言葉の森新聞2004年3月3週号 通算第831号
文責 中根克明(森川林)

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■■3月20日(土)は休み宿題
 3月20日(土)は休み宿題です。
 先生からの電話はありません。その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前8時半〜午後8時。電話0120-22-3987)


■■父母の広場より

国語が苦手 小1母(父母の広場より)
 本読み、本を読んで理解していくことがまだ上手く出来ません。早く上手くなってほしいと今頑張っているところです。特に力をいれていくことがあれば教えてください。

毎日続けること、褒めること(教室より)
 コツは、(1)毎日続けること、(2)いつも褒めること、です。二つとも簡単そうに見えますが、実はかなり難しいものです。夕方お母さんが忙しかったりくたびれていたりすると、つい子供に自習をさせることを忘れてしまいます。一度言っただけで実行できる子はいませんから、お母さんが言わなければ子供も忘れてしまいます。これは決して忘れた子供が悪いのではありません。言い忘れないようにするためには、お母さん自身が目覚まし時計を自習の時間にセットしておくなど固い決心をして取り組む必要があります。親稼業は大変です。(笑)
 褒めるというのは、子供が長文などを読んだあとなどに一言声をかけてあげるということです。「上手に読めるようになったね」「こういう難しい長文をよく読めたね」という一言です。このように声をかけてあげると、子供の読み方はどんどん上手になっていきます。注意をせずに褒めるためには、親自身が余裕を持つことが必要です。


漢字を使わない 小2父母(父母の広場より)
 習った漢字をなかなか作文の中で使おうとしません。毎回の添削では、先生からご指導はあるのですが、キーワードを意識して作文を書くことだけで精一杯のようです。けれどもやはり漢字を使えるように何か工夫をしていただきたいと思うのですが。(ポイント制とか……)

今できているところを評価して(教室より)
 気持ちはわかりますが……。真面目なお母さんや先生ほど、子供の作文のできているところは褒めずにできていないところを直そうとします。漢字の例ではありませんが、字数でよくこういう場面があります。
 子供が先生やお母さんに褒めてもらいたくてすごく長く書くことがあります。低学年のころは長く書くことがよいことだという観念が強いのでどの子もがんばるときには長く書こうとします。そして、書き上げた作文を意気揚々と先生やお母さんのところに持ってきて見せたときに、「いくら長くても、こんなに字が雑ではね」とか「長くてもひらがなばかりじゃない」などと頭から注意されたら、子供はどう思うでしょうか。たとえその注意が善意から出たものであっても、こういう対応をされると、子供は作文を見せなくなります。
 ですから、キーワードを意識して書いているなら、そのキーワードでがんばっているところをたくさん褒めてあげることが大切です。 漢字を使うように指導する場合は、書いたあとに言うのではなく、書く前に、「それでは、これから漢字を使うことを目標にしていくからね。そのかわり、字数は短くなってもいいから、今日は習った漢字を全部使うようにがんばろうね」と言ってから書かせます。そして、書き終えたら、「わあ、すごい。こんなに漢字を使って書けたんだ」とたっぷり褒めてあげることです。間違ってもこのとき、「確かに漢字は使えたけど、字数がこんな短くちゃね」などとは言わないことです。(笑)


■■馬場先生の本「塾・家庭教師の選び方」3月20日発売
 馬場先生の「知らないと損する 塾・家庭教師の選び方」(ふきのとう書房 1300円)が3月20日から全国の書店で発売されます。
 タイトルは次のようになっています。
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第1章 学校以外に学ぶ場を求めることの意味
 多様な学ぶ場、多様な講師 良い講師と出会うことの重大性 なぜ我が子を他人に預けるのか 先生なんて誰でもなれる
第2章 現場の裏側という現実
 裏側の本音――家庭教師の場合 プロ講師はプロか 裏側の本音――塾の場合 塾選びはエステ選びと同じ 価格破壊 家庭教師派遣というワナ
第3章 どれを選ぶか、それが問題だ
 オールマイティなものはない 目的と相性を基準に 「入塾説明会開催!」という文句に焦らない 夏期講習がチャンス! 大学受験は独学で可能 そこには惚れる講師がいるか できる生徒だけを教えろ
第4章 塾
 塾も千差万別 やはり目的と相性 有名だからOK? 個人経営の塾 実績の実態 合格体験談にまどわされるな こんな塾は避けたいチェックポイント
第5章 通信教育
 独学プラスアルファではない どこの通信教育がいいか 講師のレベル 多様化した形式 作文・小論文こそ通信教育で 通信教育で成功するコツ
第6章 家庭教師の選び方
 面接はじっくりと けっきょくは相性 指導が始まったら 理想の講師とは? 家庭教師をどこで探すか
第7章 トラブルにあったら
 トラブルの例 毅然とした態度でNO! トラブルを避けるために
第8章 人生の伴走者として
 生き方を教えてくれた恩師 前向きになった子どもたち 母親が変わると子どもも変わる 講師は伴走者にすぎない
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 馬場先生自身の豊富な経験をもとに書かれているので、これから塾選び・家庭教師選びをする方には参考になると思います。
 教育に必要なのは、出会いと感動なのだということを痛感させられる本です。
<ふきのとう書房>
http://www.fukinoto.co.jp/index1.html


■■「ネタぎれ」について(ふじ先生の学級新聞から)
春が近づいてきました。 『春を感じたこと』の題名で作文を書いたことのある人もいるでしょう。 私が最近、「春だな」と感じるのは、飼っているペットがそわそわワクワクする気配を感じるとき。 電話のうしろで、クルクルと鳴いている声を耳にした人もいるでしょう。 「何か機械が動いているのですか?」と、質問した人もいましたね。 機械ではありません、動物の本能の声なのです。 もともと、単独行動をする性質なのですが、春になると家族がほしくなるのか、せつなそうな声で「クルクル、ホロホロ」と一日中鳴き続けることがあります。 あまりにもにぎやかなときは、しかたなくパソコンと電話を持って、ろうかから電話をすることもあるのです……寒いです(゚ε゚)
<<え3563み>> ところで何の動物なの?……それはみんな、知っていますよね。

さて、今回は、「ネタぎれ」についてお話をしましょう。 ここでいうネタとは、つまり作文・感想文の題材のことです。
 感想文を書くとき、自分にもあった体験や前の話を思い出して書きますね。 しかし、どんな長文が出ても「私(ぼく)にもにた話があります」と書けるとはかぎりませんね。 どちらかというと、「そんなこと、全然なかった」ということのほうが多いかもしれません。そんなときは、そう、家の人に聞けば、何か教えてもらえるかも。でも、まず、自分自身にたずねてみましょう。

<<え2800み>> 「私にはそんなことは一度もなかった」→おしまい。
<<え2979み>> えっ、もう終わり? まだあきらめないで!

<<え2806み>> 「私にはそんなことは一度もなかった」→「そのかわり、反対のことならある」
<<え2979み>> なるほど! こんなふうに、反対のことを書いてみてもいいし、

<<え2799み>> 「私にはそんなことは一度もなかった」→「どうして同じことが起こらないのだろう」
<<え2979み>> これは意見を深められそう。こんなふうに、どうして違うのか考えてみてもいいですね。

 長文に取り上げられているテーマは、当然ですが、すべてこの世界のどこかで起こったことをもとに書かれたことです。 物語の世界のこともありますが、そこに出てくる動物や人間のすがたは、あなた自身でもあるし、となりの人のことでもあるのです。ですから、じっくり考えるとどこかにかかわりを探せるはずです。
 かかわりを探すには、ねばり強さと考えかたのやわらかさが必要です。
ねばり強さは、ねばり強く何度も(笑)練習していくうちに身についてきますが、考え方のやわらかさをつくるのは、自分ひとりだけではなかなか難しいようです。それは周囲の人の、「おもしろいね。よくそんなことを思いつけるなぁ」という声が育てる部分も大きいのです。 たとえ、すこしポイントがずれていても、頑張って探した体験やよく似た話(=ネタ)は、考えの守備範囲が広がった成果だと思って、幅広く受け止めていきたいと考えています。


■■「粋(いき)」(さらだ先生の学級新聞から)
 日に日に春に近づいてくるね。世界は明るくなっていくなあと思いつつも、あまり寒ーい冬を今年は味わっていないような気がしてなんだか寂しい気がします。先生は寒いのがきらいなのですが…。(笑) 楽しみな春休みや新学年が待ってるね。

 先日先生は、子どもにせがまれて買ったDVD、ジブリの「平成狸(たぬき)合戦ぽんぽこ」 を家で見ました。みんな見たことある? おもしろいよね。先生も前に2,3回見たことがあるんだけど、今回はまた一味(ひとあじ)ちがった感想をもちました。語りをしている落語家の古今亭 志ん朝さんが亡くなってしまったから、よけいにこの語りがすばらしく思えたのかもしれませんが…。 この志ん朝さんの語りはむずかしいことばや、また意味深いことばもいっぱいなんだけれど、とっても気がきいていて、独特(どくとく)のリズムにのって心に入ってきました。ここちよい音楽を聞いているようでした。

 「粋(いき)」 ということばを聞いたことあるかな? 「粋な人」とか「着物を粋に着こなして」 などと使ったりします。着ているもののかっこうや、やりかたが気がきいて
見えるようすを「粋」 といいます。まさしく志ん朝さんの語りは「粋」でした。でもこの「ぽんぽこ」 という作品自体が「粋」 なのかもしれません。さいごにぽん吉が言うことばはすべてを語らずとも、見ている人たちにずっしりと残ります。大きな問題を投げかけながらも受け止める者が重くならないよう、さらっと言いのけています。まさしくこれも「粋な」 言い方です。まだ見ていない人、ぜひおすすめです。

 ここで海外からのお話。先生は主人の仕事の関係で3年半ほどシンガポールで暮らしていました。そこで大好きなイタリアンレストランがありました。そこはけっこう広いおしゃれなお店で、いつもこんでいました。ある日、先生の家族もたくさんの人たちも、がやがや楽しそうに食事をしていました。そのとき、「ガッシャーン!」 とお皿がわれる音! みんな一瞬しずまりかえって「シーン!」 そのときどこからか「パチ パチ」 と手をたたく音。それが一つ二つとふえていき、そのレストランのスタッフがみんなでお皿をわってしまったウエイターさんに拍手を送っているのです。わってしまった彼は、はずかしいようなうれしいような複雑(ふくざつ)な表情でみんなの拍手にこたえていました。気まずい空気など少しも残さず、それからみんな楽しい食事にもどりました。とっても気がきいているでしょ。海外の「粋なお話」。

 みんなが書く作文の中でその人の「粋な」 部分が出せるのはどこかなあ? なんて先生考えていました。2つ見つけたんだけど、1つはみんながいつも作ってくれる【たとえの表現】 「まるで……のよう」 の文です。みんなじょうずに作るよね。「お父さんはまるでさるのようによろこびました。」 とかね。この【たとえ】が入ると、やっぱり一味ちがうよね。それからもう1つは、4年生ぐらいから出てくる【動作情景の結び】。これはむずかしいけれど、作文の結びを「思いました」のような平凡な書き方ではなく、動作や情景で結んでいくことです。たとえば「ぼくは思わずかけ出した。」 、「校庭には秋の夕日がさしていた。」 というような文です。かっこいいでしょ? これが入るとやっぱり気がきいた作文になるのよね。ちょっぴり気恥ずかしかったりするけれど、「粋」 をめざしてトライしてみてください。「おお!」 なんて先生をびっくりさせてくれるのも気がきてるよね。
<<え1444み>>


■■ポジティブ・エネルギー(じゅん先生の学級新聞から)
            <<えa/2520み>>

 ポジティブ・エネルギーとは、明るく前向きな力ということです。どんなときにもこのポジティブ・エネルギーを持ち続けることはとても大切なことです。何かがうまくいったときは、自然にポジティブ・エネルギーが湧き出てくるものなのですが、本当はそうでないときこそこの前向きのエネルギーが必要なのです。
 毎日は楽しいことばかりではありません。忘れ物をして先生に注意されたり、友達とけんかをしてしまったり、テストで悪い点をとってお母さんに叱られたり、私たちの心にダメージを与える出来事は決して少なくはありません。でも、どんなときでもポジティブ・エネルギーを忘れずにさえいれば現実に圧倒されて、前に進めなくなってしまうようなことはないのです。
 思わずため息をついてしまうこともあるかもしれません。友達の悪口を言ってしまうこともあるでしょう。悲しい出来事に泣いても泣いても涙が止まらないこともあるでしょう。「どうせ自分なんて。」という後ろ向きの気持ちになってしまうこともあるかもしれません。でも、そんなときこそ心の底に誰もが持っているポジティブ・エネルギーを引き出すときなのです。

            <<えa/2521み>>

 そのポジティブ・エネルギーをいちばん簡単に引き出す手段は言葉です。何気なく交わす会話や私たちが書く文章の中にポジティブ・エネルギーを込められたら、そのエネルギーは自分にも受け手(読み手)にも伝わります。
 作文に書く題材は明るい話題ばかりとは限りません。泣いてしまったこと、病気になってしまったこと、友達とけんかをしてしまったことなど、何を書いてもいいのです。長文の感想文では、もちろん、人間の弱さや社会の腐敗がテーマになっている場合も多くあります。暗く悲しい事実に目をつぶって、明るく楽しいことばかりを書く必要はありません。忘れたいような出来事も、社会の暗い一面も、避けて通ることはできないからです。事実は事実として受け止め、その上でその出来事や問題を明るく解決していこうという姿勢が大切なのです。
 幸いなことに、先生は、みなさんの作品からいつも大きなポジティブ・エネルギーをもらっています。友達とけんかをしてしまったけれど明日は仲直りをしよう、病気になってつらかったけれど今日は元気に学校に行かれてよかった、たくさん泣いたけれどその涙が自分を成長させた、そんな作文にはポジティブ・エネルギーがあふれています。目標達成のための熱意を忘れずにいたい、自分たちの手で未来を築いていきたい、広い視野で物事を考えられるようにもっと多くのことを学びたい、そんな意見文からは若いパワーが伝わってきます。

            <<えa/2519み>>

 気分を切り替えて前向きになる、失敗を乗り越える勇気を持つ、苦しい経験からも明るいメッセージを受け取る、そんなポジティブ・エネルギーをいつも忘れずにいたいと先生は思いますし(実はとてもむずかしいことなのですが)、みんなでそんなエネルギーを広げていくことができたら、明るい世の中になるに違いないと思っています。単純ですが。(^^ゞ
 だから、言葉を使うときにはポジティブ・エネルギーのことを思い出してください。特に言葉の森の作文を書くときは(笑)、明るく前向きな気持ちで書いてください。ポジティブ・エネルギーとは、特定の誰かに与えられた力ではなく、誰もに平等に与えられた力であることを忘れずに。そしてその力は、泉のように尽きることがないということも。

                                        <<え29み>>


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