言葉の森新聞2006年12月1週号 通算第961号
文責 中根克明(森川林)

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■■12.1週は進級テスト
 12.1週に、作文進級テストを行います。課題フォルダの字数・構成・題材・表現・主題の●印が全部できていることが合格の条件になります。(表現の項目などで「たとえ」と「ダジャレ」など二つ以上の項目が指定されている場合はどちらかができていればその項目は◎です)。キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いていってください。中学生以上の時間制限については、今回は採点の基準にしませんが、できるだけ時間内に書き上げる力をつけていきましょう。
 手書きで作文を書く人は、項目ができたところにシールをはっておいてください。
 パソコンで作文を書く人は、キーワードを入れておいてください。
 小学生の場合は、提出する前に、おうちの方が字数と項目シールをチェックしてあげてくださるとよいと思います。
 小学2年生までの生徒は、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。10月以降に受講を開始した生徒も、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。ただし、いずれの場合も、賞状は出ますので、できるだけ字数と項目ができるように書いていってください。


■■ペンネーム・パスワード・プロフィールの変更は
 ペンネーム・パスワード・プロフィールを変えたいときは、こちらで行ってください。
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■■12月から住所シール・項目シールの再送は有料に
 12月から、住所シール・項目シールなどを紛失して再送を希望される場合、実費程度の料金をいただくことになりました。

課題フォルダ1式……………500円
作文用紙(10枚単位)……150円(市販の用紙でも可)
封筒用紙(10枚単位)……150円(普通の封筒でも可)
項目シール……………………150円(手書きでも可)
住所シール……………………150円(手書きでも可)

 学期の終わりごろで残りの日数が少ない場合、市販のものや手書きのものを利用してくださっても結構です。


■■来年1月から受講料値上げ
 来年1月から、受講料を下記のように変更いたします。

小学生以下 現7500円 → 新7810円
中学生以上 現8500円 → 新8667円
(いずれも消費税抜きの金額)

 したがって、消費税を含む金額は、小学生以下8200円、中学生以上9100円となります。
 郵便局をご利用の方は1月15日、銀行をご利用の方は1月27日の自動振替分より引落とし金額が変わりますのでご了承ください。

 なお、1月より受験コースの料金も現1500円から2100円(消費税含む)に変更いたしますが、現在受験コースを受講されている方の料金は現行のままです。

 受講料の引き上げに伴い、言葉の森の教材を更に充実させ勉強の成果が上がるようにしていきたいと思っております。


■■自然と遊ぼう(たんぽぽ/たま先生)
 先月末、娘の幼稚園の親子遠足で万博公園に行ってきました。1970年の大阪万博跡地を公園にし、緑の森を再生しようという活動が始まって、36年という年月が経ちました。当時植えられた苗木が成長して人工の森を作り、その中にたくさんの生き物が生息しています。

 当日は幼稚園側の提案により、自然科学に詳しい先生をお迎えしての園内散策でした。先生は私たちが普段見逃してしまいがちな小さな自然に対し、いろいろなヒントを与えてくださいました。前日の雨で濡れた芝生を「上からではなく斜めから見てみましょう。虹色に光っているよ。」「この小さい草は昔、血止めに使われていました。手で揉んでみよう。いいにおいがするよ。」と。子供たちはもちろん大喜び、大人たちからも「わ〜っ、本当だ!」と驚きの声が上がりました。

 次のお題は「どんぐりを拾って、並べてみよう。大きさや色、形は同じかな?」というもの。並んだどんぐりをじっくり見てみると、当たり前のようですが、これが微妙に違うのです。似たようなものはあっても、まったく同じものは一つもないのだと改めて感じた瞬間でした。「どんぐりの背比べ」(=どれもこれも平凡で、特にすぐれたもののないことのたとえ≪三省堂≫)という言葉に惑わされ、今まで一つ一つを比べてみたことなどありませんでした。ついこの間、大量のどんぐりを拾ったというのに(笑)、こんなことにも気づかなかったなんて! 知っているつもり、わかったつもりでいた自分を恥じました。

 散策を続けていると、クモの巣やカタツムリにも遭遇しました。湿った落ち葉をめくると、きっとまだまだたくさんの生き物を見ることができるのでしょう。いったいどのくらいの種類がいるのかな? などと考えていた矢先、虫好きで有名(?)な男の子が「虫、見つけた!」と捕まえた虫を得意気にみんなに見せてくれました。園児たちは、羨望の眼差しで男の子と虫を見つめています。そこで先生が説明を始めました。「これは『チャバネゴキブリ』といいます。」

 「えーっ!!」『ゴキブリ』と聞いて、子供や父兄からどよめきが起こります。そこで先生はおっしゃいました。「ゴキブリは、森の掃除やさんです。ゴキブリがいるからこそ、この森は美しく保たれているのですよ。自然には、どんなものにもちゃんと役割があるのです。無駄なものはひとつもないのです。」

 散策の後、保護者を対象とした講義の中で、先生はこのようなことをお話しされました。

 『図鑑で見る自然と、本物の自然は違います。実際に自然に身を置くことで、その偉大さを肌で感じ、人間も自然の一部なのだと思い知ることができるのです。もっと自然と触れ合ってください。いっぱい遊んでください。そこで見つけた名も知らない小さな花の美しさに目を留めてみてください。小さな虫の命を感じてください。これらの命に支えられているからこそ、私たち人間が生きているのだと知ってください。ミミズにはミミズ、ゴキブリにはゴキブリにしかできない役割がある。この世の生き物は、みんな役割をもって生まれてきているのです。だからこそ、それぞれの命に優劣をつけることはできないのです。』

 口先だけで、自然の役割や命の大切さを訴えるより、まずは自然の中で遊ぶこと。そうすれば子供は勝手に学んでいくのだという、たいへん興味深いお話でした。

 この日を境に、私も今まで苦手だったイモムシやゴキブリを見る目が少し優しくなった気がします(笑)。
<<えa/878み>>



■■魔法の呪文(しまりす/きらら先生)
 11月に入ってもあたたかい日が続きました。うれしいことはうれしいのですが、普通じゃないな、と思うといろいろ心配になってきます。いつ冬が来てもいいように、心の準備だけはしておかなければ・・・。

 先日、娘の小学校の授業参観に行ってきました。この日は音楽集会というものも開かれて、各学年の工夫にみちた歌や合奏の発表を聞くことができます。今年、娘の学年は合唱を披露してくれました。曲はサウンドオブミュージック、高音部が多くて難しいものです。
 歌い出したとたん、体育館がシーンとしました。少し前から屋根を打っていた大粒の雨も、このときだけは小降りになった気がするくらいです。ひとつにまとまった声、美しくひびく高い音。そして、心から楽しそうに歌う、自信に満ちた子どもたちの顔。歌い終わった後には、大きな拍手がおくられました。
 正直にいうと、この学年からこんなにすばらしい演奏が生まれるとは思っていませんでした。悪い子達ではないのですが、ちょっと幼いというか、元気があり余っているというか。音楽よりも体育で実力が発揮できるような学年だと思っていました。それがなぜ、ここまでできるようになったのでしょうか?
 その秘密は、音楽の先生がひたすらほめてくださったことにあります。「この学年の声はすばらしい」「授業中にふざける人は多いけれど(!?)、よその学校の先生を招いて行う公開授業はこの学年でやりたい」「うたごえを聞いていて涙が出そうになった」と、授業のたびにおっしゃっていたそうです。根は素直な子達ですから、これを聞いて気をよくしないはずがありません。それで、先日の自信あふれる演奏になったのでした。
 「すごいね」「よくできたね」・・・。ほめことばは、魔法の呪文のようです。このひとことで、子どもは顔を輝かせ、どんどん前進していく。この簡単な言葉をなかなか口に出せない親の一人として、深く考えさせられた一日でした。
<<え2006/219み>>
 
 


■■「ぼくらのなまえは、ぐりとぐら」(ゆっきー/かき先生)
   ぼくらの なまえは ぐりと ぐら
   このよで いちばん すきなのは
   おりょうりすること たべること
   ぐり ぐら ぐり ぐら

 これは、私の大好きな絵本のひとつ「ぐりとぐら」のワンシーンです。知っている人も多いのではないでしょうか。先日、ひろしま美術館で開かれている「創刊50周年 こどものとも 絵本展」へ家族と行ってきました。入り口には、今から50年前の1956年に発行された第1号から最近までの約600冊の「こどものとも」シリーズの絵本の表紙が展示(てんじ)されていたり、ぐりとぐらの服を着て写真撮影(さつえい)ができるなど、絵本展に一歩足をふみ入れたときから、絵本の世界にすっかり引きこまれてしまいました。こう書くと絵本の展示会のような感じがしますが、そうではなく「原画」を展示してる絵本展です。本屋さんや図書館に並んでいる絵本は何千冊と印刷(いんさつ)された本の中のひとつですが、そういう本の形になる前には、画家がかいたもとの絵が必ずあります。それを展示してるわけですので、まさしく世界でひとつしかない絵ばかりがありました。
 原画といういと、みなさんはどんなイメージを持っているでしょうか? 画家がきれいに仕上げた絵を思いうかべませんか? なにせ、それをそのまま印刷するわけですから、かんぺきな作品をイメージしてしまいます。原画を遠くから見たときは「絵本のままだね。」なんて話していましたが、近くに寄ってみて、おどろき100倍! なんと、修正(しゅうせい)ペンで直しているところがたくさんあるのです。下書きのえんぴつのあともしっかり残っていました。色も何回も重ねてぬっているところは、もり上がっていました。印刷された絵本ではわからない立体感がそこにはあったのです。すべての原画がそうでした。画家の息づかいが生々しく伝わってきて、しばらくそこから動けなくなってしまいました。同時に、この作品を仕上げるために、一体、どれだけの時間をついやしたのだろう、この色を生み出すために何回絵の具を混ぜ合わせたのだろうとか、いろいろなことを想像してしまいました。原画の横には、実際(じっさい)の絵本が置いてあるため、それと比べてみたら、修正ペンのところは、全くわかりませんでしたが、えんぴつのあとがうっすらわかるものも見つかりました。なんだか、画家にしかわからない、まちがいさがしゲームのようで、とても新鮮(しんせん)な気分になりました。おなじみのさとうわきこさんの「ばばばあちゃんシリーズ」、かこさとしさんの「てんぐちゃんシリーズ」からもえんぴつのあとを発見して、思わず「やった、見つけた!」と心の中でさけんでしましました。
 今回、この原画をみて一番感じたのは、「人間、かんぺきな人はいない。プロの画家だって、下書きはするし、まちがえたら修正ペンで直すんだ。」ということ。絵本作家が、ぐっと身近に思えるようになりました。私は、保育園や小学校で絵本の読み聞かせのボランティアをしていますが、これからは、今までとはちがう目で絵本の読み聞かせができそうです。明日は保育園に行く日。読む本を選ばないといけませんが、どうやら、文字よりも絵のほうをじっくり見てしまいそうです。
 絵本展は、今後も全国各地で開かれていると思います。機会があれば、ぜひ、家族で足を運んでみてください。読み聞かせをしていたころのなつかしい話が親子でできることまちがいなしです。
<<え128み>>


■■日本語をじょうずに使える人(ミニー/さらだ先生)
 秋も深まり、先生のうちの庭木も色づくものや、葉が残り少なくなっていくものもあります。先日、飼っている二匹の猫が庭に面した窓を一生懸命見ているので、「ああー、猫も秋を惜しんでいるのかなあ…」 などと思ったら、なんでもない! 結構大きめなカマキリが窓の外にへばりついていました。小さな猫のほうが、先生の顔を見て、「とってー」 と鳴きました。(ホントかな?!) そこで一句思い出しました。
「名月を とってくれろと 泣く子かな」 小林一茶
                        <<え2006/310み>>
 10月の下旬にNHKの番組「クイズ 日本の顔」 に、みんなも知っているかなあ? 映画字幕翻訳者の戸田奈津子さんが出演していました。彼女は、映画「タイタニック」 「スターウォーズ」 「ハリーポッター 賢者の石」 など、数多くの映画の字幕を作っている人です。その字幕を作り出すまでの工程を冒頭に放送していましたが、単に映画出演者のセリフを訳しているだけではないんだね。その画面が変わらないうちに、セリフを観客に読ませてしまわなければならないので、時間との戦いみたいでした。まずは、その場面が何秒のものなのか、すべてチェックし、どんなに英語のセリフが長くても、私たちが読めるぐらいの訳にしなければならない。時間と文章量の厳しい制約が課せられる仕事でした。「ああーなるほど! そんなふうに字幕を作っていくのか」 と映画を観る際、字幕に頼りきっている先生は、感心しながらテレビを見続けました。彼女に対する質問に回答者が答えるというかたちで番組が進んでいくのですが、一つおもしろい質問がありました。
映画タイタニックの中で、
「You let go,and,I gonna have to jump in there after you」 はどのように訳したでしょうか?
という質問です。直訳すると非常に長くなってしいます。字幕では短く訳さなければ読みきれない。通常なら、afterがあるので「君の後に飛び込む」 と訳してしまいますが、戸田さんは「タイタニック」 では「一緒」 という言葉がキーワードになると考え、「飛び込むなら僕も一緒に」 と訳したそうです。 「タイタニック」 のお話を知っている人には、これが後の展開に大きくつながるのが想像できるでしょう。
戸田奈津子さんの字幕翻訳の特徴は、スピーディなストーリー運びを損なわない大胆な「意訳」にあるといわれています。このようなたいへんな制約の中で一定水準以上の翻訳を締め切り時間内にまとめ上げる手腕は高く評価されています。こうした意訳が、ときに「セリフの意味が通らない」 などと批判の対象ともなっているみたいですが、先生が彼女から感じたことは、彼女は英語に秀でているのでなく、日本語をじょうずに使える人だということです。たくさんの日本語を知っていて、人の気持ちを読み取れる心を持っていないと翻訳はできないのだろうと、彼女から知らされました。そして、彼女は多くの日本語の本を読んで育ったに違いないと確信を持ちました。
                         <<え581み>>
 深まる秋には多くの時間があります。テレビを消して、本を読んで過ごしてみてましょう。


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