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言葉の森新聞2011年3月2週号 通算第1166号 枝 0 / 節 1 / ID 印刷設定:左余白12 右余白8 上下余白8
  ■1.小2の3月の暗唱長文にミス
  ■2.小学校5、6年生の勉強の仕方―考える力を高める対話
  ■3.中学生の勉強の仕方―正しい勉強法を身につける
 
言葉の森新聞 2011年3月2週号 通算第1166号

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森新聞
枝 1 / 節 2 / ID
1.小2の3月の暗唱長文にミス 枝 4 / 節 3 / ID 15882
 小2の暗唱長文3月分【2】にふりがなのミスがありました。訂正してくださるようお願いします。
△家(か)に帰ったら → ○家(いえ)に帰ったら
枝 6 / 節 4 / ID 15883
作者コード:
2.小学校5、6年生の勉強の仕方―考える力を高める対話 枝 4 / 節 5 / ID 15884
■どういう勉強をするか

・作文の字数は500字から1200字です。
・題名だけの課題よりも、感想文の課題の方が多くなります。
・作文の課題は、事実を中心とした生活作文から、全体の構成を重視した説明文になります。例えば、「がんばったこと」というような題名であっても、小学校4年生までは、がんばった事実を書くことが中心になります。小学校5年生からは、がんばるということは人間にとってどういう意味があるかという主題を先に考え、その主題に合わせた実例を探すという書き方になります。しかし、この書き方が確実にできるようになるのは中学生以降です。小学校5、6年生では、説明文意見文の形に慣れるという学習をします。
感想文の課題となる長文は、中学入試の国語の説明文の難しい文章に相当します。ですから、子供が先生の説明やヒントなしに自力でその感想文を読みこなすことはまずできません。そのために、事前の予習と取材が必要になります。毎週の授業を受ける際に、事前に長文を読んでおき、似た例を自分で探すとともに、家族に取材して補強しておくことが大切です。
・小学校5、6年生は、小学校3、4年生のころよりも作文を書くことが負担になります。それは、課題が難しくなることもありますが、それ以上に子供の中に考えて書こうとする力が育ってくるからです。この考えて書く力を育てるのは、考える読書と考える対話です。作文の勉強と並行して、読書と対話を進めていくことが更に必要になってくるのです。

■小学校5、6年生の勉強の仕方

 小学校5、6年生は、中学受験の勉強との兼ね合いが重要になってきます。このことは、あとで述べます。
 中学受験をしない子の場合(小中高一貫校に通っている場合、公立中学に進む場合など)は、また別の問題が出てきます。それは、小学校高学年になると、どの学校も作文指導が少なくなるということです。その理由は、高学年の作文指導を日常的に行うことが難しくなるからです。小学校高学年以上の作文指導は、現在の教育体制のもとでは教える先生の負担が大きすぎます。
 しかし、子供はそのような事情を知りません。学校で作文の勉強をあまりしなくなるので、どうして自分が言葉の森で作文の勉強をするのかということに疑問を持つようになるのです。しかも、作文の学習はほとんどの高学年の子供にとって負担の大きい勉強です。小学校高学年で作文を書くことが好きだという子は、国語力がきわめて高いごく少数の子だけです。
 課題が難しくなる、考える作文を書くための語彙がまだ育っていないので書くことが苦手になる、そして、学校で作文の勉強を生かす機会がなくなる、更に、同学年の友達の多くは塾でもっと勉強らしいことをしているのに自分が作文に時間を取られている、というさまざまな理由で、小学校高学年の子は作文の勉強を続けにくくなるのです。
 ここで大事なのは、親の説得です。しかし、説得をするにも、子供がある程度作文を書くことに自信を持っていないと、子供を納得させることは難しくなります。そのためにも、小学校低学年から、音読、暗唱、読書、対話などの毎日の家庭学習によって、読書と作文が得意だというレベルまで持っていく必要があるのです。
枝 6 / 節 6 / ID 15890
作者コード:
 
枝 61 / 節 7 / ID 15885
 子供が作文の勉強をやめたくなったときには、親が、これからの学力は、自分の力で読んだり書いたりすることで、それは大きくなればなるほどそうなってくるということを説明してあげることが必要になります。わかりやすい例として、高校入試でも、大学入試でも、会社に入るときの試験でも、また、会社に入ったあとの仕事でも、説得力のある文章を楽に書く力があるとそれだけで大きな差がつくということを説明するとよいと思います。一度そういう説得を受けて、自分なりに納得して作文を書く勉強を続けると決めた子は、長期間その意欲を持続させていきます。
 小学校高学年というのは、理屈がわかる時期ですから、理論と裏づけがはっきりしている話をすると意外によく理解できるのです。しかし、この説得で大事なことは、親の人生観も問われるということです。親が自分なりに確信を持っていることを自分の生き方に結び付けて話すことができれば、どの子もその話を傾聴します。しかし、親がわかりやすい損得や賞罰の利害的なことだけで子供を説得しようとすると、子供はその根の浅さにかえって反発します。親が子供に言うことを聞かせられないのは、親が子供から尊敬されていないからで、それは親が気迫のある生き方をしていないからです。小学校高学年の子供を説得するためには、大人を説得するのと同じぐらいの気合いが必要なのです。

 さて、次は、中学受験で作文の試験が特にない子の場合です。国語で記述式の問題が多いというだけの子も同じです。作文の試験というのは、少なくとも400字以上のまとまりのある文章を書く試験です。50字、100字、150字程度の文章を書く試験は、作文の試験ではなく記述の試験です。
 記述式の試験に対する勉強の対策は次のようになります。第一は、指定の字数の感覚に慣れることです。第二は、すばやく一挙に書くスピードを身につけることです。第三は、できるだけ論点を対比する形で書くということです。一般に、一文の平均的な長さは40−50字です。ですから、150字の記述という指定があった場合は、その記述は3−4文で構成されるという見当をつけます。そして、150字の枠があれば、その枠ぎりぎりいっぱいまで書くようにします。文章を書く際は、途中で考えたり、消しゴム使ったり、読み返したりせず、頭の中で文を組み立てたら一気に書くようにします。また、書く内容は、単に「Aだ」という書き方ではなく、「BではなくAだ」「確かにBもわかるが、しかしAだ」というように論点を対比させるとめりはりのあるまとめ方になります。記述式の問題は、長文を読んで親が問題を出しそれを子供が書くという形で、字数とスピードに慣れることを目標にして進めていきます。
 入試の国語に記述式の問題がそれほどなく、主に選択式の問題だという場合は、選択式の問題を解くコツを勉強します。方法は、志望校の過去問の国語の問題を解いてみて、その結果の○×をすべて理詰めで親が説明してあげます。親が説明しきれない問題は、もともとできなくてもよい問題というふうに割り切ります。選択式の問題は、勘で選ぶのではなく、すべて明確な理屈で選ぶことが大事です。そのために、問題文は、よく理解できたところを中心に傍線を引きながら読み、設問の選択肢についても、どこを基準にして○や×にしたかということがわかるように傍線を引いておきます。この、問題の解答結果を分析する勉強は、親も一緒に参加して1−2時間かかりますが、一回でもこのやり方の勉強をしておくと、そのあと国語の記述式のテストの成績はぐんと上がります。しかし、点数が上がるのは、その子のもともと持っている読む力までです。
 読む力をつける勉強は、入試の問題集の問題文を繰り返し読むことです。問題を解くような勉強は読む勉強の何倍もの時間がかかるので、かえって国語力がつきません。問題文を解かずに読むという単純な勉強が最も力がつくのです。難関校の国語の問題の中には、かなり長い文章を読ませるものがあります。この場合に必要なのは速読力ですが、速読力は速読の勉強では身につきません。小学校中学年のころまでの多読の勉強が速読の基礎となります。また、物語文の読解力も、小学校中学年のころまでのやさしい物語の多読によって身につきます。小学校高学年になると、今さら多読をする時間的余裕はなくなりますから、せめて問題集の問題文を確実に読むということで国語力をつけていくとよいと思います。
 以上に述べた国語の勉強法に、塾は必要ありません。むしろ、塾は、国語の問題を解かせることに時間をかけたり、また肝心の過去問を最後までやらせないでおくなど、国語の勉強に関してはマイナスの面があります。国語の勉強に関しては、家庭での学習を優先させ、決して塾に任せるような勉強のスタイルにしないことが大事です。
 入試に作文の試験がない場合、小学校6年生になると、言葉の森と塾の勉強が時間的に両立しなくなる時期が出てきます。塾の勉強スタイルにもよりますが、6年生の夏休みごろから、又は6年生の冬休みごろから時間的に言葉の森の作文の勉強が続けられなくなるということが出てきます。そのときは、遠慮なく言葉の森を休んで、中学入試が終わってからまた再開してください。もちろん、中学入試の受験日まで休まずに言葉の森の作文の勉強を続けて、最難関校に合格するという子もいます。これは、親が子供の勉強の様子を見ながら、柔軟に判断していくことになります。
 ただし、受験勉強で大事なことは、親が受験の合格を最大の目的にしないということです。これは、中学入試に限らず、高校入試でも、大学入試でも言えることです。入試に合格することを最大の目的にしてしまう子は、入学後に学力が伸びません。学力が伸びる子は、勉強の目的をもっと大きなものにしている子です。自分が実力をつけて将来立派な社会人になり、社会に貢献する人間になることが本当の勉強の目的です。その目的のひとつの手段として受験の合格があるということです。大きな視野で勉強の目的を決められる子は、小さな視野で受験の勝ち負けだけに関心を向ける子よりも、将来ずっと大きな仕事をすることができるようになるのです。

 最後に、中学受験に作文の試験がある子の場合です。
 志望校の中学に作文の試験がある場合、作文試験に対応するための受験コースは、試験日の5ヶ月前から始められます。この受験コースの内容は、志望校の過去問に合わせた課題の作文を書くというものです。書き方のパターンは、普段の作文の勉強でやっているものと同じですから、普段の作文がしっかり書けていれば、それが受験のための勉強にそのままつながっています。
 受験コースの学習の場合は、普段の勉強以上に事前の準備が必要になってきます。事前の準備とは、自分なりにその長文を読んで似た話を考え、両親に取材しておくことです。両親への取材がなぜ大切かというと、受験コースの課題のような難しいテーマを両親と対話することによって、どのような課題にも応用できる身近な実例やものの考え方が身につくからです。
 特に感想の豊かさは、大人との対話によって身につきます。感想が豊かでない子は、物事を、「おもしろかった」「つまらなかった」という単純なところでまとめてしまいがちです。大人との対話の多い子は、この感想をもっと工夫して書けるようになります。また、子供は、意見を述べる場合でも、一本調子でよいか悪いかを考えがちです。しかし、ある意見について親と対話をすると、世の中にはもっと微妙な例外があるのだということがわかってきます。言葉の森では、自分の意見と反対の立場にも理解を示して書くことを「反対意見への理解」と呼んでいますが、両親と対話をすると、この「反対意見への理解」がスムーズに書けるようになるのです。
 普段の作文の勉強でも字数の目標がありますが、受験コースの場合は、これの時間の制限も加わります。指定の字数までできるだけ早く書き上げる力をつけていくことが勉強の中心になります。早く書くためには、途中で考えたり、消しゴムで消して書き直したり、書いたところを読み返したりしないことが大切です。これは、習慣によって身につくものですから、普段の作文の勉強でも、書く前に全体の流れを考えておくという習慣をつけていくことが大事です。
 作文の実力というものは、なかなか変わりません。受験が間近になると、どの子も実力をどんどんつけていきますが、それでももとの力の差はなかなか埋まりません。もとの実力は、小学校中学年までの読書力によって支えられています。高学年になると、どうしても勉強や日々の行事に追われて読書の時間を確保できなくなりがちですが、読書は小学校生活の最優先課題と位置づけて取り組んでいきましょう。
 受験コースで勉強すると、その練習中に書いた自分らしい実例、自分らしい表現、自分らしい意見などのストックがたまってきます。作文試験に対応するための最良の参考書は、この自分が書いた文章です。さまざまなテーマで最低10本の作文を書いておくと、その中に、受験の作文に使えるような材料がそろいます。受験のときは、その材料を武器にして、テーマに合わせて臨機応変に書くという形になります。
枝 6 / 節 8 / ID 15891
作者コード:
3.中学生の勉強の仕方―正しい勉強法を身につける 枝 4 / 節 9 / ID 15886
■どういう勉強をするか

・作文の字数は、600−1200字です。
・高校生になったときの小論文の基礎となる意見文の書き方を練習します。
・中学生の意見文と高校生の小論文の差は、主に長文の難しさの差です。中学の3年間で勉強する意見文の書き方がひととおりできれば、その書き方で大学入試の小論文に対応できます。
パソコンで書ける生徒は、できるだけパソコンで書き、自動採点ソフト森リンの点数などを勉強の目標にしていきましょう。
・パソコンで書いている人で、高校入試に作文試験がある場合は、試験の3ヶ月前から手書きに戻しておきましょう。

■中学生の勉強の仕方

 中学生は、中高一貫校に進む子と、高校受験の必要な中学に進む子とがいます。
 中高一貫校に進んだ生徒は、そのまま学校に任せておけばいいと考えるわけにはいきません。中学受験までの勉強の反動で、1年生のときに遊んでしまうと、あとから取り戻すのが大変です。勉強は、学生の本分ですから、受験の前でも後でも、常に同じように生活の優先事項として取り組んでいく必要があります。
 高校受験の必要な中学に進んだ生徒は、中学1年生のころは、まだ受験が差し迫った課題になっていないためにのんびり過ごしてしまうことがあります。家庭で、勉強の方針を立てて計画的に取り組んでいく必要があります。
 中学生は、まだ自分で勉強の計画を立てることはできません。計画を立てて何かを成し遂げるという経験が少ないからです。特に、受験に向けての勉強計画のような大がかりなことは、本人の力だけではできません。しかし、勉強の計画の立て方は、学校では教えてくれません。塾も、スケジュールに沿った勉強を教えてはくれますが、本人が自分で計画を立てて勉強する方法は教えてくれません。中学生の勉強の計画は、家庭で試行錯誤しながら少しずつ作っていくものです。
 そのために、学年が変わる前の春休みの間に、勉強法の本をまとめて読んでおきます。新しい物事に取り組むときは、本の情報を参考にするのがいちばんです。できるだけ多くの勉強法の本を読み、その中で、自分がいちばん参考にできると思った本を1冊決めて、その1冊を勉強法の座右の書として勉強を進めていきます。自分のペースで勉強していると、いつの間にか自己流のやり方で無駄の多い勉強をしていることが多くなるので、ときどきその本を見て軌道修正するようにします。

 中学生の時期は、小学生のときよりも、高校生のときよりも時間の余裕がありません。部活があったり、定期テストがあったり、宿題があったりと、毎日時間に追われる生活をしています。しかし、勉強の基本はシンプルです。
 国語力については、読書に力を入れるとともに、難しい文章として高校入試の問題集の問題文を読む練習を続けていきます。時間が忙しくなると、読書は後回しになりがちですが、中学生のころに読書をしない生活にしてしまうと、その後の高校生、大学生でも読書のある生活になかなか戻りません。読書は、勉強と同じぐらいの重要度で毎日取り組んでいきましょう。中学生になると、国語の教科の中に、文法や古文が出てきます。これらは本当の国語力というよりも、単なる国語の知識です。文法や古文は、漢字の書き取りと同じように繰り返し覚えるという形で勉強していきましょう。
 英語の勉強の基本は、教科書を何度も音読して、丸ごと暗唱できるぐらいにしておくことです。教科書の1ページを20回ぐらい声を出して読むと、文章を見ないでも言えるようになります。そのようにして全ページを暗唱していきます。暗唱ができたら、もとの文章を見ないでも書けるところまで覚えていきましょう。これは、口で言うほど簡単なことではありません。気長な忍耐力の必要な勉強です。英語の成績は、真面目さに比例していると言われます。試験前に集中して勉強するのではなく、毎日の勉強の目標を決めてこつこつと取り組んでいくことが大切です。
 数学の勉強の基本は、自分にとっては少し難しいぐらいの問題が載っている問題集を繰り返し解くことです。できなかったところは、解法を見て自分で理解します。解法を見ても理解できないときは、両親や先生に聞きます。お父さんやお母さんは、突然中学生に数学の問題を聞かれても答えることはできませんが、解法を見て理解することなら子供よりもよくできるはずです。身近な両親に聞いて、それでもわからないときは先生に聞くというようにしていくと能率がよくなります。
 数学の勉強は、易しくできる問題を何題解いても力がつきません。問題集を繰り返し解くときも、一度できた問題は決して解かないようにします。そのかわり、できなかった問題は、日を置いて、2回でも、3回でも、4回でも、できるようになるまで繰り返し解きます。できない問題だけを繰り返し解くという勉強は、精神的にかなり苦しいものですが、こういう勉強の仕方でなければ力はつきません。
 このように、繰り返しできなかった問題を解くという勉強をするために、問題集はしっかりと1冊に製本してあるものを選びます。塾でもらうプリントや通信教材で次々と送られる小冊子の形のものは、ばらばらになりやすいので繰り返し解くという勉強には向きません。
 中学生の勉強で最も差がつく教科は数学です。だから、高校入試でも、数学の成績が合否を左右します。数学が苦手だと、高校に入ってからの進路の幅が狭まります。数学の成績は、頭のよさにも遺伝にも関係ありません。ただしい勉強の仕方を知っているかどうかです。しかし、覚えるる知識の量が多く、その知識が土台になって次の知識に結びつくという形になっているので、苦手な人はなかなか成績が上がらないように見えるのです。

 高校入試で、作文試験を行うところが増えています。点数の差をつけるために、課題はかなり難しいものが多いようです。しかし、言葉の森の通常の作文の勉強をしていれば、どのような課題でも書き方はすぐにわかります。
 合格圏内に入る作文を書くためには、思考力と語彙力をつけておくことが大切です。思考力と語彙力は、読書によって身につきますから、学校の勉強とは別に多読と難読を進めておく必要があります。 (つづく)
枝 6 / 節 10 / ID 15887
作者コード:
枝 9 / 節 11 / ID 15887
 
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