1998年7月1週号 通算第576号

言葉の森新聞

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  新学期は7月1日(水)から

 新学期は、7月1日から始まります。これまでの古い教材(課題集、自習用紙、作文用紙、清書用紙など)は、かたづけておきましょう。

  光る表現

紗由美さん(ああも/小3)の作文より(ひかり先生/月日617)

 その卵焼きのいろは、まっ黄色でした。その色はまるで、今人気のピカチュウのからだの色でした。「評」なあるほど———!ピカチュウはまっ黄色だものね、とても身近なたとえをおもいつきましたね。これからどんどんお父さん達に作ってあげてくださいね。

紗由美さん(ああも/小3)の作文より(ひかり先生/月日625)

 「さなぎってうごかないからつまんないな—。でもさなぎにならないと成虫になれないもんね—」「早く成虫になってほしいな。きれいにとぶところをはやくみたいなあ—」と毎日そう思っているうちに成虫になる日がやってきました。「やったあ—成虫になったぞ−」中略——わたしたちは、チョウにむかって「げんきでね。」といいました。そしてにこにこしながら1時間目をはじめました。「評」さなぎからチョウになるのをみんなが首を長くして待っている様子や紗由美ちゃんのやさしい気持ちがとっても素直に表現でしていますね。

まささん(あうこ/小3)の作文より(みち先生/月日603)

 ぼくがうつじゅん番がきた時、みんなが「矢野君かっとばせ」とおうえんしてくれました。すると、どんどん力がでてきて、ボールがきた時おもいっきりうでをふるとボールがうでにあたってどんどんとんでいきました。みんなが、「やったあすごいぞホームラン」といってくれました。とてもうれしかったので、はしってかえるとき、まるで空をとんでいるようでした。評、おうえんの力ってすごいね。みんなでもりあがったたのしいハンドベースがたとえによくあらわれているね。

まささん(あうこ/小3)の作文より(みち先生/月日612)

 晴れた日の夕方、家の近くの原っぱや家のうらの新川で、友達や弟といっしょに虫やザリガニをとりに行きます。————ザリガニは、岩の小さなどうくつにかくれすんでいます。———ぼくはやっと1ぴき手にいれました。———えさをやるとつめをもちあげておどろかしてきます。まるでウルトラマンに出てくるバルタン星人のようです。バルタンと名前をつけました。評、表現を工夫して書いています。

こあらこっこさん(あうみ/小3)の作文より(ミルクティ先生/月日618)

 えりなちゃんとわたしで、たんぽぽの葉をさがして、二人は六〜七本取りました。えりなちゃんが言いました。「食べるといいな〜!」と言って私が「ほんとだね〜!」と言って、うさぎにあげました。そして、二人がたんぽぽの葉をあげようとした時に、けんかをしてしまいました。(中略)やっと、けっちゃくがつきました。そして六〜七本ぜんぶぺろりとたべていました。しょう来うさぎはおすもうさんになると思いました。評:「うさぎがおすもうさんになる」なんて、おもしろいことをかんがえたね。(^o^)

千陽さん(あすえ/小3)の作文より(ひかり先生/月日617)

 寝るときになると、私はわたしのへやからまるで馬のようにパッパカ、パッパカとトイレまではしりだします。そしていつも寝る前今日は良かったかどうか、明日の用意はいいか思いだします。「評」「まるで———のような」という言葉を入れて、馬にたとえて音も入れて、読む人によく様子が分る文章がかけましたね。また、寝る前にいつも今日一日の反省や、明日のことを考えて寝る習慣はとってもいい習慣ですね。

千陽さん(あすえ/小3)の作文より(ひかり先生/月日625)

 公園に行ってみるとおじいちゃんは、まるでカメのようにのんびりと、公園の草をむしっていた。「評」どんなにゆっくりとしたペ−スで草むしりをしていたかが、「のんびり」という言葉からと、まるでかめのようなという表現でより一層おじいちゃんのようすがわかりますね。

エコチャンさん(せゆ/小3)の作文より(真弥先生/月日618)

 カタツムリが、ニョキニョキくねくね、歩いていました。(評)カタツムリの様子を、よく表した言葉ですね

ケッピーさん(そゆ/小3)の作文より(ひかり先生/月日619)

 まるでグリ−ンアスパラの様な色のあおむしです。わたしは、かわいいな−とおもいました。「評」どんなにきれいな色の青虫なのかが、この表現で手にとるように分りますね。

 

 

 

アルルさん(てよ/小3)の作文より(もとばと先生/月日616)

 なべに水を入れて、たまごをポトリといれて火をつかました。おゆがふっとうしてたまごがたいそうしているみたいにピョンピョンとはねていました。評:とてもよく卵の動きをかんさつしていますね。

ミュウさん(あおゆ/小4)の作文より(とも先生/月日621)

 けがのこうみょうのいみは、しっぱいはせいこうのもとです。…評:なるほどなぁ。(とも)

SAYAさん(そよ/小4)の作文より(真弥先生/月日622)

 私は、怪我の功名をよんでかさじぞうのお話を思い出した。(略)もしかさがうれてしまったら、こんな、大金もちに、ならなかったのかなあ。[評]なるほど、怪我の功名にぴったりのお話ですね。

じゅんさん(とぬ/小4)の作文より(ひかり先生/月日617)

 「あっ!カブト虫の幼虫がいたよ。」僕は、友達とカブト虫の幼虫を花壇でさがしているとみつけました。「評」会話文から始まる書き出しは読む人に興味をひきおこさせる書き出しですね。うまく成虫になるといいね

グレイモンさん(あすけ/小5)の作文より(とも先生/月日622)

 (妹のすごいところ)ぼくは料理を1度りんかん学校で作ってみたけどまずかった。それもカレーを作った。なぜ妹が料理がすごいかというのは、ぎょうざの中の部分を作るからカレーよりむずかしいなと思って、すごいと思った。…評:お兄ちゃんの妹を見る優しい思いが伝わってきますね。

ヘノチャさん(けら/小5)の作文より(はるな先生/月日623)

 もうひとつ、ふしぎに思ったことがありました。テレビのアメリカの話をみていたら、くつをぬがずに家の中にはいっていきます。私は「なんていけない!」と思いましたが、それはアメリカでは、家の中でもくつはぬがないという、きそくがあったようです。ーーーーーー「言葉と文化を読んで」より・・・・・・・(講評)外国の異文化を、説明するのに、とてもいい実例をみつけましたね。

ラッキー7さん(せあ/小5)の作文より(スズラン先生/月日616)

 手紙というのは、小さな届けものでも、本当は、人の気持ちがたくさんこめられている大きな届けもの。人の気持ちは、まるで雲のように風にのって届いていくのかな。評:手紙をもらったうれしさが出ていますね。

孝行さん(とむ/小5)の作文より(ミルクティ先生/月日619)

 『はじめて作ったプリン』キャラメルソースの色が黒くなってきたので湯を入れると、いきなりジュワッと音がしました。すごい音だったので、お兄ちゃんが、「心ぞうに悪い料理だな。」と言いました。(中略)「牛にゅうは人はだていどで」と書いてあったけど、どうやってはかればいいのかわからないので、聞くと、「自分のゆび入れてあつくなったらやめたらええねん。」と言いました。そんなこと、とてもこわくてできないのでお兄ちゃんにやってもらいました。(中略)あんずるより産むがよしというように、やってみればかんたんだったなぁと思って材料をかたづけているとあっと思いました。バニラエッセンスを入れるのをわすれていました。評:お兄さんとのやりとりが、とてもほのぼのとしていていいですね。色や音も使ってプリン作りのようすを生き生きと書けています。最後のオチも楽しい。(^◇^)

マーボ!さん(あえろ/小6)の作文より(とも先生/月日621)

 (離れていたお友達から励ましのお手紙をもらって)こういう手紙が、すごくイイ感じで、何度読んでもあきないくらいだった。すごくいい気分だった。ちゃんと返事を出した。その手紙をよんで、8級の試験をガンバレそうだとかいた。…評:手書きの心のこもった手紙をもらってうれしかった気持ちがあふれてきそうな文ですね。お友達もお返事をきっとよろこんでくれたことでしょう。

GLAYさん(まわ/小6)の作文より(みち先生/月日603)

 料理をすることは料理だけにしかない楽しみや、努力がかくされていると思う。評、お料理に挑戦している気迫が表われています。おいしくできたでしょうね料理をすることは料理だけにしかない楽しみや、努力がかくされていると思う。評、お料理に挑戦している気迫が表われています。おいしくできたでしょうね

GLAYさん(あおむ/中1)の作文より(もとばと先生/月日616)

 地域社会という物は、ただ、隣や近くに住んでいるだけのことじゃなくて、町をどうすればもっとすみやすくできるかを考えて、力を合わせていくことだと思う。評:そうですね。ただの寄り集まりではなくて、目的や目標をもってこそ社会ですね。

たかゆきさん(けふ/高1)の作文より(ミルクティ先生/月日623)

 第一に、ただ情報をうのみにするのでなく、それらの情報を、裏付けることが大切だ。例えば、太平洋戦争中に流れていた情報は、ほとんどうその情報ばかりだった。戦時中の新聞は、毎日■日本は勝ってる■と勝ってもいないのに、流していた。だから、日本が負けたと聞いたときは、みんなおどろいたのだ。評:「虚像と実像の違いを見極めるべきだ」という主題で書いた作文です。社会実例として、現代の事だけでなく、このように過去を振り返って考えてみてもいいですね。

 

 

 

 

  7月からの教材の説明

 新しい学期の教材が届いたら、これまでの古い教材はかたづけておいてください。

 7月1週は、「ひとこと」「みんなの清書」「参考作品」などは送っていません。したがって、7月1週は、自習用紙の「投票」の欄は書かなくて結構です

 

 自習用紙の説明

 自習は、できるだけ毎日やっていきましょう。全部ができないときは、長文の音読だけでもやっていきましょう。

 国語問題の解答欄が下の方にありますが、この問題と解答は、毎週の「山のたより」に載っています。

 ファクスで作文を送る場合、自習用紙は全部送る必要はありません。1ページの部分だけを送ってください。

 子供さんの作文を見て気づいたことがありましたら、「父母から先生へ」の欄にお気軽にお書きください。

 

 作文用紙の説明

 作文用紙の上の欄にある生徒コード・週・曜日・先生の名前などは、必ず書いておいてください。

 週は、7.1週(7月1週の場合)のように書いておいてください。

 

 清書用紙の説明

 今学期から、清書用紙もA3のサイズになりました。作文用紙と似ていますのでまちがえないようにしてください。

 

 貸出図書の説明

 貸出図書は、6月10日ごろまでに前の学期の図書を返却した人に同封しています。今回の返却期限は9月10日です。ただし、早めに返却しても新しい図書を追加して送るということはありません

 小学校低中学年のうちに、読書の基礎力をつけていきましょう。子供たちの読書の仕方を見ていると、共通して気になる点がいくつかあります。(1)本は1回読めばもう読まないものだと思っていること(本は何度も繰り返して読むものです。好きな本を繰り返し読むことが読書力をつけます)、(2)学年のわりに易しい本を読みすぎること(漫画や学習漫画は読みすぎれば逆に読解力を低下させます。ちょっと難しいと思うぐらいの本を読むようにしていきましょう)、(3)逆に学年のわりに難しいものを与えるすぎること(有名だからという理由だけで、宮沢賢治や芥川龍之介の本を小学生の子供たちに読ませても、内容を十分に把握できません。与える前にお母さんが一度目を通して子供さんが興味を持って読めるかどうか確かめてください)、(4)読書は時間があったらやるものだと思っていること(読書は勉強よりも優先して取り組むものです。小学校中学年までは、漢字や計算よりも読書を勉強の中心にしたほうが、高学年になってからの実力がつきます)。

 読書は、勉強と同じように毎週必ずやっていきましょう。また、子供が自分で読むのを渋る場合は、お母さんが読んで聞かせてあげてください。読み聞かせをしていると、内容がおもしろければ子供は自然に自分で読むようになります。

 

 課題フォルダの説明

 

 (1)おもて表紙の項目表

 項目表は、その生徒の級(A1級、B3級などという級で、課題フォルダの右上に書いてあるもの)と連動しているものですが、今学期は、学年ごとに共通の項目=級で勉強するようにします。毎週送られる「参考作品コーナー」などを見て、書き方の参考にしていきましょう。

 項目表は、上の段が作文用、下の段が感想文用となっています。いずれも●印の項目ができるように勉強していきましょう。

 

 (2)うら表紙の作文課題集

 課題集は、授業のはじまる前までに見ておき、何を書くか決めておきましょう。小学1、2年生は自由な題名が中心です。小学3、4年生は、決められた題名が中心です。授業の前までに、書くことを準備しておきましょう。その週に何を書くのか決めていないまま電話に出たり、感想文の長文を読んでいないまま先生の説明を聞いたりした人もまだいるようです。準備なしに説明を聞いてもいい作文は書けません。感想文のもとになる長文は、あらかじめ何度か読んでおいてください。小学5、6年生の課題(特に感想文の課題)は、難しいものが多いので、書きにくい場合はほかの題名で書いてもかまいません。しかし、やさしいものをたくさん書くよりも、難しいものを少し書く方が力がつきますから、無理のない範囲でできるだけ作文課題集の◎印の課題に取り組んでいきましょう。

 ひとつの週について、5つの課題がならんでいます( > の印のついているところ。空欄のところもあります)。上から4番目の > は感想文になっていますが、この感想文のもとになる長文は、小5・小6・中1だけ載せています。それ以外の学年では、4番目の > の長文はありません

 

 (3)学習の手引

 内容は前学期とほとんど変わっていません。新しく受講される方はひととおり目を通しておいてください。

 

 (4)漢字集

 漢字集は、小学生の場合、その学年で習う漢字を載せています。最後まで書き終えたら最初に戻って繰り返し練習をしていってください。書きにくい漢字は、4回以上書くようにしていきましょう。子供は、新しいものを1回ずつやるような勉強の仕方を好みますが、学力をつけるポイントは同じものを何度も繰り返すということです。勉強の仕方も子供まかせにせず、お母さんの方で見てあげてください。

 「あいうえお」などのひらがなは、文字の書き方を練習するためのものですので、省略して結構です。

 漢字集や短文集の文字は、教科書体というフォントで印刷しています。この文字のとおりに書くようにすると、文字の練習にもなります。

 

 (5)短文集

 短文集は、1ページ目には、主にその学期の長文の一部を、2〜4ページ目には、たとえ、ことわざ、名言などを載せています。1ぺージ目は学期ごとに異なりますが、2〜4ページ目は前の学期と同じものを載せています。短文の筆写の自習は、1ページ目を中心に何度も繰り返し行なっていくようにしましょう。

 短文筆写はただ書き写すだけではなく、暗唱(暗誦)できるようにしてから書き写しましょう。これも子供まかせにすると、ただ機械的に書き写すだけという勉強になりがちですから、お母さんの方で暗唱できるかどうか見てあげてください。初めのうちは暗唱ということに慣れないので時間がかかると思いますので、無理のないようにゲーム的な感覚で勉強してください。

 短文の暗唱・筆写は、表現力と記憶力を育てます。

 

 (6)長文集

 長文集は、全部で8ページあります(小5・小6・中1・大社は16ページ)。毎日1ページ、声を出して読みましょう。小学生の場合は、できるだけお母さんやお父さんのいる前で声を出して読むようにしましょう。声を出して読むということは、内容を理解するためだけに読むのではなく、言葉と言葉のつながり方や文のリズムを味わいながら読むということです。最後まで読み終えたら、また、最初から戻って読んでください。長文は、自分の好きなものを繰り返し読んでいくとよいと思います。ただし、感想文の課題がある週は、その感想文のもとになる長文をよく読んできてください。

 読みにくい漢字には、かっこ書きで読み方を書いていますが、漢字はできるだけふりがなをふらずに読めるようにしておいた方が読む力がつきます。読めない漢字をお母さんやお父さんに聞いたときは、その漢字にふりがなをつけずに漢字のまま読めるようにしておきましょう。

 長文の音読は、表現力と読解力を育てます。特に、高校生以上で、文章を書くのが遅い人、長く書けない人、語彙が乏しい人、国語の読解が苦手な人などは、長文を繰り返し音読していきましょう。国語の読解が苦手な人は、長文の音読と合わせて、現代文の問題集の問題文を復読する練習もしていきましょう。

 

 (7)予定表

 予定表は、課題フォルダのうしろの方に載っています。

 授業のない日は、言葉の森新聞などでもお伝えしますが、予定表をよく見て、おうちでも確かめておいてください

 

  勉強の仕方

 毎日の勉強の時間を決めておきましょう。塾や習い事がある日は学校の宿題だけしかしないという勉強の仕方ですと、なかなか実力がつきません。勉強の中心は、あくまでも家庭学習です。いつでも例外なく同じ時間に同じように勉強する習慣をつけておいてください。

 作文の勉強は、担当の先生からの電話のあと、すぐに始めて、その日のうちに書き終えるようにしてください。時間がたってから始めたり、別の日に書くようにしたりしていると、書くことがだんだん負担になってきます。また、書き出してからつまってしまい先に進めないときは、教室に電話をして聞くようにしてください。こういう判断は、子供が自分ですることのできないものですから、お母さんが近くにいてアドバイスをしてあげてください。

 作文の勉強は、精神的なものに左右されます。だれかとけんかしたり叱られたりしたというようなことがあった場合、その日はいい作文は書けません。また、一日のうちに二つ以上の作文を書くというのも無理があります。書けないときは、お母さんのほうでその事情を考え、無理がないように対処してください。

 小学生の場合は、書き上げた作品については、無条件にほめてあげてください。ほかの子の作文と比較したり、書き上げた直後に欠点を指摘したりすることがないようにしてください。

 作文の勉強は精神的なエネルギーをかなり使います。書いている途中に食事の時間が入ると、そのあとの集中力は低下します。食後すぐに作文の勉強にならないように時間配分をしておいてください。運動をしてくたびれているときなども、作文は書きにくくなります。こういうときは、無理をしないようにしてください。

 欠席した分はふりかえることができますが、作文の勉強は負担の大きいものですから、課題が何週間かたまってしまたときは、新しい週の課題を優先して書くようにし、古い週の分は無理をせずに欠席としてください。

 

 

  学年別作文の書き方

 

 小学1、2年生

 7.1週の課題は、自由な題名です。この1週間であった出来事を思い出して書いてみましょう。題名は、「きょうのこと」や「このまえのこと」で書くと書きやすいと思います。小学校低学年のころは、日曜日などにせっかくいい話があっても、数日たつとくわしく思い出せないことがあります。それだけ生きている時間が充実しているのだともいえます。低学年の子供にとって、いちばん書きやすいのは「きょうのこと」です。ただし、毎週「きょうのこと」という題名ですと、あとで題名を見たときに何の話かわからなくなりますから(^_^;)、書くのに慣れてきたら、「○○をしたこと」または「○○の○○」のように、中身がわかる題名で書いていきましょう。

 小学校低学年では、与えられた題名で書くことは難しいことが多いので、自由な題名が中心です。そのかわり、毎週、担当の先生からの電話がある前に、自分で何を書くか決めておきましょう。まだ、ときどき、先生からの電話があっても、「何を書くか決めていない」という人がいます。お母さんのほうで、作文の電話がある前までに、「今日はどんなことを書くか決めた?」とひとことたずねてあげてください。教室に通って勉強している方も同様です。お母さんが、子供さんを教室に行かせる前に「今日は、どんなことを書くか決めた?」とひとこと聞いてあげてください。

 小学校低学年では、誤字や誤表記はたくさんあるのが普通です。大人が、字の間違いを直すことを中心に作文を見てしまうと、子供は作文を書くことをだんだん負担に感じてきます。大人は、誤字を理屈で直そうとしてしまいがちですが、誤字は、読む力をつける中で自然に直していくものです。例えば、「わ」と「は」の区別ができないというような場合、「こういうときは『わ』で、こういうときは『は』で……」と説明しても、すぐには直りません。それよりも、長文の音読をしたり、毎日の読書をしたりすることによって、自然に「わ」と「は」の使い分けを身につけさせていくようにしてください。

 

 小学3、4年生

 7.1週の課題は、「プールで遊んだこと」です。小学校の中学年のころから、与えられた題名で、昔のことを思い出して書くことができるようになります。自分のしたことを中心に楽しく書いていきましょう。

 小学校中学年は、表現を工夫して、長く書く力がついてくる時期です。しかし、このころの作文は、「はじめに何をして、つぎに何をして、それから何をして、……」と、時間の順に経過を書くかたちにもなりがちです。自分のしたことがはっきりしている場面を中心に書いていくと、中心のしぼられた文章になります。作文の冒頭に、「いちばん……は……です」と入れてから書き出すのがコツです。

 会話は、題材によっては入れにくいこともあると思いますが、会話のある場面を思い出して書くと、作文が自然に描写的になります。特に、男の子は説明中心の短い文章を書くことが多いので、会話のある場面を思い出して書くと、生き生きとした作文になると思います。

 長い会話とは、作文用紙で2行以上になるような会話です。言った人の人柄やそのときの雰囲気(ふんいき)が伝わるような会話を思い出して書いていきましょう。

 まえの話にた話は、作文の構成を立体的にするために、作文の途中で、まえの話やにた話を挿入するという書き方です。「そういえば、私が幼稚園のときも……」や「ところで、私のお母さんの場合は……」と途中に新しい話題を入れて書いていきます。ただし、結びの感想は、最初に書いた話や、作文全体についてまとめるようにしていきましょう。

 たとえは、小学生の表現力のいちばんのポイントとなるものです。たとえを入れるのが苦手な人は、短文集の2〜4ページをよく読んでおくとコツをつかみやすいと思います。

 「思ったこと(長く)」や「長い感想」、結びの感想を長く自分らしく書いていくことです。「たのしかったです。」「おもしろかったです。」というような単純な気持ちを表すだけのまとめ方でなく、できるだけ自分にしか書けないような感想を書くようにしていきましょう。

 

 小学5、6年生

 7.1週は、「私の友達」という書きやすい題名です。実例を二つ以上入れながら書いていきましょう。5年生の人は、複数の出来事を通して、結びの感想は、自分なりに「わかったこと」や「学んだこと」を書いていきましょう。6年生の人は、複数の実例を通して、結びの感想は、「友達というものは、(人間にとって)……である」または「友情とは……である」と大きく一般化してまとめていきましょう。

 「聞いた話・調べた話」は、お父さんやお母さんに聞いた話や、伝記に出てくる人物の話などを書いて、構成に広がりを持たせていく練習です。取材をしてから書いていきましょう。

 たとえやことわざは、できるだけ結びの感想の部分で入れていくとよいでしょう。ことわざの使える人はことわざで、ことわざの使えない人はたとえで表現の工夫をしていきましょう。ことわざは、学校ではあまり勉強しません。よくことわざを知っている子は、家庭でお父さんやお母さんから教えてもらっていることが多いようです。短文集に乗っているのはわずかですから、家庭で子供向けのことわざ辞典(学習漫画などでもかまいません)を1冊用意しておくとよいと思います。ことわざの引用は、表現の項目で採点をしていますが、実は、表現の工夫という意味では、それほど効果はありません。むしろ、中学生以降の「名言の引用」の前段階の練習という意味と、ことわざを引用することによって、自分の感想をより一般化したものに高めていくという意味を持っています。

 ことわざは、短文集の「141、類は友を呼ぶ」「104、情けは人のためならず」などが使えそうです。

 

 中学生

 7.1週は、「経験と知識・規則と自由」という題名課題です。どちらかの題名を選んで書いていきましょう。

 アイロンの熱さなどは実際にさわってみなければわかりません。経験が人間を成長させるという面があります。しかし、経験だけで知識が伴わなければ浅い理解にとどまってしまいます。地球が丸いということも、経験だけに頼っていてはなかなか理解できないことです。同じことをするのでも、まず実際にやってみるというタイプの人と、まず本を読んでみるというタイプの人がいます。具体的な例を念頭において、どちらがよいかと考えてみましょう。

 体験実例は、自分の体験をもとに書いていきましょう。社会実例は、自分の体験以外に昔話や童話・伝記の本・歴史の本・新聞などのニュースなどから実例を入れていきましょう。今回は、子供のころに読んだ昔話や童話から実例を探してみましょう。「桃太郎は、鬼を退治しにいくという経験を通して、犬や猿やキジたちと出会い、人間としても成長した(ほんとかい^^;)。これは、読書などの知識としては決して得られないものだ」というふうに。

 名言は「17、経験は最良の教師である」が使えそうです。しかし、できるだけヒントに頼らずに、自分で短文集の2〜4ページをひととおり見てさがしていきましょう。ここに載っている名言は全部覚えておくとよいと思います。また、本を読んでいい表現を見つけたら、自分でこの短文集に書き加えておいてください。

 

 高校生・大学生・社会人

 7.1週は「得意を伸ばすか苦手を直すか」です。自分の問題であるとともに日本の社会の問題としても考えていきましょう。日本の教育は苦手を直すことが主になっているようです。そのよい面とわるい面の両方を考えていきましょう。

 社会実例は、昔話や童話から探してみましょう。「桃太郎は、犬と猿とキジの長所を生かして鬼退治に出かけた」というふうに。

 ことわざの加工の項目は、なかなかできない人が多いようです。ことわざそのものをよく知らないという人は、名言の加工で書いていきましょう。ことわざの加工の例:「出る杭を伸ばす教育が今求められている」「石橋を叩いていたら渡れない」など。

 高校生・大学生・社会人のみなさんの中には、長文の予習の不足している人がときどきいます。先生の説明を聞くまでに、必ず数回は長文を読んでいるようにしてください。また、勉強や仕事に追われて読書が足りなくなっている人も多いようです。読書の不足している人は、社会実例がなかなか出てきませんし、問題意識も希薄になってきます。また、語彙も乏しくなりひとつの文章の中に同じ言い回しを何度も使うということになりがちです。読書は、勉強の一部と位置づけて必ず毎日読むようにしていきましょう。その際、易しい内容のものではなく、難しい内容のものを優先して読んでいきましょう。文章がリズミカルでない人は、規範となる文章を復読していないのが原因です。長文を何度も音読していると、文章はなめらかになってきます。自分の好きな著者がいればその人の文章を何度も繰り返し読んでいくようにしましょう。文章力をつけるためには、ひとつの本を繰り返し読む「精読」と、いろいろな本を次々に読む「多読」の両方が必要です。両方とも不足している人が多いのですが、特に力を入れていくのは「精読」のほうです。

 大学生のころは、毎日の生活が楽しいので、難しい本を読んだり、難しい文章を書いたりということがなかなかできません。自分の通っている大学の身近な人と接しているだけでは、強い問題意識は育ちません。インターネットなどを利用して、自分の関心のあるテーマで話し合いのできるサークルを見つけていきましょう。日本中には、真面目にいろいろなことを話し合っているサークルがたくさんあります。そういうサークルに参加して、自分の考えをどんどん発言していきましょう。大学生・社会人は、インターネットに接続できるパソコンをできるだけ早めに用意していくといいと思います。

 

  評価の仕方

 作文は、項目表の●印ができているかどうかによって「◎」「○」「△」の3段階で評価します。

 また項目とは別に、内容に個性や感動がある場合は、内容点を「*^^*」「^*^」「^ ^」の3段階で評価します。

 自習は、提出した自習用紙の日数で評価していきます。自習用紙は、毎週かならず提出しておきましょう。