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言葉の森新聞2010年6月2週号 通算第1130号 枝 0 / 節 1 / ID 印刷設定:左余白12 右余白8 上下余白8
  ■1.中学生用「高校入試問題集2011年度版」発売中
  ■2.作文力の客観的な評価に森リンの活用を
  ■3.暗唱の教材は何がよいか
  ■4.暗唱の意義は、読む力を育てることで、それが作文力につながる
  ■5.「授業についていけない高校生が4人に1人」という記事を読んで
  ■6.暗唱で大事なのは、覚えることではなく繰り返すこと
 
言葉の森新聞 2010年6月2週号 通算第1130号

https://www.mori7.com/mori/

森新聞
枝 1 / 節 2 / ID
1.中学生用「高校入試問題集2011年度版」発売中
枝 4 / 節 3 / ID 14999
 現在、中学生用の「全国高校入試問題正解国語 2011年受験用」(2205円 http://tinyurl.com/2e2uahd )と、
高校生の用の「全国大学入試問題正解国語 国公立大編 2010年受験用」(5355円 http://tinyurl.com/2fk86en「全国大学入試問題正解国語 私立大編 2011年受験用」(5460円 http://tinyurl.com/283268r )が発売されています。
 小学生用の「中学入学試験問題集 国語編 20102011年度受験用」(3500円程度)は、7月ごろ発売の予定です。

 通信教室の問題集読書の指導は、7月ごろから行う予定ですが、問題集については、早めにご用意いただくとよいと思います。
 問題集読書の仕方は、おってお知らせしますが、概略は「問題集読書と四行詩の手引」のページをごらんください。
http://www.mori7.com/mori/mori/mdds.html
枝 6 / 節 4 / ID 15009
作者コード:
2.作文力の客観的な評価に森リンの活用を 枝 4 / 節 5 / ID 15000
 公立中高一貫校では、ほとんどの学校が作文の入試を行っています。高校入試でも、推薦で作文の試験を行うところが増えています。大学入試では以前から小論文の入試がありましたが、最近更に推薦での作文試験が増えてきました。また、就職試験でもエントリーシートなど文章を書く機会が増えています。

 社会人になってからも、自分の書いた文章を発表する機会はますます多くなっています。仕事以外にも、ブログなどで文章を書く機会は増えています。作文力の重要度は、年々高まっていると言えます。

 作文は、自分で自分の書いた文章の評価ができないという点で独学の難しいものです。しかし、作文の勉強を進める上で最も大きな問題は、作文の評価に手間がかかることです。特に中学入試などで、大量に作文の採点をする場合、採点する側の負担はかなり大きいはずです。

 ここで提唱したいのは、森リンという自動採点ソフトの活用です。森リンで評価するには、手書きで書いた文章をテキスト化するという手間はありますが、いったんテキスト化された文章であれば客観的な採点ができます。

 人間が採点する方式では、採点するたびに、又は、採点する人によって点数がかなり動きます。人間には、文章や個々の表現に対する好みの問題があるからです。森リンは、語彙の多様性と分布をもとに文章力そのものを評価するので、何度採点しても同じ結果が出ます。

 現在の森リンは、表記のミスをチェックすることにはそれほど力を入れていません。文の長さや、段落の多さ、常体と敬体の区別などをチェックする程度です。その理由は、表記のミスは人間が見ればすぐにわかるからです。しかし、これも人間の手間を減らそうと思えば、森リンのデータベースに、生徒のよく間違えそうな表記ミスを網羅して入れておけばすみます。また、漢字力や語彙力については、作文という形をとらなくても個別に試験を行えば十分にできます。

 もう一つ、森リンは作文の内容の評価はしません。出されたテーマと書かれた内容が合っているかどうかということを機械で評価する方法が全くないわけではありませんが、内容の評価は機械が行うよりも人間が行うべきものです。
枝 6 / 節 6 / ID 15010
作者コード:
 
枝 61 / 節 7 / ID 15011
 しかし、人間が文章を全部読んでその内容が的確かどうかを考えるというのでは、やはり採点の負担が大きすぎます。そこで、提案したいのは、言葉の森で行っているような構成と表現項目を指定した作文の課題を出すことです。

 例えば、「○○というテーマで、60分以内に600−800字の作文を書きなさい。その際、一つの段落は150−200字でまとめるようにし、二番目と三番目の段落の冒頭にそれぞれ理由を書き、四番目の段落には反対意見に対する理解と名言を入れなさい。(名言は別表の名言集の中から選んでください)」というような出題の仕方です。

 こういう形で書かれた文章であれば、採点者は一応全文に目を通すとしても、重要なポイントにしぼってチェックすることができるので、採点の能率が大幅に向上します。こういう構成と項目で書くことができていれば、それだけでもう基本的な作文力は十分にあると考えることができます。

 以上は、採点する側の事情に沿っての話でしたが、作文を書く生徒の側についても、作文の勉強に森リンの活用を考えることができます。森リンの採点を使うと、自分の書いた作文がおおまかにどういうレベルにあるかを見ることができます。

 将来の作文指導、特に中高生の作文小論文指導に関しては、この森リンのような自動採点ソフトを使った形が主流になってくると思います。
枝 6 / 節 8 / ID 15012
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3.暗唱の教材は何がよいか 枝 4 / 節 9 / ID 15001
 暗唱という学習法には、伝統があります。しかし、現代ではこの暗唱という方法は、あまり一般的ではありません。そのため、理論化が不十分で、ともすれば形式にこだわる傾向が出てきます。

 その形式化が最も強く出るのが教材選びです。暗唱の教材というと、ほとんどが古典的な名文から選ばれています。古典的な文章から選ぶのは、文化的な教養を身につけるという点ではいいのですが、暗唱という学習法で徹底してやるほどのものではありません。

 暗唱の教材は、その学年の子が書く作文と同じか少し高いレベル、つまり自分が文章を書く際に生かせる日本語で書かれていることが大事です。漢文を直読するような素読も、文化的な意味ではとてもよいことだと思いますが、それだけでは現代日本語の助詞や助動詞の感覚がわかりません。

 これまで、暗唱という学習法は、小学校低中学年までの勉強のように思われていたために、大人が読むような古典を読ませることが中心になっていました。しかし、暗唱を中学生や高校生まで継続できる勉強と考えれば、その学年で書く作文に結びつくような文章を読む方がずっとよいのです。

 では、暗唱の学習はいつごろから始めたらよいのでしょうか。小学校1年生ぐらいからというのが理想です。小学校1、2年生のころは、暗唱の学習が全く苦になりません。しかし、小学校3年生以上で始めると、軌道に乗るまで本人がかなり苦しい思いをするようです。ただし、言葉の森の暗唱法は、手順どおりにやれば、だれでも必ずできるようになるので、問題はできると確信が持てるようになるまで継続できるかどうかということになります。

 暗唱の勉強を幼児期から始めるのは早すぎます。本当は、うまくやれば早すぎるということはないのですが、早くから始めようとすると、やり方に不自然さが伴ってしまうことが多いのです。幼児期は、ある特定のやり方を徹底するよりも、母親や父親ができるだけたくさん話しかけたり読み聞かせたりするという、言葉の生活を豊かにするという感覚でやっていくのがよいと思います。

 では、暗唱の学習はいつごろまで続けたらいいのでしょうか。教室の子供たちを見ていると、中学生ぐらいからだんだん暗唱ができなくなります。学校の勉強が忙しくなるということもありますが、それとともに、物事を理解する力が育つ時期なので、単純に反復する勉強というものがしにくくなるからです。しかし、作文力は、高校生になるまで毎年変化していきますから、高校生まで続けていく方がもちろんよいのです。
枝 6 / 節 10 / ID 15002
作者コード:
 
枝 61 / 節 11 / ID 15013
4.暗唱の意義は、読む力を育てることで、それが作文力につながる 枝 4 / 節 12 / ID 15003
 前回は、暗唱の教材と、暗唱の時期について説明しました。今回は、暗唱の意義について説明したいと思います。

 しかし、実は、暗唱に対する研究というものは、ほとんどありません。塙保己一、湯川秀樹、シュリーマンのような、有名な人の有名な話はいくつかありますが、理論的な裏づけを持った説明というものは、今のところないようです。

 ここで、自分の経験と、これまで生徒に指導してきた経験から、暗唱の意義というものを考えていきたいと思います。

 まず、暗唱というと、暗記することや記憶することと考えがちです。暗唱によって記憶力がつくかというと、そういう直接的な効果はそれほどありません。長い文章でも、手順どおりやれば記憶ができるという確信はつきますが、記憶力がつくということではないようです。

 また、暗唱を記憶するものと考えると、易しい文章のうちは苦もなく暗記できますが、難しい長い文章になると、途端に全くできなくなるという状態になります。

 暗唱は、記憶ではなく、方法であると考えることが必要です。その方法とは、言葉の森でやっている暗唱用紙などを使った反復法です。

 暗唱によって力がつくのは、第一に理解力です。第二に読解力です。第三に発想力です。第四に感受力です。つまり、暗唱によって文章を深く読む力がついてくるのです。

 暗唱と作文力には関連がありますが、それは、暗記した表現がそのまま作文に出てくるというだけの根の浅いものではありません。暗唱が読む力を育て、その育った読書力によって書く力が伸びるという関係にあるようです。

 だから、暗唱の勉強だけでは不十分で、暗唱とともに読書に力を入れていくことが必要です。更に、読書の成果を表現するために作文の勉強が必要になってくる、という関係にあるのです。
枝 6 / 節 13 / ID 15004
作者コード:
5.「授業についていけない高校生が4人に1人」という記事を読んで 枝 4 / 節 14 / ID 15005
 5月31日の日本経済新聞に、「授業についていけない高校生が4人に1人」というPTAの調査結果が出ていました。

 同じ日の日経新聞の教育欄のコラムに、塾の先生が、「23−1.8」の小4の正答率が40%弱だという結果を紹介して、中高の先生はこの実態を知らないと述べています。

 こう見てくると、高校生の授業についていけないという内容が、主に数学、次に英語で、小中学校で行うべき積み重ねができていないからではないかということがわかります。

 では、この対策は、どうすればよいのでしょうか。

 すぐに考えつくのは、授業についていけなくなった数学に力を入れることです。わからなくなったところまで戻って勉強するというのが、オーソドックスな考えです。

 しかし、苦手な子の力を短期間に向上させるコツは長所伸展法です。

 考えてみれば、数学や英語は、授業についていけるのにこしたことはありませんが、それができないからといって、特に大きな困難に見舞われるわけではありません。普通の社会人で、仕事や生活に高校の数学や英語の学力が必要な人はそれほど多くありません。

 問題は、これらの高校生が、たかだか数学や英語が苦手なために、勉強そのものが苦手だと勘違いして向上心そのものを失ってしまうことにあります。

 教育で最も必要なのは、日常生活の判断力につながるような勉強をしていくことです。それが国語力です。しかし、漢字書き取りのような国語力では、苦手をなくすというよりも逆に短所是正法の迷路に入り込みます。

 苦手を見つけて直すのではなく、普通の高校生が既に自分の実力相応にできて、苦手意識を持たないものに力を入れていく必要があります。

 それが、暗唱、読書、作文です。

 授業についていけない高校生が面白く取り組める勉強が、同時に、今の教育に欠けている理解力、思考力、創造性を育てる勉強につながっているということなのです。
枝 6 / 節 15 / ID 15007
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6.暗唱で大事なのは、覚えることではなく繰り返すこと
枝 4 / 節 16 / ID 15006
 暗唱の練習は、小学校1、2年生ごろまでは、だれでも抵抗なくできます。暗唱とはそういうものだという気持ちで、素直にやっているからです。

 ところが、小学校3年生ごろから、急に暗唱がしにくくなります。その後、小学校5年生から更に暗唱がしにくくなり、中学生になると更に暗唱ができなくなるというように、段階的に暗唱が難しくなってきます。

 小学校3年生から初めて暗唱に取り組む子が、暗唱を難しく思うというのはわかりますが、小学校2年生までスムーズにできていた子が、小学校3年生からできなくなるということもあります。

 それは、なぜでしょうか。原因は、暗唱というものを、文章を覚えることと考えているからです。

 小学校1、2年生までは、文章を何度か繰り返し読めば自然に覚えられます。そこで、覚えることが目的のようになってしまいます。

 しかし、小学校3年生からは、単純に覚えることがだんだんできなくなってきます。それは、理解する力がついてくるからです。

 理解する力がついてくる結果、昔のように単純には覚えられなくなるので、がんばって覚えようとします。そのために、ますます暗唱ができなくなってくるのです。

 がんばって覚えようとする子は、次のようなことをしがちです。

・覚えにくい一文だけを何度も繰り返して覚えようとする
・声を出さずにじっと見て覚えようとする
・紙に書いて覚えようとする(これは特に高学年や中高生の生徒がしがちです)
・ときどき休憩を入れて、長い時間をかけて覚えようとする

 これらは、いずれも暗唱をしにくくする方法です。

 暗唱の方法は、ただ単に、「早口で」「声を出して」「繰り返す」というだけです。言葉の森では、この繰り返しをしやすくするために、暗唱用紙という方法を使っています。

 暗唱で大事なのは、覚えるという目的ではなく、繰り返すという方法です。繰り返すという勉強法を身につけて、理解力を育てるために、暗唱という練習をしているのです。

枝 6 / 節 17 / ID 15008
作者コード:
枝 9 / 節 18 / ID 15008
 
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