神様にずっと怒られてたキャプテン(僕) この大会で全勝できなかったら神様は、どこかへ行ってしまう 勝たなければいけない 絶対に勝ってやる
小6 あおなち(aonati)
2025年3月1日
「コーチ、今日は絶対に勝ちます」
川沿いのグラウンドで風が強い中,僕はコーチに宣言した。前の日も大会だったのだが、「優勝候補」と言われていたのに6位中5位という最悪な結果を出してしまった。そして、気持ちが沈んだまま迎えたこの大会。コーチは、
「予選リーグで負けて因縁の相手と決勝で戦えずに終わるなこれ」
と馬鹿にした。その言葉を聞いてみんなが一斉に心に火をつけた。僕は、「優勝してやる」と魂から思いチームをこれまでにないくらい盛り上げた。みんな、僕の気合いに乗っかってきてくれて、
「よっしゃーー俺が優勝だ」
と大きな目標を叫びながら、ウォーミングアップをした。ウォーミングアップを終えると、すぐに予選の1回戦目が始まった。
「ドクドク ドクドク」
対戦相手も僕のチームもみんな緊張していた。なぜなら、全く戦ったことがない相手で、どんな攻撃パターンで来るのか、どの子がゲームメーカーなのかさっぱりわからないからだ。両チームがピッチに立ち円陣を組む。そして、主審の笛でキックオフ。最初は、相手ボールで開始。早速前からボールを奪いに行く。相手は、前からのプレッシャーにこられるのが苦手らしく、すぐ前に蹴った。空中戦は、こっちのもん。エムバペと言われているセンターバックの子が落ち着いて、ヘディングで跳ね返した。中盤の子が跳ね返したボールをトラップし、マイボールにする。そして、サイドにパスを出しクロスを上げる。すると、180㎝もあるFWが身長を活かしてヘディングでゴールをきめた。この勢いに乗り前半3点,後半4点と大差で勝利した。1回戦目の相手に続き予選の2回戦目の相手も大差で勝利した。3回戦目の相手に勝てば優勝へのチャンスは、かなりある。だが、そう簡単には行かない。なぜなら、3回戦目のチームも1、2回戦目の相手にかなりの点数をつけて勝ち進んできていたからだ。みんな
「ここを勝てば…」
と責任を感じているのか、かなり緊張していた。また、キックオフ前に円陣を組んだ。そこで僕は、目をつぶり考えた。
「ここで勝って、みんなを安心させてあげるのがキャプテンの仕事だよな」
この言葉を胸に円陣で
「絶対に勝とう」
と力強く言った。円陣を終え立ち位置につくと笛が吹かれ試合が始まった。最初から、僕のチームのペースだった。
「勝つ」
この言葉しか僕の頭になく、ボールを持つと一人でゴール前まで行った。そこで、光の速さで裏に走ったエースに僕は、思いのこもったパスを送った。すると、エースが綺麗にゴールをきめてくれてチームの雰囲気が一気に上がった。その後も僕が、ロベルトカルロスのようなシュートをきめ、勝ち越し点となった。そして、最後の笛が鳴り試合が終わった。最終的には、4対0で勝った。
予選が終わるともうみんな次の試合のことについて考えていた。完全にみんな優勝をしたいと思っている。そう感じた僕は、これまでのキャプテン生活を振り返ってみた。前は、チームを盛り上げたり、まとめたりできなかったけど、今はキャプテンの仕事を感覚で成し遂げている。僕は、キャプテンとして成長しているとしみじみ思った。次は、決勝戦だ。気持ちを入れ替えて試合のためにみんなで自主的にウォーミングアップをした。いつもふざけている子も、目の色を変えて
「優勝しかない」
と言わんばかりの気合いだった。まるで、ナマケモノがチーターのようになった時だ。コーチに
「あと5分後試合だぞ」
と言われ、全員の顔に勝ってやるという顔と緊張するという顔の2つの色がぶつかり合った。対戦相手は、何回も戦ったけど一回も勝てていないチームだ。そして、気持ちのこもった円陣でチームの雰囲気はさらに増す。ついに、決勝戦が始まった。前半戦はマイボールの時間が多く前半に2点もきめた。後半戦。相手メンバーは、キーパー以外全員交代してきた。後半戦は、毎回1軍が出てくるのだ。だが、1点で抑えることができ、2対1で優勝することができた。失敗は成功のもとという言葉がまさにこれだった。僕たちは、念願の優勝をもぎ取ったのだった。
母の頑張った話を聞いてみた。僕が入っているサッカーチームの会長を務めた。1年間で部員が2倍に膨れ上がり、子供が100人,大人が200人。市内で1番のジャンボチームになった。その人たちをまとめるのが、会長の役目だ。母は、普段集団の先頭に立って引っ張るタイプではない。しかし、みんなの話を聞いてお悩み解決をする力がある。会長になる前も、育成会と呼ばれる組織のメンバーから色々な不満を聞いていた。
「保護者が200人もいるのに、積極的に動いてくれるのは、ほんの一握り。みんな仕事をしているから助け合わないと、誰かが倒れてしまう」
そんな意見を聞いていた。母は、会長になることを決意し今までの方針をガラリとかえて、
「一人一役」
を打ち立てて全員で関わり全員で助け合い全員で楽しめるチームになろうと保護者に呼びかけた。大人の連携プレーを子どもに見せてあげましょう。そして、私たちも最高のシュートをきめましょう。この言葉から会長の1日目が始まった。一人一役に対して、反対の声も多少あったが、丁寧に対話をして納得してもらい20のグループに分けて、育成会の仕事を細分化した。一人一人の負担は小さくし、全員が関われる仕組みを作った。改革とは、とても大変なものだが誰かがやらないとずっと歴史は変えられない。母は、静かに大改革を成し遂げたのだ。
頑張るとは、人間にとって自信をつけるために必要なことである。
いい人生を送るには、谷のどん底に落ちたりすることも大事。そして、そこから頑張ってはい上がることも大事。という名言があるようにいい人生を送るために自分と向き合って正解を見つけたり色々な方法で自分の課題に対して調べたりして、「諦めずに頑張る」ということを意識してこれからは生きていきたい。
「コーチ、今日はありがとうございました。最初に宣言したからか本当に優勝しちゃいました」