才の妹は赤ちゃんを人形のようにしてあそんでいました。評:ありのままのようすやかんじがはっきり書けています。

■丈史さん(すふ/小3)の作文より(ミルクティ)

先生が、「なみみたいにおよぐんだよ。」と言いました。いっかいめをそれでおよげました。それでぐんと先にいきました。評:はじめてバタフライをおよいだ時の話。先生のヒントで、ぐんとおよげてよかったね。v(^.^)

  おすすめ図書

■コマンチさん(まる/中1)より図書の紹介がありました。

 「若いやつは失礼」(小林道雄 岩波ジュニア新書146)