今回も深い思考と自分らしい表現で高いレベルの意見文が書けました。
【全体的な総評】
言語の変化という複雑で奥深いテーマに対して、歴史的背景や身近な事例、さらには未来を見据えた考察まで織り交ぜ、非常に説得力ある意見文に仕上がっています。特に「古いものの良さ」と「新しいものの利点」をバランスよく対比させ、それらを「使い分けることの大切さ」に結びつけた構成が見事です。ヘラクレイトスの名言で全体を引き締めている点も印象的で、深い思索が伝わってきました。
【各段落の講評】
■一段落目(要約・主題)
「言語は保守的なものである」「簡単に変化を受け入れない」という考えを身近な例を交えながら要約できています。また、「ヤバい」の変化や音便の誕生といった具体例を交えながら、言葉が変わっていくことの背景にある人間の性質まで捉えており、深い理解がうかがえました。
■二段落目(古いものの良さ)
年賀状という具体的な題材を通して、古くから受け継がれるものの価値を丁寧に説明できています。「筆跡から気持ちが伝わる」「非日常感がある」といった表現は、経験に基づいたリアルな描写で説得力があります。「年賀状が絶滅危惧種」という比喩にもユーモアが感じられ、読んでいて楽しい部分でした。
■三段落目(新しいものの良さ)
現代の技術進化による利便性の向上を、災害情報や企業の年賀状廃止の例を挙げながら具体的に説明できています。LIXILの例や印刷の手間など、実際の現代社会で起きている変化を取り入れており、非常に現実感のある内容です。情報の選び方にもセンスが感じられます。
■四段落目(総合化・名言の引用)
「古いものは冒険しなくてよいが、新しいものには自分の判断が必要」という視点がユニークで、しっかりと意見を深めています。また、ヘラクレイトスの名言「あなたの選択があなたの人格である」を効果的に使い、自分の主張をまとめた点が素晴らしいです。最後に「柔軟に方法を選ぶことが最も重要」と言い切っている点も、作文全体の軸がぶれておらず、読後感もとても良かったです。
【この作文で特に優れていた点】
主題(古いものと新しいものの比較)を一貫してぶれることなく展開していた点
年賀状や企業のメール化など、具体的かつ身近な例を豊富に取り上げていた点
自分の体験や気持ちが文章に込められており、読者の共感を得やすい点
名言を活かしたまとめ方が印象的で、作文に深みを与えていた点
【考えを深めるための質問】
あなたがこれまで「古いから使いにくい」と思っていたけれど、実際に使ってみたら意外と良かったものや、「新しいけどちょっと違和感があった」ものはありますか? それはなぜだと思いますか?
■思考語彙 21種 22個 (種類率95%) 79点
。しかし,。ただし,。だからこそ,あるから,あるため,いかざる,からこそ,が場合,これによって,ざるば,せるため,だと,できるため,と思う,な場合,コンピューターによって,届くため,届くと,握るから,機によって,相手によって,
■知識語彙 63種 97個 (種類率65%) 81点
一挙,一斉,事柄,人格,他人,会話,便利,保守,冒険,判断,労力,印刷,危険,原理,友達,地震,報告,多数決,大事,大分,大変,対照,山形,平安,年賀状,必要,情報,意味,挨拶,文化,方法,日常,日本,時代,柔軟,株式,株式会社,毎年,決断,災害,状況,独特,直接,相手,瞬時,移行,筆跡,簡単,経済,網羅,自分,興奮,行動,解決,言語,訂正,近況,通信,速報,選択,重要,隠語,面倒,
■表現語彙 119種 195個 (種類率61%) 82点
あと,あなた,あるため,が場合,こと,これ,ごろ,さ,せるため,そこ,それ,できるため,どちら,な場合,ほか,もの,よう,インターネット,コンピューター,スピード,チャンス,ペンション,メール,リアルタイム,一挙,一斉,世の中,事柄,人格,今,他人,会話,何,便利,保守,冒険,初め,判断,前,労力,化,印刷,危険,原理,友達,地震,報告,塾,多数決,大事,大分,大変,家,対照,届くため,山形,差,常,平安,年,年賀状,必要,情報,意味,感,手,挨拶,数,文化,方法,日,日々,日常,日本,昔,時,時代,柔軟,株式,株式会社,様々,機,次,毎年,気持ち,決断,温かみ,災害,点,状況,独特,的,直接,相手,瞬時,私,移行,筆,筆跡,簡単,経済,網羅,自ら,自分,興奮,行動,解決,言語,訂正,説,近況,送り主,通信,速報,選択,重要,間,隠語,面倒,
■経験語彙 38種 57個 (種類率67%) 76点
あがる,おこす,しまう,せる,できる,と思う,やめる,やる,られる,れる,伝わる,使いこなす,使う,入る,出る,受け付ける,受け入れる,味わえる,変える,届く,応じる,感じる,握る,書く,決める,泊る,添える,済む,異なる,瞬く,続く,続ける,表す,表せる,読み取る,送る,逃す,際立つ,
■総合点 87点
■均衡点 8点
「選択力」
中2 あおらえ(aorae)
2025年4月3日
モノは日々進化を続けている。レコード盤は滅多に見ない。ガラパゴス携帯電話、通称「ガラケー」もほとんど見なくなった。言語の分野でも、すでに使われなくなった用法、言い方、言葉がある。最近できた言葉もある。中学生で古典を習う。「らうたげなり」などは今日でもう聞かない。「口は希代の怠け者、何かというとすぐに手抜きしたがる」。音便が生まれた理由はこれだろう。「ヤバい」という言葉を一日に何回も聞く。矢場から来た説、隠語から来た説などがあるが、もともとは危険だという意味であった。しかし、今ではそのほかにすごい、大変、興奮したなど様々な意味、対照的な意味まで網羅している。これによってほとんどの状況が表せるようになった。ただ、言語は保守的なものである。そう簡単には言語経済化の原理や言語多数決の原理を受け入れない。いや、受け入れられないのである。
言語は保守的なものである。新しいものをなかなか受け付けない。それは、古くて正しいものには良さがあるからである。年賀状は年の初めの挨拶を表すものである。だからこそ、昔からずっと送られ続けてきた。メールでは表せない、自分が直接筆を握るからこそ伝わる温かみがある。私の家にも、毎年山形で泊っているペンションから年賀状が届く。短い近況報告が添えられていることが常だが、それが届くとまた行きたくなってしまう。友達からも年賀状が届く。塾からも年賀状が届いたことがあった。年賀状では、よく送り主が実際に書く。日本の文化として送る、ということもそうだが、その時の気持ちが筆跡から読み取ることができ、またメールでは味わえない非日常感やうれしさも感じられる。そこに、日本独特の、平安時代ごろから続いている年賀状の良さがあると思う。
ただ、日々新しく、便利になっていっているものにも良さがある。コンピューターによって面倒な事柄が一挙に解決できるようになった。またインターネットや通信機によって世の中の情報を瞬時に手にすることができるようになり、判断や決断のスピードがあがったり、株式などでのチャンスを逃しにくくなったりした。地震の速報などの災害情報が瞬く間に自分に届くため次の行動は何にするかなどの判断をしやすくなり、他人とリアルタイムで会話ができるようになった。LIXIL株式会社は年賀状を送るのをやめ、メールに移行するとした。年賀状では数日前に送る必要があるため、そのあとに重要な情報が入ってきても訂正できない。さらに、年賀状は印刷する必要がある。その点、メールだと一斉に送ることができるため、労力は大分少なくて済む。
古いものには、自分が冒険をしなくても良いが、新しいものは自分がいろいろ決めていかねばならない。だが、古いものではあまり他人との差が出ない。自分と他人との差を際立たせるためには、自分が行動をおこし、新しいものを使いこなす必要がある。このように、どちらにも良さがあるが、ヘラクレイトスは言っていた。「あなたの選択があなたの人格である」と。古いものにも、新しいものにも、どちらにも良さがあり、どちらも重要である。ただし、最も大事なものは自らが場合に応じてどちらを使うか選択することだと思う。相手によって、どちらがやりやすいかは異なってくる。様々な場合に応じて柔軟に方法を変えていく、方法を選択しいくことが最も重要である。