言葉の森新聞2004年12月1週号 通算第865号
文責 中根克明(森川林)

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■■12.1週に作文進級テスト
 12.1週に、作文進級テストを行います。課題フォルダの字数・構成・題材・表現・主題の●印が全部できていることが合格の条件になります。(表現の項目などで「たとえ」と「ダジャレ」など二つ以上の項目が指定されている場合はどちらかができていればその項目は◎です)。キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いていってください。中学生以上の時間制限については、今回は採点の基準にしませんが、できるだけ時間内に書き上げる力をつけていきましょう。
 手書きで作文を書く人は、項目ができたところにシールをはっておいてください。
 パソコンで作文を書く人は、キーワードを入れておいてください。
 小学生の場合は、提出する前に、おうちの方が字数と項目シールをチェックしてあげてくださるとよいと思います。
 小学2年生までの生徒は、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。10月以降に受講を開始した生徒も、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。ただし、いずれの場合も、賞状は出ますので、できるだけ字数と項目ができるように書いていってください。


■■港南台教室で、作文検定1月30日(日)午前9:30〜10:45 
 日本語作文小論文検定協会では、1月に全国で作文検定(日本語作文小論文検定)を実施します。まだ団体受検を行う学校や塾が少ないので、お近くで受検する機会のない人もいるかもしれません。これからだんだん個人受検の会場提携校を増やしていく予定ですので、しばらくお待ちください。
 通信による個人受検は、公平性が確保される技術的条件が整ってから実施する予定です。

 言葉の森の港南台教室では、1月30日(日)午前9:30〜10:45に作文検定を実施します。近辺にお住まいの方で、1月検定に参加を希望される方は、お電話又はホームページでお申し込みください。
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■■父母の広場より

読書の習慣がつきはじめました(小3父母)
 入会して半年が経ちました。初めの頃は、長文音読や短文暗記だけで手一杯で、読書は何かと理由をつけて逃げ回っている状態でした。担当の先生に「長文と短文だけでも、習慣化することは素晴らしいことですから」と励まされ、無理強いせず見守っておりました。
 ところが、夏休み明けぐらいから、長文と短文にゆとりが感じられるようになりました。先月から、2週間に一度、親子で図書館へ行き簡単な絵本を6冊ほど借りるようになり、毎日気軽に絵本を読む習慣が身に付き始めました。
 このまま自然と無理なく読解力が増し、本を読む楽しさに目覚めてくれる事を楽しみにしています。ありがとうございます。


絵本も読むし、難しい本も読むというように(教室より)
 読書は、続けていると必ず好きになってきます。
 長文音読と短文暗唱は、続けていても好きにはなりませんから、気長な働きかけを親からしていく必要があります。
 小学3年生ですと、絵本よりももっと難しい本に進んでほしいと思うときがあると思います。そのときは、お母さんが読み聞かせをしてあげてください。絵本に慣れた子は、字の細かい本を見るとそれだけで敬遠してしまうことがあります。しかし、そういう本でも読み聞かせしていると、次第に子供が自分で続きを読み出すようになります。字の多い本でも意外と面白いということに目ざめれば、あとは、自分の力で読むことができるようになります。
 絵本のような軽い本も読むし、漫画も読むが、その一方で字の多い難しい本も読むというように、幅広く読むのが読書の理想のスタイルです。


集中して書けるようになった(小4父母)
 少しずつ書く楽しさが分かり、書く時間も集中できるようになってきたようで、以前との違いに驚いています。先生の辛抱強く温かい励ましのおかげと感謝しています。説明的な文の読み取りは相変わらず苦手ですが、取り組むきっかけが得られつつあるようです。

感想文は、読むこと自体が勉強に(教室より)
 4年生は、小学生的な作文を書く最後の年齢で、このあと5年生になると、もっと勉強的な作文になってきます。
 年齢的に、小4から小5にかけては、自分自身を向上させるという気持ちがはっきり出てくる学年のようで、小学5年生のころは、「易しいからがんばろう」という言葉よりも、「難しいけどがんばろう」という言葉の方が子供の心に響くようです。
 4年生の感想文は書きにくいものが多いので、似た話などをお母さんやお父さんが話してあげると、子供も書きやすくなるようです。また、感想文は書くことよりも読む過程に勉強の重点がありますから、あまりうまく書けないときでも、読んだこと自体が尊いということで見てくださるとよいと思います。


決められた課題(小3父母)
 ときには感想文などにもチャレンジしたらよいと思いますが、大体「自由な題名」になります。決められた課題に抵抗なく取り組むようになっていくのでしょうか。

決められた課題で書くことに意味があるという姿勢で
 だれでも、慣れないものに初めて取り組むときは慎重になるものです。
 3年生のころは、自由な題名ならばある程度自信があるが、決められた題名や感想文ではたぶんうまく書けないだろうということが子供自身にもわかるので、どうしても自由な題名の方を選びたがります。
 このときの大人の対応で大事なことは、子供の意向に流されず、毅然とした態度を貫くことです。
 そして、実際に題名課題や感想文課題で書けば、自由な題名のときよりも短くしかも下手にしか書けないのが普通です。ここで、大人が、「今回は短かったけど、これは課題が難しかったからこれでいいんだよ。難しいことに挑戦することの方が大事なんだから、これからもがんばろうね」と言えば、子供はすぐに納得します。
 このようにして、題名課題や感想文課題に取り組むようになったら、今度は、その課題に合わせて、家庭で準備に力を入れるようにしてください。例えば、「たまごやきを作ったこと」では、実際に授業のある日までにたまごやきを作ってみます。「かぜをひいたこと」などの題名では、授業のある日までにうまく風邪を引くわけにはいきませんから、お父さんやお母さんが、風邪にまつわる似た話などをしてあげるといいと思います。


■■外来語の言い換えについて(はるな/みき先生)
 <<え89み>>
「秋の日はつるべ落とし」といわれるように、ちょっと前までは、夕方5時頃では、まだ、周囲は明るかったのに、近頃では、気がつくと、あたりはもう、まっくらです。
みみずく学級のみなさん、お元気ですか? これからは、夜が長い分、充分に読書を楽しむことができそうですね。

 ところで、最近良く耳にするけれど、ちょっとなじみの薄い外来語がありますよね。
外来語とは、もともと、外国語だったものが日本の国語の中に取り入れられるようになったもので、〔ピアノ〕〔ヨーグルト〕〔ガラス〕〔ワンダーランド〕など、身近な例ではいっぱいあります。これらは、もうすっかり日常的に使われています。

 けれども、
【アクセス】や【ログイン】、【スタンス】や、【インフラ】等々のカタカナ語が、マスコミでさかんに使われておりますが、正しく理解できなくて、首をかしげることが良くあります。……でも、そういう言葉を使って文章を書いたり話題にして会話したりしている人を見ると、なんだか、とてもかっこよくて、すぐれた知識人のような印象を、強く受けますよね。
 自分も使ってみたいのだけれども、正確な意味がよくわからないまま、言葉にするのは、自信がなくて、少し気恥ずかしいというじれったい思いを、よくしたものです。

 それらのカタカナ語を、わかりやすい日本語への言い換えで、一覧表(いちらんひょう)にした資料の第3集を、国立国語研究所が、 先日発表しました。1集から3集までの外来語を、五十音順に並べたのが、下記のURLで見つけられますよ。
   ↓
http://www.kokken.go.jp/public/gairaigo/Word_List/iikaegotou_dic.html

 たとえば、〔アクセス〕を例にとって見ると(1) 情報に接近し利用すること、(2) 交通や連絡の便、(3) 市場に入り込むこと すなわち(1) 接近 利用(2) 交通の便 、連絡 ということで、 複合語例として「交通アクセス」=(は)交通手段の意味になります。

 また、[グローバル〕は、地球規模 ものごとの規模が国家の枠組みを越え,地球全体に拡大している様子 全地球的 全球的 ということで、 複合語例は、グローバル企業 = 多国籍企業 超国籍企業 超国家企業グローバル経済 = 地球経済 世界経済グローバル社会 = 地球社会 全世界グローバルスタンダード = 世界標準 ……というように分かりにくい外来語を、分かりやすくするための言葉づかいの工夫が、実に見事なまでにほどこされていて、「ああ、なるほど! 」と、先生はようやく納得することができました。

 語彙(ごい)が豊富になると、文章力が高められ、知的になり、その人の内容も深まりを増してくるような気がするから、本当に不思議ですね。それに伴い、読んで楽しい物語だけでなく、ちょっと背伸びをして、難解(なんかい)な本もよんでみたいな、という意欲も、自然に湧いてきます。
 長文音読なども、習慣づけていくと、知らず知らずのうちに言葉の数が増えてきます。誰にも負けないぐらい大きな知的財産となっていきますから、読書と並行して、秋の夜長を充実させましょう。

「継続は力なり」です。
どうか、皆さんがんばって,自習を続けてくださいね。
      <<え2004/280jみ>>


■■倉本聰『ニングルの森』(集英社刊)から(ほたる/ほた先生)
<<え2564み>>

 小4の娘が、学校の音読の宿題に、図書館から借りてきた本を音読してくれました。それが、この『ニングルの森』です。ニングルというのは、著者の倉本聰さん(ドラマ「北の国から」の脚本家として、お父さんお母さんたちはよく知っています)によると、北海道の山奥に人知れず住んでいる、小さな先住民族だそうです。そのニングルたちのことを、わかりやすく書いた童話風の読み物です。
 その中に、こんなお話がありました。

「ニングルたちはそれぞれ1本ずつ、自分の命の木を持っています。それはニングルの成長と一緒に成長します。その木が元気だとニングルも元気ですし、命の木が風で倒れたり、虫喰いで枯れたり伐(き)られたりすると、そのニングルの命も終わります。それが運命というものです。」
 
 しかし、彼らがまだ人里に近い、下の森に住んでいたころ、その森を国が切りひらいて、畑にする計画がもちあがります。いったい、彼らはどうしたのでしょうか。私は、娘の読むそのお話を聞きながら、たぶんいつもは「知ラン権利」と「放ットク義務」を掟にしているらしい彼らも、この時ばかりは計画反対に立ち上がったのだろう、と予想していました。しかし、その後のお話はこう続きました。

「当時そこにいたニングルの長は、みんなを集めて言いました。
『人間を決して恨んではいけない。人間は幸せになるために、畑を増やそうと森を伐るのだ。わしらは地上の他の生き物、熊や鹿や花や木々の幸せを祈るのと同じように人間の幸せを祈ろうではないか。木は倒れ、地に腐り、新たな木のための苗床となる。我々も死んで地に還(かえ)り、次の生き物のこやしになろうではないか。』
先代の長はその言葉を遺(のこ)して、何百人のニングルとともに、その命の木とともにこの世を去りました。」

 私はびっくりしました。そして、しばらく後から、妙に納得しました。山が削られ、木が切り倒されていくのを見る時、どうして心が痛むのか、そのわけがわかった気がしたからです。
 環境問題を真正面から、声高に叫ぶより、こんな静かなお話が、かえって力を持つこともあるのだと思います。


■■言葉の役割(けんけん/すもも先生)
11月になりました。今年もあと2ヵ月ですね。あっという間にお正月になりそうです。受験生のみなさんは、あと何日とカウントダウンがはじまっているのではないでしょうか。実は私すももも受験生の母です。みなさんいっしょにがんばりましょうね。
<<え601み>>
さて、先月下旬の朝日新聞の夕刊に「衰える言葉と闘う」と題された記事が掲載されました。大阪市内で開催された、作家・高村薫さんの講演内容がまとめられたものです。高村薫という作家をみなさんは知っていますか?有名な作家ですから、名前は知っているかもしれませんね。でも、小学生のみなさんには、まだちょっと難しいかもしれません。中学生の方はそろそろ挑戦してみてもいいかもしれません。ぜひ一度読んでみてくださいね。

高村さんは、言葉の役割が変質し、衰退してきていると感じています。作家という言葉をもっとも近くに感じている人の言葉だからこそ、実感がこもっていますね。彼女は、「語彙は確実に少なく、言葉は短くなっています。言葉の減少は、世界をとらえることの放棄だと思います。」とも述べています。確かに、言葉がどんどん短くなっています。街で少女たちが話している言葉はもちろん、テレビにうつる政治家やえらい大学の先生でさえとても短い言葉で表現しようとしているように思います。かと思えば、ご自分もよく理解しないままにとても難解な四文字熟語で人を煙に巻こうとしている人もいます。最近、私がなんとなく感じていた言葉への違和感を高村さんが見事に「言葉」にしてくれたようです。
<<えa/887み>>
情報化社会の中で、ことばの役割はどんどん変化しています。言葉は今までにも時代の流れの中でどんどん変化してきたものですから、変化そのものが悪いことだとは思いません。しかし、その変化の流れの中になにも意識しないで身を任せていてよいのでしょうか。言葉の森で勉強しているみなさんは、この時代をしっかり意識して、言葉を大切にしてください。自分の考えを人に伝えるのはことばの力がなければできないのです。気分だけではなく、自分の確かな思いや考えを言葉にすることで改めて認識できることを忘れないで、しっかり言葉を使っていきたいですね。

そろそろ風邪がはやってきているようです。気をつけてください。
<<えa/851み>>


■■言葉は大事(みかん/ななこ先生)
 先日、新聞で作家・角田光代さんの記事を読みました。「言葉は、水道のじゃ口と同じ。キュッとひねったとき、チョロチョロ細く出るより、ドバーッとたくさん出たほうが気持ちいいでしょ。たくさん言葉を出せるように、本をたくさん読んで。」と、ありました。
 ふだん私たちが当たり前のように使っている言葉。「ぼく(わたし)は、日本人。日本語なら不自由しないわ」と、みんなそう思っているでしょう。でも、よく考えてみると、「あのときほんとうはこんなふうに言いたかったのに、うまく言えなかった」ということはないかな? 自分の気持ちをうまく伝えることができなくて、くやしい思い、悲しい思いをしたことが、だれにでもあると思います。
 いろんなものには名前がついていますね。もし、名前がなかったら、例えば、誕生日にサッカーボールを買ってほしいと思っても、「サッカーボール」という名前がなかったら、だれかに説明するのは大変です。
 ものだけではなく、気持ちも同じだと思います。足でけるスポーツのボール(?)を「サッカーボール」という言葉で表すように、自分の気持ちも言葉で何とか表すことができたら、気持ちはとても楽になります。自分の気持ちに言葉が追いつかないとき、人はとても苦しくなると思います。「悲しい」と思ったとき、「いやだ」と思ったとき、どんなふうに悲しくて、どんなふうにいやなのか、自分の言葉で何とか表現することができたら、それだけで気持ちがずっと楽になるはずです。だから、言葉は大事。言葉の世界を広げていくためには、たくさん本を読んでほしいと思います。でも、本でなければならないということはないのです。サッカーでも絵でも、それがほんとうに好きだったら、それが自分を表現する場になると思うからです。

 さて、ここは「言葉の森」。この森の中に入ってきたみなさんは、ここで散歩をしたり遊んだり、時には休けいしながら、言葉をたくさん身につけてくださいね。


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