http://www.mori7.com/ 1999年9月3週号 通算第632号 mori7@mori7.com

言葉の森新聞

文責 中根克明(森川林)

  来週、9.4週は清書です

  清書用紙には必ず生徒コードを入れておいてください。

 9.4週は、清書です。教室に通っている人は、これまでの作文を持ってきましょう。

 清書は、担当の先生の説明を参考にして、返却されている作文の中から自分でいちばんよいと思うものを選び、清書用紙に清書してください

 新しく教室に入ったばかりの人は、返却されている作文がない場合もあります。また、返却されている作文の中に清書するようなものがない場合もあります。そのときは、清書用紙に直接自由な題名で作文を書いて送ってください。

 この清書は、全員の分を11月ごろから順に掲載し、インターネットに掲載し、そのあと新聞社に送ります。インターネットに掲載する清書は、パスワードを入れないと見られないようにしてあります。

  9月15日(水)23日(木)は休みで宿題です

 9月15日(水)9.3週は休みで宿題です。教室は休みで先生からの電話もありません。言葉の森新聞のヒントを見ながら自分で作文を書いておいてください。なお、先生からの説明を聞かないとわかりにくいという場合は、別の日に教室に来るか、別の日に教室に電話をするかして説明を聞いてください。

 9月23日(木)9.4週も、休みで宿題です。清書の週ですので、担当の先生の講評を参考に清書を書いておいてください。これも、何を清書するかわかりにくいときは、別の日に教室に来るか電話をするかして説明を聞いてください。

  9月29日(水)30日(木)は休みです

 9月29日(水)30日(木)は休みです。この週は宿題はありません。

  本当に大事なのは国語力

 学校での勉強の目標は、ひとことで言えば受験におかれています。ですから、ここだけを見れば、受験に関係の深い英語・数学・国語の成績を上げることが勉強の中心的な課題のように見えてきます。

 なかでも、中学・高校受験では数学の出来が受験の結果を大きく左右し、大学受験では英語の出来が合否に大きく影響します。したがって、勉強の中心は英語と数学の力をつけることにおかれがちです。

 しかし、将来に生きる学力ということを考えると、英語・数学よりも、国語の力、特に読解力と表現力をつけることを重点におく必要があります。例えば乱暴に言うと、聖徳太子は英語も数学もできませんでした(笑)。しかし、読解力と表現力は十分にあったはずです。英語と数学が勉強の中心になったのは、日本では当然、明治以降のことです。

 英語と数学が受験勉強の中心になっているのは、英語の技能や数学的な考え方がその後の人生に役に立つからという理由ももちろんありますが、それ以上に、勉強の範囲が広く深いので試験問題を作りやすいからだという事情があります。

 例えば、高校受験の数学の中心となる図形の問題は、簡単に言えば知的なパズルです。やりだせば、ゲーム以上におもしろいものですが、そこで使われている頭は、仮想の空間の中でだけ通用するものです。同じように、英語をはじめとする他の教科の問題も、本質的にはクイズです。だから、「いやあ、お父さんは、もう卒業してだいぶたつから、勉強のことはわからないなあ」などと平気で言って暮らしていけるのです。

 しかし、卒業してからも確実に伸びる学力があります。それは読解力です。ある新聞社の調査によると、会社の役員から社員までに国語の読解力の問題を出したところ、点数は役職に比例したそうです。つまり、学校を卒業したばかりの人よりも、実生活で苦労を重ねてきた人の方が、読解力があるということです。

 受験のために英語と数学に力をさくことは当然必要ですが、将来に生きる学力ということから考えると、国語力なかでも読解力をつけることはそれ以上に大切だということがわかります。よく「勉強が忙しくて本など読んでいられない」という中学生や高校生がいますが、読書こそ最も力を入れる勉強なのだと考え方を変える必要があります。

 そして更に、勉強以外の能力にまで目を向ければ、読解力や表現力以上に大切なのが、よりよく生きようとする意欲だと言えるでしょう。

  光る表現コーナー 1999年9月3週号

アトラさん(あたそ/小2)の作文より(ミルクティ先生/8.2週)

 『バーベキューをしたこと』ほんものの山を見ながら食べたし、じぶんで火をおこして、つくってたべたから、きもちがよかったし、おいしかった。<評>思ったことを長く書けたね。しぜんの中で、くろうして作ったりょうりのあじは、さいこうでしょう!

セシルさん(あたと/小2)の作文より(とこのん先生/8.1週)

 空は青くて、気おんが三十五どぐらいです。あつい日にプールに入ってバッシャーンと音を立てておよげたのでさいこうでした。 評:気持ちよさそう〜! 真夏の青空の下、大きな水しぶきと波音を立てて、元気に泳ぐ様子が良く伝わってきますね。

ひかるさん(あなか/小2)の作文より(とこのん先生/8.1週)

 「(クワガタは)すいかとかたべるとげりをするんだよ」といったら、ゆかせんせいは「えっ」とかいったよ。わたしは、むしのせんせいになっているのかなっとおもいました。 評:はずかしながら昆虫を育てたことのない私。ひかるさんに昆虫についていろいろ教えてもらって勉強になりました!ほんとうに、ひかるさんのほうが先生みたいだったね。・・4

アミさん(あなほ/小2)の作文より(きょうこ先生/9.1週)

  「あめんぼが、私のつくった草のふねにのってたまごを生んでくれました。」草でふねをつくれちゃうなんてすごい! 水の上にぷかぷかとういて、ほんとにふねみたいだったんだろうね。あめんぼは、「おや、たまごを生むのにちょうどいいぞ!」ってすごくよろこんだのだろうね!

さるきちさん(あある/小3)の作文より(ゆり先生/9.1週)

 (ショウリョウバッタが)ときどき、とぶときに、「キチキチ。」と、音をならしてとぶことがあります。評:そんな音にも気がつくなんて、よくかんさつしてるんだね。はねがこすれる音なのかな?

しょうたさん(あたの/小3)の作文より(洋子先生/8.4週)

 「おにぎりを作るから来て」と、お母さんがぼくと弟をよびました。台所に行ったらお皿にごはんとさけがありました。「今日のお昼は、おにぎりだから、お母さんといっしょに作ろう。」とはなしかけました。ぼくは、初めてなので、うまくできるか心配でした。たぶん弟もぼくと同じ気持ちだと思います。評:楽しかったおにぎり作りのでだしのところです。出だしが「会話文で工夫」され、おにぎりをつくりはじめるところの情景が「いろいろのいった、たぶん」などのことばをうまく使って描写できていてすばらしいですね。

むっちゃんさん(あひほ/小3)の作文より(ももんが先生/9.1週)

 朝になると、命をもやした、ガなどの小さな虫が死んでいました。評:「命をもやした」というところがいいね。電灯の明かりが静かに消える明け方、同じように小さな虫たちも命の火を消してしまうんだね。

穂香さん(すよ/小3)の作文より(ゆり先生/9.1週)

 ある日、スズムシのメスがオスを一ぴき食べちゃいました。(略)まるで友だちとけんかしているようでした。評:一度にたくさんかっていると、とも食いしちゃうこともあるんだよね・・・。やっぱりけんかをしたのかなあ?

ハッピィーさん(せさ/小3)の作文より(はるな先生/9.1週)

 大きな角一本。わたしは、カブトムシをかったことがある。・・・・・・・。けれども、何日かして、オスが死んでしまった。「みつをのみすぎたのかな?」、と思った。土の中にもぐっているメスを思い出した.土の中でしんでしまっているんではないだろうか、と思った。少し土をほりだしてみると、メスがタマコロガシのような動きをとっていたから、おかしかった。でも、とってもメスが元気で、よかった、と、安心した。数日後メスを庭ににがしてやった。・・・・(講評);カブトムシの姿をいきいきと、表現した、とても印象的(いんしょうてき)なかきだしですね。きりふきで、土をしめらせたり、みつをいれてあげたりして、心をこめてお世話をしてあげた様子が、目に浮かんできます。オスと、メスの動きの違いを実によく、観察(かんさつ)できましたね。たとえの表現が、とても巧みで、メスの動きが、的確にあらわせました。先に死んじゃったオスを気づかってあげたことや、せまいところに、ずっといて、かわいそうだからと、にがしてあげたことなど、いきものにたいするあなたのやさしい心根が、じんじんつたわってくるようで、感動しました。

瑞季さん(てく/小3)の作文より(ゆり先生/9.1週)

 昼間には、せみのこえだらけでうるさいけど、夜になると、きれいなこえがきこえてくる。そっと耳をすませてごらん・・・。リーンリーンと小さなこえで、だれかをよんでるみたいに。評:とってもきれいな表現で、なんだかロマンチックな詩みたいですね。

栞さん(つて/小3)の作文より(とも先生/8.3週)

 (石けんのなかにばくやくと同じものが入っていると知って)石けんを作るとき、わたしはあぶないと思いました。なぜあぶないかというと、ニトログリセリンのグリセリンがあるからです。…評:長文で新しいことを知ると、いつも使っている石けんを見てどきどきしちゃうこともあるよね。

 (機械で木を切るとき)木のくずが雪のようにおちました。でも近くにいくとぴちぴちしていたいです。・・・評:雪のように見えても、本当は木だからいたいよね。おもしろい体験をしたね。

デジモンさん(てつ/小3)の作文より(ミルクティ先生/8.1週)

 「お母さん、これでいい?」「いいよ。」ぼくは、大きいおにぎりを三つ作りました。くふうしたのは、中に、うめぼしをいれてラップにつつんで形をととのえたところです。一番やりにくかったのは、うめぼしを、おにぎりのまん中にいれて、外から見えないようにすることでした。<評>会話の書き出しがじょうずにできたね。そうそう、うめぼしをちょうどまん中にいれるのは、けっこう、むずかしいよね。

弘将さん(やあ/小3)の作文より(ゆり先生/9.1週)

 クワガタムシの名前は、ノコノコです。おねえちゃんはクワちゃんとよんっでいるから、いつも、ちゅういを、しています。評:こうすけくんにもおねえちゃんにも名前をつけてもらって、クワガタムシはよろこんでいるかもね。

けろっぴさん(あちえ/小4)の作文より(ゆり先生/9.1週)

 ぼくは、だんたいのスイッチョの合しょうを思いうかべました。評:"だんたいのスイッチョ"ってそうぞうするとなんだかおもしろいね。にぎやかできれいな歌声を聞かせてくれそうだね。

淳一さん(あとは/小4)の作文より(洋子先生/8.4週)

 まだちょっと手がべたべたしている感じです。評:「動作情景の結び」の工夫がとても上手に入ってかけていていましたね!ご飯がたきたてだったのでしょうね。あまりの熱さに水をいっぱい手につけてしまって、おにぎりがびしょびしょでうまくまとまらなかったことがよくわかりましたよ。でも自分で作ったおにぎりは、とてもおいしかったようでよかったですね。がんばりましたね!

クジラさん(あなね/小4)の作文より(あかね先生/9.1週)

 「ママ、すずむしがないている・・」そしてママが、「あほんとだね」といいながらきいていました。はねをハートがたに広げてないていました。<終わり>(評)さいごに、すずむしの様子(動作・情景)をえがいて終わるところが、気がきいているね。

蘭子さん(あのし/小4)の作文より(スピカ先生/9.1週)

 わたしが学校から帰ってくるとき・・・・・・アゲハのよう虫がわたしの家に向かって来たのです。わたしは、びっくりしすぎて、急いで家に入りました。お母さんもキャーキャー言いました。(略)お母さんが「ら、らんちゃん横、横」と言ったのでよく見るとよう虫がのこっ、のこっとのぼっていました。わたしはもう「ギャーーー!」と言ってくつもぬがずに家の中へ入りました。 評:虫が苦手ならんこちゃんとご家族のようすがとてもユーモラスに書けているね。大さわぎしたようすがよくわかったよ。会話の表現もおもしろいし、よう虫が「のこっ、のこっ」というのがいいね。

大典さん(せと/小4)の作文より(きょうこ先生/9.1週)

  「そのクワガタは、まるでかいじゅうクワごんです。」すごい、本当に強そうな名前だ!! クワごんは今もきっと元気に活躍しているかな。

ちっピーさん(ちこ/小4)の作文より(ふじのみや先生/8.3週)

 そりゃ、わたしが海蔵さんのおかあさんだったら、それは悪いことだからおこります。でもそっからが海蔵さんの分かれめなのです。いい方に行くか、悪い方にいくかです。それでいい方に行って老人にもいい心になってもらったので二人ともいい心を心のおくの方にしまっていたと私は、思います。 ☆お母さんの言葉をきっかけにして、いい心の方に光がさしたのですね。こう考えると、しかられたことをまっすぐに受け止めるのは大切だとわかりますね。

友二さん(ふき/小4)の作文より(とこのん先生/8.3週)

 今井浜駅から、電車にのっていたら海でずっと遊んでいて、体が波に押されるかんしょくが残ってしまいました。 評:楽しい一日が終わることへの名残惜しさと、心地よい疲労感。夏休みのよい思い出ができました。

 川についたら、のどがすごくかわいていたので、水をゴクゴクのみました。 評:険しい山道を一生懸命歩いてたから、喉が渇いたんだね。「ゴクゴク」と勢い良く飲むようすから、喉がずいぶん渇いていてのだということが伝わりますね。

イフリートさん(らよ/小4)の作文より(ミルクティ先生/9.1週)

 ハイキングコースは、とてもつらくて、休けいした数三回。それでついたときには、みんな、足ががくがくでした。<評>「足ががくがく」という言葉で、とても大変なコースだったことが、よく伝わってきたよ。

スッパマンさん(あうさ/小5)の作文より(ひまわり先生/9.1週)

 僕も、空中をとんぼのようにすばやく飛んでみたいなと思った。評:気持ちがいいだろうね。

友紀さん(あおる/小5)の作文より(かつみ先生/8.4週)

 キョロロリーリーリーリー、キョロロリリリリリー、 評:虫の音、オリジナルな表現だね。

 私のいる六かいにひびきわたるその音は、上からも、横からも、下からも聞こえる。その上、コオロギの死体まで見つけてしまった。 評:地面にいるイメージががらがらとくずれたね。

史弥さん(あてろ/小5)の作文より(ふじのみや先生/8.2週)

 十人十色ということわざがあるが、金子みすずさんは、私と小鳥とすずという詩をつくった。その詩は、みんなちがってみんないいという詩なのだ。 評:ことわざと詩を結びつけ、工夫した主題を書けました。教科書でこの詩を習ったことを思い出したのかな?

ミッキーさん(けく/小5)の作文より(かつみ先生/9.1週)

 「チョコッ」ある物が、私の手の上におちた。 評:答えは、小さい小さい、とんぼのうんち。見た事ある人、なかなかいないよね。

ゆかちゃんさん(さあ/小5)の作文より(ゆり先生/9.1週)

 (祖父と祖母)二人とも、しゅみはちがうが、同じ楽しみをもっていると、私は思う。私も、なにか、しゅみをもちたいと思う。評:二人のしゅみの内容はちがっても、しゅみを楽しんでいるすがたがステキだと思ったのですね。うまくまとめられていますよ。

亜耶さん(ちて/小5)の作文より(ももんが先生/9.1週)

 わたしの住んでいる所は、空き地が少ないのでとんぼはあまり飛んでいないけれど、たてしなには、全部つかまえたら虫かごが何こあってもたりないぐらいいたので、びっくりした。評:とんぼの数の多さを、虫かごを使った楽しいたとえで書けました。ただ「多かった」だけだと、作文を読んでいる人も「ふーん、そうなの」で終わっちゃいそうですが、あやちゃんみたいに書くと「どひゃ〜あ! すごかったんだあ」と、驚きが伝わることでしょう。

みかんさん(つろ/小5)の作文より(ふじのみや先生/9.1週)

 辺りは、しーんと静まりかえっていて、そのコオロギだけが、「リーリーリー」と鳴いていた。私が"つかまえろ"という思いをこめて母の目を見ると、母の目は"できるの?"と言っていた。 評:静けさをこわさないように、目で会話する親子。そ〜っと、そ〜っと、近づいていって…さて、みなさん、この後どうなったでしょう。

しっぽさん(ほし/小5)の作文より(みち先生/8.1週)

 (給食のあまったご飯をみたて)「おむすびをつくりたい人、いる」と言った。その時私はまだ一年生で、ただの「好奇心」のかたまりだった。(中略)そんな私が反応しないわけがない。すぐにさっと手を挙げた。(中略)さっそく握ってみた。クニクニと変な音がしておもしろかった。形が三角(?)になったらサランラップをはずした。一瞬、二十日ねずみが出てきたのかと思った。やわらかくて、あたたかくて真っ白だったから.よく考えたうえて行動しなかったため、しっぱいしてしまったことがある。(中略)学校内ではやってはいけないというおにごっこをやってしまった。(中略)このように、よくかんがえない私は、考えることが嫌いというわけではない。でも考えるのは、勉強の時ぐらいしかない。やっぱり、考える習慣をつけようと思った。評:勉強で考えることを学んで、考えることが自然に身に付いていくといいですね。

宮淳さん(あたつ/小6)の作文より(かつみ先生/9.1週)

 先生の声がだんだん「ここはリーンこうリーンなってリーン」とかすれて聞こえてくるほど、なきやまない。 評:そうとううるさかったんだね。ユニークな表現をしてくれました。

圭亮さん(あにて/中1)の作文より(ふじのみや先生/9.1週)

 人は社会システムに生かされているのである。もし、社会システムが無ければ食料は自分で取ることになり生きることに精一杯となることになる。そして子供も気楽に生きてはいけない。 評:食べ物が簡単に手に入るのは、大人も子供も社会システムの一員だからですね。

海犬さん(うせ/中3)の作文より(ふじのみや先生/9.1週)

 人間にとって必要でない物が、人間にとって必要な物を作りあげている事が多い。 評:洞察力を感じさせる考え方です。確かに、資源は動物や植物の賜物ですね。ほとんど意識することはありませんが・・。