言葉の森新聞2017年12月1週号 通算第1493号
文責 中根克明(森川林)

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■■【重要】12月1週は次学期の進度の参考にする試験(再掲)
12.1週の授業は、今学期の勉強の実力を見て、次の学期からの進度の参考にする実力試験として行います。
 ただし、今学期中に受講を開始された方については、この試験の結果にかかわらず原則として自動進級となります。

【課題】 課題は12.1週の作文又は感想文の課題です。
【評価】 課題フォルダの構成・題材・表現・主題の★印と字数が全部できていることが評価の基準になります。(表現の項目などで二つ以上の項目が指定されている場合は、どちらかができていればその項目は◎になります)
 キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で、必要な項目が全部入るように作文を書いてください。また、項目を入れたところには、項目マークを必ず書いておいてください。
【時間】 時間制限はありませんが、参考のためにかかった時間を作文用紙に記録しておいてください。時間は、課題を見てから書き終えるまでの時間です。
【締切】 作文実力試験の提出締切は、12月8日消印までです。


■■【重要】12.1週の作文はファクスでも受付(再掲)
 12.1週に限り、ファクスによる提出も受け付けます。ファクスでの提出期限も12月8日です。
 ただし、ファクスで提出をする人は、事前にメールアドレスを登録しておいてください。

1、ファクスが正常に送信できているかどうかは、24時間以内にメールと検索の坂で連絡をします。正しく送信できたかどうかを必ずご確認ください。
2、連絡用のメールアドレスは、検索の坂の「ペンネーム 変更」というところで登録できます。既にメールアドレスが入っている場合は、そのアドレスが登録されています。
3、ファクスで送られた作文は、作文の丘にJPGでアップロードされます。作文の返却はありませんが、添削された作文は山のたよりに表示されます。


■■小1から始める親子作文とは
 小学校1、2年生のころは、まだ作文が自由には書けない子がほとんどです。
 作文力の土台は読む力ですから、読む量がまだ不足しているうちは、作文は書けません。

 ところが、日本語は世界でも珍しい言文一致の度合いが強い言語ですから、口に出したことを文字にすれば、作文らしいものは一応誰でも書けるのです。
 しかし、それを作文として見てしまうと、いろいろな表記ミスが出てきます。

 例えば、句読点は、口に出す言葉にはありません。
 また、会話のカギカッコも、段落もありません。
 微妙なのは、小さい「つ」ですが、これも口に出す言葉では音として出てきません。
 だから、子供が最初に書く作文らしきものには、こういう表記ミスが出てきてしまうのです。

 しかし、もしそこでこれらをミスとして直そうとすれば、子供はなぜそれを直さなければならないかわかりません。
 それは、子供の書く文章が、口頭の文章をもとにしているからです。

 年齢が上がると、書く文章は、読む文章をもとにしてきます。
 すると、表記の仕方もわかってきます。
 しかし、聞く文章や言う文章をもとにしているうちは、書く文章は表記上のミスがあって当然なのです。

 では、どうしたらいいかというと、読む文章の量を増やすことです。
 さらに言えば、これを一般的な読書としてだけでなく、子供自身が書いた作文を読む量も増やしていくのです。
 これが、親子作文の出発点です。

 親子作文は、作文を書く前の題材作りから始まります。
 小学1、2年生の子に、自由な題名で作文を書くように指示すると、多くの子は、「今日のこと」という題名で書こうとします。
 このころは、毎日が楽しい一日なので、それはそれでいいのです。

 しかし、子供によっては毎週のように、サッカーならサッカーのことばかり、ゲームならゲームのことばか書く子もいます。
 たまに、旅行に出かけたときなど、そのことを長く書く子もいますが、普段の作文の題材はあまり変化がないのが普通です。

 そこで、お母さんやお父さんが、子供と一緒に作文の題材の準備をするのです。
 準備と言っても、わざわざどこかに出かけるというようなことは必要ありません。
 一緒に玉子焼きを作ってみるとか、植物の種を植えてみるとか、虫捕りに行ってみるとか、そういうことでいいのです。

 しかし、それを漠然とやるのではなく、お母さんやお父さんなりに新しい工夫をしながらやってみるのです。
 例えば、虫捕りの場合も、ただ網を持ってつかまえにいくというだけでなく、まだやったことのない新しい方法を試してみるのです。

 こういう挑戦は、親にとっても面白いことですし、何よりも子供は、そういう親の姿を見て、新しいことに挑戦する姿勢を学んでいきます。

 その子供との遊びの過程で、遊びの記録を写真などで撮っておけば、あとでそれが使えます。
 何に使えるかというと、作文を書いたあとの作文用紙の余白に貼っておくとか、プレゼン作文発表会の材料にするとかいう使い方です。

 さて、そういう子供との遊びをしているうちに、作文の授業の電話の日になります。
 子供は、相変わらず「今日のこと」を書こうとしますが、そこで、親が事前に、「この間のあの話を書いたらいいんじゃない?」「あ、そうか」という方向に向けていくといいのです。

 しかし、子供によっては、せっかくたっぷり遊んだのに、やはり同じような「今日のこと」を書きたがったり、また、親子の遊びを題材にして作文を書いた場合でも、肝心の面白いところは書かずにどうでもいい場面ばかりを書いたりすることがあります。
 親の思っていることと、子供の思っていることは、かなり違うのが普通です。

 しかし、そこで子供の自主性を尊重しておくことが大事です。
 親の指示でやらせたことは、その場ではすぐに成果が出るように見えますが、そのことで、指示を待って行動する、指示がないと書けないという依存的な姿勢を作ってしまうからです。

 だから、せっかく子供が作文を書き上げたのに、親が、「もっとあのことを書いたらいいんじゃない」などと、子供の作文の不足を指摘するようなことも言わないことです。
 書き上げた作文は、それがどんなものであっても、そのまま全面的に褒めることが大切です。

 言葉の森では、この親子の遊びの資料として、実行課題集というものを作っています。
 これは、季節の行事や遊びなどを短くまとめたものです。
 また、思考発表クラブでは、この実行課題集を、更に具体的な実行に結び付けられるように、youtubeなどを利用していろいろな動画を紹介しています。

 作文の勉強というのは、作文を書くときに始まるのではなく、書く前の子供の経験や、その経験を通しての親子の関わりの中で始まっているのです。
(つづく)


■■個性、挑戦、感動、共感のある体験実例は、親子で考える
 親子作文コースとも関連する話です。

 受験作文で、体験実例を入れるケースがあります。
 特に、公立中高一貫校の受験では、具体的な自分の体験を入れることがよく求められます。

 なぜかと言うと、これまでの大学入試の小論文の模範解答などのように説明と意見だけで書いてしまうと、小学生の場合は、どれも似たような文章になってしまうからです。
 だから、模範解答的な文章を書くのではなく、自分の体験の裏付けを生かしながら書くという形で作文試験が出されるようになっているのです。

 しかし、ここで大事なことは、誰でもよくあるような一般的な体験実例を書くのではなく、実例の内容そのものに価値があるような書き方を工夫することです。

 それが、個性・挑戦・感動・共感のある体験実例です。

 しかし、試験の本番で、作文の課題に合わせてそのような価値ある体験を見つけるということなかなかできません。
 そこで、あらかじめ自分の過去の体験の中で使えそうなものを見つけておくことが大事になります。

 ところが、この個性・挑戦・感動・共感があるような体験というものは、子供だけではなかなか見つけることができません。

 子供が作文の課題の準備をするときに、親が、価値ある体験を一緒に考えてあげるといいのです。


■■新しいオンライン教育とZoom
 先日あるきっかけでZoomというオンラインウェブ会議ツールのことを教えてもらいました。
 ちょうど10月末に「ズームオンライン革命!」という本が出ていたので、言葉の森で立ち上げたZoomを使っていろいろとテストをしてみました。

 その結果、googleハングアウトよりも、もちろんskypeよりも使いやすい面が数多くあることがわかりました。
 今後のオンライン教育はこのZoomを使って、誰でも参加しやすい形で運営していきたいと思っています。

 言葉の森の教育方針は、オンラインで勉強の効率を高めながら、リアルな人間と自然との結びつきを大切にしていくことです。
 このオンライン+人間+自然、そしてもう一つは日本の文化の根底にある道の精神というものを結びつけた教育を行っていきたいと思っています。
 それを、日本語の特に作文を中心として行っていく予定です。

 ところで、オンライン教育は、なかなかビジネスにはなりません。

 MOOCも、結局そこがひとつのネックになっていました。
 スタディサプリなども、たぶんそこが最も苦しいところでしょう。
 
 なぜビジネスにならないかというと、それは、今のオンラインが、コピーできるものを対象にしているからです。
 コピーできるもののやりとりが中心であれば、それがどんなに優れたものであっても、それでビジネスを成り立たせることはできません。
 だから、これからのオンラインは、コピーのできない創造を中心にしていかなければならないのです。
 
 教える先生の側も創造的に教え、教わる生徒の側も創造的に答えるような、そういう創造のやりとりです。
 言葉の森の思考発表クラブは、今すこしそういう雰囲気になっています。
 今度、自学自習クラスも、そういう創造のある勉強にしていきたいと思っています。


■■書を持って街に出よう――行動と体験を伴う読書法
 本を読むということは、物静かな行為のように思われています。
 しかし、行動する本の読み方というものもあります。

 それは、主に自然科学・社会科学系の本で、本に書かれていることをもとに戸外に出て本の中身を確かめたり実験したりするような読み方です。

 男の子の場合は特に、こういう行動する読書に魅力を感じるようです。

 虫の好きな子が、虫の取り方や飼い方の本を読むというようなものが行動する読書です。

 行動する読書という読み方のよいところは、実際の行動に引っ張られて難しい文章も自然に読みこなす力がつくことです。
 その代わり、読む本はその子の関心に基づいたものである必要があります。

 そのためには、子供の関心をよく知っている親が、その子の興味や関心に応じて行動に結びつくような本を勧めていくことです。

 しかし、一般に母親は、男の子の関心というものがよくわかりません。(笑)
 ときどき、「うちの子(男子)は、物語の本を全然読まないんです」という相談をお母さんから受けることがあります。
 そのときに、無理に物語の本を読ませようとするよりも、その子の関心に応じた説明文の本を探してあげるといいのです。

 言葉の森が、子供たちの読書に力を入れているのは、作文力の基盤が読書力だからです。
 読書力は、また子供たちの感受性や思考力の土台にもなっています。

 読書の好みは、人によってさまざまです。

 屈折した心情描写の文学書が好きな子もいれば、ドタバタ喜劇のような物語が好きな子もいます。
 空想をふくらませるファンタジーが好きな子もいれば、事実に基づいた知識を増やすデータの本が好きな子もいます。

 そういういろいろな読書のひとつとして、行動する読書というものもあります。
 子供の関心を生かした読書というものを考えると、その子にいちばん身近なお父さんやお母さんの役割は重要だと思います。


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