とても読み応えのある作文でした。これからも自分らしい考えをどんどん言葉にしていってください。

【全体的な総評】
 この作文は、「古い文化を守る大切さ」と「新しいものを柔軟(じゅうなん)に取り入れる大切さ」という二つの意見をしっかりと扱い(あつかい)、それを高い次元でまとめて「どう使うかが大事」という主題へと昇華(しょうか)させた、完成度の高い意見文です。最初の段落で「ら抜き(ぬき)言葉」という具体的なテーマをもとに言語の変化と文化の変化を結びつけ、読者を一気に引き込み(ひきこみ)ます。その後も、体験やデータを交えて多角的に話を進めており、論理の展開に無理がなく、説得力があります。語彙(ごい)の選び方も自然で読み応えがありました。

【段落ごとの講評】

◆第1段落(要約・状況(じょうきょう)説明)
 「ら抜き(ぬき)言葉」という具体的かつ身近な話題から入り、「言葉の変化は時代と共にある」と論じる姿勢が素晴らしいです。分かりやすい導入です。

◆第2段落(意見A:古いものの良さ)
 年賀状という身近な伝統文化を例に、古いものの価値を体験と重ねて語っており、とても説得力があります。とくに「携帯(けいたい)で送ったら物足りなかった」という実体験が読者の共感を呼びます。「人間のめんどくさがりやな本能」という表現もユーモラスで印象的でした。

◆第3段落(意見B:新しいものの良さ)
 スマートフォンの普及(ふきゅう)率やビジネスカジュアルの例を使って、新しい生活スタイルの利点をデータや社会の変化から説明できています。「早く、正確に処理したいという人間の傾向(けいこう)」を読み取っている点も洞察(どうさつ)があり、良い分析(ぶんせき)です。

◆第4段落(総合化・主題)
 「どう使うかが大事」という意見に落とし込む(おとしこむ)ことで、古い文化を全否定することも、新しい文化を全面的に肯定(こうてい)することもせず、バランスの取れたまとめができています。「物の使い方を変えるというこの一歩で人生も変わる」という表現は、まさに自作名言と言える深みとインパクトがありました。

【この作文で特に優れていた点(指導項目(こうもく)に沿って)】

主題の深さと構成力:古い文化と新しい文化の対立を、単なる比較(ひかく)で終わらせず、「使い方」という視点に昇華(しょうか)させた点。

体験実例の具体性:年賀状を手書きした経験と、携帯(けいたい)での物足りなさを実感として語れた点。

ユーモアのある表現:「人間のめんどくさがりやな本能が出てきている」という表現が楽しく、読者の興味をひきつけました。

自作名言の完成度:「物の使い方を変えるというこの一歩で人生も変わる」は、逆説性と真理を含ん(ふくん)だ印象的な結びの言葉でした。

【考えを深めるための質問】
 あなたがこれから「古い文化」や「新しい文化」のどちらかをより大切にしたいと感じた場面があったら、それはどんなときだと思いますか? そのとき、あなたはどう行動すると思いますか?

 


■思考語彙 25種 29個 (種類率86%) 90点
 確か,。いわゆる,。しかし,。一方,。例えば,いえば,か考える,こだわらざる,するから,すれば,たら必ずしも,だろう,と思う,と考える,なければ,はいえ,ばかり考える,みると,もらうと,人によって,今考える,切り開こう,古いから,自分らしい,送れば,

■知識語彙 53種 81個 (種類率65%) 74点
一方,一番,世界,交換,人生,人間,企業,会社,伝統,住所,便利,傾向,先生,全員,処理,出勤,友達,反対,変化,大事,存在,小学生,平安,年賀状,必要,思慮,手紙,挨拶,携帯,文化,日本,時代,最近,本能,正確,気分,物事,独特,理由,生活,相手,知人,私服,簡単,絶対,習慣,自分,表情,見方,言葉,言語,送信,重要,

■表現語彙 112種 182個 (種類率62%) 79点
 確か,お世話,お正月,こと,これ,それ,それぞれ,どちら,まま,もの,や,よう,ら,カジュアル,スタイル,スマート,スーツ,テーマ,ハガキ,パーカー,ビジネス,フォン,ボタン,メッセージ,一,一方,一番,世界,交換,人,人生,人間,今,代わり,企業,会社,伝統,住所,何,使い方,例,便利,傾向,先,先生,全員,円,処理,出勤,友達,反対,員,変化,大事,好き,姿,嫌い,存在,学,小学生,平安,年明け,年賀状,必要,思慮,手,手書き,手紙,抜き,挨拶,携帯,数,文化,方,日,日本,昔,時代,最近,本能,正確,歩,気,気分,物,物事,独特,理由,生き方,生活,的,相手,知人,私,私服,秒,答え,簡単,絶対,習慣,考え方,自分,表情,見方,言葉,言語,送信,通,重要,頃,%,Tシャツ,

■経験語彙 43種 63個 (種類率68%) 83点
いける,おる,かかる,か考える,がる,こだわる,しまう,できる,と思う,と考える,なくなる,はいえ,ばかり考える,もらう,れる,今考える,任せる,使う,入れる,出す,出る,切り開く,切り離す,増える,変える,変わる,始める,守る,届く,打てる,押す,持つ,書く,気づく,済ます,生きる,生まれる,痛める,着る,繋ぐ,聞く,認める,送る,

■総合点 85点

■均衡点 4点
 

古いものと新しいもの
   中2 マムアン(mamuan)  2025年4月3日

 最近、ラ抜きの助動詞がよく使われている。ら抜き、とはラレルという助動詞からラを抜き、れるとした言葉だ。日本人が日本語という言語に対して手抜きしている結果自然とそうなった。ラレルという助動詞は受け身、敬意、自発、また可能を表すことができる。けれどその使い分けがめんどくさいと感じ始めた日本人はら抜きに可能な表情を、ラレルには敬意の表情を任せることにした。ら抜きを認めるかは人によってそれぞれだ。言葉の使い方はそう簡単に変えて良いものではない。けれどだからといって悪いかと聞かれたら必ずしも「うん」とはいえないだろう。どちらを使うかにおいてはまだ正しい答えがないのだ。言語は時代とともに変化するという考え方は、言語学でも重要なテーマである。

 ラレルのように、古くからあり、正しいものは大事だ。これには年賀状がまさにぴったりの例だ。日本独特な年明けの習慣といえば、年賀状を出すことだ。私は小学生の頃、お世話になった先生方や、知人に全員手書きのハガキを出していた。昔は、ハガキを書くのが嫌いで、「携帯で打てたらいいのに」と考えていた。しかし友達には携帯でお正月の挨拶をいざしてみると、何か物足りない気分になる。今考えてみると、ハガキは人と人を繋いでいたと気づく。ハガキを出した友達からハガキをもらうと、自分の存在を認めてもらっているような気がするからだ。最近では携帯のメッセージアプリで年明けの挨拶を済ましてしまう人が多いと聞く。送信ボタンを押すだけで届くし、手を痛めながらメッセージや住所を書く必要がない。いわゆる、人間のめんどくさがりやな本能が出てきているということだ。けれどこのままでは絶対に日本の年賀状を送るという習慣がなくなってしまう。お正月に手紙を交換するという習慣は平安時代からあるものであり、これから先もこの習慣は守らなければならない存在である。古いから、という理由でこのような文化を切り離すのは無思慮だ。

 その反対に、新しいものも便利だ。例えば年賀状を出す代わりに携帯でメッセージすることがそうだ。今では世界の約85%の人がスマートフォンを持っており、メッセージを送れば数秒で相手に届く。一方、ハガキは1通110円かかり、届くのに数日かかる。どちらがいいかと言われたらそれは携帯だ。人間はもっと早く、正確に物事を処理することが好きだ。その傾向は年賀状にまで出ている。また、昔は会社員といえばスーツ姿だったが、最近では「ビジネスカジュアル」や私服を着て行っていい会社が増えている。特にIT企業ではTシャツやパーカーで出勤する人も多く、新しい、時代にあったスタイルが生まれ始めている。このように昔の習慣にこだわらず、新しい生活スタイルを切り開こうとするのは大事だ。

 確かに古いものは伝統的なことがあり、守らなくてはいけない。一方で新しいものはもっと早く、便利である。けれど一番大事なのはそれをどう使って生きるかということだ。人間はものを手に入れることばかり考え、それをどう使ったら自分らしい生き方をできるのか考えない。どちらか一方だけを使うというだけではなく、見方を変え、自分らしい使い方をすれば良いと思う。「物の使い方を変える」というこの一歩で人生も変わるのではないか。