3月3日はひな祭り。女の子の節句です。ひな人形を飾っているお宅もあると思います。
小さい頃、うちにはひな人形がありませんでした。母と一緒に色紙でおだいり様とおひな様を作って飾りました。おやつにはミカンの缶詰を寒天で冷やし固めたゼリーを母が作ってくれました。透き通ったゼリーは春のおとずれを感じさせました。
小学三年生ぐらいのとき、親戚のおばあさんが「おひな様がなくてはかわいそう」と、お嫁に行った娘さんのひな人形をくださいました。いただいた三段飾りのお人形は全体が色あせていて、お顔も流行のものとは違いました。今度は母が「古いものでかわいそう」と思ったようでしたが、当の私はそのおひな様が大好きでした。その姿を見て母も安心したと思います。
色紙のおひな様でお祝いしてくれた母も、自分の娘さんのために買ったひな人形をくださったおばあさんも、女性の優しさに満ちあふれています。女の子の気持ちを自分のことのように考えてくれたのです。そういう心を受けとること、そして、おひな様を大切に扱ったり、お嫁さんになる日を夢見たりすることで、私自身も女の子であることを実感していました。
先日、テレビで『「男らしく女らしくあるべき」と思っている人の割合が日本人は極端に低い』というデータを紹介していました。驚きました。「最高の贅沢は、アメリカに住み、中国料理を食べ、日本人を妻にすること」とまで言われていた日本人女性が「女らしさ」を否定するとは。
女性は男性に見下されていた時代がありました。女性達は長年にわたり「男女平等」を訴え続けて権利を勝ち取ってきました。そういう歴史があるので、「女しく男らしく」と言うことが、男女差別の原因になると考える人もいるのかもしれません。しかし、憎むべきは「女のくせに」という考えであって、「女らしさ」とは違うと思います。
女性にしかできないことがあります。子供を産むことや赤ちゃんに母乳を与えること。きめ細やかな気づかいなど。 女性だからできないことがあります。出産のときには仕事ができません。力仕事も不向きです。体力も男性ほどはありません。
男性と女性はそれぞれの優れた面でおたがいのいたらぬ面をおぎない合いながら生きていくべきなのではないでしょうか。
「女らしい」というのはほめ言葉です。わざわざアピールするものではなく、自然なしぐさの中に垣間見られるものです。女の子は自然とひな人形を大切に扱います。そういうことが「女らしさ」の原点だと思うのです。自信を持って女らしい女性になってください。もちろん男の子は堂々と男らしい男性に。
街で手のひらにのるくらいの小さなうさぎのおひな様を見つけました。そういえば我が家には男の子しかいないので今ひとつ華やかさがない。「一つ買っちゃおう」。玄関に飾ってみると、なかなかいいです。かわいいです。ビーズの冠をのせた白うさぎが小さい春をもたらしました。
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枝 6 / 節 13 / ID 5706 作者コード:yuta
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