1998年5月4週号 通算第571号

言葉の森新聞

住所 234横浜市港南区港南台4-7-29-A201 電話 0120-22-3987 ファクス 0120-72-3987 留守電 0120-64-3987

http://www.mmjp.or.jp/shine/index.html  (Yahoo!で"言葉の森"と検索してください)

  行方不明の作文にならないように

 5月13日(水)に武蔵野郵便局から投函された作文で、名前などが書かれていないためにどなたのものかわからないものがあります。お心当たりの方はご連絡ください。自習用紙と作文用紙には、必ず「曜日」「先生の名前」「自分の名前」「自分の生徒コード」などを書いておきましょう。また、作文用紙は自習用紙とできるだけセットで出すようにし、自習用紙の方には、ペンネームでなく本名を書くようにしておいてください。

  第4週は清書です

 第4週は、清書です。担当の先生のアドバイスを参考にしながら、返却された作文の中から自分でいちばんよいと思うものを選んで、水色の罫線(けいせん)の原稿用紙(以下、清書用紙と呼びます)に清書してください。送るときは作文と同じように自習用紙にはさんでお送りください。

 今回、返却した作文は、3月の終わりごろから4月の始めごろにかけて書いたものです。新しく教室に入ったばかりの人は、返却される作文がない場合もあります。また、返却された作文の中に清書するようなものがない場合もあります。そのときは、清書用紙に直接、自由な題名で作文をていねいに書いて送ってください。

 清書の仕方は、課題集の中の「学習の手引」に書いてあります。原稿用紙の一枚めの左上に小さく自分の生徒コードを書いておくことをわすれないようにしてください名前を載せてほしくない人は、表には名前を書かずに裏に書いてください。また、清書用紙の空いているところには、絵などを書いて楽しい清書にしてください。

 この清書は、全員の分を7月から8月にかけて発行する「広場」に掲載し、インターネットに掲載し、そのあと新聞社に送ります。(新聞社に送るのは希望した人のみ)

  来週6.1週は作文のテストです

 6月1週は、作文のテストです。担当の先生の説明をよく聞いて、項目表の●印が全部できるようにやっていきましょう。高校生以上の人は、書き始めて書き終えるまでにかかった時間を作文用紙の空いているところに書いておきましょう。

  来週6.1週のヒント

 小3・4・5・6年生 6.1週 「たまごを使った料理」

 去年も同じテーマで書いたことがありますが、実際にお母さんが手伝って、玉子焼きを作ったりスクランブルエッグを作ったりした人が多かったようです。自分で何かを作ってそれを作文の材料にするというのはいいことですから、ぜひおうちで何か作ってきてみてください。

 高学年の人は、たまごにかぎらず、料理を自分で作ったという話を書いてみましょう。家庭科の時間に野菜サラダを作ったというような話もあると思います。中には、「料理と言ったって……カップラーメンしか作ったことないし……」という人もいるかもしれません(カップラーメンは料理じゃないって)。この機会に、日曜日、自分で何かを作る練習をしてみましょう。最近、リンゴの皮もむいたことがないという人も多そうなので、いろいろ挑戦してみてね。でも、片づけもちゃんとするんだよ。

 中学生以上 6.1週 「地域社会」

 昔は、地域のお祭りや町や村単位の行事がたくさんありました。盆踊りなどもそのひとつです。町や村には消防団や青年団があって、自分たちの住んでいるところを自分たちが守り育てていくという習慣がありました。しかし、今都会では、そういう地域ごとのまとまりが少なくなってきました。地域社会が崩壊すると、災害や犯罪や非行などの問題があったときに機敏な対処ができません。また、そこに住む人にとっても温かい交流のない住みにくい社会になってくると思います。そのかわり、わずらわしさがなくていいという面ももちろんありますが。

 地域社会ということでピンと来ない場合は、学校のクラスということで考えてもよいと思います。

 名言は、「6、家とは、外から見るためのものではなく、中で住むためのものである」「7、家の批評ができるのは、建築家ではなくそこに住む人である」「69、未来には、ひとりでにできる未来と、自分で作る未来との二つがある」など。

  日記を書こう

 試みに、教室に来ている中学生と高校生の何人かに「日記、書いてる?」と聞いてみましたが、「えー、そんなの」という声がほとんどでした。今、日記を書くという習慣は、中高生の間にはあまりないのかもしれません。

 自分の内面に表現し切れないものがあふれてくるときに、人は日記を書くのだと思います。私も(中根です。いつも個人的な話ですみません^_^;)、中学3年生のころ、中1のかわいい女の子に出会ったときから日記を書く習慣が始まりました。その内容は、他愛のないもので、「今日は、○○さんが笑いかけてくれた」とか「今日は、帰り際に後ろ姿を見た」とかいうものばかりでした。いやあ、照れるなあ。初めてのデートが野島公園で……。あ、そんなことはどうでもいいんだ。そのときに日記を書くという習慣がついて、以後、高校・大学と自分の考えをいつも文章に書いて確かめるという生活が始まったようです。

 考えを深めるという点で、文章を書いたり、ほかの人と話し合ったりするということは欠かせないものだと思います。高校生の書く作文を見ていて、構成はしっかりしているが何かものたりないという感じがするときは、実例や意見に自分らしい光るものがない場合が多いようです。自分らしさというものは、自分や他人との対話の中で生まれてくるものではないかと思います。

 中学生や高校生のみなさんは、そして大学生や社会人にみなさんも、ぜひ機会を作って、日記を書くことを試みてください

 心理学のちょっと専門的な本になりますが、エドアルト・シュプランガーの「青年の心理」、シャルロッテ・ビューラーの「青年の精神生活」は、いずれも青年時代の心理に対する感動的な考察に満ちています。両著とも、青年の日記をもとに著者の内面を関わらせながら研究を進めています。時代や国は違っても、青年時代というものは、新しい自己が生まれる波乱に満ちた時代のようです。この時期に、自分自身と向かい合う機会を作ることは大きな意義があると思います。

  光る表現

■奈緒子さん(やて/小2)の作文より(めもま425)

 「高尾では、さくらがきれいで、花びらがほしいぐらいでした。」(きれいな空に舞う花吹雪が目に浮かぶようです。)

■プリンさん(ああこ/小4)の作文より(ミルクティ512)

 『へやをきれいにしたこと』ぼくはやっとついたので休みたかったのに、「早くかたづけて、少したったらきゅうけいするから。」と、お母さんがいいます。まずは、「本、マンガ」と書いてあるダンボールをあけてマンガと本を本だなに入れました。きっちり入っていいかんじです。でも、おもちゃがのこっているのでがっかりしました。でも、おばあちゃんが、クローゼットといって、ものおきみたいなところに、ダンボールごと入れてくれました。それなのですぐにおわってしまって、へやはがらがらにあいています。まるでへやが広いようなかんじです。みんなできゅうけいをして、かたづけもけっこうらくだなぁと思いました。評:ひっこしの時の話。長い会話、長い思ったこと、たとえを全部入れて書けたね。今もへやはきれいかな?

■チビ太郎さん(ああは/小4)の作文より(洋子515)

 わたしは、3月のはじめごろに、北海道のキロロマウンテンホテルにとまりました。まだ、さむくて、雪もいっぱいあって、まるで、さとうの山のようです。(評)スキー場のようすや、情景描写を、とてもじょうずにたとえましたね。

■たかどんさん(ふさ/小4)の作文より(もとばと515)

 (ボーリング場で)またみぞに落ちるようになってしまいました。お父さんが「ちょっととなりの人のころがしかたを見てなさい。」と、言いました。となりの人はぼくと同じようなせの子がいました。その子も、右のみぞに何回も落ちていました。まるでぼくをうつす鏡のようでした。評:人の振り見て我が振りなおせですね

■しっぽさん(ほし/小4)の作文より(スズラン512)

 「ジャーン」お兄ちゃんが差し出した手紙の裏には、「長谷川さおり」と書いていました。私は、うれしくてうれしくて飛びあがりました。評:手紙を見たときのうれしさが良く分かりますね。

■香奈子さん(いし/高1)の作文より(ミルクティ515)

 『勉強の意味』私は最近、「さるも木から落ちる」というように「学歴も社会から落ちる」という日が来るような気がする。評:こういうわかりやすいことわざの方が加工しやすくて応用範囲が広いという、いい例です

■弥悠樹さん(おて/高1)の作文より(ミルクティ515)

 近代人は、全てのことを自然科学の方法で理解し、「神話」を嫌い放棄したことによって自分の心のなかのことや、世界とのかかわりが無視されたことになった。まさに剣によって立つ者は剣によってほろぶ、もとい、科学によって立つ者は、科学によってほろぶである。評:高校生の重点項目「ことわざの加工」は、皆さん、なかなか苦労しているようです。こういう感じに、言葉を置き換えてみてもいいですね。

■ひめさん(とけ/小2)の作文より(とも519)

 (「かっている生き物」のさいごのまとめで)生きもの、みんな生きているんだから、ちゃんとせわをしてあげないといけません。人げんも生きてるし、どうぶつもみんな生きています。いのちをたいせつにしなければいけません。…評:生き物を飼うことで、このような動物に対する優しい気持ちがそだっていくのですね。

■まなみっちさん(しあ/小3)の作文より(スズラン518)

 すなねずみは…中略…。色は茶色で、しっぽが長くて、しっぽのさきまで毛が生えていました。たまにおなかを出してねているようなときもあって、死んでいるかと思いました。評:すなねずみのようすをよく見ていることがわかりますね。

■ユカリンさん(あえる/小4)の作文より(はるな518)

 ・・・・・すきとおるような体。パチクリと開いているかわいい目。ぜんぶで5ひきあました。「ひゃーっ!ちっちゃーい」まるで、小さくどこにでもうごいているようなホコリのようにすごーくちいさいのです。 動作のようすは、水槽をこん!とたたくと、ピュッとしゅんかんいどうみたいにすばやくうごくのです。(評)グッピーのあかちゃんのかわいらしさを、たとえをつかって、いきいきと表現できました。

■真沙実さん(なお/小4)の作文より(スズラン519)

 「わっ!わっ!わっ!。カブトムシの幼虫が、あなあけたようなへやみたいなようなのをつくって、くろくへんかしてるよ!!!」と、私は大声でいいました。評:カブトムシの変化に気づいたときの驚きが出ています

■チョロすけさん(ふか/小5)の作文より(ミルクティ513)

 あの時は気付かなかったけどお父さんはつかれていた。だけどいっしょにキャッチボールしてくれた。自分はつかれているのに、ぼくのためにキャッチボールをしてくれてうれしいな、お父さんはやさしいなと思った。やっぱりかぞくはいいなぁ。いつでも自分(正のり)のことをおもってくれてるもんなぁ。評:思ったことを、自分の言葉で素直(すなお)に書けたね。ジンときたよ。(;_;)