言葉の森新聞2005年12月4週号 通算第916号
文責 中根克明(森川林)

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■■新学期の教材を発送します
 新学期の教材を12月22日(木)に発送する予定です。
 国内の生徒で27日になっても届かない場合はご連絡ください。
★住所シールは
1月1週の山のたよりと
一緒に送ります★


■■12月23日(金)は休み宿題
 12月23日(金)は、休み宿題です。先生からの電話はありません。その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前9時〜午後8時。電話0120-22-3987)

■■年末年始の電話先変更
 年末年始のお休みは、課題フォルダのカレンダーに書いてあるとおり12月29日(木)から1月3日(火)までです。新年度の勉強は1月4日(水)から始まります。
 通信生で冬休みに帰省される場合は、帰省先に電話を変更することもできます。ご希望があればご連絡ください。


■■長所を伸ばす、好きなことを生かす、明るく見る
 どれも、ごく平凡なことですが、意外と忘れがちです。

長所を伸ばす

 お母さん方からの相談で多いのが、「うちの子のここを直してほしいのですが」というものです。作文は、トータルな学力が要求される科目なので、欠点もそれだけいろいろな分野で見つけることができます。「字が汚い」「漢字を使わない」「表現が幼稚」など、数え上げればきりがありません。しかしここで、多くの大人は、その欠点を直せば作文が上手になると考えてしまいます。確かに、欠点の矯正はそのまますぐに効果が出るので、直した分だけ上手になることは間違いありません。しかし、その効果は最初のうちだけなのです。初めのうちは大きな欠点を直すので、効果も大きく出ます。しかし、次第に欠点が小さなものになっても欠点を直して上手にするという発想を続けるので、効果の大きさに反比例する形で批判の度合が大きくなってきます。注意をしたり批判をしたりする人は、相手のためを思って真面目に直しているつもりでも、書くたびに直される子供の側はたまりません。熱心な指導によって、かえって子供が作文嫌いになるというのはこういう背景があるからです。
 欠点を直すことはもちろん大切です。しかし、それはあくまでも補助的なものにとどめるべきです。指導における主要な路線は、読む力をつけつつ、よくできたところを褒めるというやり方です。褒められれば子供は気分がよくなるので、ますます努力しようと思います。その努力の方向を、読む学習の方に振り向けるというのが、上手な指導の仕方です。
 ご家庭で作文を見る場合も、「ここを直せばもっとよくなる」という言い方は最小限にとどめ、逆に、「ここがいい」「あそこがいい」という言い方をふんだんにしてあげることです。その上で、毎日、長文の音読や読書を続けていくことが上達のサイクルを継続するコツになります。

好きなことを生かす

 もう一つの相談で多いのが、「○○をしすぎるので、少しは△△もするようにしたい」というものです。例えば、あるジャンルの本ばかりを読むので、別のジャンルの本を読ませたいなどという相談です。
 子供でも、大人でも、何かに熱中しているときは、それが自分の成長にプラスになっているからということが多いものです。そして、ある期間そのことに熱中すると、自然にそこから得るものが少なくなるように感じ、自然にその熱中したものから卒業していくようです。
 確かに子供は、視野の狭さから一つのことに熱中することもありますから、周囲の大人は別の世界もあることを知らせてあげる必要はあります。しかし、基本は子供が好むものを発展させてあげるということです。
 テレビゲームなどは、子供がいちばん熱中するものですが、これもただ禁止するのではなく、その熱中をうまくコントロールしつつ発展させていくのが前向きな対応だと思います。例えば、ゲームは、制限時間を決めて自分の好きなことを管理する練習と考えることもできますし、低学年でしたら攻略本を読んで読む力をつけるきっかけと考えることもできます。何かを禁止するという対応は、逆に親の禁止がなくなったときに歯止めが利かなくなるというマイナス面を持っています。
 また、もっと大事なことは、子供でも大人でも人間は幸福な生活をするために生きているということです。禁止や我慢で苦しい選択をすることは、それが自分の意志でなされたものでないかぎり、人間の本来の生き方に反するものです。楽しいことは、どんどんやらせてあげればいいと思います。

明るく見る

 もう一つは相談ではありません。発想の仕方で、もっとこういう見方をすればいいのになあと思うことがよくあります。
 真面目な人ほど、「○○しないと△△にならない」という言い方を好むようです。例えば、「勉強しないといい学校に入れない」などです。二重否定の言葉なので、聞いている人は二重に暗くなります。(笑)同じことを、「勉強をしていい学校に入ろう」と言えばずっと明るくなります。「楽しく勉強をして楽しい学校に入ろう」と言えば、もっと明るくなります。
 子供の作文を注意する場合でも、「ここがだめだからよくない」という言い方でなく、「ここを直すともっとよくなる」という言い方をするだけで印象がずっとよくなります。
 言葉というのは、感情的なニュアンスを帯びて使われます。たとえの指導をする際に、「ぼくは、海の底のような暗い心で友達をにらみました」などという例を挙げる人はいません。(笑)「ぼくは、青空のようにさわやかな気持ちで友達を見つめました」などという例を挙げれば、みんな明るくなるはずです。こういう単純な例ではよくわかるのに、実際の生活では暗い言い方をする人は意外と多いのです。
 見方というものは自覚しにくいものだからこそ、できるだけ意識的に明るくしていくことが大切なのです。


■■12.4週は清書
 毎月第4週は清書です。担当の先生の説明を参考にして、返却された作文の中から自分でいちばんよいと思うものを選び、作文用紙に清書してください。(一度清書したものは、清書しないように注意してください。また、ほかの人の作文を写して清書にすることのないようにしてください)

 清書は、次の月の4週の「山のたより」に掲載されます。
 清書の意義は、次のとおりです。
(1)これまでに書いた作品をよりよいものに仕上げること(小学生の場合は字数を増やす、表現を更に工夫するなど、中学生以上の場合は字数を短くまとめるなど)
(2)他の生徒の清書を読む機会を持つこと(自分の清書を他の生徒に読んでもらう機会を持つこと)
(3)新聞社に投稿する機会を作ること
 このほかに、(4)パソコンで入力する練習をする、(5)他の生徒の前月の清書に対して感想を書く、などに取り組むこともできます。
【注意事項】
◎清書は、黒いペンで書いてください。
(鉛筆だと薄すぎたり、濃すぎたりして、うまく読み取れない場合があります)
◎左上に、バーコードシールをはってください。
◎バーコードシールは、その月のものを、ページ順に、まっすぐにはってください。
◎絵や感想だけの用紙にも、バーコードシールをはってください。
◎1枚の用紙の裏表を同時に使わないでください。
◎独自の用紙を使う場合は、作文用紙と同じサイズにコピーを取り直してください。
(バーコードシールのないものや間違ってはられているものは、印刷日程の関係で翌々月のプリントになりますのでご了承ください)

 新しく教室に入ったばかりの人は、返却されている作文がない場合もあります。また、返却されている作文の中に清書するものがない場合もあります。そのときは、自由な題名で作文を書いて送ってください。
 清書は、2〜5人のグループ(広場のグループ)ごとにプリントして、翌月の4週に、「山のたより」と一緒にお渡しします。この清書は、インターネットの山のたよりでも見ることができます。
 用紙の空いているところには、絵などを書いて楽しい清書にしてください。色はプリントには出ません。
 感想文を清書する場合は、最初の「三文抜き書き」や「要約」はカットするか、簡単な説明に変えておく方が作品としてまとまりがよくなります。
 中学生以上の人が清書を新聞社に送る際の字数の目安は、500字程度です。長すぎる場合は、新聞社の方でカットされて掲載されることがあります。字数を縮めるときは、いろいろなところを少しずつ縮めるのではなく、段落単位でまとめて削るようにしていきましょう。第一段落の要約と第三段落の社会実例は削除し、名言や書き出しの結びなどの表現の工夫も削除し、第二段落の体験実例と第四段落の意見だけでまとめるようにするといいと思います。
 清書は、ホームページから送ることもできます。作文をホームページから送るときと同じように送ってください。

 よく書けた清書は、自分で新聞などに投稿してください。二重投稿になる可能性があるので、教室の方からの投稿はしません。(港南台の通学生徒の場合は、教室から投稿します)
 手書きで清書を書いている人は、その清書をコピーして、原本を投稿用に、コピーを提出用にしてください。
 パソコンで清書を送信している人は、その清書をワードなどにコピーして投稿用にしてください。
 新聞社に投稿する際は、作文用紙の欄外又は別紙に次の事項を記載してください。
(1)本名とふりがな(ペンネームで書いている場合は本名に訂正しておいてください)
(2)学年
(3)自宅の住所
(4)自宅の電話番号
(5)学校名とふりがな
(6)学校所在地(町村名までで可)
●朝日小学生新聞の住所
104−8433 東京都中央区築地3−5−4 朝日小学生新聞 「ぼくとわたしの作品」係 御中
●毎日小学生新聞の住所
100−8051 東京都千代田区一ツ橋1−1 毎日小学生新聞 さくひん係 御中


■■アマゾン(みのり/まこ先生)
 本の検索はアマゾンのサイトがお気に入りです。有名なのでご存知の人も多いはず。これは本屋さんの立ち読みと変わらないだけの充実感がある。ここでは自分が過去に検索した本もすべて覚えていて、すかさず関連本を並べてみせたりします。
 なかでも購入者の好き勝手な感想がざーっと出てくるのがおもしろい。買ったからにはほめてるのがほとんどだろうと思っていたらそうでもない。「期待はずれ」「図書館で借りた方がいい」「買うほどのもんではない」などなかなか貴重な意見が見られる。「先に別の○○という本を読んだ方がわかりやすい」という意見を参考にして知らなかったいい本と出会えたこともある。
 書店だと、ベストセラー本や話題の本が山積みになって宣伝していて、気の弱いわたしはつい読まないといけないような気になってしまうけれど、アマゾンだと心配ない。自分の目ざす本を冷静に探すことができる。
 「わたしの好きな村上春樹」「推理小説ベストテン」といった感じで同じ作家の本やテーマ別に読んだ本のリストを公開している人もいる。これもバラエティー豊かで楽しめます。たくさんの人から支持されている名作のどんなところが優れているのか、そういう理由もわかってきます。
 同じ本を読んでも感じ方は実にいろいろなんだとあらためて感心します。感想のなかには、共感できなくて反感を持つものも出てきます。人の意見や感想に翻弄されておぼれそうになったりもします。それでもやっぱりおもしろい。自分勝手に書かれた感想は個性があっておもしろいだけでなく、わたし自身の好みや意見、感想までも呼び水のように引き出すパワーを持っている。いいにつけ、悪いにつけ、自由に表現できるというのはほんとうに幸せなことだと思う。
 読書には時間がかかります。いくら本好きでも世の中の本を全部読むわけにはいきません。そこでいかに自分の知的好奇心を満たす本を無駄なく見つけるかは重要なポイントで、これも楽しみの一つです。
<<え2005/164jみ>>


■■語彙力(ごいりょく)が低下した!(けいこ/なら先生)
<<えa/168み>> 最近の大学生は、語彙力が低下しているということが、よく言われます。千葉市の独立行政法人メディア教育開発センターが、数年前約20万人に予備調査をして、その結果に基づいて、日本語力を中1〜高3以上の6レベルに分けました。その上で、語彙力を中心にした日本語能力判定テストを作成し、19大学、6短大と国立高等専門学校の計26校の昨春の新入生7052人に、このテストを受けてもらったとのこと。その結果、中3レベル以下の学生の割合は、以下のとおり。
 ◎国立大6パーセント/私立大19パーセント/短大35パーセント/国立高専4%

◆各レベルの代表的な例題(正しい意味を5つの選択肢から選ぶ)◆
 ・中1「重視」……(1)重たいこと(2)大事だと考えること(3)目が疲れること(4)見えにくいこと(5)じっと見ること
 ・中2「さじを投げる」……(1)ひどく怒る(2)乱暴な様子(3)非常識(4)あきらめる(5)好き嫌いをする
 ・中3「一目置く」……(1)周囲をみわたすうちに目を留める(2)検分していた目を休める(3)大勢で特定の人物を凝視する(4)相手の目をじっと見て真意を確かめる(5)相手を自分より優れたものと認める
 ・高1「露骨に」……(1)ためらいがちに(2)おおげさに(3)あらわに(4)下品に(5)ひそかに
 ・高2「奔走する」……(1)逃げ出す(2)競争する(3)忙しく立ち回る(4)無駄な努力をする(5)大変な目にあう
 ・高3以上「嫡流」……(1)激しい流れ(2)正当な流れ(3)清らかな流れ(4)よどんだ流れ(5)亜流
   「憂える」……(1)うとましく思う(2)たじろぐ(3)喜ぶ(4)心配する(5)進歩する
   「懐柔する」……(1)賄賂(わいろ)をもらう(2)気持ちを落ち着ける(3)優しくいたわる(4)手なずける(5)抱きしめる
<<え1701み>> 語彙力を高めるには? まずは、たくさんの本を読むように心がけ、いろいろな人(できれば年上の人がいいですね)の話を聞きましょう。そして、なるべく国語辞典を開くようにしましょう。私は、これをインプットと読んでいます。まずは、言葉を自分の中にためこむということです。次に、ためこんだ言葉を自分で使ってみましょう。それは、言葉を外に出す、アウトプットです。新しく知った言葉を使って、話をしてみるのもいいし、作文に使ってみるのもいいでしょう。インプットとアウトプットのバランスが整うとき、それは本当に自分の使える言葉が増えたということになります。
<<え2004/222み>> オンラインで作文を送信すると「森リン」で自動採点をします。「森リン」の中にある、語彙についての説明を紹介しますね。これは、インプットされた言葉を、どうアウトプットするか、その具体的な方法と考えられます。
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●強力語彙は、物事を構造化する思考性の高い語彙です。強力語彙を増やすには、事実だけでなく、説明や意見・感想を入れて書きましょう。
●重量語彙は、物事の複雑な面を表す難度の高い語彙です。重量語彙を増やすには、難しい言葉や漢字を使って書きましょう。
●素材語彙は、物事の多様性を示すユニーク度の高い語彙です。素材語彙を増やすには、幅広い実例を入れ、できるだけ多様な表現を工夫して書きましょう。
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 語彙力が高まると、それだけ自分の思いや考えを的確に伝えることができるのです。自己表現の有効な道具を手にしたということでもありますね。

★問題の答えは順に(2)(4)(5)(3)(3)(2)(4)(4)


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