http://www.mori7.com/ 1999年6月2週号 通算第620号 mori7@mori7.com

言葉の森新聞

文責 中根克明(森川林)


 6.2週のヒント

 小学3、4年生
 雨の日

 そろそろ梅雨入りです。この梅雨が明けると夏休み。そう思うと、雨の日でも元気が出てきそうですね。
 雨の日というのは、学校にいくのもおっくうです。持ち物は濡れるし、服の中はべとべとするし、暑いし。でも、学校に行く途中の道路のわきに雨水がザーザー流れているようすなどを見ていると、ふだんとは違った新しい発見もありそうです。心の中で思ったことをところどころに入れながら書いていきましょう。

 小学5,6年生
 インドではほうぼうの(感想文)

要約
 
(1)インドでは自転車は何度も修理して大切に使われている。(2)日本では、自転車はあまり大切に使われていない。(3)日本のような浪費の習慣は、人間の心によい影響を与えない。(4)快適な生活の追求は、人間にとって大切なものを忘れさせることがある。
似た例
 
身の回りを見ると、無駄に使っているものがたくさんあります。自分だけでは気がつかないことも多いので、お母さんやお父さんと相談してみるといいでしょう。
 しかし最近は、日本でも、リサイクルに力を入れるようになりました。モノを有効に利用している例などもありそうですね。

感想とことわざ

 「物を浪費することは…」「快適な生活の追求は…」などと、大きな言葉を主語にして感想を書いてみましょう。反対意見への理解を書く人は、「消費を増やすことは経済を活発にする」というところで。みんなが節約しすぎてモノを買わなくなると不景気になってくるという意味です。ことわざは、「28、おごれる者ひさしからず」「123、太ったブタになるよりは、やせたソクラテスになれ」「118、人の振り見てわが振り直せ」などが使えそうです。

 中学生
 見テ 知リソ(感想文)

要約
 
(1)知識が頭の中にあると、素直に見ることが困難になってくる(2)知識を得る必要はあるが、知識のために柔軟な感覚を失ってはならない(3)作品と接するのは、たったひとりの自分である(4)自分の感性を信じつつ、知識や他人の意見にも耳を傾けねばならない

似た例
 先入観があると、色眼鏡でつい見てしまうという経験はだれにでもあるでしょう。


 しかし逆に、知識があると、表面的なことばかりでなくそのものごとの背景や本質がよくわかるという例もあります。「低気圧は左回りで、風が南東から北西に変わったから、これから晴れてくるだろう」とかね。

意見
 「知識にしばられないことの大切さ」で書いていきましょう。

名言・ことわざ
 ことわざは「119、百聞は一見にしかず」など。名言は「17、経験は最良の教師である」「18、行動するためには多くのことに無知でなければならない」「51、読書とは自分の頭で考えることではなく、他人の頭で考えることである」など。

 高、大、社
 科学技術は地域や(感想文)


 この文章で述べられていることは、日本文化と欧米文化の比較という話題でよく出てきます。何度も読んで自分のものとして消化しておきましょう。


 「ヨーロッパに生まれた科学技術は、ヨーロッパの文化と同心円をなしていた。しかし、その科学技術を輸入した日本の文化は、ヨーロッパの文化とは異質なものだった」というのが内容です。


 織田信長が長篠の戦いで武田勝頼軍を破ったころの日本の鉄砲の生産は質量ともに世界一だったと言われています。しかし、その後、天下統一とともに鉄砲の発達は停止し、武士は刀をさして暮らす生活に戻りました。鉄砲という武器が日本の文化と合わなかったからなのでしょう。


 自動車の使い方などでも、日本人とアメリカ人では違いがあります。アメリカの人はどちらかと言えば、乗るための道具とわりきって乗っているとことがありますが、日本では自分の部屋の延長ということで車に乗っているようです。ときどき、靴を脱いで室内履きに履きかえて乗っている人などがいるでしょう。


 科学技術を導入するときは、ついその現象面のハードな部分だけに目を奪われがちですが、その背後にある文化というソフトな面にも目をむける必要があるのでしょう。ことわざで言うと「仏作って魂入れず」というところかな。

 
 6.3週のヒント
(一部。全学年の分は次号に掲載)
 小学3、4年生
 遠くへたびをする鳥

 そろそろツバメの季節になります。あの小さい体で、遠い南の国からはるばる海をわたって日本まで飛んでくると考えると不思議な気がしますね。旅をする鳥のことを図鑑などで調べてみましょう。

 小学5、6年生
 コオロギはリーリーと(感想文)
要約

 (1)コオロギの声は、日本人には美しく聴こえるが、ヨーロッパ人には雑音として聴こえるといわれている。(2)アオマツムシの声も、帰化昆虫だということを知ってからうるさく聴こえるようになった。(3)知識や習慣は、ものの見方を変える。(4)自分のものの見方や考え方が絶対のものだと思わないことが大切だ。 似た例
 
先入観でものを見てしまうという例など。例えば、「あの先生こわいんだよ」などと人から教えられると、会う前から、その先生がこわそうに見えるということがあります。歴史上の実例では、天動説と地動説などの話も書けそう。知識がものの見方を変えるということですね。 感想とことわざ
 
反対意見の理解は、「自分が正しいと思ったことを主張することも大切だが」というところ。「自分のものの見方が絶対だと思わない」という謙虚さは大切だけど、その考えが行き過ぎると、「人は人、自分は自分」という関わり合いのない社会になってしまうこともあるからです。ことわざは、「88、たで食う虫も……」「92、長所は短所」「16、井の中のかわず……」など。


 
 光る表現コーナー

 
1999年6月2週号


 

ゆりさん(あおへ/小4)の作文より(ミルクティ先生/5.3週)


 
日本も、動物を車でひいたりしないで、インドみたいに、動物をもっとだいじにすればいいのにと思います。わたしは、この話をよんで、日本とインドでは、動物のあつかいかたが、ずいぶんちがうなぁと思いました。<評>最後に思ったことをたくさん書けたね。これくらい長い感想だと、全体のまとまりもいいね。

ペッピーさん(あさお/小4)の作文より(もとばと先生/5.3週)


 
もし日本で、牛が大切にされていて、学校やじゅくにおくれても、「牛が道路の真ん中にすわりこんで車や電車が止まって通れませんでした。」といいわけをすればいいかなあと思った。評:すばらしいいいわけですね

渚さん(あはも/小4)の作文より(ひまわり先生/5.2週)


 
私は、ママに「めだかがつれたよ。」といいました。そしたら、ママが「あー本当だ。すごい。すごい。」とほめてくれました。(評)会話の結びを上手にできたね。

イフリートさん(らよ/小4)の作文より(ミルクティ先生/5.3週)


 
インド人たちも、どうして牛をはなしがいしないか、とか、どうして牛を食べてしまうのかが、びっくりすると思います。もっとおどろくと思うのがクローン牛のことだと思います。神さまのつかいの牛をいでんしをくみかえるだけで牛ができてしまう(略)<評>クローン牛のことを思いつくなんてすごいなぁ。よく知っているなぁと感心したよ。(^o^)v

コナンさん(あえた/小5)の作文より(洋子先生/5.4週)


 
自分の本当の秘密というのは、あまり人に言えないものじゃ(では)ないかなと思った。評:ひみつの交換ノ−トを書いての感想からです。実感がでていますね。

知尋さん(あえな/小5)の作文より(みち先生/5.3週)


 
人間は、生活をゆたかにしようと考えすぎて、あまりにも周りのことを考えなさすぎた。そのせいで地球おんだんかの問題も深こくになっている。評:視野を広げると意見が深くなりますね。

ドリームさん(あはは/小5)の作文より(ミルクティ先生/5.3週)


 
例えば、犬はどうでしょうか。犬は他の動物と違い嗅覚がものすごく発達しています。その能力を生かして、麻薬捜査犬、警察犬、盲導犬、最近ではレスキュー犬までいるそうです。<評>動物の優れた能力について、犬を例に書いた部分。いろいろな例を知っているね。「〜でしょうか」という文章もうまく使えたね。v(^o^)

チーターさん(あしせ/小6)の作文より(みち先生/5.3週)


 
ぼくは、ぼくの手をお母さんにかしてあげたいくらいだ。それはいつもの手、もっとちがうてもある。ぼくが熱を出した時お母さんの手で熱を取ってくれる。それと、こまっているときに背中をポンッとおして「おい、どうしたがんばれ」とはげましてくれたりする。きんちょうしているとかたをもんだり、「リラックスしろ」とはげましてくれる。やさしい手もある。評:物を作るだけではない手。お母さんの手はぬくもりを伝える手でもあるのですね。感受性のゆたかさがあらわれています。

たけおさん(あたむ/中1)の作文より(ふじのみや先生/5.2週)


 
学習が動物には必ずいるものだと思った。トラなどは、狩りのしかたも学習の中に入るし、狩りのしかたがわからないと生きていけないと思う。ほかの動物もいっしょで、学習をしないと生きていけない・・評:動物にとっての学習は生きるため、という人間にはない切実さを読み手に訴えかけています。
 

斐子さん(あちひ/中1)の作文より(洋子先生/5.2週)


 
制服のスカ−トの裾をあげ、ル−ズソックスをはき髪の毛を染めている人もいる。伝統を持つ制服をそんなふうにして着てはいけないと思った。そういう着方をしてもらうために制服は、つくられたのではないと思う。作った人たちに失礼だと思う。評:制服についての意見文です。制服を着る側の心構えが問われますね。

裕子さん(あねさ/中1)の作文より(ふじのみや先生/5.2週)


 
さる達にだって、いいところはあると思う。自分たちで食料をあつめたり、わき水を飲んだり、・・お金がかからなければ、しょうひ税もつかない。と言うことは、自然を使っているということ。
 評:そう言えば、人間は自然をそのまま使うことはもうできなくなってしまいましたね。自然を使うという表現がいい。

アッポさん(うえ/中3)の作文より(スズラン先生/5.3週)


 
もし、話し上手な人同士で話をしたなら、双方に言葉が投げられ、返されて、話はどんどん盛り上がるだろう。これも、相手が言葉を返す「間」があるからこそできることだと思う。評:お互いに相手のことを考えていることが大切なのですよね。