言葉の森新聞2017年12月4週号 通算第1496号
文責 中根克明(森川林)

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■■新学期の教材を発送しました
 新学期の教材を、12月18日(月)~19日(火)の期間に発送しています。
 国内の生徒さんで、25日くらいになっても届かない場合はご連絡ください。
 作文、封筒用紙、住所シールも同封しております。


■■12月23日、1月1日~8日は休み宿題(再掲)
 12月23日(土)と、1月1日(月)から8日(月)は、休み宿題です。
 先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前9時-午後7時50分。年末は28日まで。電話0120-22-3987)
 電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
 課題の説明の動画「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/
 オープン教育の掲示板「森の予習室」に学年別の予習のヒントが載っています。


■■第4週は清書。幼稚園生は作文
 幼稚園年中と年長の生徒は、第4週も普通の作文を書く練習です。自由な題名で作文を書いてください。
 小学1年生以上の生徒は、清書を行います。
 清書をしたあと、時間に余裕のある場合は読解問題をしてください。


清書の意義と方法
 清書とは、これまでに書いた作文の中で内容がよかったものを書き直すことです。
 内容がよいとは、個性、感動、共感などがあるということです。
 書き直すときは、次の点に留意してください。
(1)漢字で書けるところは漢字で書く。
(2)たとえや自作名言を工夫できるところがあれば工夫する。
(3)似た話や続きの話を書くことによって字数を増やす。
(4)作文用紙の空いているところに絵などをかいてもよい。


清書の投稿
 清書した作文は、小学生新聞や一般紙などに投稿してみましょう。
 手書きの清書の原本を、新聞社に投稿したり、コンクールに応募したりする場合は、清書のコピーの方を先生に送ってください。
 新聞社に投稿する際は、作文用紙の欄外又は別紙に次の事項を記載してください。
(1)本名とふりがな(2)学年(3)自宅の住所(4)自宅の電話番号(5)学校名とふりがな(6)学校所在地(町村名までで可)など。

 投稿する際は、ペンネームを本名に訂正しておいてください。作文の中に友達の名前が固有名詞で入っている場合は、イニシアルなどに直しておいてください。投稿する作文の内容は、保護者がチェックしてあげてください。


 同じものを複数の新聞社やコンクールに送らないようにしてください。これは二重投稿といって、もし両方に掲載されてしまった場合、掲載先に迷惑をかけることになります。

小学生新聞の投稿先
■104-8433東京都中央区築地3-5-4 朝日小学生新聞「ぼくとわたしの作品」係
■100-8051(住所はいりません 毎日小学生新聞「さくひん」係(600字以内)
※清書した作文を投稿しない場合でも、額などに入れて家の中に飾っておきましょう。


■■4週目の読解問題(小1以上)
 小1以上の生徒には、課題フォルダに、4週目の長文をもとにした読解問題を2問載せています。時間のある人は取り組んでください。
 読解マラソンのページには、全8問の問題とそれに対応した長文がありますが、問題数をしぼり問7と問8の2問だけにしているのは、じっくり解いて満点にすることが目標だからです。
 問1~6も含めた全問を解きたい方は、「問題のページ」で長文と問題をごらんください。
 ただし、その場合も、当てずっぽうで全部解くのではなく、必ず全問正解になることを目標に解くようにしてください。
http://www.mori7.com/marason/ki.php


■■12月29日(金)、30日(土)は休み
 12月29日(金)、30日(土)は、第5週でお休みです。先生からの電話はありません。振替授業もお休みです。

■■長所を伸ばすのが必要なときと、欠点を直すのが必要なとき
 子供の作文に対する要望で多いのが、もっと字を丁寧に書いてほしいということです。
 特に男の子の場合は、かなりのお母さんがそういうことを言います。

 文字は最初に書いたときの経験があとまで続くので、幼児期のまだ字の書き方を習っていない時期に、両親や兄弟の真似をして文字を書くと、その自己流の文字が定着してしまいます。

 だから、字の下手な子は、頭のよい、好奇心の強い、何でも自分でやってみたがるという積極的な子に多いのです。

 だから、子供に正しい字の書き方を教えるのは小学校に上がってから、という一律の基準ではなく、その子が文字を書くことに興味を持ち始めた時期からというように、家庭の方針を決めていくとよいのです。

 さて、話は変わって、作文の字の書き方を注意するというような、欠点を直そうとする見方は、子供の成長にとってプラスにはなりません。
 世の中で成功するコツは、欠点を直すことではなく長所を伸ばすことだからです。

 昔、船井幸雄さんが企業へのアドバイスとしてよく言っていたことは、売上が下がったところに力を入れるのではなく、伸びているところに力を入れる、ということでした。
 子供の育て方にも、同じことが言えます。

 お母さんやお父さんは、その子のよいところをできるだけ見つけ、それをその子のよさとして認めていくことが大切です。

 欠点に目を向けて、欠点を直すことに力を入れるお父さんお母さんは、自分自身の生き方に関しても欠点を直そうという真面目な人が多いように思います。

 しかし、そういう真面目さは、周りの人からは評価されますが、本人自身の人生の満足感という点では、かえっては不十分であることも多いように思います。

 ところが、ここでまた話は変わって、入学試験のような課題に取り組む際は、よいところを伸ばすよりも悪いところを直す方がよいのです。

 例えば、理科がいつも90点以上取れるのに、社会がいつも70点以下だという生徒の場合、得意な理科を90点から100点にするよりも、苦手な社会を70点から80点にする方がはるかに簡単です。

 だから、受験勉強は欠点を直すというところに力を入れていくのです。

 算数数学の勉強の仕方も同じです。
 自分の得意なよくできるところに力を入れるのではなく、自分ができなかったところに力を入れるからこそ得点が上がります。

 だから、算数数学の問題集はただ漠然とやるのではなく、一度解いてできなかったところだけをピックアップして2度も3度も、解けない問題がなくなるまで磨いていくことが大事です。

 そのためには、算数数学の問題集に直接計算や答えを書き込むのではなく、計算や答えをノートに書き出してやっていくことです。

 算数数学の問題集には○か×かの結果をつけるだけにして、それ以上の計算や答えは書きません。
 そうすると、その問題集の問題が全部解けるようになるまで、3度でも4度でもその問題集を使い尽くすことができます。

 小学校低学年の算数数学問題集は、子供が取り組みやすくするためだと思いますが、問題集に直接書き込む形のものが多いようです。
 しかし、ここで問題集に書き込むことに慣れてしまうと、学年が上がってからでもその癖がなかなか抜けません。
 低学年のころから、算数の練習は、ノートに計算と答えを書くという習慣にしておくといいと思います。

 さて、ではなぜ入学試験では欠点を直す方がいいのでしょうか。
 それは、入試が答えのある世界だからです。

 答えという枠がある世界では、その答えに向かって欠点を直していくことが最も効率のよいやり方です。
 だから、かつての日本の高度経済成長時代のように、欧米の先進国に追いつくという答えがある社会では、足りないところを補ったり、欠点を直したりすることが効率のよい生き方だったのです。
 今の大人の世代は、その文化の名残りをまだ持っているのです。

 これからの社会では、よく言われるように答えはありません。
 社会の変化や技術の変化が早いので、答えをそのつど見つけ、軌道修正し、自分で新しい問題を発見していくことが社会全体の大きな了解事項になってきます。

 そういう社会でたくましく生きていくためには、欠点を直す生き方ではなく、長所を伸ばす生き方が重要になるのです。

 作文の字の書き方の話から、だいぶ話が広がりましたが、子供の生活や勉強を見るときは「答えという枠組みがある世界では欠点を直してもよいが、基本的には長所を伸ばすことで子育てをしていく方がよい」と考えることが大切です。


■■子供との対話を充実させる親の読書
 学校を卒業し大人になると、特に何かを勉強する必要がなくなるということがあります。
 仕事の多くは、その場で理解して慣れることが中心ですから、本を読む必要というものはあまりないのです。
 特に、一般教養のジャンルに属する本は、自分の好きなものを息抜きに近い趣味として読むということはありますが、自分自身の向上のために読むということが少なくなります。
 それで、日常生活は回って行くからです。

 しかし、こういう読書の乏しい生活を続けていると、子供との対話が次第に活気をなくしていくように思います。
 子供でも小学3、4年生になると、日常生活の中でなぜだろうとかどうしてだろうと思うことが増えてきます。
 また、自分なりに新しく思いついたことも出てきます。
 親が本を読んでいると、そのような子供の疑問や発見に、なぜか打てば響くような対応ができることが多くなるのです。

 子供は日々成長しています。
 親は、年齢が上だというストックで、しばらくは対応していけます。
 しかし、世の中の変化は昔よりはるかに早くなっています。
 次々に新しい考えや、新しい概念、新しい言葉が生まれています。
 親も子供と同じスピードで日々成長していくことが、子どもとの対話を充実させることになるのです。

 このことに関連して少し心配になるのは、高校生の不読率が高まっていることです。
 小学生のときにいくら本をたくさん読んでいても、高校生のときに本を読む習慣がなくなれば、そのまま大人になっても読書のある生活にはなりません。

 読書は、毎日行うのが基本です。
 一種の生活習慣ですから、数日間読書から遠ざかると、そのまま本を読まない生活が普通になってしまいます。
 社会人になっても、自分で目標を決めて1日に1回は本を開くということをしていくといいのだと思います。
 そういう点で、子供の思考発表クラブの毎週の読書紹介のようなことを、中学生や高校生や、更には大人どうしでもやっていくといいのかもしれません。


■■これからの学力は創造力
これまでの日本の社会では、よくできたものを手本として真似することが一つの学力となっていました。
 しかし、他の人の真似を上手にできる力では、いつまでたっても二番手にしかなれません。

 これからの社会は、それぞれの人が自分の得意分野で一番、あるいは第一人者となることが求められる社会です。
 人の真似を上手にするだけでなく、自分の独自のものを作り上げていくことが重要になってくるのです。

 答えのある勉強は、最初から高いレベルの学習ができますが、そこから先にはなかなか進めません。
 一方、答えのない勉強は、最初はそれほど高いレベルではありませんが、自分の力で先に進んでいけます。

 作文を書く勉強は、答えのない自分で作りだす勉強です。
 この自分で作り出す勉強が、その子の創造力を育てていきます。

 答えのある勉強の大部分は、記憶力でカバーできます。
 考える問題と言われているものも、多くは解法の記憶でできるようになります。
 だから、小学生のころの勉強は、創造力を伸ばす作文と、記憶力を伸ばす暗唱と、読書と対話と、自然や人間と関わる経験を中心にしていくといいのです。


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