【4】 首打ち落させてより、一働きはしかとするものと覚えたり。義貞、大野道賢などにて知れたり。何ぞ人が人に劣るべきや。三谷如休は、「病死も二三日はこたへ申すべし。」と申し候なり。
【5】 古人の詞に、七息思案と云ふことあり。隆信公は、「分別も久しくすればねまる。」と仰せられ候。直茂公は、「萬事しだるきこと十に七つ惡し。武士は物事手取早にするものぞ。」と仰せられ候由。【6】心氣うろうろとしたるときは、分別も埒明かず。なづみなく、さわやかに、凛としたる氣にては、七息に分別すむものなり。胸すわりて、突つ切れたる氣の位なり。
(葉隠 山本常朝)