そのとき私はまだ生まれていませんが、日本選手の活躍や大会の成功を幾度となく聞くにつけ、日本中の心を沸き立たせ、喜びと自信を与えたイベントだったことは、ずっと感じ続けてきました。 （88字）

　

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に楽しみです。

　夏季オリンピックのアジアでの開催は３回目になります。北京の前は２０年前・１９８８年のソウルオリンピック。男子１００ｍ走、カール・ルイス対ベン・ジョンソンの闘いに沸き、それがドーピング問題へと発展したことが印象的な大会でした。
　そして、それからさらにさかのぼること２４年。アジア初のオリンピックを開催したのは、ご存じ「東京」です。

　１９６４年（昭和３９年）、第１８回オリンピック競技大会は、１０月１０日〜２４日の１５日間行われました。そのとき私はまだ生まれていませんが、日本選手の活躍や大会の成功を幾度となく聞くにつけ、日本中の心を沸き立たせ、喜びと自信を与えたイベントだったことは、ずっと感じ続けてきました。

　それが先日、市川崑監督の記録映画『東京オリンピック』を見る機会があり、東京オリンピックでの競技の様子、会場の景色を詳細に知ることができました。
　４４年前の躍動が、今行われていることのように感じられ、予想以上に感動しました。当時、テレビにくぎ付けになっていた人々は、この幸せを感じていたんだと、わかったような気がしました。
　聖火リレー、外国人選手たちの到着などの場面は、大イベントが始まる期待と緊張感。静かだけれど、落ち着かないような感覚です。
　そして開会式。明るい晴天の下、輝くようなまっ赤なジャケットに身を包んだ日本選手団の入場では、いよいよ始まった！　という興奮。行進の中にいた多くの日本人選手、そして市川崑監督も、いちばん印象に残っているのは開会式だと言っています。観客の歓声には魂がこもっているようでした。戦後地道に復興の日々を送ってきた日本人の努力が報われた象徴のような、それを喜ぶ魂だったのではないかと感じました。

　私がとくに感動したのは、閉会式です。整然と行進した開会式とは違って、各国の選手が入り交じって自由に入場してきました。日本人選手も外国人選手も胸につけた国旗に関係なく肩を組み、笑い、わいわいと、まるでお祭のようです。
　大会の成功はこれを見れば一目瞭然。ここに、東京オリンピックのスローガン「世界は一つ東京オリンピック」の全てを見たような気がします。

　北京オリンピックのスローガンは「ひとつの世界、ひとつの夢」（One World,One Dream）。今、中国の人々はわき上がる期待と緊張の中にいるでしょう。開催まではさまざまな問題が取り沙汰されましたが、閉会式には、このスローガンのように、世界がひとつになれますように。
　みなさんも日本勢を大いに応援し、心の中でともに闘い、そして清々しい後味を味わい、笑顔をかわしましょう。