「がんばれ! ニッポン!」
この夏、いくどとなく耳にした言葉ですね。わたしは、応援していた男子サッカーの日本代表チームが早々に負けてしまったので、「つまらないオリンピックだなあ」実は、最初そう思っていました。
ところが、柔道、体操、マラソン、レスリング・・・・・・。いつのまにか、日本チームのすばらしい活躍に引き込まれていきました。
「がんばれ! ニッポン!」は、「頑張る」という言葉の意味と、五輪のスポーツ精神がぴったり合ったネーミングだと思いますが、昭和11年のベルリン五輪のときにNHKのアナウンサーが「前畑(競泳選手の名)ガンバレ!」と思わず絶叫し、その素朴さが国民の胸を打って「頑張る」が、市民権を得たといいます。
では、それまでは・・・・・・。「頑張る」という言葉は、使われるとしたら「悪い意味」だったそうです。辞書には「頑張る」は「我に張る」から転じたものとあります。我を張ることとは「風変わりな自己を主張すること」であり、協調性を好む日本の社会にはなじまなかったのでしょう。今や「頑張る」選手より、「我を張る」選手の時代ですが(笑)。
五輪キャンペーンのスローガンとして、「ガンバレ! ニッポン!」は、まだまだ健在ですが、「がんばらないダイエット」「がんばらない介護」「がんばらない育児」今や、スローガンやキャッチフレーズとして「がんばらない」が、堂々と使われるようになりました。
私たちや、子どもたちの人生においても「がんばるとき」と「がんばらないとき」をうまく使い分けていくことが大事かもしれません。
私は個人的には「がんばる」という言葉がなぜか好きです。何かに特別がんばってきたわけではないのですが、「がんばる」という言葉は、いつもそばにある身近な言葉です。
今大会で、金メダル有力候補といわれていた女子レスリングの浜口選手は惜しくも銅メダルでした。彼女の心の中のくやしさは計りきれませんが、「私の人生の中では、金メダル以上のものを経験させてもらった」と言ったときの晴れやかな笑顔が印象的でした。がんばった自分をこんなふうに認めてあげられる人は、幸せだなあと。「ガンバレ! ニッポン!」すっかり五輪にはまってしまった今年の夏休みでした。
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枝 6 / 節 1.012 / ID 7012 作者コード:nanako
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