視野を広げることと自分の世界を深めることという二つの考えを対比させた上で、それらを超え(こえ)た「自己理解の重要性」に論を展開しており、とても読み応えのある文章になっています。

 まず、一段落目の要約が簡潔でありながら、問題の本質を的確に捉え(とらえ)ている点が良いですね。日本人とアメリカ人の相互(そうご)理解に関する先入観を例に挙げることで、「自分の考えが唯一(ゆいいつ)のものではない」と視野を広げる必要性を導き出している点に、論理的な構成力の高さを感じます。

 次に、二段落目では「視野を広げること」の大切さを、美しい比喩(ひゆ)表現を用いて説明しています。「道の(わき)の花が遠くの花畑から飛んできたことがわかる」「ガラス玉が(にじ)色に光る」などの描写(びょうしゃ)は、発見の喜びを生き生きと伝えており、単なる意見の主張にとどまらず、読者の感情に訴え(うったえ)かける力を持っています。視野を広げることが、ただ知識を増やすだけでなく、新しい気づきを生む楽しさを伴う(ともなう)ものだという主張がよく伝わってきます。

 三段落目では、一転して「自分の世界を掘り下げる(ほりさげる)こと」の大切さに焦点(しょうてん)を当てています。人生の選択(せんたく)を「右か左かの道」に例え、時には他者の影響(えいきょう)排除(はいじょ)し、自分の道を選ぶことが重要だと説く表現は力強く、自立した考え方を促し(うながし)ています。また、「護身術を使って払いのける(はらいのける)」という比喩(ひゆ)が印象的で、単に流されないだけでなく、自分の意志を貫く(つらぬく)積極的な姿勢が伝わります。ここで「竹取物語」のかぐや(ひめ)の例を挙げることもできました。かぐや(ひめ)が周囲の期待ではなく、自らの意志で月に帰ったというエピソードは、自分の価値観に基づいた選択(せんたく)の重要性を示すのにぴったりの例ですね。

 そして四段落目では、単なる折衷(せっちゅう)案にとどまらず、「自己理解」が最も重要だという結論に導いています。「時間を作る第一の方法は、急ぐことではなく、どこに時間を使うかである」という名言を引用しながら、ただ前に進むだけではなく、自分を見つめ直す時間の大切さを説いている点が印象的です。「全力で走っていると、カバンやポケットからものが落ちてしまう」「道を戻っ(もどっ)ても、止まってもいい」という表現は、焦る(あせる)ことなく自分を見直すことの重要性を、具体的かつ詩的に伝えています。

 全体を通して、構成が明確で、論理的な流れがしっかりしており、比喩(ひゆ)や昔話の例えが効果的に使われているため、読者に深い印象を与える(あたえる)文章になっています。特に、「相互(そうご)理解」「自己探求」「自己理解」といったテーマが、道や選択(せんたく)という具体的なイメージを通じて語られているため、抽象(ちゅうしょう)的な概念(がいねん)もわかりやすく伝わっています。

内容◎ 構成◎ 題材◎ 表現◎ 主題◎ 表記◎
 


■思考語彙 21種
 しかし, 確か,。だから,。つまり,。なぜ,いると,が思う,せざる,だから,だろう,でもきっと,と思う,と考える,に思える,は思う,みると,れざる,作る第,当たると,行こう,進もう,

■知識語彙 55種
一番,世界,人生,他人,価値,全力,合理,唯一,商店,基準,大切,好奇,学校,定期,小道,幸福,強引,必要,思考,性格,意見,意識,整理,方法,明確,昔話,時間,最終,欲求,決定,満足,無意味,物語,独自,理解,病院,登場,相手,経験,自信,自分,自己,興味,花畑,行動,視点,視野,観察,言葉,評価,護身,賞賛,過小,選択,重要,

■表現語彙 121種
 確か,あたりまえ,いろいろ,こと,ころ,さ,そこ,その道,それ,たくさん,たち,ところ,どこ,どちら,もの,よう,カバン,ガラス,パターン,ポケット,一,一番,世界,中,二つ,人生,今,他,他人,価値,光,全て,全力,前,右,合理,周り,味,唯一,商店,基準,大切,好奇,姫,学校,定期,小道,左,幸せ,幸福,度,強引,心,必要,思考,性,性格,意見,意識,感,手,整理,新た,方,方法,明確,昔話,時,時間,最終,月,様々,欲求,決定,満足,点,無意味,物語,独自,玉,理解,病院,登場,的,目,相手,私,竹,経験,考え,者,耳,胸,脇,自ら,自信,自分,自己,興味,色,花,花畑,草,虹,行動,術,見え,視点,視野,観,観察,言葉,評価,護身,賞賛,過小,道,違い,遠く,選択,重要,

■経験語彙 65種
いける,おく,が思う,しまう,すむ,つながる,と思う,と考える,に思える,は思う,れる,わかる,作る,使う,光る,入る,努める,取り組む,取る,向き合う,呼びかける,変わる,始める,学ぶ,帰る,座る,建つ,引っ張る,張る,当たる,急ぐ,感じる,戻る,払いのける,持つ,振り返る,掘り下げる,揃える,望む,止まる,歩く,歩む,気づく,潰れる,澄ます,煩わす,現れる,生きる,直す,落ちる,見える,見つめる,調べる,費やす,走る,踏む,迫る,連れる,進む,違う,選ぶ,開く,願う,飛ぶ,驚く,

 

   中2 あおさみ(aosami)  2025年3月2日

 日本人は外国人には日本のことを理解できないという態度をとり、アメリカ人は日本人はアメリカのことを知っているはずだという態度を取る。悪意の有無に関係なく、このようなことは相互理解の邪魔になると私は思う。



 自分の考えが唯一のものと考えない視野の広さを持つことは大切だ。自分が歩んできた道を振り返って観察してみると、たくさんの小道が自分の道につながっているのに気づく。また、他の道を見て商店や病院、学校などが道の脇に建っていることあたりまえではないことにも気づく。私たちは、生きている中で様々なことを学ぶ。自分が思っていることが全てではなく、新たな視点や意見に驚くことがある。道に落ちているものを踏んでから気づくように、ある一点だけを見ていると気づかない。だから少し目を大きく開いて、歩いてみてみる。そうしたら、道の脇の花が遠くの花畑から飛んできたことがわかるだろう。色味を感じない落ちているガラス玉が光に当たると虹色に光ることに気づくだろう。耳を澄まし、よく観察をする。このこと二つのことを心のすみで意識するだけでもきっと、いろいろなものが心にすんなりと入ってくると思う。



 しかし、他人に煩わされず自分の世界を掘り下げていくことも大切だ。自分が興味を持ったものを自分なりに調べてみることは楽しい。たとえそれが、これからにおいて無意味なものに思えても、自分の好奇心や欲求に従って行動する経験は、満足感や自信につながる。人生の道を歩いていると、左か右に、どちらにいくのか選択を迫られる時がある。右に行こうと思い始めているころ、どこからか現れてきた者が、強引に手を引っ張り左に連れて行こうとする時がある。そこで護身術を使って払いのけることが大切だ。自分を過小評価せずに、自分の決定に自信を持って欲しい。その決定の基準は、合理性や幸福度、取り組みやすさなど、独自のものでいいのだ。昔話の「竹取物語」の中に登場するかぐや姫は、最終的に周りの望むものではなく、自分の幸せを選んで、月へと帰った。それでいいのだ。なぜなら自分の人生だからだ。そして、堂々と胸を張ってその道を進んでいけることを願う。



 確かに、視野を広く持つことも、あることを自ら掘り下げていくことも大切だ。だが、「時間を作る第一の方法は、急ぐことではなく、どこに時間を使うかである」という言葉があるように、前に進もうという心だけでなく、今あるものを見つめ直してみることが重要なのではないか。つまり、一番大切なのは自分と向き合い自己理解に努めるということである。自分の性格や価値観、思考や行動のパターンなどがわかることで、周りの見え方が変わってくるだろう。相手との違いが明確になり、自分に必要なものが見えてくる。全力で走っていると、カバンやポケットからものが落ちてしまうこともある。だから、定期的に整理して、揃える。道を戻っても、止まってもいい。長いこと座っていたところは、草が潰れて他と色が違う。そこがなんだか、私が費やした時間を賞賛するとともに、また戻っておいでと呼びかけているように感じた。