別に素敵なものじゃないし
    ()  年月日

 筆者は、誰しもの人生のどんな一部を切り取っても日々の光景のどこかしらに、いつも決まってくずかごが、きっと一つは置かれているはずなのに、日々に欠かせぬ家具として重んじられているとはいえないという。ある日突然、ただの捨てるに捨てられないものばかりになってしまっているのだ。日々の暮らしの姿勢を作るのは、何を手に入れるかではなくて、本当は何を手に入れないかなのだと言うことに私たちは気づくのである。そしてようやく部屋の片隅に、置き忘れたままのみすぼらしいくずかごに目を留めて、どれほどこの日々に欠かせぬ仲間をないがしろにしてきたことか、今更のように思い知るのである。大きなくずかごをおけば、きっと生活の姿勢が変わってくるのである。

 私は、小学3年生の頃、文房具屋で買い物をしていた。消しゴムを探していると、可愛いくまさんの消しゴムがあった。買おうとしたが、一つ三百円で高かったため、買おうか迷った。この頃は、お小遣いが少なかったため、自分にとっては三百円という値段が高く感じた。買いに行く前、親に、

「私がお金、渡しますから。」

と自信有り気で宣言してしまったほどだ。親には、

「お金はしっかり考えて使うこと。」

と教えられていた。

「もし、この消しゴムを買ったら……」

私の中で思い浮かんだのは、お小遣いを使い切ってしまい、、泣いている自分の姿だった。結局、百円ほどのシンプルで消しやすそうな消しゴムを買うことにした。会計を済ませ、家に帰った。

「本当にシンプルな方を選択して正解だったのだろうか…」

実際に使ってみると、非常に使いやすく、大変満足した。この経験から、その場で必要かどうかを判断することは、非常に大切なことだと学ぶことができた。最近は、見た目にとらわれずに必要なものだけを買う習慣が身に付いてきていると思う。

 母は、季節ごとにトレンドをとらえた新しい服をどうしても欲しくなり、買ってしまうという。買った後に、昨年購入した服がたまっていることに気づく。結局、すべての服を使用せず、気に入った服だけを着てしまう。まさに過ぎたるは及ばざるがごとしで、持ちすぎた衣類は、衣類が足りないと同じで、良くないことだと思ったそうだ。本来は、流行にとらわれず、ベーシックで良質な衣類を数着持ち、それぞれを組み合わせて、全て使用する方が豊かな生活につながると思ったそうだ。今あるものに満足して穏やかに生活することがこんな豊かさにつながると思ったのである。そのため、一回買いたいと思ったものも、少し考えてから買うか判断しようと思ったのである。

 父は、学生の頃、国語の勉強をするために、同じような内容の参考書をたくさん買ってしまった。結局のところ、使用した参考書は、一冊だけで、使用しない参考書は、読まずに捨てることとなってしまった。後から考えてみると、参考書を買う時に、本当に自分が

必要となる参考書にしぼって、購入すべきであったと、今でも後悔しているのである。

 私は、この長文を読んで、本当に大切なのは、「何を持っているか」ではなく、「何を持たないか」であるということがわかった。そのため、未来の自分がどのような気持ちかを考え、その場で必要かどうか独自の視点を持って判断しようと思った。