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1999年6月2週号 通算第620号 mori7@mori7.com言葉の森新聞
文責 中根克明(森川林)
要約
似た例
先入観があると、色眼鏡でつい見てしまうという経験はだれにでもあるでしょう。
しかし逆に、知識があると、表面的なことばかりでなくそのものごとの背景や本質がよくわかるという例もあります。「低気圧は左回りで、風が南東から北西に変わったから、これから晴れてくるだろう」とかね。
意見
「知識にしばられないことの大切さ」で書いていきましょう。
名言・ことわざ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
ことわざは「119、百聞は一見にしかず」など。名言は「17、経験は最良の教師である」「18、行動するためには多くのことに無知でなければならない」「51、読書とは自分の頭で考えることではなく、他人の頭で考えることである」など。
高、大、社
科学技術は地域や(感想文)
この文章で述べられていることは、日本文化と欧米文化の比較という話題でよく出てきます。何度も読んで自分のものとして消化しておきましょう。
「ヨーロッパに生まれた科学技術は、ヨーロッパの文化と同心円をなしていた。しかし、その科学技術を輸入した日本の文化は、ヨーロッパの文化とは異質なものだった」というのが内容です。
織田信長が長篠の戦いで武田勝頼軍を破ったころの日本の鉄砲の生産は質量ともに世界一だったと言われています。しかし、その後、天下統一とともに鉄砲の発達は停止し、武士は刀をさして暮らす生活に戻りました。鉄砲という武器が日本の文化と合わなかったからなのでしょう。
自動車の使い方などでも、日本人とアメリカ人では違いがあります。アメリカの人はどちらかと言えば、乗るための道具とわりきって乗っているとことがありますが、日本では自分の部屋の延長ということで車に乗っているようです。ときどき、靴を脱いで室内履きに履きかえて乗っている人などがいるでしょう。
科学技術を導入するときは、ついその現象面のハードな部分だけに目を奪われがちですが、その背後にある文化というソフトな面にも目をむける必要があるのでしょう。ことわざで言うと「仏作って魂入れず」というところかな。
6.3週のヒント(一部。全学年の分は次号に掲載)
小学3、4年生
遠くへたびをする鳥
そろそろツバメの季節になります。あの小さい体で、遠い南の国からはるばる海をわたって日本まで飛んでくると考えると不思議な気がしますね。旅をする鳥のことを図鑑などで調べてみましょう。
小学5、6年生
コオロギはリーリーと(感想文)
要約
(1)コオロギの声は、日本人には美しく聴こえるが、ヨーロッパ人には雑音として聴こえるといわれている。(2)アオマツムシの声も、帰化昆虫だということを知ってからうるさく聴こえるようになった。(3)知識や習慣は、ものの見方を変える。(4)自分のものの見方や考え方が絶対のものだと思わないことが大切だ。
似た例
先入観でものを見てしまうという例など。例えば、「あの先生こわいんだよ」などと人から教えられると、会う前から、その先生がこわそうに見えるということがあります。歴史上の実例では、天動説と地動説などの話も書けそう。知識がものの見方を変えるということですね。
感想とことわざ
反対意見の理解は、「自分が正しいと思ったことを主張することも大切だが」というところ。「自分のものの見方が絶対だと思わない」という謙虚さは大切だけど、その考えが行き過ぎると、「人は人、自分は自分」という関わり合いのない社会になってしまうこともあるからです。ことわざは、「88、たで食う虫も……」「92、長所は短所」「16、井の中のかわず……」など。
光る表現コーナー
1999年6月2週号
評:そう言えば、人間は自然をそのまま使うことはもうできなくなってしまいましたね。自然を使うという表現がいい。