【7】名にし負はば逢坂山のさねかづら人に知られで来るよしもがな
小倉山峰のもみぢ葉心あらば今ひとたびのみゆき待たなむ
みかの原わきて流るる泉川いつ見きとてか恋しかるらむ
【8】山里は冬ぞ寂しさまさりける人目も草もかれぬと思へば
心あてに折らばや折らむ初霜の置きまどはせる白菊の花
有明のつれなく見えし別れより暁ばかりうきものはなし(三〇)∵
【9】朝ぼらけ有明の月と見るまでに吉野の里に降れる白雪
山川に風のかけたるしがらみは流れもあへぬもみぢなりけり
ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ