言葉の森新聞2003年12月2週号
文責 中根克明(森川林)

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■■毎日の自習をどう続けたか
 11.4週の言葉の森新聞に「父母の広場」の投稿「読書ができるようになりました」を掲載しました。その続編です。
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 気軽に書いたのですが、沢山のコメント・アドバイスをありがとうございました。半年続けた、と書きましたが、毎日できるようになるまで3ヶ月かかりました。ひどいときは週2回読むのがやっとで、長文音読に沢山つっかえて子供が泣いたり、すったもんだがありました……。しかし、TVゲーム購入をきっかけに家族でルールを作り、父親も全面協力してくれ(朝の学習は父親がほとんど見ています)、朝の良い習慣を作ることができました。より取り組みやすいように、課題フォルダを兄弟別の見開きファイルに入れて食卓から手の届くところに置いたり、1度読んだらシールを貼って何回読んだかわかるようにしたり工夫してみました。毎日の継続は、親の姿勢にかかっているんですね。自分の子供の頃を思い出しても、親から「やりなさい」と言われただけでは毎日なんてできません。親が一緒に、怒らず楽しくやってくれるなら、きっと子供も楽しんで学習できると思います。これからも、このペースを保ちながら、親子で長文・短文を楽しんでいきたいと思います。
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 これを読むと、お父さんの協力というのはかなり大切だとわかります。作文の勉強をしていると、いろいろな時期にスランプに陥ることがあります。そのときに、お父さんが協力的だと、がんばって続けられることも多いようです。
 たぶん、父親というものは(私もそうですが)なかなか動き出さないかわりに、いったん何かを決めて動き出すと、今度はなかなか止まらなくなるという性質が母親よりも強いように思います。イノシシみたいですが。この継続性ということが子供の教育にはプラスになるのだと思います。


■■投票を続けてほしい
 「父母の広場」に、小3と小2の父母の方から「投票を続けてほしい」との投稿がありました。
 投票は、生徒どうしの交流を図るために行っていましたが、月1回の投票で自分を含めて約6名の清書が掲載されていると、自分に投票する生徒が多いため投票の結果にあまり意味がなくなっていました。その一方で、自分に何票入ったかを気にする生徒が多く、関心の高さと投票結果の持つ意味の間に開きがある状態が続いていました。そのため、10月から、清書の作品は掲載するだけにして、その作品に対する投票はしないことにしました。
 今後、よりよい投票の仕組みができれば、再度考えていきたいと思います。


■■私の音読体験――森をみて木もみる
 12.1週の学級新聞から、馬場(ばんば)先生の書いた記事を紹介します。
○音読との出会い
 私が通っていた高校は進学校でした。毎年春になると、受験を勝ち抜いた先輩たちの「合格体験記」なるものを集めた本が学校で配られます。ちょうど私が高校3年生の時、その本にこんな勉強法が紹介されていました。英語の長文を辞書をひかずに最低3回音読し、それから辞書をひいて和訳、そしてまた音読。
 当時スランプに陥っていた私は半信半疑で手当りしだい入試問題と英字新聞の英文を音読してみました。とりあえず毎日。するとどうでしょう。一ヶ月後、模擬試験で英語長文の大意がつかめるようになったのです。どういう感じかと言いますと、英語が英語のまま頭に入ってくる、つまり母国語に近くなったような感覚でした。
 英文の大意がつかめれば、あとはしめたもの。知らない英単語の意味も推測できますし、難しい文法がくみこまれた英文の和訳もできます。これでかなりの実力がつきました。それ以前の私の英語の読み方は、辞書をひきながら一文ずつ和訳していく方法でした。これでは細部にとらわれて文章全体の意味がつかめず、そのために設問の正答率もあまりよくありませんでした。木を見て森を見ず、という状態です。しかし音読によって頭の使い方が大きく変わりました。森を見ながら木を見る、さらには森を見ながら木を見て再度森を見る、という感じでしょうか。

○音読の恩恵
 これは大学入学後、そして大学院での研究にも役立ちました。海外の研究者の膨大な論文、著作物を読まなくてはならないので、いちいち辞書なんてひいていられません。
 また、大学院入試でも役立ちました。私の受験科目は英語とドイツ語でした。ドイツ語は非常に難しい言語ですが、これも入試問題と新聞の音読を毎日続けたおかげで首席合格しました。自慢みたいですが、自慢です(笑)。さらに博士課程在学中には大韓民国(梨花女子大学)交換留学のための試験(韓国語)を受験しましたが、やはりこれも音読でのりきりました。音読による学習法だったために、留学後すぐに韓国人と間違われるほどに韓国語を話すことができました。音読バンザイです。
 私の音読体験は外国語メインですが日本語も同じです。みなさんもこうしてどこかで自慢できるように(笑)、毎日音読を続けていってください。


■■作文小論文の自動採点ソフト(その2)
 アメリカのソフトの弱点は、複雑な数式を用いていることです。多種多様な尺度に複雑な数式を組み合わせて計算した結果を、人間の手による評価と照らし合わせて、食い違いのより少ない変数の組み合わせを見つけるというやり方です。一見、緻密で科学的なアプローチのように見えますが、ある意味では何も考えていないやり方です。
 この複雑で難解に処理したデータを大量に回帰させる方法、略して複雑回帰法(笑)のもたらす結果は、評価が評価のためだけになされてしまうということです。コンピュータがはじき出した結果を見ても、教師は生徒に、コンピュータが出した以上の具体的な指導ができません。評価自体が目的となる入学試験の中でこのソフトを採用することには意味がありますが、教育の場で指導を目的とした評価に使うためには、この複雑怪奇さは、人間の解釈を阻む役割を果たしているのです。
 昔、コンピュータが世の中に出始めたころ、「コンピュータが出した結果だから」という説明があたかも確かな裏付けであるかのように使われた時期がありました。今は、コンピュータが出した結果を鵜呑みにする人はいません。その結果のもとになるプログラムがどういう価値観とアルゴリズムで作られているかということこそがより重要であるとわかってきたからです。しかし、アメリカのソフトは、この同じ誤解をもう一度繰り返しているように見えます。
(つづく)


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