言葉の森新聞2004年4月2週号 通算第834号
文責 中根克明(森川林)

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■■2月の賞状を同封
 2月2週の進級試験で、字数が規定以上、構成・題材・表現・主題の4項目のうち3項目が◎で1項目が○以上、の人には認定証を同封しています。字数賞・自習賞・作文賞・皆勤賞は、金賞10クラウン、銀賞5クラウン、銅賞1クラウン、賞外0クラウンです。認定証は銅賞と同じ1クラウンです。
 金賞は点数の上位10%、銀賞は10〜20%、銅賞は20〜80%。それ以外は賞外です。

 それぞれの賞で点数がなかった人や、2月2週に在籍していなかった人には、賞状は入っていません。


■■皆勤賞を追加
 昨年の4月1週から今年の2月4週までの11ヶ月間で出席の多かった人に皆勤賞を出しました。
 次学期は、昨年の7月1週から今年の5月4週までの11ヶ月間での皆勤賞となります。現在の時点の皆勤賞は、ホームページの「賞状の山」で見ることができます。


■■賞品の引き換え
 「50クラウン」で、ひとつの賞品と引き換えできます。山のたよりの右上に印刷されている自分のクラウン数を確認して、申し込んでください。クラウン数の足りない人は、次の引き換えのときに、申し込んでください。あまったクラウンは、(または、使わなかったときは)次の賞品引き換えに使えます。
 「賞品引換券」に全部記入して、先生宛に作文と一緒に送るか、言葉の森宛に送ってください。賞品の数に限りがありますので、第2希望まで書いてください。第2希望の記入がない場合は、こちらで選ばせていただきます。
■賞品引き換え券
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生徒コード____お名前____________学年___年

第1希望(賞品品番号と賞品名)_________________

第2希望(賞品番号と賞品名)_________________

− − − − − 切 り 取 り 線 − − − − − −
※賞品引換券は、同じような形式で封筒用紙に書いていただいても結構です。
※賞品引換券は、ホームページの「賞状の山」のページから送ることもできます。

 賞品のカラー写真はホームページの「賞状の山」に掲載されています。
Http://www.mori7.com/yama/syouhinn.php


■■「『本当の学力』は作文で伸びる」
 「『本当の学力』は作文で伸びる」(芳永奈雄 大和出版)という本が出ています。本の帯に「親・教師必読 全国で脅威の実績! 喜びの声が殺到!! 短期間にすべての教科で成績がアップした子が続出」「たった1日で偏差値が42から70になった高校生も誕生!」と書いてあるので、思わず買ってしまいそうになります。思わず買ってしまいました。(笑)
 内容は参考になることがたくさん書いてあります。
 受験勉強で詰め込みの知識を覚えるよりも、自分で考える時間を作った方が頭がよくなるというところは大いに賛同できます。しかし、作文がそこで万能の役割を果たしているかのような記述にはやや疑問が残ります。確かに、言葉の森でも、作文の勉強を始めて突然成績が伸びたという子がいます。きわめて短期間に国語の成績が急上昇という例もあります。しかし、それはすべての生徒に当てはまるわけではありません。作文力が学習のネックになっていた子が、たまたまそのネックの部分を解決したために全体の学力が向上したということです。作文の勉強がほかの教科にもいい影響を与えることが多いというのは事実ですが、どの子にとっても劇的な効果があるわけではありません。
 この著者の塾では、親も協力する形で1週間かけて材料集めなどの準備をしてから作文を書くそうです。これは、とてもいい方法です。言葉の森でも、感動のある章を書く子には、親の協力があります。「たまごやきを作ったこと」などという題名のときは、親子でしっかりたまご焼きを作って準備をしているというような家庭の子は、作文も力作で、毎週書くたびに実力がついていることが感じられます。
 この塾の楽しく書くという方針も、賛同できるところでした。子供たちは、のびのび生き生きと表現したいと思っています。言葉の森でも、子供たちは、書き出しの工夫をしたり、たとえを使ったり、ダジャレを書いたりすることで、表現の楽しさを味わっていきます。世間にある多くの作文指導は、誤字がなくしたり、下手な表現を直したりすることに力を入れているために、子供たちの書く意欲をかえって阻害しているようですから、この「楽しく書く」ということは、もっと強調されていいと思います。
 しかし、この本に書かれている指導法は、それほど特別なことではありません。全国の学校で優れた作文指導をしている先生は、こういう指導はしているはずです。そして、そのクラスでは、作文を書くのが好きな子が次々と生まれていると思います。しかし、それらの先生は、その作文指導の意義は確信しながらも、そこで培われた作文力がすべての教科に波及するかのような万能論は持っていません。話はそれほど単純ではないからです。
 言葉の森が、この本に書かれている作文指導と違っているところは二つあります。
 第一に、言葉の森では、作文力を国語力の土台ではなく頂点だと考えています。言い換えれば、作文力は原因ではなく結果だということです。国語力は、作文力に典型的に表れます。しかし、作文そのものを直すことによって国語力を直すことはできません。国語力の土台となっているものは、読む力です。読む力をつけることによって国語力がつき、それが作文力に反映するというのが学力の構造です。言葉の森では、長文音読などの自習指導に力を入れていますが、これは毎日の読む学習に支えられて初めて書く学習が進歩するということがこれまでの経験からわかっているからです。
 第二に、これは日本における作文指導全体に共通することですが、著者の塾での作文指導は、小学校3、4年生がピークになっていて、その後の指導の発展がありません。日本の作文指導は、伝統的にミニ文学指導になる傾向があり、その文学も日本のこれまでの伝統を反映して日常生活の実感を重視した自然主義的な文学になる傾向があります。これが、作文指導が小学校3、4年生でピークになる大きな原因です。言葉の森の作文指導は、小学校3、4年生でも一つのピークがありますが、その後、小学校5、6年生でも新たなピークがあり、中学3年生でも新たなピークがあり、高校3年生でも新たなピークがあります。それぞれのピークごとに指導の重点が違ってきます。
 以上のような小さな違いはありますが、作文の意義を本物の勉強として強調している点で著者の芳永さんの見解にはほぼ全面的に賛成できます。同じような本がこれからも続くことを期待しています。


■■「調べた話」で新しい発見(いろは(いた)先生の2月学級新聞より)
 2.2週は進級試験でしたね。感想文が課題となる初めての試験でしたが、みんなよくできていましたよ。小学校5年生の長文は「チョウチンアンコウ」についてでした。先生も指導の前には長文の内容を「調べ」ています。そこでこの「チョウチンアンコウ」とてもおもしろい魚だということが分かったのです。「深海魚」ということは知っていても「オスがメスに寄生して暮らす」魚だと知っていましたか? とてもうれしくなって生徒一人、一人に教えてみました。(パソコンの受け売りだけどね)すると男の子は「すげ〜」「うえ〜」と声にならない声を発し、女の子は「やっぱり女の方が強いんだ」(そうなの?)とか「なんだかみじめ〜」(そうきたか)という感想でした。(笑)
そしてみんなの感想文を読むとこれがまたおもしろい! 

☆(複数のオスがメスに寄生するということを調べて)「これが人間だったら、うわ気ということでそく離婚になるだろう」/Mくん(た  いへんだ!) 
☆チョウチンアンコウ亜目は寄生してもチョウチンアンコウ自体は寄生しないという新事実を先生に教えてくれた有紀ちゃん。(オス一匹で 生活していたチョウチンアンコウさんごめんなさい……)
☆(チョウチンアンコウを水族館で育てるということ受けて)「人間の動物たちにしてきた扱い」という広い視点で考えたミスターくん
☆(チョウチンアンコウが光る現象を)「熱帯魚のようにあざやかな色を持たない深海魚たちは、光ることで気持ちをあらわしているよう  だ。」とするどい指摘をしてくれたわたくん。
☆(オスよりメスが生物界では強いということを受けて)「人間の女性ももっとがんばってほしい」とはっぱをかけてくれたすずらんちゃん (がんばろうね!)
            <<えa/1417み>>

 おもしろいでしょう? 同じ文章を読んでいるのに全く違う内容になるんですよ!「調べた話」は実はとても感想文をおもしろくするものです。そして自分が気づかなかったことを知るチャンスです。先生は言葉の森をしていて本当によかったと思うのは自分だけでは気づかなかったことをみんなが教えてくれるからです。
 これでなんとなく、「おもしろい内容を書いてみよう!」という気になりましたか? 先生に「教えてあげよう」という気にもなるでしょう? みんなの調べた話でおもしろいものはまだまだたくさんあります。全部紹介したいのに、今回はできません。これから少しずつ書いていきますね。
            <<えa/1417み>>]


■■教養あるノラ猫(スピカ(かも)先生の2月学級新聞より)
<<え526み>>
 「ルドルフとイッパイアッテナ」という本を知っていますか? 続編に「ルドルフともだちひとりだち」「ルドルフといくねこくるねこ」があります。NHKの番組で、毒蝮三太夫さんが朗読したのでも有名になりなした。ルドルフという黒猫と「教養あるノラ猫」イッパイアッテナの友情物語ですが、私はこの物語が大好きで、まだ読んでいないという人を見つけてはすすめています。(笑)
 「小学校中級から」ということですが、低学年でも、読み聞かせなら充分理解できるお話ですし、もちろん大人でも楽しめる本です。
 この本のキーワードは、ずばり「教養」だと私は思っています。小学校2年生の私の娘は、この本で「教養」という言葉を覚えました。意味を理解したかどうかは怪しいですが、とにかく言葉を覚えたのです。イッパイアッテナは言います。「黒ネコさんがえんぎがわるいなんて迷信だ。そんなことをいまどき信じているのは、教養がねしょうこさ。」「」「おめえ、このあいだの夜、字が読めないブッチーをからかっていただろう。ああいうことをしてはいけない。おれは、ああいうことをさせるために、おまえに字をおしえたんじゃないからな。ちょっとできるようになると、それをつかって、できないやつをばかにするなんて、最低のねこのすることだ。教養のあるねこのやるこっちゃねえ。」……
娘の中では今のところ、教養とは、イコール「イッパイアッテナ」ですから、それは「かっこいい」もので、「たくさん勉強することが必要」で、「頭だけではなく心も大事」ということで、まあそのくらいわかっていればいいでしょう、というところでしょうか。
 ここで話は飛ぶのですが、私が「教養」と聞いて思い出すのは、小学校中学年のころに夢中で読んだたくさんの伝記です。モーツァルトを読んでは音楽家になりたいと思い、ナイチンゲールを読んでは看護婦さんになろうと思い、本を読むたび影響されていました。そのように伝記の人物に夢中になりつつも、私は決まって出てくるある1つのフレーズにずっととらわれ、憧れていました。それは「教養のある女性」という言葉です。主人公の母親が、出てくる人出てくる人、みな「高い教養のある女性」なのです。(笑) 事実そうだったのか、子供向けに書かれた伝記の、ある種の決まり文句に過ぎなかったのか、本当のところはよくわかりませんが、私はとにかく、この言葉に強烈に惹かれました。そして自分も「教養のある女性(母)」になりたいと思ったものです。
 時は流れ、かろうじて母にはなれたのですが、「教養のある」かどうかは……、修行中の身です。(笑)
 結局、教養とは、やさしさであり、思いやりであると思うのです。私は、勉強する意味も、同じところにあると思っています。人間は、自分の実体験から学ぶということももちろんありますが、自分では経験し得ないことを、本を読んだり勉強して学び、それを知識としていきます。自分の体験ではないことをわかるためには、想像力が必要です。人が転んで痛いと言って泣いているようすが本に書いてあるとします。それを読んでいる自分は、転んでいないから痛くない、でも、転んだ人はさぞ痛いだろうなあ、と想像することはできます。どれだけ人の痛みがわかるかは、この想像力にかかっています。かわいそうな主人公の気持ちを思って涙ができてきた、という経験のある人もいるでしょう。どんな人がどんなときにどんな痛みや喜びを感じるか、たくさんの本を読んでたくさんのことを知ると、想像する力にもますます磨きがかかります。想像力によって、文字に書かれている出来事や先人の知恵や世紀の大発見やめくるめく冒険物語を、リアルに受け止めることができるのです。
 この想像力のある人を、教養のある人というのだと思います。だから、たくさん本を読んで、たくさん勉強して、自分とは違ういろいろな人の言葉や生活や考えを知ることが、教養を高めることになるのだと思っています。
 教養……、カッコいい言葉でしょう?
<<えa/2415み>>


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