言葉の森新聞2004年9月2週号 通算第854号
文責 中根克明(森川林)

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■■父母の広場から

なぜ読書が大切か子供に説明してほしい
 子供に音読と暗唱と読書を毎日するように言いました。音読と暗唱は家でしています。読書は、学校や帰りに読んだと言いますが、読んでいないことが多いと思います。先生の方から何故読んだらよいか言っていただくと本人はその気になると思います。よろしくお願いいたします。

読書は理屈でなく習慣で
 読書をしない子になぜ読書が大切かということを説明しても、決して読書をするようにはなりません。
 読書は、理屈よりもまず実行して習慣にすることが大切です。
 小学4年生までは、まだ親や先生の言うことを聞く時期です。この時期に、子供と接する時間が確保できる大人(両親や学校の先生)が、毎日一定の時間、子供に読書をさせる必要があります。
 読書は強制しても、決して嫌いになるものではありません。逆に読めば読むほど読書力がついてくるので、読書が好きになってきます。ただし子供の読書力に比べて難しすぎるものはページ数がはかどらないので、様子を見ながら本の選定は考える必要があります。

 私(森川林)の家では、子供が小学生のころの優先順位を、(1)楽しく生きること、(2)読書をすること、(3)勉強をすること、としていました。
 (1)は、言うまでもありません。生きている目的は、楽しく生きることだからです。子供と接するときは、親が率先して明るく楽しく面白くなるようにと心がけていました。
 (2)については、機会あるごとに本を読むようにしていました。例えば、テレビゲームの続きを子供がやりたがっている、しかし、その日のゲームの時間はもう過ぎてしまった、しかもその日は一緒に遊べる子がいない、というようなときは、「それじゃあ、読書50ページ読んだら、ゲーム15分やっていいことにしよう」「わあい!」というようなやり方で本を読んでいました。
 (3)については、勉強は基礎さえできていればいつでも本気になったときに実力はつくと考えていましたから、毎日決まった課題(主に算数の問題)をすることにしていましたが、時間も短時間でそれほど熱心には取り組んでいませんでした。そのため、実は基礎の方もかなり怪しくなってしまいました(笑)。しかし、中学生、高校生と学年が上がるにつれて、苦労しながらも実力はついていったので、やはり小学生のころは勉強は基本だけしっかりやって、あとは読書を中心にというのがよかったのではないかと思います。

 現在の社会は、昔に比べて読書を阻む環境が増えています。テレビ、ゲーム、漫画、インターネットなど、読書をしなくても時間をつぶせる機会がきわめて多くなっています。このような環境では、大人が子供に読書をさせるという姿勢をしっかり持たないと、自然に任せて子供が本を読むようにはなりません。
 子供が本を読むようになるかどうかは、親の意志と実行にかかっていると思います。


伝えたい気持ちがふくらんできていることを嬉しく思う
 入会当初は、先生のお電話の後、日記をつけるようにシャラシャラーと書く息子に、「せっかくだからもう少し構想を練って作文らしい感じにしたら? 通信教育を受けている気分を盛り上げようよぉ。」とお願い(笑)したくなる状態でした。今もやはり(正直申しますと)「とっとと仕上げようっと。」と机に向かっていますが、そんな息子にも欲が出てきまして、少々言葉にこだわったり、読み手を意識してか、分かってもらえるようにもっと詳しく書こうとし始めております。作文がそれらしくなっていくことと同時に伝えたい気持ちがふくらんできていることを本当に嬉しく思います。

親の関心で意欲的に
 小学3年生のころから、読み手を意識して書くようになります。取り上げる話題も、身近な人のドジ話などユーモアのあるものが増えてきます。
 この時期に、親が作文の内容に関心を寄せてあげると、子供はより面白い作品に仕上げようとはりきるようです。小学校中学年のころの作文は、その後には書けないようなのびのびしたものが多いので、小学校時代の記念になると言ってもいいでしょう。
 単に文章を書くという意識から、一つのまとまった作品として残すという意識が出てくると、自然にていねいにじっくり書くようになります。
 このきっかけになるものは、両親の関心ですが、もう一つ意外と大きなきっかけになるものに、パソコン書きがあります。
 パソコンで作文を書くと、手で書いたときよりも作品としてのまとまりが強く意識されるらしく、どの子も手書きのときよりも推敲して書くようになります。
 小学校4年生は学校でローマ字を習う学年なので、4年生になったら清書のときなどにパソコン書きに挑戦してみるといいと思います。


はじめて3ヶ月。苦手意識克服にむけて
 読書量が少なく、長文読解力が弱かったので、小4の4月から通信で始めました。算数の成績はいいのですが、国語の成績はいまひとつ。「テストでも何が書いてあるのか分からない。塾でも理解できない。」が続いていました。3ヶ月経った頃から国語に興味を示すようになり、成績もグーンとアップしました。まだまだ課題の音読もスムーズに読めないような状況ですが、先生のやさしい指導と誉めてもらえる楽しさが続けられる要因になっているようです。これからも宜しくお願い致します。

音読の習慣がつくだけでも力が向上
 国語の勉強は一般に時間がかかるものと言われています。確かにそれはそうなのですが、同時にすぐに効果として表れる面もあります。これは意外と見落とされていることではないかと思います。
 例えば、音読をすると、文章を書くことが楽になります。読書をしたあとは、自然に作文がスムーズに進みます。長文音読を毎日していると、塾で国語の問題を解くときなどに楽に読める感じがします。
 国語力には、生鮮食料品のような面もあり、毎日新鮮なものを摂取することによって力が発揮できるということもあるのです。
 しかし、長文音読のようにあとに形の残らない勉強は、いったん中断するとそのまま自然にずるずるとやらなくなってしまうことも多いのも事実です。最初の感激を失わずに、これからも毎日長文音読と読書を続けていってください。


■■実例について(うさぎ/きら先生)
 さて、先月のきらきら通信の続きです。「時間のない状態でいかにうまく作文を続けていくのか」という問題。自分のこととして考えてもらえたでしょうか。夏休みになっても、依然として自由になる時間が持てない人が多いようです。塾の集中講座でかえって忙しくなったと感じる人もいるよね。
 課題フォルダの「項目表○○の苗」という表を読んだことはありますか? HPを使っている人は「項目の苗」というアイコンです。そこに、各級の課題で取り組んでほしい作文の要素が書かれています。●は必須、◎○の順に頑張りたい項目です。わずらわしいようですが、じつはこの項目がヒントにもなっています。取り入れることで、作文が書きやすくなるのです。
 中学生・高校生の課題で、項目表の第三段落の《題材》に「長文実例」というのがあります。◎なので毎回のお電話では説明していません。これは、意見文で原因や意見や対策をあげたときに、その裏づけとして書いていく「実例」に、今までのように自分の体験や伝聞体験を書くのではなく、今までに読んだ長文の中から使えそうな話題を選んでいくというのものです。
 中高校生のみなさんの書く作文が急に短くやせっぽちになることがあります。構成はとてもよいのですが、実例が全く書けていないというものです。自分の体験を書くのは気恥ずかしいし、かといって一般論的に述べられるような蓄えが自分の中にないからですね。新聞を読んで時事問題に関心を持っていたり、読書で教養本をたくさん読んでいるような場合でないがきり、毎回の話題にぜんぶついていけるような実例はもっていなくて当然です。そこで、言葉の森の長文でそれを補うのです。補うと言うより、こじつけていく感じ。あるものを加工するのです。
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 中2の課題を例にとって考えます。各週の長文のテーマを拾いました。
7.2 日本と西欧の子育ての違い(子ども扱いか、大人扱いか)
7.3 手助けの功罪(障害を持つ人を助けるか、できることをやらせてあげるか)
8.1 「ら」抜き言葉を受け入れるか(新しいものか古きものか)
8.2 情報活用(他人の知識を応用するか、自分の体験から学ぶか)
8.3 目の不自由な人に見えるもの(利益になるものか、むだに見えるものの役割か)
  以下 省略
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 上記のなかで、たとえば8.2週の作品を書くときには、7.2週の子育て論や7.3週の手助け論を例にひくことができます。「他人の知識を応用するといった意見では学校の学習のことを例にあげ、自分の体験から学ぶという意見の実例は《7.2週に西欧の子育ては自立心や個人の確立を生むとあるように》といったぐあいに書くのです。(ほんとうはもっと長く丁寧に引用してくださいね)
 同じようなことをどの教材についても考えることができます。長文の音読をどんどん進めると「また、同じような文章を読んだぞ。」と感じる。それが大切。相互を関連付けて、まったく違った文章でありながら訴えていることの根っこは同じなんだなあと考えることが勉強です。
 長文実例のほかに「伝記実例」というのもあります。意見の裏づけに「エジソンは幼いころ学校になじめず…。」とか「織田信長は小さい頃うつけ者と呼ばれて…。」とか、えらい人の逸話を使うのです。これも長文にぴったりの偉人伝を探すのではなくあらかじめ自分がよく知っている偉人伝をいくつか持っておいて、応用するのです。
 テキパキと書いていくのです。実例の引用の達人になってしまうのです。
 中高生のみなさん、少しは参考になったでしょうか。小学生のみなさんは「よーし、今からどんどん伝記を読んでおくぞ。」という気持ちになってくれるとうれしいなあ。
 各級の課題の長文はHPの「課題の岩」ですべて読むことができます。ゆとりのある人は「どんな文章があるのかな」と、のぞいてみてくださいね。


■■中国旅行報告(むり/むり先生)
 7月22日から31日まで、私は中国の北京に旅行に出かけていました。みなさんには休講でご迷惑をかけてしまいましたが、おかげで本当に楽しい旅になりました。気分もリフレッシュしてこれからいっそうがんばりますね!

 中国を旅行して最初に感じたことは「言葉が通じない。」ということでした。私は簡単な英語なら話せます。今まで行った海外では英語が話せればあいさつや買い物くらいはなんとかなっていたのです。でも、中国ではホテルや一部の高級レストランをのぞいて英語が全く通じません。これには本当に困りました。中国には漢字という共通の文字がありますから、タクシーなどではメモに行き先を書いて見せれば大丈夫なのですが、何か親切にされたとき、ちょっとしたあいさつを交わしたいときにとっさにしゃべることができません。あいさつの中国語くらいは知っているつもりだったのですが、中国語は発音がむずかしいので私がしゃべっているつもりでも、相手に全く通じていないのでした。「ありがとう」と言ったつもりで相手にけげんな顔をされると、次からはしゃべることに臆病になってしまいました。
 でも、こどもたちはどうどうと下手な中国語であいさつをかわしていきます。そしてどんどん中国語が上手になっていきます。
 帰国も近くなってから、私は言葉に頼りすぎていたんだなぁと思いました。「ありがとう」と伝えるとき、発音より相手の顔を見てにっこり笑ってありがとうという気持ちで言うことの方がよっぽど大切なのですね。当たり前のことですが、こどもたちにあって、私に欠けていたものはそういうことだったと思います。朝ホテルのドアマンにこどもたちは手をふりながら、ニコニコ「ニイハオ」と言います。そうするとドアマンもにっこり笑って「ニイハオ」とこたえてくれるのです。そうすると自然と発音も良くなっていって、こどもたちは1週間でかなりのあいさつ上手になりました。私もこどもたちを見習って会話にはおおげさなくらい気持ちをこめるようにしました。それでもなかなか通じるというレベルにはなりませんでしたが、私が一生懸命やっている気持ちはみんな理解してくれたようです。
 外国語を勉強するとき、どうしても発音や文法、語彙(言葉の数)などに重点を置いてしまいますね。勉強という意味ではそれは大切なことだと思います。でも、だれかと気持ちを通じあわせたいと思うとき、言葉より先に本当の気持ちをこめるというあたりまえのことを忘れてはいけないのは世界中どこへ行っても同じかもしれません。日本人同士の会話でも口先だけの言葉をつかっていないかなぁと反省させられますね。

 ああ、だけどもうちょっと中国語を勉強していけば良かったなぁ。(海外旅行の後はいつもこんなことを言っています。)
                                     <<えg2004/0906115701み>>


■■「どんまい」(クッキー/むぎこ先生)
 私は夏になってうるさいほど元気なせみの声を聞くと必ず思い出す歌があります。知っている人も多いと思いますが、NHKの「おかあさんといっしょ」で流れていた「どんまい」という歌です。(今も流れているのかな?)
 この大好きな歌の一部を紹介させていただきますね(^0^)

<<え5551み>><<え5551み>>

  じりじりせみが生きるのは7日だけ
  今日わかったことはそれだけ
  だけど昨日まで知らなかったよ
  どんまい ちょっと大きくなったみたい(2番)

  どんなにしっかりご飯を食べてても
  すぐには大きくなれないさ
  だけど去年のシャツが着れない
  どんまい ちょっとおおきくなったみたい(1番)

<<え2004/513み>>
 みなさんはせみが好きですか?「きもちわるい」「うるさい」という意見も多いと思いますが、この歌のとおり、せみは成虫になってからは少ししか生きられません。知っていたかな?(たまご時代、幼虫時代合わせるともっと長生きなのですが・・)何年もかかって、やっと大人になれた せみ。うるさかったり、気持ち悪かったりするかもしれないけれど、精一杯元気よく鳴かせてあげてこの夏ぜひ友達になってあげてくださいね。

 さて、ここからは保護者の方に聞いていただきたいことです。
実はこの歌と初めて出会ったとき、私は「子供を賢くする」ということで頭が一杯のときでした。当時の私は我が子に知識を無理やり詰め込み、すべてを覚えさせようとする、おかしな母親でした。子供と話す内容は普通の会話を意識しているものの、教えたいことであふれていました。本の読み聞かせも同様です。物語を楽しむのではなく、頭に良いとされる本をとにかくたくさん読むことを優先していました。もちろん子供は全く楽しくなかったと思います。
 
 そんな中、この歌と出会ったのです。私は自分が本当に情けなかったのを覚えています。子供はちゃんと成長していたのに、喜んであげることもできず、何を期待し、無理をさせていたのだろうと・・。
自分の間違いを直してくれたこの歌に感謝し、せみの声を聞くたびそのときの気持ちを思い出します。

 そして私にとってのこの思い出の歌は作文でも同じことが言えると思うのです。がんばっていても字数が少ないときや課題のとおりに書けないときもあるかもしれません。そんなときは少しリラックスでいいと思います。気付いていないかもしれないけれどみんなそれぞれの理想のスピードで少しずつ上達していると思います。ゆったりとした気持ちでこれからも楽しく一緒に勉強させていただきたいと思います。
<<え2004/378み>>


■■おばけ(スズメ/みり先生)
 夏と言えばなぜかおばけの話がでてきます。こわいと、ゾーっとしてすずしくなるような感じがするからでしょうか。
 みんなは、おばけとかゆうれいって、ほんとうにいると思いますか?テレビでも、大人の人どうしで、「いる、いない」「しんじる、しんじない」とぎろんしたりしていますね。
 先生は、じっさいに見たことはないのですが、なんとなくいるような気がしています。だから、くらやみとかおばけやしきとか、きもだめしなどもこわいです。前におおぜいの子どもたちとキャンプに行ったとき、山の中できもだめしをしました。中学生以上と大人は、おばけのやくです。先生はきもだめしのさいごに、おかしをわたすやくだったのですが、なかなか子どもがこないし、そのうえ、立っているところが、まっくらな山の中で、うしろにはおはかもあるのです。もうこわくてこわくて、早く終わらないかなと思っていました。こわいと思うとよけいに何かでてきそうな気がするものですね。
 そうするうちに、少しなれてきて、ふと空を見上げたら、満天(まんてん)の星!こちらを見下ろして、ニコニコわらっているようにみえたのです。それからは、なるべく上をみて時間がすぎるのをまちました。
 
 え?けっきょく、おばけは出たのかって?・・・・・・・・・・・・・・・・それだけはいえません。。
  
 <<え2004/673jみ>> <<え2004/673jみ>>
 みんなの中にも、「ばっかだなあ、いるわけないよ」という人も、「いる!ぜったいいる!」という人も、「どっちかなあ。。。」という人もいることでしょう。
 UFOのそんざいや、そのほかのふしぎなはなしについてもおなじです。これほど、科学(かがく)がはったつしてもなお、まだわからないことがたくさんあるのですね。でも、先生は、人知(じんち:にんげんのちえ)をこえたところにあるそれらのことに、とてもひかれます。こころや、あたまのなかにいろいろそうぞうすることができるからです。
 そうそう、UFOもゆうれいも、「しんじるひとにしか」見えないんだって。先生は、ちょっとこわいけど見てみたいから、これからもいるとしんじることにします。
 言葉の森のあたりには、なにかいるかしら?ちょっといってしらべてきますね!では、みんな、思い出にのこる夏休みになりますように。 φすずめ
                                <<え2004/674jみ>>


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