言葉の森新聞2008年9月1週号 通算第1045号
文責 中根克明(森川林)

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■■【重要】9.1週は進級テスト
 9.1週に、作文進級テストを行います。
 提出が遅れた場合は進級できません。(9月8日ポスト投函まで)
 課題フォルダの字数・構成・題材・表現・主題の●印が全部できていることが合格の条件になります。(表現の項目などで「たとえ」と「ダジャレ」など二つ以上の項目が指定されている場合はどちらかができていればその項目は◎です)。キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いていってください。中学生以上の時間制限については、今回は採点の基準にしませんが、できるだけ時間内に書き上げる力をつけていきましょう。
 手書きで作文を書く人は、項目ができたところにシールをはっておいてください。
 パソコンで作文を書く人は、キーワードを入れておいてください。
 小学生の場合は、提出する前に、おうちの方が字数と項目シールをチェックしてあげてくださるとよいと思います。
 小学2年生までの生徒は、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。7月以降に受講を開始した生徒も、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。ただし、いずれの場合も、賞状は出ますので、できるだけ字数と項目ができるように書いていってください。


■■【重要】9.1週の作文はファクスでも受付
 9.1週に限り、ファクスによる提出も受け付けます。ファクスでの提出期限も9月8日です。ただし、ファクスで提出をする人は、事前にメールアドレスを登録しておいてください。

1、ファクスが正常に送信できているかどうかは、24時間以内にメールと検索の坂で連絡をします。正しく送信できたかどうかを必ずご確認ください。

2、連絡用のメールアドレスは、検索の坂の「ペンネーム 変更」というところで登録できます。既にメールアドレスが入っている場合は、そのアドレスが登録されています。

3、ファクスで送られた作文は、作文の丘にPDFでアップロードされます。本人への返却はありません。
4、ファクスで送られた9.1週の作文に限り赤ペンの添削はありません。(通常は、ファクスで送られた作文にも赤ペンの添削があります)


■■【重要】10月から、提出回数も進級条件に
 次の学期から、進級テストの締め切りまでに、1ヶ月に1回分以上提出がないと進級できません。
(10月分で1回以上、11月分で1回以上ということです。10月中に11月分を書いたり、11月や12月に入ってから10月分を書いたりすることはかまいません)
 振替の授業は、平日9:00―19:50土曜9:00―11:50で受け付けています。


  <<え838み>>


■■作文指導を更に充実させるために
 言葉の森では、作文指導を更に充実させるために、次のようなことを考えています。

 第一は、入力の仕組みを作ることです。
 作文を出力だとすると、入力は、自分の体験や知識です。特に、知識の部分は学年が上がるほど個人差が大きくなり、本をよく読んでいる子とそうでない子との間には、生かせる実例の幅に大きな違いが出てきます。
 これまで、言葉の森では、毎日の自習として長文音読や読書をすすめてきましたが、今後更にそれを強化して、長文暗唱を取り入れていきたいと思っています。今、その仕組みを検討しているところです。毎日100字から200字程度の暗唱であれば、10分から20分ほどでできるので、その暗唱を繰り返して、長文を丸ごと暗唱できるようにしたいと思っています。
 第二は、思考の仕組みを作ることです。
 入力と出力の間に、自分の考えを深める思考という過程があります。
 これまでは、作文を書く前に考えたり構成メモを書いたりする形で思考を処理してきましたが、今後それを更に強化して、構成の図を書くような指導をしていきたいと思っています。これは、自分の持っている材料を一枚の紙に二次元的に広げて矢印などで図示して考える方法です。ちょうど同じようなことが、マインドマップやダ・ヴィンチ・メソッドでも取り上げられていますが、それらの方法とは少し違います。
 なぜ二次元的に広げて考えることが大事かというと、人間の短期記憶が七個程度しか保持できないからです。入力の場合は、七個程度の語句のつながりを逐語的に消化しながら読み取っています。出力の場合も、七個前後の語句のつながりをそのつど組み立てながら書いています。作文を書くときは、語句のつながりを維持するだけで七個程度のメモリーをほとんど使ってしまうので、周囲がうるさいと書けなくなるのです。ところが、材料を二次元的に広げると、仮想的な短期記憶が一挙に増大します。そこで、異なる材料の間にある論理的なつながりを発見しやすくなるのです。構成図を書くことによって考えを深めるというのは、このような意味です。
 第三は、出力の仕組みを改善することです。
 現在は、それぞれの進度に合わせた構成の仕方に基づいて1200字程度の文章が書けることを目標にしていますが、1200字の文章を書くためには、やはり1時間ほど時間がかかります。忙しいときには、1200字も書けないとなると、つい時間のあるときに書こうと思って後回しにしてしまいがちです。しかし、既に長文を読んで、どう書くかを考えているのであれば、その場で書いた方が勉強になります。
 そこで、忙しいときには、規程の字数まで書けなくてもいいから、構成メモを書いてとりあえず完成させておく、ということを考えています。この構成メモに作品としてのまとまりを持たせるために、四行詩として書くということが考えられます。構成の四段落に沿った四行で文章を書き、中に必ず光る表現を入れる、という形です。


■■経験がもたらすもの……失敗は成功のもと(あこ/やよい先生)
 先日、ついに自宅用のプラズマテレビを買いに行きました。
 ボーナスで買いたい家電製品のナンバーワンなのだそうです。私も例にもれず売り場へと行ってきました。そこでいろいろと説明を聞いていたのですが、どうやら日進月歩で製品が変化しているらしく、半年前とは機能が大きく違うというではないですか。いま安く売っているものは最新のものに比べると当然機能が劣りますが、それも数年前には最新だと言って高額で売られていたものなのです。いま最新のものも、半年ほど経てば前時代のものとされてしまうのかと思うと、なかなか購入を決断できません。

 人間はいつでもそういった「決断」にせまられています。失敗するかもしれない、でも今よりさらに素敵な結果が待っているかもしれない……良いこと、悪いことをいろいろと考えてしまうのですよね。
 みなさんの生活の中にも「決断の時」があると思います。例えば朝ごはんの卵に、塩こしょうをかけるのか、ケチャップをかけるのか、それともしょうゆかな? と。それ以外にも、スポーツでパスをする瞬間やテストで解けない問題をとばすのか諦めずに解き続けるのか、次以降の問題が簡単ならとばせばよいのですが、そんなことはまだ分からないのです。
 では決断の時の大切なものは何だと思いますか? 
 何を基準に、いくか、とどまるかを判断するのでしょうか。みなさんも考えてみてください。

 私は個人的な意見として「勘(かん)」が何より重要ではないかと思うのです。いい加減なように聞こえますが、「勘」と「あてずっぽう」は違います。「勘」というのはその人の経験や努力、感性や想像力が生み出すものです。

 将棋の世界で有名な羽生(はぶ)さんという人がいます。将棋でコンピューターと人間が対決すると、いまのところ人間が勝つそうです。この機械との対決の中で、コンピューターは一手一手をしらみつぶしに検討します。当然何通りもの「一手」が考えられるので、最良の一手を出すのには数時間を要します。しかし、同じ盤面で羽生さんがその最良の一手を出すのにかかった時間はたった2秒だったのです。
 これは「勘」のたまものです。羽生さんは盤面を見て「頭に浮かんだ」のだそうです。人間にあって機械にないもの、それこそが「勘」なのです。すごいですよね!!

 人間の脳は、自分が持っている情報をもとにこれから先のことを予想したり、必要ないと判断したものを思考からはずして短い時間で決断することができます。しかしそのためには、よりどころとなる情報の引き出しが必要になります。それを養っていくのが、経験と努力なのですね。それが感性や想像力を磨いて、よりよい道に導いてくれるのです。「失敗は成功のもと」というのはこういうことなのではないかと思うのです。

 決断に大きさに関わらず「最良の一手」が出せるような経験を積み重ねていきたいものですね。
<<え2007/254み>>
 私にとっては大きな決断だったプラズマテレビ……「最良の一手」だったのかな〜(笑)


■■国語力と創造性(わびすけ/かねら先生)
 先日,都内某私立大学で開催された【1968――肉体の反乱とその時代】というアート・アーカイヴ資料展に接する機会をもちました。といっても私は,お客さんとして赴いたわけでもなく芸術の「げ」の字もよく理解していないわけですが,ひょんなことから監視員として連日展示会で睨みをきかせる(フリをして舟を漕ぐ)ことになったのです。一方この催し自体はこじんまりとしたものでお客さんで溢れかえるなんてことはありませんでしたので,私自身も折りにふれて席を立って(なんのこっちゃ分からないままですが)展示に見入っていました。
 この展示会の目玉となったのは,【土方 巽】(ひじかた たつみ / [1928年3月9日 - 1986年1月21日] / 舞踏家・振付家 / 暗黒舞踏という新しい舞踊形式を確立した人物 / ジャンルを超えて様々な芸術家たちに影響を与えた…【ウィキペディア】より抜粋。)に関連する資料群の公開でした。なかでも,土方氏が1968年に発表した【肉体の反乱】と題する舞台の模様を記録したフィルムの映写は,来訪者の目を釘付けにしていました。
 次にみなさんが興味をひかれるのは,この【肉体の反乱】が一体どのような作品であるのかということですね。しかしながら,冒頭でも申し上げたとおり作品の概要を噛み砕いてお伝えできるような教養は私にはございません。ただし,とにかく不思議な空間で異様な踊りが繰り広げられていたのは確かです。人によっては「奇をてらっている」という見方もできるかもしれませんし,一方で私は「なんかけったいな動きしとるなぁ。せやけど見てて飽きへんなぁ」とニヤニヤしていた次第です。
 したがって,芸術で心を豊かにすることができないのが私です。しかし,連日同じ映像を繰り返し見ていると閃いたことがあったのです。それは,土方作品を展示会のタイトルにもある「1968」年の目線で見たらどうなるんだろう,という考えです。つまり,現在ではなく,当時の時代のコンテクスト(背景)において彼の作品がどのような意義をもっていたのかを問題とすることです。この学級新聞を読んでくれている生徒さんは,学校の先生やおじいさん・おばあさんに聞けば当時の状況を知ることができるでしょう。実際のところ世界的にも,また国内的にも重大な事件が政治・経済・社会の各領域で相次いで起こり,とくに若い世代の人びとは,現状を打破するために今までにない新しい価値観を生み出そうとしたのが1968年前後だったのです。このような目線で土方作品を捉えなおすと,彼のとにかく力強くて激しい動きが「ストン」と理解できるものになりました。また,フィルムの映写の際には「新世界(ド・ヴォルザーク)」が流されていましたが,加えて土方氏自身もこの曲を好んで用いたということから,彼自身の舞踏家としての活動の動機をもうかがい知ることができました。
 このようにみてくると,読書でも同じことがいえるのではないでしょうか。例えば,古典とされる名著には,読み解くには難解なものも数知れず存在します。ここで必要とされる読解力には,単なるボキャブラリーだけでなく,それらの言語が生み出された時代背景や社会状況を知っていることが挙げられるでしょう。もちろん必要とされるのは,歴史的知識だけに限られません。日々大量の情報が提供される新聞記事を読むうえでは,現代的な時事問題を敏感に感じていることや,場合によっては個々の専門知識に習熟していることが求められます。したがって,国語力とは勝れて総合性を帯びた学習分野ではなかろうか,というのが私の考えです。


■■絶滅危惧種(よう/まえ先生)
<<えa/2356み>>

 今日は動物園日和(^o^)/。ということで、今日、私は上野動物園に行ってきました。上野動物園と言えば、最近、ジャイアントパンダのリンリンが死んだということで、何かと話題に上ることも多かったですね。パンダのいない上野動物園はやはりちょっと寂しかったように思います。

 ところで、パンダといえば「絶滅危惧種」。最近よく耳にする言葉。具体的にはどういうことなのでしょう。

 調べてみました。「絶滅危惧種」、文字通り「絶滅の恐れのある野生動物」ということです。この動物たちを調査しているIUCN(国際自然保護連合)という団体が、その調査結果を「レッドリスト」にまとめているのですが、このレッドリストにはなんと5000種以上の動物たちが掲載されているそうです。このリストでは、絶滅の危険度に応じてランク設定がされています(色々調べてみたのですが、ランク設定には諸説あるようで……。一番わかりやすかったもので紹介しますね)。

■絶滅種(EX)… 最後の個体が死亡した種
■野生下絶滅種(EW) …本来の生息地以外で飼育により生き残っている種
■絶滅臨海種(CR)… ごく近い将来、絶滅する恐れのある種(成体の生息数が50〜250頭、もしくは生息域が100キロ平方メートル以下で、 ここ10年間あるいは3世代が交代する間に少なくとも80%のものが減少したもの)
■絶滅危惧種(EN)… 近い将来、野生下絶滅のおそれのある種(成体の個体数が250〜2500頭、あるいは生息域が5000キロ平方メートル以下で、 ここ10年間あるいは3世代が交代する間に少なくとも50%のものが減少したもの)
■危急種(VU)… 近い将来絶滅の危機に瀕する種(成体の生息数が1000〜1万頭、もしくは生息域が2万キロ平方メートル以下で、 ここ10年間あるいは3世代が交代する間に少なくとも20%のものが減少したもの)
■希少種(LRc)… 保護の必要な種
■希少種(LRn)… やがて絶滅に瀕するであろう種
■不確定種(DD)… 分類する上でさらなるデーターが必要な種
(出典 月刊パンダ)

 その中で、ジャイアントパンダは「EN」にあたります。……と言っても、あまり具体的にイメージできなかったので、野生のパンダの生息数を調べてみました。

答えは「1600頭」。

 もちろん、この危機的状況を回避するために様々な対策がとられています。実際に、1980年代には1000頭とも言われていたのですから、2004年の1600頭という数字は微増とはいえ、喜ばしいですね。

 しかし、この危機的状況はパンダに限ったことではありません。上にも述べたように、絶滅危惧種は5000種以上。そして、問題はその原因が自然淘汰ではなく、人為的要因が大きく影響しているということでしょう。森林伐採・埋め立てなどによる開発、毛皮や牙を売買するために起こる乱獲、農薬による汚染……、人間が人間のためだけを考えて行ってきた行為が、今、多くの野生動物たちを危機的状況に陥れているのです。

 暑い毎日……、ついつい必要以上にエアコンの設定温度を下げてしまうこと。ほんの少しだから、とキッチンの排水溝に油を流してしまうこと。リサイクルできるものなのに、ついつい面倒で分別せずに捨ててしまうこと。どれも小さなことのように思えますが、その一つ一つの行為が、今、野生動物を死に追いやっているのです。

 そんなことを考えながら、パンダのいなくなった上野動物園を後にしました。

 今、私たちができること。小さくても確実に。

<<えa/2356み>>


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