言葉の森新聞2008年12月4週号 通算第1060号
文責 中根克明(森川林)

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年末年始のお休みは、12月28日(日)〜1月4日(日)です。


■■12月23日(火)は休み宿題(再掲)
 12月23日(火)は、休み宿題です。先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前9時〜午後7時50分。電話0120-22-3987)
 電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
 「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/index.php
 「ヒントの池」 http://www.mori7.com/mine/ike.php


■■新学期の教材を発送しました
 新学期の教材は、12月15日・16日に発送いたしました。
 国内の生徒で25日になっても届かない場合はご連絡ください。


■■12.4週は読解問題と清書。幼稚園生は普通の作文
 12月4週は、読解問題と清書です。幼稚園年中と年長の生徒は、第4週も普通の作文を書く練習です。自由な題名で作文を書いてください。項目シールは、予備のものを使ってください。
 小学1年生以上の生徒は、第4週に読解問題と清書を行います。
 読解問題の時間がかかるため、清書の時間が取れない場合は、清書を省略してもかまいません。
 なお、清書が保存されると勉強の記録になりますから、生徒又は家族がパソコン入力ができる場合は、パソコンで書いた清書を作文の丘から送ってください。


読解問題の仕方
 「山のたより」についている読解問題は、課題フォルダにはさんである読解マラソン集から出しています。
 読解問題の答えを作文の丘から送信する人は、作文の丘に答えを入れる欄がありますから、清書と一緒にそこから送信してください。
 読解問題の答えを作文用紙に書く人は、作文用紙に問題と答えがわかるように書いてください。書き方は自由です。住所シールは、清書の1枚目にはってください。問題の方にははりません。


清書の仕方
 今月の清書のうち、上手に書けたものは、翌々月第1週に優秀作品としてプリントされます。
 清書は、パソコンで書いても手書きで書いてもどちらでも結構です。
 パソコンで書きインターネットから送信した清書は、ホームページに保存されます。
 パソコンで清書を書いて送信した場合、手書きの清書は提出する必要はありません。
 インターネットからの送信の仕方は、「学習の手引」をごらんください。
http://www.mori7.com/mori/gate.php#129
 手書きの清書を提出する人は、清書がホームページに表示されなくなりますので、先生に送る前にコピーしておかれることをおすすめします。
 よく書けた清書は、自分で小学生新聞などに投稿してください。ただし、同じものを複数の新聞社に送らないようにしてください。
 新聞社などに投稿する場合、手書きで清書を書いている人は、その清書をコピーして、原本を新聞社への投稿用に、コピーを言葉の森の先生への提出用にしてください。パソコンで清書を送信している人は、その清書をワードなどにコピーして新聞社へ投稿用にしてください。
 新聞社に投稿する際は、作文用紙の欄外又は別紙に次の事項を記載してください。
(1)本名とふりがな(ペンネームで書いている場合は本名に訂正しておいてください)
(2)学年
(3)自宅の住所
(4)自宅の電話番号
(5)学校名とふりがな
(6)学校所在地(町村名までで可)


◆表はウェブでごらんください。
https://www.mori7.com/mori/mori_web.php?ki=20081204#13243
 これまでの優秀作品は、「入選清書」のページでごらんください。
http://www.mori7.com/seisyo/nyuusenn.php


■■志望理由書の書き方(2)(昨年の記事の再掲です。)
 志望理由書は、限られた枠内でできるだけ密度濃く自分をアピールする必要があります。また、提出するまでに時間がありますから、できるだけ完成度の高いものを提出しなければなりません。
 そのためには、
(1)子供だけでなく両親がしっかり作成に関与する
(2)志望理由書のサイトを参考にする(言葉の森の「質問の広場」にもいろいろなサンプルがあります)
(3)志望理由書に関する本を買う
などの対策が必要です。
 特に出版物に関しては、できるだけ参考にしていくとよいと思います。

 話は変わりますが、入試の勉強をする場合も同様です。
 先生の話や友達の話よりもあてになるのは、やはり出版物に載っている情報です。その中でも特に参考になるのが、志望校の過去問です。その過去問も、現在売られているものだけでなく、古本として売られている何年も前に出版された本も買っておくと役に立ちます。

 現代の入試は、情報戦になっています。情報戦の中心となるものは、早耳情報や極秘情報ではありません。世間に流通している多くの公知情報にしっかり目を通すことなのです。


■■ノーベル賞への近道は「国語」(かいす/きあ先生)
 「素粒子物理」の功績によりノーベル物理学賞受賞の南部陽一郎氏、小林誠氏、益川敏英氏。「緑色蛍光タンパク質」の研究でノーベル化学賞受賞の下村脩氏。この4人の子供時代の話を伝え聞くなかで、共通していたことがありました。それは4人ともに子どものころ「国語の成績がよかった」ということでした。物理、化学というコテコテの「理数系」の先生方。さぞや国語は苦手だったんだろうなと思いきや、さまざまなコメントから「ノーベル賞の基礎は国語にあり」が見えてきます。

 「子どものころから、とんでもないことを考えるのが好きだった」(南部氏)「あれ? と思ったことをそのままにしない。本を読んでいろんな答えを探しました」(小林氏)というように、彼らは好奇心旺盛で「知る」ことに貪欲でした。また、「議論が好き。一人で考えても限界がある。多くの人と話し意見を聞くと、こんなにもいろんな意見があると驚く。そこから新しいアイディアが浮かぶ。子どものころから、いろんなことを友と議論してきました」(益川氏)というように、自らの意見を持ち、展開することに積極的で反対意見にも耳を傾けました。さらに、「考えついたこと、思ったことは必ず書いてまとめておきます。証しとして残しておくことが大事」(益川氏)というように、書くことで成果の再確認をしました。

 キーワードは、「好奇心」「話すこと」「書くこと」です。知りたいことを、本を読むことで、また百科事典やインターネットで調べることで得るということにも国語力が要求されます。自分の意見を述べるためには、しっかり要点を整理し、聞く人に伝わりやすくまとめる力が必要です。書く力がどれだけ大事なことかは、作文を勉強しているみなさんには言うまでもありません。

 1973年ノーベル物理学賞を受賞された江崎玲於奈氏、2001年にノーベル化学賞を受賞された野依良治氏は、息子が通う小学校の卒業生です。以前、OBの野依氏が母校で講演をされたときのお話で心に残っていることがあります。「自分の意見を途中で変えることは、決してはずかしいことではありません。ひとつのことにこだわって目を閉じるより、まわりをよく見て聞いていいところを吸収する。そして新しい意見を持てばそれはあなたのものです。」

 えてして子どもというものは、ひとつの事がらにこだわってしまいがちです。多方向から見られるように、世の中にはさまざまな意見があるということを、さりげなく示してあげるのは親の役目だとも話しておられました。そこで、さきほどの3つのキーワードです。好奇心を持った子どもの知識欲を刺激してあげること。それについてたくさん話をすること。そして、書くことで記憶に残すこと。見事にマッチしているでしょう?

 ニューヨークヤンキースの松井秀喜選手も、子どものころ国語の成績がよかったそうです。彼も疑問に思ったことは納得いくまで追いかけるタイプで、議論好きです。小学生のときの「将来の夢」という作文はとても生き生きと書かれていて、国語が得意だったことがうかがえました。「一流プロ野球選手への基礎も国語」なのかもしれませんね。
                                  <<え2008/74み>>


■■幸せの文字は(たんぽぽ/たま先生)
 先日、高校時代からの友人が、アメリカへ旅立って行きました。人生の大きな転機を迎えた彼女は、ずいぶん悩んだ挙句、アメリカでの永住を決めたといいます。不思議なことに、いつも「元気かな? どうしているかな? 久しぶりに近況を聞いてみよう」と思っているところにタイミングよく連絡が来たり、反対にこちらから連絡をすると「ちょうど話したいと思っていたところ」だと言われるのです。頻繁に会うわけではないけれど、心のどこかではお互いにいつも気にかけている、そんな存在なのです。

 しかしアメリカへ行ってしまうと、今までのように会いたいときに会えるわけではありません。「近況を語りながら、ゆっくり食事でも…」ということになり、久々の再会。長い間会っていなかったのに、「久しぶり! 元気〜?」の挨拶の後は、まるで昨日別れたばかりであるかのように、お喋りに花が咲きます。仕事の話、家族の話、テレビドラマやニュースの話、思い出話、将来の話…いくら話しても尽きません。
「女って、なんでこんなにお喋りなんだろうね。あ、もしかして私たちだけ?(笑)」。
「はぁ〜、今日もいっぱい喋ったねえ。…まだまだいけるけど(笑)。」
「次に会うときは、もっとすごいことになるよ、きっと(笑)。」などと、いつもの調子で顔を見合せて笑いました。

 こうして楽しい時間はあっという間に過ぎ、別れ際に、私たちはこんなことを話しました。

 「『+、−、=、−、+』の記号を縦に並べて書くと、『幸』の文字になるって、テレビで言ってたよ。幸せって、いいことも悪いことも半分ずつってことなんだって。まさに『人生楽あれば苦あり、苦あれば楽あり』だよね…」。
 私たちは人生の半分以上を「友人」として過ごしてきました。彼女とは、いいことも悪いことも、包み隠さずに話し合ってきたように思います。何しろ、夫や子供よりも長い付き合いですから(笑)。
 数々の苦労を重ね、人生の「山」も「谷」も見てきた彼女は言いました。「大きな幸せはいらない。後が怖いから(笑)。『そこそこの幸せ』がいちばんいいかなあ。」

 次に会えるのはいつになるでしょう。「お互いそこそこ幸せになろうね! じゃあ、また!」と笑って手を振り、弾んだ足取りで去っていく彼女の後ろ姿を見送りました。


■■ものづくりの仕事(まあこ/ゆた先生)
 ある業界で作品を作っているNさんの話です。Nさんは、その業界に数社ある大手企業が世に出している作品の、実質的な製作を請け負う会社に勤めています。
 そのNさん達の企画が知る人ぞ知る業界最大手A社の目にとまり、数回のプレゼンテーションを経て、試作品を作ることになったそうです。Nさん達にとって、相手は初めて仕事をする業界トップの大組織。業界内でも、特別な威厳のある会社です。江戸時代でいったら、将軍ひきいる徳川家に、外様大名下の一武士がお伺いを立てるような大抜擢とでもいったらよいでしょうか。(←あくまでも私のイメージ(^^;))

 作品のチェックが厳しいことで知られるA社。作ってはA社の意見を聞き、意見を聞いては直すをくり返し、いよいよ最終チェックの日が決まりました。期限は2日後、そのときまでに最終的な直しをして仕上げなくてはいけません。Nさんは2日間徹夜をして、約束の時刻の数時間前に仕上げることができました。

 当然Nさんはヘトヘトです。そこでNさん、仮眠室で少し寝ることにしました。これまでは毎回A社に出向いていたのだそうですが、今回はA社の人がNさんの会社に来てくれることになっていたので、目覚ましを約束の時刻の少し前にセットして眠りにつきました。すぐさま熟睡……すると!
「A社の方がいらっしゃいましたよ!」
という声。寝坊したかと驚いたNさん、飛び起きてスーツの上着を慌ただしく着込んでA社の人が待つ部屋へ直行します。寝ていたと悟られないようにシャンとして……と思っていたNさん、席について話をしているうちに徐々におかしなことに気がついてきた。あれれ、シャツが出ているぞ。あれ、ベルトもズボンのボタンも外れている。れれれれ、体が斜めになってるぞ……
 シャンとしていると思っていたのは自分だけ。実際は、髪は嵐にでもあったような寝グセで、その部屋に登場してきたときには部下に支えられ、重病人かと思うほどのフラフラぶりだったのだそうです。A社の人の質問にもテキパキ答えているつもりが、実際は「しょうですねぇ……しょれはぁ……あれぇ、どうだったかなぁ。ねぇ……」などという調子だったと、後になって他の人たちが大爆笑しながら教えてくれたそうです。
 だんだん意識がはっきりしてきて、ズボンも直し、普通に話せるようになったころ、もう一人A社の人がやって来て、とどこおりなく仕事は進み、めでたく、12月にお試し版として世に出す作品が仕上がりました。

 その日の夜、Nさんからこの話を聞いて、私も大笑いしてしまいました。Nさんは作品にOKが出てほっとしている一方で、「みんなは笑ってすませてくれたけれど、あぁ、あのときズボンにちゃんとシャツが入っていたら。髪をちゃんととかしていたら」と悔やんでいました。ところがそんなときに一通のメールが届いたのです。見ると先のA社の人から。そこにはこんなことが書かれているといいます。
「このたびは、Nさんのスケジュールも考えず、無理なお願いをしてしまい申し訳ありませんでした」。さらに温かい作品にしてくれたお礼がつづられており、「あなた方と仕事ができて幸せです」という言葉。

 どうでしょう、この言葉でNさんの全ては報われたのではないでしょうか。私はなんて素敵な話なんだと感動してしまいました。
 実はこのA社の人、作品の仕上がりが楽しみで、約束の時間より30分前に会社に来てしまったのだそうです。目覚まし時計が鳴る前だったから、Nさんも混乱してしまったのですね。でもそれは、A社の人がワクワクするほどのいい作品だということでしょう。

 Nさんが徹夜をしたように、私たちが目にし、手にする世の中の品物には、苦労があって出来上がっているものがたくさんあると思います。またその品物が、いがみ合う仕事現場の中で出来上がるのと、温かい思いやりの中で生まれるのでは、仕上がりも違うのだと思います。
 私たちが心引かれる品物とは、そういう、温かさから出来上がってきたものなのかもしれません。そんな仕事ができる社会を、きっといい社会というのではないでしょうか。

 Nさんの作品は、12月に一度お試し版が世に出て、評判が良ければ4月から本格的に私たちの目にふれるようになるそうです。未定のことでもあり、その名前などは明かせないのですが、もしみなさんがその作品を目にしたら、好きになってくれるといいなと思います。


   <<え2005/194jみ>>


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