http://www.mori7.com/ 1999年7月1週号 通算第623号 mori7@mori7.com

言葉の森新聞

文責 中根克明(森川林)

  担当の先生が一部交代しました

 学期の途中に転居が予定されている先生や、秋から海外に行く先生など、諸事情が重なったため、担当の先生を大幅に交代しました(該当生徒63名)。そのため、本来交代する予定ではなかった生徒で、担当時間の調整のために交代させていただいたケースもありました。

 通信の生徒の場合は郵便を利用している関係で、学期の途中に先生の交代があると郵便のやりとりが混乱することが予想されるので、学期の変わり目に交代させていただきました。急な交代で連絡が十分にできなかったことをおわびします。

  新学期は7月1日(木)から

   (古い用紙はかたづけておきましょう

 新学期は、7月1日から始まります。これまでの古い教材(課題フォルダ、自習用紙、作文用紙など)は、かたづけておきましょう。

  7.1週は投票なし、国語問題なし

 7月1週は、みんなの作文は送っていません。したがって投票はありません。

 また「山のたより」を送っていませんので、国語問題もありません。

  漢字集、ことわざ集、名言集は、別刷りに

   (次の学期も使いますから保存しておきましょう

 漢字集(学年別)、ことわざ集(小5以上)、名言集(小5以上)は、カラーの紙で別刷りになっています。これは、今年度中ずっと使いますから、大切に保管しておいてください。今後、低学年向けの易しいことわざ集や新しい名言集なども、同じように別刷りで配布していく予定です。

 また、これまで毎学期課題フォルダに入れていた「学習の手引」は、入会時に別刷りで渡すだけにしました。学習の仕方で重要なことはそのつど、言葉の森新聞に載せるようにしていきます。

  自習用紙は、先生送りのみに

 自習用紙は、これまで先生の自宅に直接送る方法と、教室あてに送る方法の2種類が選択できるようにしていました。7月からは、先生の自宅に直接送る方法だけにします。

 4〜6月に届いた郵便物を見ると、教室に届く分は毎日2、3件でほとんどが先生の自宅に直接送られていました。また、教室にファクスで届く分は毎日5、6件ありました。

 教室に届く件数が少ないことと、教室あての封筒に先生の住所ラベルを貼ってしまう人がいるなどわかりにくい面がありましたので、教室あての封筒をなしにしました。

 ただし、ファクスは、これまでどおり先生あての封筒でそのまま教室に送ってください。

  今学期の主な項目の説明

小1年

●いつどこのかきだし……作文の書き出しで、「いつ、どこで何がありました」ということがわかるようにしていきましょう。ただし、作文の題名によっては(たとえば「私のおかあさん」などでは)必ずしも「いつ、どこ」が必要でない場合もあります。

●かいわ……人の言ったことを「かぎかっこ」を使って表わしてみましょう。会話が入る作文を書こうとすると、自然にそのときのできごとがくわしく書けるようになります。

●ぐらいの大きさ……身近なものを使って、ものの大きさや程度を表わす練習です。「消しゴムぐらいの大きさの沢ガニ」「鉛筆ぐらいの太さのドジョウ」など。数字を使って表わす練習ではありませんから、「3センチぐらいのザリガニ」というような使い方ではありません。

●思ったこと……作文の結びに自分の思ったことを書いていきましょう。「たのしかったです」「うれしかったです」「おもしろかったです」というような単純な気持ちを書くのではなく、自分が思ったことや考えたことをしっかり書いていきましょう。

●はのてん、がのをてんつけず……読点の使い方の練習です。「わたしは、」「ぼくは、」のように「は」のあとにはてんをつけます。また「ぼくがすきなのは」「おとうさんのぼうし」「おかあさんをむかえに」などの「が」「の」「を」のあとにはてんをつけません。読点と段落は、明治時代にできたもので歴史が浅いので、日本語の中にはまだ文法のように明確なかたちでは定着していません。それぞれの人が自分の呼吸を基準に読点をつけているというのが現状です。しかし、これでは子供たちにとってはわかりにくいので、学年ごとに、どこでてんをつけるかの基準を示しました。

小2年

●題名のくふう……「きょうのこと」という題名ばかりでは、あとで読んだときに何の話かわからなくなってしまいます。また「遠足に行ったこと」「プールで泳いだこと」という題名では、いまひとつ中身が伝わってきません。「○○な○○」というかたちで書くと、中身のわかるおもしろい題名になることが多いようです。「地獄(じごく)の遠足」「寒かったプール」というような題名のつけかたです。

●長い会話……会話を入れると文章が生き生きとしてきますが、「おい。」「うん。」「じゃあね。」というような短い会話ばかりでは、密度の薄い文章になってしまいます。言った人の人柄やその場の雰囲気がわかるような会話を書いていきましょう。そのためのコツとして、2行以上の会話を思い出して書くという練習です。

●声顔動作のようす……会話の近くに、言った人の声のようすや顔のようすや動作のようすを入れていく練習です。「お母さんは、『おはよう。』と、にっこり笑って言いました」「お父さんは、『おはよう。』と、大きな声で言いました」「先生は、『おはよう』と、手をあげながら言いました」というふうに書いていきましょう。

●どうしてかというと……理由を説明しながら書いていく練習です。

●そしてのてん、かいわのてん、といったのてんつけず……「そして、」「しかし、」などのつなぎ言葉(接続語)のあとにてんをつけます。会話のカギの前にはてんをつけます。会話のあとの「と言いました」の「と」のあとにはてんをつけません。(ただし、「と、笑いながら言いました」のような場合はてんをつけます)

小3年

●会話色音の書き出し……「いつ、どこで何がありました」と書き出す前に、そのときの会話や色や音を書く練習です。慣れないうちは理屈でいくら説明しても、子供にとってはむずかしく感じるようですので、はじめは無理矢理でも「『やったあ。』と、ぼくは言いました。今日は遠足です」のように書いてしまいます。最初の二、三回は、とってつけたような書き出しになってもかまいません。何度か書いていると、自然に文章になじむような書き方ができるようになってきます。

●とちゅうのどうしてたぶん……思ったことを作文の結びに書くだけでなく、途中でも書いていく練習です。その際、「どうしてだろう?」「たぶん、こうじゃないかな」と自分の疑問に思ったことや推測したことを書いていきます。

●聞いた話……お父さんやお母さんに、その作文の中身と結びつく似た話を聞いて書く練習です。自分だけの体験を書くよりも、話が立体的になってきます。作文を書いているときに相談してもいいのですが、できればあらかじめ課題集で作文の題名を見ておき、家庭でその題名に関連するお父さんやお母さんの体験を子供さんに聞かせてあげてください。

●いろいろな言った……「言いました」という言葉を使わないで、言ったことを表わす練習です。いろいろな語彙を使って書くという意識をつけるのが目的です。「お母さんは、『おはよう。』と笑いました」「お父さんは、『おはよう』とウィンクしました(ドキッ)」という書き方です。

●ときのてん、のでたらからるとのてん……時間を表わす語句のあとにてんをつけます。「日曜日の朝、ぼくは……」というような書き方です。また、条件を表わす語句のあとにもてんをつけます。「雨がふったので、」「雨がふったら、」「雨がふったから、」「雨がふると、」。

小4年

●前の話・聞いた話……作文の途中で、自分の去年の話や、お父さんお母さんに聞いた話を書いて、作文を立体的にしていく練習です。

●現在形……「でした」「ました」中心につながっていく作文のところどころに「です」「ます」を使い、表現に変化を持たせる練習です。「お母さんが来ました。手に大根を持っています。ぼくは気がつきました。今日は誕生日だったのです。」というような書き方です。(なんで誕生日に大根なの)

●動作情景の結び……作文の結びを自分の思ったことではなく、動作や情景で結んでいく練習です。「とてもうれしかったです」と書くかわりに「ぼくはいつまでも見送っていました」というように書きます。「ふりかえると燈台が青い空にうかんでいました」のように情景を書いて結ぶこともできます。こういう情景動作の結びが自然にできるのは実はもっと高学年になってからですが、言葉の森では、高学年になると説明文意見文中心の勉強に入ってしまい、生活作文を書く機会があまりなくなるので、4年生で表現上のいろいろなくふうを練習します。

小5年

●四段落構成……全体の構成を大きく四つぐらいのまとまりに分けて書いていく練習です。作文の場合は(1)説明(2)できごと1(3)できごと2(4)感想というかたちです。感想文の場合は(1)要約(2)似た話1(3)似た話2(4)感想というかたちになります。

中学生以上

●長文実例……長文集のほかのページから似た例を探して書く練習です。長文を何度もしっかり読んでいないとできません。データ実例、昔話実例などとセットになっていますから、どちらかができればいいです。例えば、「データ実例・長文実例」の場合は、データ実例が入っているか、長文実例が入っているかどちらかでいいです。どこの長文からの引用かわかるようにできるだけ「長文○○によると」のように書いておいてください。

  学年別作文の書き方

 小学1、2年生 自由な題名

 小学1、2年生は自由な題名です。この1週間であった出来事を思い出して書いてみましょう。題名は、「きょうのこと」や「このまえのこと」で書くと書きやすいと思います。小学校低学年のころは、日曜日などにせっかくいい話があっても、数日たつとくわしく思い出せないことがあります。低学年の子供にとって、いちばん書きやすいのは「きょうのこと」です。ただし、毎週「きょうのこと」という題名ですと、あとで題名を見たときに何の話かわからなくなりますから、書くのに慣れてきたら、「○○をしたこと」または「○○の○○」のように、中身がわかる題名で書いていきましょう。

 小学3、4、5、6年生 「お風呂」

 小学3〜6年生は、最初の週であまり準備ができていないと思うので、身近な共通課題です。

 小学生の人は、お風呂にまつわるいろいろな話を取材してきましょう。

 昔は、家のお風呂よりも銭湯(せんとう)を利用する人がたくさんいました。お父さんやお母さんに話を聞いてみましょう。先生(森川林)も小学生のころ、よく銭湯に行きました。ちょうど人が少なかったときがあったので、お尻を石鹸(せっけん)でこすって、床の上をすべったことがあります。友達とすべりっこの競争をして銭湯の床を何十周も回り、家に帰ってお尻を見るとお猿のように真っ赤になっていました。

 自宅のお風呂場で、いろいろな遊びをした人もいるでしょう。水鉄砲で遊んだり、シャボン玉で泡だらけにしたり、水中眼鏡をつけて潜る練習をしてみたり(しないか)と、たくさんありそうです。

 小さいころは、熱いお風呂から早く出たいのに「百まで数えてからね」などと言われたことのある人も多いでしょう。「九九が全部言えてから」と言われて、何度もつっかえているうちについにゆであがってしまったという人もいそうです。

 ペットと一緒にお風呂に入ったことがある人もいるかもしれません。先生もときどき犬や猫をお風呂に入れて洗います。犬は何も文句を言わずにお風呂に入りますが、猫はすぐに逃げようとします。不思議なのは、犬も猫も、石鹸(せっけん)が目に入っても痛くないように見えることです。

 お父さんやお母さんと一緒にお風呂に入る人も多いでしょう。お母さんと一緒に入ると、そのあとお風呂の水が急に少なくなりますが(うちだけか)、お風呂の中でのんびりといろいろな話をするのは楽しいですね。

 小学6年生の人は「お風呂とは(人間にとって)……だ」と大きな感想を書いてまとめてみましょう。ことわざは、世間にはいろいろなお風呂がある(洋式のお風呂や五右衛門風呂など)というところで「郷に入っては郷に従え」。お風呂に入ったあときれいにしておくというところで「立つ鳥あとを濁さず」。ぬるいのも熱すぎるのも入れないというところで「過ぎたるは及ばざるが如し」。熱さの好みは人によって違うというところで「十人十色」など。

 中学生、高校生、大学生、社会人 「一夜漬け」

 中学生以上の人は「一夜漬け」についての意見を書いてみましょう。

 一夜漬けのマイナス面は、本当の実力として身につかないということですが、プラス面もあります。

 梅棹忠男氏は、海外のいろいろな国に調査に行った経験から、現地の言葉は現地についてから学ぶのがいいという考えを持つようになったそうです。日本にいる間にその現地の言葉を勉強したり、また日本に帰ったあともその言葉を維持したりしようとすると、そのことだけで膨大な時間がとられてしまいます。

 仕事全体の能率を考えると、一夜漬けで済ませられることは一夜漬けで済ませておいた方がいいということが言えるのかもしれません。

 勉強も同様で、普段から実力をつけておかなければ力のつかない教科と、直前に集中して覚えたほうが効果のある教科とがあります。

 一夜漬けは集中力を高めるという面もあります。勉強でも仕事でも、かけた時間の長さとともに、その密度も重要です。テストの直前の1時間で吸収できる知識の量は、普段の1時間で吸収できる量の数倍あると思います。この火事場の馬鹿力現象(と言うのかなあ)をうまく活用することも大切です。

 劇の練習などでも、あまり練習期間を長くとって準備を入念にすると、かえって本番でだれてしまうということがあります。その場の勢いを必要とするものは、かえってあまり準備をしない方がいいと言う人さえいます。

 しかし、一夜漬けは総じて言えばマイナス面の方が多いようです。漢字のテストで出題範囲が決まっている場合などは、直前に一夜漬けをすればかなり高得点が取れます。しかし、二、三日たつとほとんど忘れているということがよくあります。短期間で身につけたものは、失うのも短期間です。

 名言は自分で考えて入れていきましょう。

 

  光る表現コーナー 1999年7月1週号

セシルさん(あたと/小2)の作文より(とこのん先生/6.2週)

 ベットでねむりながらみんな、何をしているのかなとかお母さんはおむかえは電車かな車かな。と考えながら、ときどき時計を見ると五分ぐらいたったかなとおもっても一分しかたっていなかったりするので、ほけん室の時計ってこわれているのかなと思いました。 評:たいくつだし、おむかえは待ち遠しいし・・・そんなときは、やけに時間がゆっくり過ぎるような気がします。そんな気持ちがとてもよくえがかれていますね。

ひかるさん(あなか/小2)の作文より(あかね先生/6.3週)

 また日ようびにおんなじことがまたあったらいいなっと思いました。(評)おんなじ日がまたこないかと思うくらい、ほんとうに楽しい日ようびだったんだね。

健介さん(あねみ/小2)の作文より(はるな先生/6.4週)

 次の日に、おじいちゃんがぼくのおよぎがみたい、といって、大体56メートルぐらいのプールをみんなおよいでみせました。そうしたら、おじいちゃんが、「うまくできたね」といいました。・・・・・そうして、何分かして、お父さんが「かえるよ」といったとき、プールに「さよなら」を心の中でいってかえりました。講評;かいぞくせんをみたあと、かえりぎわに、吉田君がプールにおわかれをいったところの描写(びょうしゃ)が、とてもよくかけていました。プールのできごとが、よほど、楽しかったのでしょうね。

みゆさん(あはみ/小2)の作文より(ももんが先生/6.2週)

  ぼくはさくぶんをかきおわったらつかれて、「はーあ」といきをはきました。評:「はーあ」の「ー(のばすぶぶん)」が、「つかれちゃったなあ...」というかんじをよく出していますね。このことばで、よむ人にけんたくんのようすがよく見える作文になりました。

友葵さん(あしも/小3)の作文より(スズラン先生/6.3週)

 この前、ピアノの先生の家に行ってみると、つばめのひなが四ひきいて、そのひながこちらを向いて、私の親ゆびの半分ぐらいの小さい口ばしをパカッと開けていました。評:えさをほしがっているつばめのひなのようすが良くわかりますね。

ニルスさん(あそな/小3)の作文より(スズラン先生/6.2週)

 雨はかみさまのなみだだそうです。ぼくは、おもしろいかんけいだと思いました。でも、かみさまは、すごいなきべそなんだと思いました。評:大雨の日は、神様が大泣きをしているのかもしれませんね。雨の日も、楽しい想像ができそうです。

ひろみさん(あちや/小3)の作文より(とも先生/6.3週)

 家はたいせつなものなんだなぁと、あらためて思いました。・・・評:長文を読んでわかったことがとてもしっかりまとめられているね。

すみすみさん(あない/小3)の作文より(はるな先生/6.3週)

 ・・・・みんなと家に帰って、家の外の階段の下まできたとき、いきなり、「バリバリ」と音がして、びっくりぎょうてんで傘を見てみた。するとそこには、ほねだけのかさがあった。そして、ビニールはどこかな? と空を見上げた。すると、そこには、ムササビのように、そら高くまいあがったビニールのすがたがあった。 講評;台風で、せっかくもっていった、ビニール傘が風にあおられ、空にまいあがったときのようすを、たとえをつかって、とてもユーモラスにくわしく説明できました。

夏美さん(あまか/小3)の作文より(かつみ先生/6.3週)

 Cが25mらくらくおよげる人…… 評:らくらく、というのが、とてもいいね。

ペンギンさん(しろ/小3)の作文より(かつみ先生/6.3週)

 もしぼくがつばめだったら海をわたるぼうけんだけじゃなくて山や森や世かい一しゅう空をきもちよくとんで大ぼうけんしたいとおもいます。 評:ゆめがひろがるようで、きもちのいい文章だね。

ひめさん(とけ/小3)の作文より(ふじのみや先生/6.1週)

 (ピカチュウ元気でチュウを)一回やっただけで、もう(ピカチュウと)オトモダチになりました。ふしぎです。☆きっと、ピカチュウもひめさんのことが気にいったのではないかしら? なかよくしてね。でも、ほどほどに。