http://www.mmjp.or.jp/shine/ 1998年11月3週号 通算第594号 shine@japan.email.ne.jp

言葉の森新聞

文責 中根克明(森川林)

  11.3週のヒント(再掲)

  小3・4年生 11.3週 かれはすぐ(長文5)

 えらい人でも親しみやすい人がいるという例です。外見よりも中身が大事だ、ということばをよく聞くでしょう。身近な人で身なりにかまわない人の例などをさがしてみましょう。

  小5・6年生 11.3週 国際人とはいったい(長文5)

 今回は、この長文を分割して短文集にしているので、短文を全部暗唱した生徒はこの長文を暗唱したことになります。

 日本の学校は知識を覚えるような勉強が多いが、大切なのは自分の頭(言葉)で考えたり行動したりすることだ、という話です。5・6年生の人は、塾などで「どうしてこんな小さなことまでおぼえなきゃいけないの」と疑問に思ったこともあるでしょう。大化の改新が何年に起こったとか鎌倉幕府が何年にできたとかいうことは、覚えていても悪いことではありませんが、ほかにもっと大事なことがあるはずです。こういう知識の勉強は苦手でも、体験学習の時間や体育の時間や給食の時間になるとがぜん活躍する人というのがいます。そういう実際の場面で活躍できるということが将来は大事になりそうですね。

 データ実例は、「21、大学・短大進学率が46.2%になっている日本の高学歴社会」などが使えそう。ほかには、「2.一ヶ月に読んだ本の少なさ」などをもとに、勉強に追われているために読書などの主体的な勉強ができなくなっている現状なども書けそうです。国際化が進んでいるというところで、「26、海外旅行者数」なども引用できるでしょう。

 ことわざは、「144、論語読みの論語知らず」「16、井の中の蛙大海を知らず」など。

  中学生 11.3週 科学は記述から(長文5)

 実体があるからコトバが生まれるのではなく、コトバがつけられるからその実体があるかのように見えてきます。

 京都大学の霊長類研究所がサルの調査をしているとき、それぞれのサルに名前をつけました。その結果個体識別が容易になり、サル社会の研究が大いに進みました。海外ではサルに名前をつけるというような発想がなく、個体を識別して研究するという方法が確立していませんでした。そのために、海外の研究者の中には、「日本人はサルを個体識別する特殊能力がある(サルに近いから。おいおい)」と考えた人もいたようです。

 虹を七色に見る言語と二色に見る言語とがある、というような例は、ほかにもいろいろありそうです。

 コトバがあることによって世界の認識が豊かになる反面、コトバによってそのコトバで表わされたもの以外は見えなくなってしまうこともあります。雑草でも名前を知ると親しみがわき、道端で見かけると「やあ、チカラシバ君、元気そうだね」と話しかけたい気になります。しかし、逆に、コトバに慣れてしまうと、「なんだ、チカラシバか」とコトバでかたづけてそのもののありのままの姿を見なくなってしまうようにもなります。

 データ実例は、「2、一ヶ月に読んだ本」などを使って、読書によってコトバを豊かにしよう、などと書けるかな。世界の言語の数などのデータがあればそういうのも使えそうですね。

  高校生・大学生・社会人 11.3週 もう一つの体験は(長文5)

 法的な平等という建前にもかかわらず、飢餓や紛争や貧困や経済格差は、異なる集団の間の差異として社会的・文化的に現れる、という話です。

 男女の平等でも、法的な建前よりも文化的なもので差異が生まれるところがあります。現代の日本社会の問題に結びつけて考えていきましょう。

  アンケート葉書より

 アンケート葉書のご返信を何通かいただきました。ありがとうございました。

 葉書の全文は、名前などは伏せて、ホームページの「父母の森」に掲示してありますのでごらんください。

http://www.mmjp.or.jp/shine/tori/indexhubouti.html

 以下、アンケート葉書の中から質問や要望に関する部分を中心にご紹介します。

 

●保護者より 毎週お電話をいただいて先生とお話しさせていただくことが励みになっており、普通のやりっぱなしの通信教育とまったく違います。…(中略)…送っていただいた本を読む時間がなくて残念です。受験学年でなかったらよめますのに。

◆言葉の森より 小学生のころは、読書の好みはどの子も共通しているので貸出図書はよく読んでいるようですが、中学生・高校生になると、難しい本や興味のない本はあまり読みたくないという子が増えてきます。受験が迫ってくると読書の時間がとれなくなるというのは仕方ないと思いますが、中学生・高校生の方は、勉強として読書をするというふうに位置づけておくといいと思います。受験が終ったらたっぷり読んでください。

 

●保護者より 作文のみ通信で受講していますが、他の通塾もあるので金額の負担は大きいです。他の人に勧めるにも7500円/月というのはやはり考えてしまいます。不景気のせいもありますが……。運営の仕方には不満はありません。とてもよいと思います。…(中略)…短文は以前のように長文の一部ずつを抜粋した文の方がよく、今のは暗唱するには短く同じ文体なので何日もするには面白味もないと思います。ことわざ集もいつも同じなのでつまらないようです。自習は通信生用に自習ノート(専用の)タイプがあると便利だと思います。

◆言葉の森より 受講料や遠方通信費は、今後コストを下げる工夫をしてできるだけ保護者のみなさまの負担を少なくするようにしていきたいと思います。短文集は、全部暗唱すると、ひとつの長文をまるごと暗唱したことと同じになるというかたちにするために、今学期は、長文を区切って載せました。その結果、中には短い短文も入ってしまいました。今後検討していきたいと思います。ことわざ集や名言集は、学期ごとに新しいものを載せると変化があって子供さんは喜ぶと思うのですが、そうするとかえってことわざや名言が定着しないと思うので、あえて毎学期同じものを載せています。自習用紙は、今のかたちですとばらばらになってしまうことが多いので、今後きちんとファイルできるようなかたちにしたいと思っています。まだ検討中です。

 

●保護者より 受講前は一週に一つずつ作文を提出するのは無理なのでは……と思っておりましたが、いざスタートしてみますと、結構やる気でいやがらず取り組んでおります。

◆言葉の森より 時間的に忙しい子供も多いので、月1回の勉強というような講座も将来は考えられると思いますが、今のところ毎週1回というかたちが、子供さんも生活習慣の中に無理なく位置づけられるようです。

 

●保護者より 先生からのお電話が先回書いたものについてのことにももう少し詳しくふれていただいたり、本人の書くクセなどを正しくしていただいたりのご指導をきめ細かくお願い申し上げます。

◆言葉の森より 高学年で課題が難しくなると、どうしても「今週の課題の説明」の話が中心になってしまいますが、「前週の作文の評価」と「今週の課題の説明」をバランスよくお電話するようにしていきたいと思います。また、「このへんが不十分だと思うので直してほしい」というところがありましたら、自習用紙の「父母から先生へ」の欄にお書きください。お急ぎの場合はお電話でも結構です。

 

●保護者より 教材の内容はよく工夫されていますし、毎回、自習の方方も改善されていますし、感謝しております。とてもよいと思っています。作文も毎回返ってくるようになり、書いた内容が記憶に新しいうちに反省ができるのでよいと思います。うちの子は自習がまだ続かないのが残念ですが、ゆっくり気長に見ていこうと思っています。

◆言葉の森より 言葉の森の自習は単調なので、ドリルを解くような勉強よりも面白味がないと思います。順調に続けているときは、問題ないのですが、何かの拍子に何日か休むと、同じ勉強を再開するという気がなかなかわきにくいので、そのままになってしまうことがあるようです。より続けやすい自習の仕方を今後考えていきたいと思います。

 

●保護者より とてもていねいにご指導いただいているようで、ありがたく思っています。やはり書類上ではなく生の声で指導していただけることで、子供の心に訴えていくようにおもえます。(教材について)長文が少し難しいと思います。読みや意味がわからず読んでいることが多いので、気がついたときは注意しますが、中学生なのでなかなか聞いてくれません。せっかくの名文なので中に出てくる言葉をこなせる方法をご指導いただけたらと思います。

◆言葉の森より 教室でも先日、長文に載っている漢字をどれくらい読めるかテストしてみたところ、自習をよくやっているはずの子でも、読み方を知らないという漢字がかなりありました。長文音読は、子供部屋などでひとりでさせるとどうしても黙読の斜め読みになってしまいますので、少なくとも小学生の間までは必ずお母さんやお父さんの聞いているところで読ませるようにしてくださるとよいと思います。長文集に出てくる難しい漢字については、ふりがなをつけるとかえって読む力をつけるのに時間がかかるので、ふりがなではなく長文の末尾にまとめて読み方を載せておくというようなかたちにしたいと思います。長文はすらすら読めることが目標で、言葉の意味はわからなくてもかまいません。すらすら読めるようになれば文脈から意味はわかってきます。文脈からわからないときは、子供自身が読みつづけているうちに気になって必ず聞いてきます。読みと意味を同時に勉強しようとすると負担が大きくなりますから、まず読みを中心にして音読をしていくとよいと思います。

 

  光る表現コーナー

—————98年10月29日〜98年11月4日(前週の続き)—————————————————

GLAYさん(まわ/小6)の作文より(みち先生/月日1021)

 生き物のエサがなぜ生活や環境によってちがってくるのだろう。私はまるで科学者になったつもりで考えていた。:評:上手なたとえですね。そんな気持ちになっていると本物になる可能性ありですね。

前神さん(あいつ/中1)の作文より(もとばと先生/月日1031)

 前にオーディオのカタログに「クラシック型ラジカセ」というものがのっていた。その写真をみると、つるつるの木がところどころに付いて、値段は普通のより高い。評:無機質なものがあまり家のなかにはそぐわないことの例がじょうずにあげられています。

—————98年11月5日〜98年11月12日(続きは次週に)————————————————

横山さん(あえま/小2)の作文より(かつみ先生/月日1109)

 1年生はいっぱいビーダマめいろやさんにきてくれました。 評:ゆりあちゃんのところにたくさんの1年生がきてくれたんだね。うれしいきもちがつたわってきますよ。

プリンさん(あえは/小3)の作文より(もとばと先生/月日1110)

 くだもののなかでは一番に、みかんが好きです。とくに、ふゆ、こたつに入って食べるみかんが好きです。みかんの好きなところはすこしあまくて、1つの中に、何こも入っていることです。評:みかんはふさがたくさんあるのでほんとうにお得なかんじのする果物ですね。